耳は生きている・№ー1
【耳は生きている】№1(死者の番人)
『皆さんをお呼び下さい!お別れの時がもう間じかです!最善を尽くし
ました!悲しい結果に成ってしまいました!』立石昌孝院長
【ピッピッピ~ピ~!ピ~~ッ!ピ~~!ピ~~~~!】
【脳死状態に成りました!頑張りましたが遂に力尽きてしまいました!】
【3月19日午後19時19分永眠致しました】立石昌孝院長
【ご冥福をお祈り申し上げます】立石昌孝院長
『倫理委員会の事前審査は既にお済ですね!心療内科医からの説明も
お済ですね!精神内科医の説明も既にお済ですね、説明終了書に
サインを頂けますか!』杉山コーディネーター
『司法解剖承諾書にサインを頂けますか!』杉山移植コーディネーター
『ドナー登録をされて居ますね!腎臓!肝臓!すい臓の摘出手術を執り
行います!臓器移植承諾書にサインを頂けますか!』
杉山移植コーディネーター
『ありがとうございます!臓器移植を待ち望んでいる方々が数名
いらっしゃいます!ご家族の皆様が喜ぶ事でしょう!臓器移植を受けた
患者様の体で生き続ける事でしょう!』杉山移植コーディネーター
(日本臓器移植学会の倫理指針では、提供を認める親族は6親等内の
血族と3親等内の姻族までが認められている)
(この病院では詳細な説明・手続きはほとんど省略している)
『遺体安置所に一時安置致します!22日午後15時に葬儀社の方に
連絡致します!最期のお別れを惜しんで下さい!』杉山コーディネー
『親父!返事をしてくれ!親父~どうしたんだよ~親父~いつもの
親父はどうしたんだよ~早すぎるんだよ~!』高田雄一郎(長男)
『お父さん!今までありがとう!安らかに眠って下さい!早すぎました
これからは皆を見守って下さい!』高田美和子(長女)
『お父さん!寂しいです!いつも私の側に居てくれました!幼い頃の
思い出が蘇って来ました!ごつごつした手が懐かしいです!』
『余りにもあっけないお別れに成ってしまいました!』高田幸子(次女)
『あなた!28年間も一緒に暮らした日々が思いだされます!こんな
私を愛して頂きました!ありがとうございました!』高田ひろみ
『あっという間の28年間でした!式を挙げたのが昨日の様に思い
出されます!楽しいキャンプ場の思い出が懐かしいです!』
『優しいあなたでした!いつまでも胸の奥に残る記憶は忘れる事は
出来ません!楽しい日々をありがとうございました!』高田ひろみ
『ママ!お爺さんの指が動いたよ!生きているよ!』高田明・孫5歳
『明!なにを言うの!もう黙ってよね!』高田美和子
『美和子どうしたの!』高田ひろみ
『明がね!お父さんの指が動いたと言うのよ!全くもう!』高田美和子
『お父さんは脳死したのよ!指が動く訳が無いじゃない!』高田ひろみ
【この全ての会話は脳死した富三郎の耳には聞こえていた】
【花畑天国ポックリ葬儀社】ですか!遺体安置所から高田富三郎さんの
ご遺体をご自宅まで下げて頂きますか!』立石病院受付・佐川由美子
『はいっ!分かりました!下げですね!ご住所をお願い致します!』
名越秀登社員
【花畑天国ポックリ葬儀社】です!ご遺体を搬送して参りました!
宜しくお願い致します!』名越秀登社員
『お通夜の準備を致しますね!ご予算の方は大体お決まりでしょうか!
参考までに、葬儀一覧表をお持ち致しました!心行くまでご検討して
下さい!今日はこれで失礼致します!』
『内山君!お通夜の準備終わりましたね!』名越秀登
『雄一郎!組の班長さんと皆には連絡してくれた!』高田ひろみ
『ああ~!皆には連絡できたよ!皆ビックリしていたよ!』高田雄一郎
『井上班長さんは!回覧版で回しますよと!言ってくれましたね!』
『お香典はお幾ら位でしょうか!と聞く人もいたね!』雄一郎
『お坊さんには幾ら位包むのかしらね!戒名を付けないとお父さんも
浮かばれないのかしらね!少しは弾まないといけないのかしらね!』
『葬儀屋さんが置いて行った一覧表をスマホで確認して比べて見よう
かな!葬儀費用は高いと聞いたからね!』雄一郎
『スマホで調べて見るとね!色々ランクがあってね!院号が一番高くてね
10~16万円!軒号約10万円!院信士6万円!居士6万円!信士2万
宗派によって色々と金額もあるみたいだね!』高田雄一郎
『お父さんは真面目で厳格な人だったからね!その高い院号にして
あげたいね!浮気もしない!不倫もしない実直な人だったからね!
せめてあの世では高い位の院号を付けてあげて、閻魔大王さんに
一目を置かれるような立場にしてあげたいわね!』高田ひろみ
『お母さん!お墓も作らないといけないよね!数百万円もかかる
らしいよ!あらかじめお寺の住職さんに連絡して!院号の戒名を
付けて貰ってお布施として包むのが良いらしいね!』雄一郎
『お父さんのお葬式は立派なお葬式にして!天国に送り出して
あげたいね!立派に成仏させてあげたいね!』高田ひろみ
『お父さんは!真面目で性格も尊敬出来る人だったからね!酒だけが
好きで色恋なしの人だったからね!ほんとに厳格な人だった!』ひろみ
『あんないい人には二度と巡り会えないね!二度と会えないと思うと
寂しい気持ちが一杯!胸一杯で悲しく成ってしまったね!』高田ひろみ
『お母さん!遺品整理もやらないといけないよね!お葬式もあるしね!
