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壊滅の運命を辿りたいくーでりあ。  作者: 壊滅のくーでりあ。
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コントロールできない不条理


 年を越して、2月の誕生日を迎える少し前だったか後だったか、はっきりとは覚えていない。

 

 両親が離婚。


 自分は驚かなかった。

 と言うのも、父親の金銭感覚が子供の時分から見ても異常だと感じていて母親にその金銭の苦労のしわ寄せが行ったのだろうと簡単に想像できたからだ。

 父親も悪い人ではなかったが正直、酒、たばこ、ギャンブル、頻繁な外での飲みはちょっと擁護しきれないと10年働いた経験のある今の自分でも思ってしまう。


 両親が離婚。

 母親は家を出ていき、自分を除いた子供(作者の妹と弟たち)を連れて生活保護で暮らし始めた。

 自分はなぜ置いていかれるのか聞いた。答えは「バイトの稼ぎがあると生活保護を受けられないから」だったような気がする。それとこの時は知らなかったが両親はあらかじめ話し合っていて最初からそうするつもりだったらしい。


 父親と二人残された家。空いた部屋、弟がいなくなって広くなった自室。さみしさの実感には時間がかかった。さみしさを感じる前にとりあえず働かないと。そうやって毎日自分をごまかしながらが過ぎていった。


 16歳になってしばらくして。父親は離婚してから様子がおかしかった。大工だったので毎朝早くには家を出ていたはずが、家にいる時間が増え、気づけば町をふらついてるところをよく見かけるようになった。

 そしてお金を貸してくれと頼まれることが出てきた。こうなってからようやく確信、父親は働いていないと。

 そう気づくと一気に思考が回り始めた、父親は働いていない。これから食事はどうなるのか、電気は?ガスは?水道は?家族6人暮らしてた大きさの家の家賃なんてバイト代じゃとても払えない。


 16歳の思考で真っ先に思い浮かんだ最悪の状況は「家を追い出される」こと。

 このままじゃまずいと本気で思った。父親には実家がある、自分はどうなるのか。

 とにかくホームレス、路頭に迷うことは避けたいと思ってからは必死でお金を稼ぐことを考えた。

 今の家賃は絶対払えない、とりあえず安いところ借りて一人暮らしをするしかない。そう決めてすぐにアルバイトを掛け持ちし始めて自分も家を出ることになった。


 回想:両親の離婚、これも自分にはどうしようもないこと。父親の仕事でのストレスもわかる、母親のパートと家事の苦労もわかる。ただふたりの相性が合わなかっただけ、価値観が合わなかっただけ。お金のために自分を置いていった母親が悪いのか、仕事に疲れ果てて壊れかけてしまった父親が悪いのか。

自分には区別がつかず、両親を責められずにいる。今のところは先に述べた通り両親には感謝していてこれは「貧困」が生んだ悲劇だと思って当時の救済制度などはなかったのかと政治に不満を持つことで自我を保っている。



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