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壊滅の運命を辿りたいくーでりあ。  作者: 壊滅のくーでりあ。
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終わりの見えない暗闇


 掛け持ちしてすぐの話。あとから始めたバイト先の社長と話す機会があって自分の境遇を話すことに。そうすると社長はとても仕事に融通を効かせてくれて、自分の働きたい分だけシフトを入れてくれるというので掛け持ちをやめてあとから始めた八百屋のバイト一本で生計を立てていった。


 酒屋の仕事を辞めるのはとても心苦しかった。みんないい人たちばかりだったしせっかく仲良くなったのに一緒に働けなくなるのはとても悲しかった。でも生活のためには仕方のない選択だった。一人暮らしするにはお金がいる。とにかくシフトが必要だった。酒屋の方はチェーン店でシフトもみんなで回しているので朝から晩まで働くようなシフトは組ませてもらえそうにない。


 八百屋の仕事をするようになって。

 仕事内容はすぐに慣れることができたような気がする。倉庫を整理する力仕事や商品の加工といったところまで一通りやらせてもらえて半年ほどしたころに新しい店を出すから任せたいと言われるほどに。

 正直耳を疑った、自分はまだ高校生のような年齢で店長を任されるほどなのか……と。だが事情を話して一人暮らしするのに必要だった敷金や礼金をまとめて貸してくれたり、給料を前借させてくれたりしていた恩もあったので店長になる話を引き受けることにした。


 新しい店舗にも慣れ仕事を教わる毎日。朝から晩まで働いて、生活はやや安定しかけてきた。

 このまま頑張ればとりあえず生きていくことはできるな、と一安心したころ。


 事故は起きた。起こしてしまった。


 八月三十一日、「やさいの日」として一番忙しく、疲労を溜めてしまった日。

 いつものように原付で帰宅してる途中で、一瞬意識が途切れてしまった。そうして事故を起こした。

 意識が戻った瞬間に気が付いて急ブレーキ。間に合うはずもなく駐車場に入るために停車していたベンツの車に後ろから突っ込んでしまい凹ませてしまった。


 次の日、社長が自分が任されていた方の店舗に来てことの経緯を話すことに。

 両親がいないことなどは自己の時に警察には話していて、どうやら社長の方に請求が行っていたらしく、しかも社長は一括で全部払っていてくれていた。とりあえず働いて稼いで返してくれればいい、生活に必要なことはサポートするから、と言ってくれた。


 そこからはとにかくシフトを増やして働くことに、週7日出勤、休みは毎週木曜日の午後だけ。給料はできるだけ返済に充てて食べる分が足りなくなったら前借をさせてくれるというシステムでひたすら働き続けた。


 とりあえず借金を返そう、そのモチベーションでしばらくは働き続けることができた。

 週7日は身体的な無理があったのかちょくちょく体調を崩してしまい次第に週休1日をもらえるように。

 そうして約百万になる借金を返し続ける生活を送っているところで、ふと気が付いてしまったことがある。思えばこれが暗闇への第一歩だったのかもしれない。


「このお店、大学の通り道なんだ」

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