人が亡くなると結構大変な作業に成るよね!』高田美和子
『役場に行って死亡届けの手続きと、健康保険証を会社に返納しないと
いけないよね【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登さんには
死亡証明書を渡さないとね!火葬場で焼いて貰えないよね!』高田幸子
『お母さん!お父さんのベッドの下からDVDが沢山出て来たわ!どんな
DVDかしら!あっこれは【日本全国百寺巡礼の旅】が30枚位あるわ』
高田幸子
『やっぱり厳格なお父さんらしい趣味ね!地味な趣味よね!』高田幸子
『お父さんは司法書士の仕事だったからね!堅いお仕事だよね!毎晩の
楽しみとしてこっそり【日本全国百寺巡礼の旅】を味わっていたのね!』
高田ひろみ
『あらっ!お母さん【娘達禁断のたわむれ全集】DVD
【黄金の右手谷間への甘い誘い全集】【若妻・新妻・禁断の洞窟全集】
【愛の姉妹谷間の目覚め全集】【看護師達蜜の味底なし沼全集】
『お父さんがこっそり味わって楽しんで居たのは、こっちのエッチな
DVDらしいわね!堅い仕事の欲求不満かしらね!』高田幸子
『あらっ!嫌らしいDVDね!あの人こんなDVDを見ていたのかしら
60枚もあるわね!まあっ!こんなに広げてもう恥ずかしいわ!』
『お父さんの本心がやっと見えて来たわ!みだらな男だったのね!』
『28年間すっかりだまされていたのね!下品な男だったのね!』ひろみ
『こんなのを見て満足していたのね!加齢で回数が少ないと思ったら
これが原因だったのね!恥ずかしい男だったのね!』高田ひろみ
『お父さんの戒名は信士にしてね!(2万円)院号(16万円)は
ぜいたくだわ!お金がもったいないわ!』高田ひろみ
『当分お墓は要らないわね!段ボ~ル箱にロ~ソクで充分よね!』
『段ボ~ル箱の脇にマジックで無縁仏と書いといてね!』
高田ひろみ
『超助べえな男だったとはね!地獄の釜湯で首だけ出して閻魔様に
頭を押し潰されて、のたうち回るのがお似合いな男だったのね!』
『二人が写った写真は全部棺桶に詰め込んで一緒に燃やしてくれる!
お葬式も地味な直葬に変更してくれる!立派なお葬式なんて
要らないわね!恥ずかしい男!本物の男と再婚しようかしらね!』
『こう見えても私はまだ50代前半の生身の体よ!幼い若妻には
負けないわよ!棺桶の中で聞こえて居たらさぞかし悔しがるね!』
『遺灰は日本海の佐渡島沖合に海洋廃棄してくれる!北朝鮮の海岸に
辿り着きそうだね!死後の世界は北朝鮮金剛山霊場がお似合いだね!』
『五百年間修業してのたうち回って過ごして貰おうかしらね!』
高田ひろみ
『雄一郎!頼んだよ!遺品整理は適当でいいからね!全部跡形も無く
捨ててもいいからね!無駄な28年間だったのね!何でもいいから
全部Wハイブリット棺桶に詰め込んで燃やしてくれる!』高田ひろみ
(Wハイブリット棺桶=2重底の棺桶・灯油搭載の棺桶)
『お母さん!そんなに全部燃やしてもいいの!』高田美和子
『なんの未練も無くすっかり消えたの!私の新しい人生が始まるのよ!』
高田ひろみ
『お母さん!お父さんはもう亡くなってしまったのよ!許してあげたら!
真面目に働いて唯一の楽しみがエロ・エロ・DVDだったのよ!お酒
飲みながら薄笑いを浮かべて楽しんでいたのよ!』高田幸子
『あの厳格な人が!薄笑いを浮かべて見ているなんて想像しただけでも
許せないわよ!私の体をエロDVD女の体に置き換えて楽しんでいた
なんて!許せないわよ!通勤で使っていた自転車は鉄クズ屋に不法
投棄して頂戴ね!雄一郎!』高田ひろみ
『お母さん!不倫!浮気もなしで真面目に働いてくれたんだよ!エロ
エロDVDの鑑賞位は良いと思うけどな~!』雄一郎
『ある時から急に体位が変わった夜があったのよ!このエロ・エロ
DVD参考にしてマネをしたのよ!可成りの違和感を覚えた体位なのよ
このエロ・エロ女と同じ格好で広げさせられたのよ!』高田ひろみ
【この全ての会話は脳死した富三郎の耳には聞こえていた】
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】天草院美輪さんでしょうか!
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!下げのご遺体の処置を
お願い致します!』
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】の天草院美輪です
『ご遺体焼き上げコ~スのご希望は在りますか!承ります!』美輪
『今回の焼き上げは、お客様のご要望を承っております!二度焼き
ウエルダン追い炊きコ~スを承っております!』名越秀登
『二度焼きウエルダン追い炊きコ~スご要望のお客様は、珍しいですね
ご生前に何か大きな問題があったのでしょうかね!』天草院美輪
『高田ひろみ様でいらっしゃいますか!ポックリ葬儀社の名越です!
