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侵略の翠 ②

部下Yの関西弁があやしいのは勘弁して下さい!

 ー〈翌朝〉ー


 多摩川河川敷に突然生えた、巨大(くず)

 辺り一帯は立入禁止。


 その為、住民は大回りをしなければ対岸に行けなくなり防衛隊には早くも苦情が来ていた。


 SFaᏦに直接苦情が入る事はないが、現地で警備をしている防衛隊員はたいへんだ。


 ただでさえ炎天下での警備、水分補給もままならない。

 とりあえず人数を増やして、頻繁(ひんぱん)に休憩をさせるしか方法がない状態だ。


 ー〈千葉県教江野基地 SFaK CP〉ー


 本部との直通電話が鳴り、すかさず副隊長Ꭲが受話器を取る。


 副隊長Ꭲ「こちらSFaK CP。

 長官!!はっ!はい、はっ!

 しかし…はい。

 了解です。」


 そう言って受話器を置いた。


 部下Y「副隊長、長官なんて?」


 副隊長Ꭲ「『早急に巨大葛を処分する様に!』という事だ。」


 部下Y「えぇ~まだ植物研究所からの最終結果が出てへんのに… 」


 と愚痴る部下Y。


 俺氏「チッ」


 まいど難題を押し付けてくる長官に、部下Yの愚痴に紛れるように小さく舌打ちをする俺氏。


 俺氏「とりあえず、今解っている事だけでも纏めて置くか… 」


 解説役はSFaKの科学、メカニック担当の部下Y。

 俺氏、副隊長Ꭲ、部下Aはホワイトボードの前に集まる。

 部下Eはいつも通り、どこかへ情報収集に出ているらしくいない。


 部下Y「今のところ解っているんはあの河川敷が、何か宇宙由来の物で汚染されているっていうんとあの葛自体は元は地球産。

 既存の除草剤は効かないっちゅう事くらいですかね… 」


 部下A「あの大きさで地球産!?」


 副隊長Ꭲ「なんとか早く処分しないと、異常な速さで成長して広範囲が広がっている。」


 俺氏「葛って確か、捨てるところが無いんだっけ?」


 副隊長Ꭲ「そうですね。

 葉は家畜の餌になりますし、蔓はいろいろな生活雑貨、根は干して加工すれば葛粉になります。」


 フォン


 副隊長Ꭲが葛の説明をしている途中…

 俺氏の左眼が一瞬、蒼く輝いたが誰もそれに気付く事はなかった。

 そう、俺氏本人さえも…


 俺氏「そうか…よし!

 今日は俺と部下Yが移動指揮車で現場へ向かう。

 副隊長と部下Aは万が一に備えて、いつでもスーパーロボットで出れるように準備しておいてくれ。」


「「「了解!!」」」




 ー〈多摩川河川敷〉ー


 部下Y「ハァ~昨日よりまた成長してますね隊長… 」


 俺氏と二人で移動指揮車から降りた部下Yは隣りに居る隊長…俺氏に話し掛けた。


 だが返事がない。


 部下Yは慌てて辺りを見廻すが、隊長の姿は見当たらなかった。


 部下Y「あれ?隊長?どこ行きはったんですか?」


 その頃俺氏は部下Yの側から離れ、いつの間にか巨大葛の生える河川敷へと降りて来ていた。

 その左眼は蒼く輝いている。


 つまり今、俺氏の体を動かしているのは宇宙ヒーローユニスだという事だ。


 俺氏(ユニス)「やっぱチョロいな部下Y… 」


 いつもの優しい笑顔ではなく、ちょっといたずらっぽい顔でニヤリと笑う俺氏。


 本来今回の場合、この後の作戦を考えるとメカニックの部下Yではなく格闘担当の部下Aの方を連れて現場に行くのか正解。


 だがユニスはあえて部下Yを選んだ。

 その理由は部下Aより、部下Yの方が気配察知などのスキルが低いから…


 ユニスが単独をする為に、都合が良いからだ。


 部下Yも防衛隊員としてけっして能力が低い訳ではないが、格闘担当で感の鋭い部下Aよりは誤魔化しやすい。


 俺氏…いやユニスは変身アイテムを異空間から召喚。

 炎をまとったワイバーンのカードを変身アイテムにセットした。

 するとユニスの目の前に炎のワイバーン炎竜(えんりゅう)が現れた。


 呼び出された炎竜(えんりゅう)はいつもの巨大な姿と違い、地球の鳥玄坊くらいの大きさである。


 炎竜(えんりゅう)《クェー!!》


 一声鳴きし俺氏(ユニス)の肩に乗って甘える。

炎をまとっているが、触れている俺氏(ユニス)にはまったく影響はない。


 俺氏(ユニス)炎竜(えんりゅう)を優しく一撫ですると巨大葛の葉に近付けた。


 すると炎竜(えんりゅう)は少し考えた後、いきなりバクバクと巨大葛の葉を食べ始める。


 ー〈移動指揮車 車内〉ー


 部下Y「 隊長、どこ行きはったんやろ?」


 とりあえず各種モニターを確認しながら、監視をする事にしたヤスノブ。


 ブーブー


監視モニターの警告音が鳴った。


 部下Y「《!?巨大葛の中から熱源反応!!》」


 慌ててSFaᏦ CPに連絡を入れて直ぐ、突然移動指揮車の後部ドアがガチャリと開いて俺氏が車内に戻って来た。


 部下Y「隊長!どこ行ってはったんですか?

 と、それより巨大葛の中から熱源反応が!!」


 慌てる部下Yの報告に、若干疲れた表情の俺氏は熱源の正体を告げる。


 俺氏「あぁ…それについては原因が解ってるから安心しろ。

 その熱源反応の正体はユニスのお供怪獣炎竜(えんりゅう)だ。」


 部下Y「エッ?炎竜(えんりゅう)

 なんで炎竜(えんりゅう)がこんなとこに?」


 部下Yが疑問に思うのも無理はない。


 炎竜(えんりゅう)が単体で現れたのは超巨大怪獣ヒトデンダー戦の時に、ユニスの救援に初めて現れた時以来だからだ。


 その後は常にユニスが戦闘中、ファイヤーアーマーを纏う時のみ…


 俺氏「《こちら隊長、熱源の正体は炎竜(えんりゅう)だから安心しろ。

 どうやら、巨大葛の葉を食べに来たらしい。

 凄い勢いで食べてるぞ。》」


 ー〈SFaᏦ CP〉ー


 副隊長Ꭲ「炎竜(えんりゅう)がですか?」


 部下A「葛の葉が好き…なんですかね??」


 俺氏からの連絡に、首を傾げる副隊長Ꭲと部下A。


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