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壊滅の運命を辿りたいくーでりあ。  作者: 壊滅のくーでりあ。
7/9

家族とお金、どっちが大事?


 限界を迎えて倒れてしまってからは療養の日々。と言っても休み方もわからない。横になっているだけでいいのだろうか、母親も妹も働いているのに自分は休んでる。


「いつになったら働くの?」


 口論になるのも時間の問題だった、初めは心配してくれていた母親も次第に態度が変わっていき母親と仲のいい妹も一緒に責め立ててくるようになった。

 こう毎日対立していては休まるものも休まらない、家賃は持つと言ってしまった自分にも非はあるのでとりあえずできる範囲でアルバイトを始めることに……。


 しかし前ほどフルタイムで働くことができず約束していた家賃全額も持てず結局口論と対立はなくならずむしろ体調が悪化していき、働ける時間が減り、払える金額が減り、そうするとまたさらに対立は深まり、の悪循環の一途をたどることに。


 数年そんな生活が続いたある日、リビングでスプーンにサラダ油を掬い、母親が喫煙家なのでテーブルに置いてあったライターでしばらく油を炙っていると火が付く。

「サラダ油って燃えるんだ」

 ……無意識にそんな発言をしていて、心のどこかで家を燃やしてしまえばいいと思っていた自分に気が付きこのままでは自分は取り返しのつかないことをしでかすかもしれないと自分に恐怖を感じた。


 家を出よう。


 昔みたいに家族仲良くはもうできない、あの日々が返ってくると思ってたのは幻想だったようだ。

 なんとなく感じていた。あっちの親子には輪があって、自分には入れない輪だって。もう家族の形が変わってて、数年離れただけでもうよその家族のような空気感、疎外感があった。


 そうしてしばらくしないうちに消費者金融で借りれるところかき集めてお金を集めて、家を出た。

 しばらくは借金返済のために薬を飲みながらまた働く羽目に、でも毎日言い合いしたり居心地の悪い部屋で休まらないよりかはマシだと思えた。


 束の間の安息、あとは借金さえ返してしまえば自由になれる。


 何度目だろう、今さえ耐えれば状況が良くなる、そう信じて頑張るの。まだ信じてたんだね、この頃の自分は。


 ……もちろん長続きはしない、すぐに調子は悪くなった、バイトも辞めざるを得なくなった。

 最後はイトーヨーカドーの日雇いの清掃が目に入ったので応募すると工事系の清掃で、まぁ、入ってしまったのでできる限り働いた。そして今度は、意識が続いたまま倒れた。家を出て玄関の扉を閉め、一歩踏み出したところで足の力が抜ける、がくんと膝から崩れ落ち玄関先でうつ伏せになってしまう。

 意識ははっきりしてる、でも手も足も動かない、痛みはない、ただ脳が手足に指令を出してくれない。何度も使う表現だが、それ以外にどう表現していいかわからない。

 起き上がらなくちゃという思考はある、近所の人にでも見つかったら大変だ。でも手も足も首も動かない目は開いてる、視界も良好、そんな状態がどれくらい続いただろうか。

 幸い誰に気づかれることもなく自力で起き上がることができ職場に連絡、その日以降出勤することはなくなった。


 いよいよ働けなくなった、これからどうしよう。

 たぶん24歳の頃。

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