この度は当社をご用命頂きまして、誠にありがとうございました!』
『葬儀内容に変更が生じたと言う連絡を頂きました!変更内容の確認を
させて頂きます!』名越秀登
『明日にでもご自宅にお伺いさせて頂きます!』名越秀登
『二日葬(120万円)から直葬(16万円)+火葬料(6万円)
院居士(16万)から信士(2万円)お坊さんの手配はなし』名越秀登
【二度焼きウエルダン追い炊きコース】6万から
【Wハイブリッド高速瞬間昇天コース】に変更・5万円追加料金
『16万+11万+2万=29万円+3万円(遺体搬送料・20Km)
特殊棺桶搭載霊柩車(20万円)=52万円でよろしいでしょうか!』
名越秀登
【Wハイブリッド高速瞬間昇天コース】ほとんどご遺体が消滅して
しまいます!無灰に成ります!それでよろしいでしょうか!』名越
『はいっ!その無灰で結構です!宜しくお願い致します!』高田ひろみ
『海洋散骨の手間が省けました!仏壇を購入する費用が浮きました!』
『段ボ~ル箱にロ~ソクで正解だったわね!』高田ひろみ
『お支払いはクレジットカード決済でお願い致します!』名越秀登
【この全ての会話は脳死した富三郎の耳には聞こえていた】
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に向かいます!
皆様送迎バスにご乗車して下さい!』名越秀登
『ご遺体をWハイブリッド高速瞬間昇天焼き釜に挿入します!最期の
お別れをして下さい!』天草院美輪
『奥様!皆様の代表として一言お願い致します!最期のお別れの言葉を
高田富三郎様に掛けて下さい!天国で安らかに成仏解脱
なさる事でしょう!』天草院美輪
『あなた!28年間ありがとうございました!真面目で厳格な性格は
大好きでした!もう二度と会えないと思うと悲しくて!寂しくて!
やり切れません!私もこのままあなたについていきたいです!私を
一緒に連れて行って下さい!優しいあなたのお側で思い切り尽くして
あげたいです!いつまでも添い遂げましょうね!』高田ひろみ
『ママ!おじいちゃんの指が出ていたよ!生きているよ!』高田明5歳
『明!何を言うの!止めなさい!』高田美和子
『美和子どうしたの!』高田ひろみ
『明がね~棺桶から指が出て来た!生きていると言うのよ~!』美和子
【ええ~っ!あっあ~・・・・・】高田ひろみ
【この全ての会話は脳死した富三郎の耳には聞こえていた】
【只今!本日のご葬儀執り行いは全て終了致しました!】
【六日後】
【天草院美輪さんですね!この度はお世話に成りました!私はまだ
あの世には行っておりません!私の家族とひろみに伝言をつたえて
下さい!宜しくお願い致します!】高田富三郎(時空を超えた伝言)
【初七日】
『高田ひろみ様ですね!旅の途中の富三郎様から伝言を仰せ付かり
ました!その内容をお伝えに参りました!』天草院美輪(死者の番人)
【3月19日に息を引き取りましたが!病院のベッドの側で家族が
喋っていた言葉は全て聞こえていたよ!自宅に帰ってからも棺桶の
中で皆の会話は全て耳に聞こえていたよ!】
【Wハイブリッド高速瞬間昇天】コースに変更した事!仏壇を買わず
段ボ~ルにロ~ソクに変更した事!戒名を16万円から2万円の信士に
変更した事!二日葬から直葬に変更した事!葬儀代をケチって浮かした
事等!再婚すると言った事!最期のお別れの挨拶もウソを並べたてた
事等!全ては聞いていたよ!棺桶から手を出した事!孫の明だけには
指が見えて居た様だね!】高田富三郎
【はぎゃ~!はがぁ~!まがぁ~!ぬがぁ~!】高田ひろみ
【ドドッダ~ン!ドッダッ!】
『お母さん!どうしたの!お母さんが意識を失っている!』美和子
『体全身の力がすっかり抜け切っている!』雄一郎
『天草院美輪さん!何が起こったのでしょうか!』幸子
【暗い闇の世界に魂を吸い込まれてしまいました!】
【二度と戻って来る事は出来ません!】天草院美輪
【魂を吸い込んだのは誰でしょうか!】美和子
【死者の化身と成られた方です!】天草院美輪
【それは!ひょっとしてお父・・・さん!】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!心肺停止状態です!ピ~ポ~ピ~ポ~】
【ピ~ポ~ピーポ~!道を開けて下さい!ピ~ポ~ピ~ポ~】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!葬儀場から救急病院へ搬送します!ピ~ポ~】
【釈迦如来立像】【不動明王立像】を呼び出しましょう
【十一面観音像】【月光菩薩立像】【日光菩薩立像】
【不動明王立像】を脇に従え
光輝く【釈迦如来立像】が出現
【魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!】
『智子!健康診断の結果が出たよ!う~ん大体いいね!』坂上健司
『ちょっと!私に見せてよ!え~っ!なにこれ~中性脂肪が220なの~
(正常値50~149)正常値を越えているわよ!』坂上智子
『ちょっと!越えただけだよ!大きな問題じゃないよ!』坂上健司
『コレステロ~ルも高いわよ!正常値を越えているわよ!お酒を少し
控えた方がいいみたいね!』坂上智子(58歳)
【一年後】
『健康診断の結果はどうだったの!改善されているの!』坂上智子
『う~ん!以外に余り良く無いな~』坂上健司(60歳)
『血糖値が190・ヘモグロビンA1cが16だね(正常値4.6~6.2)
可成り高いな~クレアチニン2.0(正常値М0.65~1.09)か~』健司
(体重86㎏身長172㎝腹囲98㎝)
『中性脂肪280に成ってしまったな~』坂上健司
『揚げ物の食べ過ぎと酒の飲み過ぎよ!もう少し食事の量とお酒の
量を制限しないといけないわね~』坂上智子
『自分の体はもっと大事にしないとね~!いつかはつけが回って
来るわよ~!放って置くと糖尿病はどんどん進行するわよ~』
坂上智子
【ピ~ポ~ピ~ポ~!緊急車両が通過します!ピ~ポ~ピ~ポ~!】
『先生!助かるでしょうか!昨日までは元気でした!突然うめいて
倒れてしまいました!丈夫な体の家内でした!』坂上健司
『可成りの重症です!精密検査を致しましょう!可成り危ない
状態です!ここまでよく放って置きましたね!日常生活で気が付き
ませんでしたか』岡島達友医師
『意識不明の状態ですから!何とも言えませんが、やるだけやって
診ましょうね!前兆現象があった筈なんですが!』岡島達友医師
『そう言えば時々手と足がしびれているとか!言って居ましたね!』
『あっ!それは前兆現象ですね!血栓が出来ている可能性が高い
ですかね!どれ位続いていましたか!』岡島達友医師
『3~4年前位から食事する時に言う様に成りましたね!』坂上健司
『血液検査はやられていましたか』岡島達友医師
『私は元々体が丈夫なほうだから、血液検査は必要がないわよ』と
言って居ました
『嬉子!恵子!良太!お母さんは意識不明の状態が続きそうだよ!家の
事は皆で協力してやる様にしてよ!病院の見舞いにも行かないとね!
会話は出来ないけどね!手を握ったり!体を摩ったりしてあげてよ!』
坂上健司
『坂上智子さんの面会ですね!少々お待ちください!』坂町受付嬢
『昏睡状態が続いておりますが話かけて下さい!』山本看護師
『お母さん!聞こえていますか!家族全員元気に暮らしていますよ!
恵子!良太も元気ですよ!』坂上嬉子(長女)
『お父さんは少し元気がなく寂しそうにしていますが、時間が経てば
元通りに元気に成ってくれると思います!』坂上恵子(次女)
『お母さん!聞こえて居ますか!聞こえていたら瞬きをして下さい!』
坂上嬉子
『瞬きをしないね!やっぱり聞こえていないのかな!』坂上良太(長男)
『お母さん!どこか痛い所はないですか!体を摩った方が良いですか!』
坂上恵子
『返事はないけど!体を拭いてあげようかしらね!床ずれがないか良く
みてよ!背中とかお尻付近とかね!家族だから恥ずかしくないわよ!』
恵子
『足の爪が伸びているわ!爪切りよりヤスリの方が安全だよね!良太!
足を持ってよ!3人でやれば簡単に終わるわよ!』嬉子
『坂上智子さんに面会ですね!少々お待ちください!』
『坂上智子さんは個室に移動致しました!29号室ですね!』坂町受付嬢
『昏睡状態が続いていますが、好きな音楽等聞かせてあげますと
何かしらの反応があるかも知れません!』山本看護師
『良太!CDラジカセと武満徹のノヴェンバー・ステップスのCDを
持って来てくれる!』坂上嬉子
『お母さんは!こんな音楽が好きだったの!初めて聞いたけどね!
なんだか寂しいのね!大きな暗い穴の中に落ちていきそうな感じね!』
恵子
『現代音楽は大体こんな感じに成るのが多いらしいからね!何となく
死後の世界と言う感じなのかな!』良太
『良太!お母さんはまだ生きているのよ!死んではいないのよ!
不謹慎な言葉は止めてよ!お母さんに聞こえたら怒るわよ!』恵子
『さ迷っているのかしら!お迎えが来るのかしら!宇宙の果てに
ある銀河系の中に吸い込まれて行きそうな音楽ね!』嬉子
『お姉ちゃん!お母さんはほんとにこんな音楽が好きだったの!』良太
『あっあ!お姉ちゃん!お母さんの薬指がちょっと動いたよ!やっぱり
この音楽が好きだったのかしら!聞こえているんだね』恵子
【この全ての会話は昏睡状態の智子の耳には聞こえていた】
『今日皆様にお集り頂いたのには、大事なお話が在ります!』
『臓器移植コーディネーターの松山義春と言います!坂上智子様の臓器
移植に関するお願い事です!ドナー登録はなされていませんが!臓器の
移植を必要とする患者様がいらっしゃいます!是非臓器提供の意思を
ご確認させて頂きたいのです!』
『松山義春さん!妻はまだ亡くなってはいませんよ!臓器移植の話は
まだ早いと思いますが!急ぎ過ぎませんか!』坂上健司
『こういう話はお亡くなりに成る前に!ある程度の心の準備として
ご説明をさせて頂きたいのです!』松山義春臓器移植コーディネーター
『松山義春さん!お母さんはまだ息をして居ます!死んでは居ませんよ』
坂上嬉子
『ごもっともだと思います!私も話にくいです!担当医の話では数日の
うちに容体が急変する可能性が高いと聞いています!』松山義春
『岡島先生から私達は何にも聞いていませんよ!』坂上健司
『家族に先に話すべきではないでしょうか!』良太
『ごもっともだと思います!担当医も話にくいので、私にお話しを
持ちかけて来たものと思います!』松山義春
『担当医が突然臓器提供の話をするよりは!ご説明の時間に猶予を
持たせて意思のご確認をさせて頂きたいのです!』松山義春
『突然お亡くなりに成ってからでは、臓器提供の意思をご確認するのは
可成り困難な事だと思います!直ぐに返事する事は出来にくい事だと
思います!まだ猶予が在ります!お考え下さいませんか!』松山義春
『松山義春さん!日本移植学会の倫理指針では!提供を求める親族は
6親等内の血族と3親等内の姻族に認められています!全くの他人でも
臓器提供はしても良いのですか!』坂上健司
『当医院では執り行っています!金銭の授受が無い事を条件に認めて
います!』松山義春臓器移植コーディネーター
『臓器提供を受けた患者さん本人とご家族に、面会して話す事は
出来るのでしょうか!』坂上嬉子
『そう言う事は出来ません!思い掛けないトラブルに巻き込まれて
しまう可能性を否定できないからです!』松山義春
『過去にトラブルに成ってしまったと言う事例が在ったのでしょうか!』
坂上恵子
『臓器移植を受けた家族が、臓器提供した家族から金銭の要求をされて
しまって!トラブルに発展してしまった!と言う事が起きました!』
『臓器提供した家族が、臓器提供を受けた本人に定期的に体の異変及び
身体の変化の様子を知らせてくれと!迫った事も在りました!』
松山義春
【この全ての会話は昏睡状態の智子の耳には聞こえていた】
『山本看護師さん!坂上健司さん家族に至急岡島医院に来院する様に
連絡して下さい!容態が急変しましたと伝えて下さい!』岡島達友医師
『岡島先生!危ないのですか!意識は戻らないままでしたね!』坂上健司
『精一杯の手は尽くしました!残念な結果に成ってしまいました!』
岡島達友医師
『1月5日午後18時29分永眠致しました!ご冥福をお祈り申し
上げます!』岡島達友医師
『岡島先生!妻の病名は何だったのでしょうか!』坂上健司
『脳梗塞でした!血液をサラサラにする薬を投与したのですが、少し
手遅れに成ってしまいました!』岡島達友医師
『脳梗塞は突然起こります!予見が出来ませんでした!』岡島医師
『倫理審査委員会の説明はもう既に終わって居ますね!心療内科医の
説明も終わっていますね!説明終了書にサインをお願い致します!』
『司法解剖承諾書にサインをお願い致します!』
松山義春臓器移植コーディネーター
『先日お話をさせて頂いた臓器提供の件は結論が出ましたか』松山義春
『はいっ!皆で話し合って臓器提供をする事に致しました!』坂上健司
『岡島達友医師の話ですと!腎臓!肝臓!すい臓は健全で移植が
可能と診断されています!』松山義春
『臓器提供承諾書にサインをお願い致します!ありがとうございます!』
『最期のお別れのお言葉を掛けて下さい!』松山義春
『お母さん!まだまだ生きていて欲しかった!小さい頃の楽しい
家族旅行が思い出されます!お母さんありがとう!』坂上嬉子
『お母さん!笑い顔が素敵な自慢のお母さんでした!こんなに早く
亡くなってしまうなんてとても悔しいです!もっと一緒にいたかった!』
坂上恵子
『お母さん!産んでくれてありがとう!僕の声が聞こえますか!感謝の
気持ちで一杯です!もう少し優しく接してあげれば良かったと思って
居ます!ごめんなさい!これからはお母さんの分まで生きて行こうと
思っています!遠い空から見守っていて下さい!』坂上良太
『智子!短い間でしたが色々と苦労を掛けてしまったね!短い人生に
させてしまったね!もっと気遣ってあげるべきだったね!いくら
悔やんでももう遅いんだね!過ぎ去った時間が愛おしいよ!まだまだ
一緒に暮らしていたかったよ!今までありがとうね!』坂上健司
『臓器摘出手術が終了後、ご遺体は遺体安置室に安置されますが
1月7日午後18時に、葬儀社の方からご遺体の搬送がございます』
松山義春コーディネーター
【この全ての会話は昏睡状態の智子の耳には聞こえていた】
【花畑天国ポックリ葬儀社】でしょうか!
『岡島医院の佐藤宗智(臓器移植助手)です!ご遺体の下げが一体
出ました!搬送をお願いします!』
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!搬送先の住所とお名前を
お願い致します!』
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!ご遺体の搬送です!
ドライアイスは死ぬ程詰め込んで居ます!可成り長持ちします!』
『早速ですがご葬儀の見積もり書を作成致します!お値段の一覧表が
ございます!一応目を通して下さい!宜しくお願い致します!』名越
『先ずは戒名だね!どれがいいかな!皆も良く見てくれる!』健司
『これが良いかな!院日信女10万円どう皆!』健司
『お母さんはやっぱりこれよね!院大姉16万円』嬉子
『葬儀は家族葬(45万円+火葬料6万円)お坊さん手配・戒名授与
4日目以降の安置料・ざっと60万円位かな!』健司
『ご遺体搬送料・10K・1.5万円×3=4.5万円かな!』健司
『1月12日の葬儀予定だからドライアイスたっぷり追加だね』健司
『ご葬儀内容に変更が生じた場合は三日以内に連絡して下さい!』
『今日はこれで失礼致します!』名越秀登
『皆で手分けして遺品整理をやらないとね!』坂上健司
『お母さんは衣装持ちだね!フリ~マ~ケットで売った方がいいのかな』
坂上健司
『お母さんの遺品は形見だからね!売らない方が良いと思うわよ!
思いでまで消えてしまいそうで!悲しいわよね!』嬉子
『写真は燃やせないね!いつまでもとって置きたいわね!楽しい
思いでばかりでなんだか寂しいわね!』恵子
『お母さんのタンスの奥から!年末ジャンボ宝くじ連番10枚が出て
来たよ!1等7憶円前後賞1億5千万円合計10億円だってさ!』嬉子
『へ~っ!10憶円か~!当たっている訳ないけどね~!10憶円
当たっていたら!お母さん死んでも死にきれないね~!』良太
『スマホで調べてみようかな!どれどれ成程!174組・135550
あっあ~1等7億円・前後賞1億5千万円合計10億円だぁ~』良太
『うっそ~!もう一度良く調べてみてよ~』恵子
『お父さん!確認してくれる!良太は時々ウソをつくからね!特に
お金の事に成ると大うそをついてだますからね!』嬉子
『水原三平見たいに成るからね!自分の口座に振り込むわよ!』恵子
『1等・174組・135550・に間違いないね!連番だから合計10億円に
成っているね!間違いないね!』健司
『連番10億円当たっても棺桶の中じゃ悔しいだろうね!この宝クジは
お父さんへのプレゼントだね!優しいお母さんだったね!』健司
『お父さん!10憶円独り占めする気なの!四人で分割が常識だよね!
一人2億5千万円ずつで分けるのが常識だよね!』嬉子
『そりゃ~おかしいよ!お父さんが5億貰って残りの5億を三人で
分割するのが正しいよ!夫婦だったからね!』健司
『お父さん!四人で平等に分割するのが正しいやり方よ!』恵子
『お父さんは!お金の事に成ると行き成り豹変する性格だったの!それで
お母さんは早死にしたのよ!ストレスが溜まってしまったのよ!』恵子
『脳みそが血栓だらけに成って脳梗塞を引き起こしてまったのよ!死に
追いやってしまったのよ!お母さんは棺桶の中で泣いているわよ!』
恵子
『お父さんはね!将来の事も考えてね!皆の為に言っているんだよ!
一人当たり壱億円に分けてね!残りの6億円はみずほ銀行に預金
した方が良いと思うよ!』健司
『お父さん!口座の名義人は誰にするつもり!真逆さお父さん名義に
するつもり!相当おかしいな!独り占めが見え見えだよ!』良太
『6憶円の通帳を見せびらかして若い女の子と再婚するつもりなの!
シングルマザ~を狙っているの!助べえ心が見え見えだよ!』恵子
『DVDの【女子高生禁断のセルフプレッシャ~全集】を隠しているのを
知っているよ!本当は度助べえなんだよね!』良太
『良太!なにを根拠に言っているのだよ!お前は小さい時から直ぐ
ウソをつく癖があった!保育園年長組の時にパルコで万引きしたのを
忘れたのか!東口の交番に呼び出されて大恥をかいたぞ!』健司
(幼い頃の回想)
『勤務中に交番から電話が掛かって来て、電話を受けた女がペラペラ
しゃべり回って!社員全員にバレちまったぞ!昼飯のテ~ブルで弁当の
蓋を開けたら!貧しい日の丸弁当がモロ見えに成って!節約生活が
暴露され周りから(やっぱりね)の声が聞こえたぞ!』健司
【坂上さ~ん!何かあったのぉ~?どうしたのぉ~?】西沢静江社員
『良太君におこずかいはいくらあげていますか!もう少しおこずかいを
増やしてあげたらどうですか!悲しい顔をしていますよ!もう百円位
プラスしてあげたらどうですか!』お巡りさん
『良太君!トミカのミニカ~をこっそりポケットに入れちゃ~だめだよ
おこずかい貰ってないのかな!』お巡りさん
『今は貧乏だけど大人に成って宝クジ10億円当たる夢を見たんだ!』
『へ~っ!すごいね~!今は子供だよ~!パルコのおもちゃ売り場に
行くのを止めてね!クセに成ってまた盗っちゃうからね!今度は
お父さんとお母さんも捕まるからね!』東口交番勤務のお巡りさん
『お父さん!小さい頃の話は止めてくれる!22年前位の話だよ!今は
更生してきちんと真面目に働いているよ!』良太
『お父さん!今更そんな昔話をしても仕方がないよ!10憶円分配の
話には関係ないよ!四分割する意思と勇気はあるの!』恵子
『こういう大金を手にするとね!いっぺんに使ってしまうもんなんだよ!
少しずつチビチビ使う方が為に成るもんなんだよ!』健司
『この宝クジはお母さんの遺産なのよ!皆の遺産なのよ!四人で分配
するのが正しい分け方よね!』嬉子
『民主主義の多数決で決めると3対1で勝ちに成るけどね!』恵子
『強盗が浸入したら10億円の通帳いっぺんに盗られてしまうよ!2憶
5千円ずつに分けて置けば!もし強盗に盗られても2億5千万円の
被害で済むよ!残り7億5千万円は無事だよね!』良太
『とりあえずみずほ銀行に10億円預金するのはどうだろうかね!定期
預金の金利が1.0%だとすると壱千万円の利子を受け取れるよ!』健司
『その利子を四人で割って250万円ずつ毎年分配するのは良いと思うね!
元金の10億円は減らないからね!永久に貰えるよ!』健司
『口座名義人は誰にするのかしらね!それが一番問題だよね!』嬉子
『嬉子!年末ジャンボの当選番号をもう一度確認してくれ!間違いない
だろうね!日付が間違いなく間に合っているだろうね!』健司
『あっあ~~お父さん!壱年前の年末ジャンンボ宝クジだよ!今日が
1月8日だよ!今日が最終受け取り日だよ!今午後14時20分
だよ!熊谷のみずほ銀行まで車で65分かかるよ!今直ぐ行かないと
10億円貰い損ねるよ!日付を確認しないといけなかったよね!』嬉子
『うわっ!このくそっ!良太!恵子!二人で今直ぐみずほ銀行に行って
10億円を取り戻して来い!銀行員をどう喝しても構わん!』健司
『良太!恵子!銀行印と!マイナンバ~カ~ドも持って行け!葬式の
手筈はもうどうでもいい!一刻も早く10億円入金の手続きを
済ませて10億円を通帳に入金してこっそり中腰で帰って来い!』
健司
『良太!中古の車一台!二台はぶっ壊れてももうどうでもいい!早く
10憶円の通帳を持って来い!途中で車が全損しても良いぞ!』健司
『皆!手早く行動してくれよ!機敏に行動しろよ!』健司
【ドッドォ~ン!あぎぁぁ~~っ!ドッドォ~ン!まぎぁぁあ~】良太
『良太!お母さんの棺桶にぶつかって何するんだよ!このくそっ!』
『お母さんの棺桶をひっくり返すなよ!二回転したぞ!』健司
『ショックで目が覚めたらどうする!生き帰ったらどうする!』健司
『今更!取り返しが着かないぞ!このままでいいぞ!』健司
『せっかく寝て居るんだ!無理やり起こすなよ!一人分の分け前が
五千万円減額するぞ!良太!恵子!まだ居たのか!みずほ銀行に早く
出発しろ!10億円の通帳を隠して貰ってこい!目つきの悪い
水原三平見たいな銀行員に気を付けろよ!横領されるぞ!』健司
【花畑天国ポックリ葬儀社】【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に
リザ~ブ葬儀三割引き前金制度に予約して、前金45万円を支払った
ばかりだぞ!』坂上健司
『嬉子!棺桶の蓋開けてくれ!目があいているか!どうだ!』健司
『目はあいてないけどね!指が動いているみたいだよ!』嬉子
『ええ~っ!まさか本当か!さっきのショックで蘇生したか!』健司
『でもね!30秒位で指の動きが止まったよ!』嬉子
『嬉子!お母さんの脈拍を確かめてくれ!息もどうだ!』健司
『嬉子!棺桶を大きく左右に揺すってみてくれ!もっと激しくだ!』
『脈拍はないね!息もしていないよ!』嬉子
『なんだ!そうか!ビックリしたな~!蘇生したかと思ったよ!』健司
『お父さん!お母さんに生き返って欲しくなかったの!』嬉子
『そんな事はないよ!お母さんが居ると家庭が明るく成るからね!』健
【グワガラガッジャ~~ン!ドッドッォォオ~~ン!】
『なんだ!今の音はなんだぁ~地震かぁ~家が大きく揺れたぞ!』健司
『ただいま~!今帰ってきたよ~!門塔に車をぶっつけたよ~』良太
『お父さん!車が一瞬でポンコツになったよ!全損でもいいよね!』良太
『幽!幽!幽霊でも出たかと思ったよ!おどろかせないでくれ!』健司
『10億円間違いなく通帳に入金されたのか~!見せてみろ!みろ!』
『おお~っ!10億円入金がされている!いる!間違いない!ない!』
『お父さん!さっきから急にろれつが回ってないよ!大丈夫なの』恵子
『10億円分配する前に!ポックリ葬儀社に前倒しの連絡をして
早めに来て貰うかな【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】で
【Wハイブリッド高速瞬間焼き】にして早めに焼いて貰おうかな!
『焼き方も色々とコ~スが在るからね!最高級スペシャル焼きに
しようかな!早い方がお母さんも安らかに成仏出来るよね!』健司
『お父さん!お母さんに聞こえていたらどうするの!』嬉子
『脳梗塞に成って倒れたんだぞ!棺桶の中じゃ何にも出来ないよ!
1月9日の葬儀は正月割引が在るんだよ【花畑天国ポックリ葬儀社】の
名越秀登さんに葬儀内容変更を連絡しないとね!まだ長生きするぞ~』
【この全ての会話は昏睡状態の智子の耳には聞こえていた】
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!変更内容の確認に
お伺い致しました!1月9日にご葬儀前倒しの変更ですね!正月
割引に該当しますね!通常の【2度追い炊き焼き】コ~スから
【スペシャル・ハイブリッド高速瞬間】焼き釜コ~スに変更ですね!
『お坊さんの手配はキャンセルですね!』
『6万円追加に成ります!合計で99万円ポックリですね!』
『クレジット決済でお願い致します!ご葬儀の前倒しは極めて珍しい
ケ~スですね!一月九日は赤口ですがよろしいでしょうか!午後の
執り行いに成ります!閻魔様が留守だと良いですね!』名越秀登
『皆様!葬儀専用送迎バスにご乗車願います!全て禁煙席です!
お亡くなりに成られました坂上智子様に、思いを馳せながらの風景も
悲しみに暮れるレトロな町並みに見えて来ます!』名越秀登
『左手に見えて来ました!美里町誇りのシンボル火葬場タワ~!』
『他の火葬場では体験出来ない新異世界コ~ス!三途の川無銭通過
保証付きでございます!六文銭の値引き!』名越秀登
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】でございます!何と言っても
ご遺体焼き具合コ~ス種類の豊富さ!骨の髄まで染入る深い悲しみ!
美里町誇りのハイブリッド火葬場でございます!』名越秀登
【姑・釜茹でコ~ス】【嫁・蒸し焼きコ~ス】色々ございます』名越秀
『火葬場に到着致しました!最期のお別れを執り行います!坂上健司様
奥様の坂上智子様にお別れのお言葉をお願い致します!』名越秀登
『智子!随分世話に成ったね!もう会えないと思うと胸が張り裂けそう
だよ!悲しくてやり切れないよ!生まれ変わってもまた一緒に成って
くれるかい!来世で待っていてくれるかい!俺も直ぐ行くからね!』
『年末ジャンボ宝クジ連番10枚はハズレだったよ!智子らしいね!』
坂上健司
【スペシャル・ハイブリッド高速瞬間】焼き釜に挿入致します!
坂上健司様!点火スイッチONにして下さい!』天草院美輪
【グバァラバァ!バァラバァラ!グババラバッバッバァァ~!】
【本日のご葬儀執り行いは全て終了致しました】天草院美輪
【この全ての会話は棺桶の中の智子の耳には聞こえていた】
【六日後】
(時空を超えた伝言)
【天草院美輪様!この度は大変お世話に成りました!坂上智子です!
私はまだあの世には行ってはいません!お願いが在ります!坂上健司と
家族達に私の伝言をつたえて下さい!宜しくお願い致します!】
【初七日】
『坂上健司様でしょうか!天草院美輪です!この度はお世話に成り
ました智子様からの重要な伝言を仰せつかっています!申し述べます』
【皆!良く聞いてね!1月5日に息を引き取りました!ベッドの側で
皆が喋った事は聞こえていたよ!嬉しかったよ!自宅に帰ってからも
棺桶の中で全て聞こえていたよ!父親である健司の本性がハッキリと
判ったよね!皆もそう思うよね!お金に汚い男だったね!】
【嬉子!恵子!うわべだけのペラペラ男は信用しないでね!】
【良太!私の棺桶につまずいて二度も転がしたのね!臓器提供の書類に
迷う事なく簡単にサインしたのね!私の車を門塔にぶっつけてボコボコ
ポンコツ仕様に改造したのね!全損でいいよね!と言ったね!でもね
最期のお別れの言葉はうれしかったよ!見守っているよ!元気でね!】
【産んでくれてありがとうと言ってくれたね!グッバイ良太!】母
【恵子!ストレスが溜まって私の脳が血栓だらけに成っていた事を
良く言ってくれたね!嬉しかったよ!父親にそそのかされて臓器
提供の書類にサインしたのね!年末ジャンボ宝くじ連番10枚は
10憶円の大当たりだったのね!父親の健司が独り占めしようと
したのを、阻止してくれたね!いつまでも元気でね!グッバイ!恵子!】
母
【嬉子!私の好きな音楽は武満徹のノヴェンバ~・ステップスじゃ
なくて、黛敏郎の【涅槃】だったのよ!健司にそそのかされて私の
棺桶を左右に大きく激しく揺らしたのね!】
【強欲な父親に負けずに10億円強奪を阻止してくれたのね!頼もしい
母親に成りそうだね!私は男を見る目が欠けていたね!嬉子の孫を
見たかったよ!子供達が産んだ孫達と一緒に遊びたかったね!】
【皆に言ってくれますか!血液検査は毎年必ず受ける様にしてね!】
【健康保険で三千円と少しで自分の健康状態が判りますよ!】
【早期発見!早期治療につながるよ!ステージ1で見つけられるよ!】
【いつまでも!元気でね!グッバイ!嬉子!】母
【健司さん!情けない男だったのね!すっかり信頼して居ました!
結婚当初は優しい貴方でした!私の望みを全て適えてくれる貴方
でした!しかし!私の体に突然発症しました病に対しての貴方が
とった行動・言動は耳を疑うものばかりでした!こんな無様な男と
一緒に暮らして居たのかと思うと!やりきれない気持ちです!】
【10億円に憑りつかれた貴方の心は!にごった闇の銀河でさ迷う
黒い魂のかたまりでした!透き通った心は微塵もなく呆れ果てた
哀しい魂に成り果てて居ました!あなた!更生出来ますか!】
【あなたの深くて黒い闇の世界から!私があなたの心を解き放って
あげましょうか!あなたの心の奥底に潜む暗くて重い闇の蓋を取り
除いてあげましょうか!あなたの心の奥底で暗い闇が渦巻いて
いますよ!這い出す事の出来ない深くて哀しいあなたの心は無限の
宇宙銀河の中でさ迷い続けていますよ!】
【あなた!更生して下さい!哀しい闇の世界に閉じ込められた貴方の
心を私が正義の女神と成って!あなたの心を解き放ってあげましょう!】
【暗くて深い闇の世界で重い蓋を背負って永遠に渦巻いていきますか!】
【あなた!聞こえていますか!返事が出来ますか!】
【智子!俺を深くて暗い闇の世界から引きずり出してくれ!どうにも
俺は出来ない!智子!俺の黒くて重い心の蓋を取り外してくれ!】
【智子さん!暗い闇の中で大きく渦巻いている渦の中から解放して
くれるかい!正義の女神と成って黒い闇の中から俺の心を解き放って
くれますか!】
【あなたの心の奥底に棲む闇の魂を浄化させましょう!】
【四千年も生き続ける屋久杉の根元にあなたの魂を宿らせ!西方極楽
浄土の世界へ誘ってあげましょう!】
『おお~っ!これは(健司)【月光菩薩立像】【日光菩薩立像】を脇に
従えた黄金に光輝く【阿弥陀如来立像】出現
【ドッダァァア~~ン】むんがぁぁ~!
『お父さん!お父さん!行き成りどうしたの!返事をしてお父さん!
脈拍がない!息をしてない!体全身の力が抜けきっている!』嬉子
『お父さん!どうしたの~!あ~あ~!心肺停止状態だぁ~!』良太
『天草院美輪さん!お父さんは急にどうしたのでしょうか!』恵子
『残念ながらもう手遅れです!西方極楽浄土の世界に連れて行かれ
ました!黄泉の世界に旅立ちさせられました!』
(黄泉の世界=死後・魂が行くという所・死者が住むと言う国)
『黄泉の世界に連れて行った人は誰なんでしょうか!』恵子
【一番最期に会話された方です!】天草院美輪
【暗い闇の中で渦巻く魂を抜き盗られました!】天草院美輪
【ひょっとしてそれは!おかあぁぁ!・・・さん?】嬉子
【グッバイ!あなた!・・抜き盗りました・・よ】
【ハイブリッド高速瞬間】焼き釜の手配をさせて頂きますね
成仏するように称えてあげましょう!】天草院美輪(死者の番人)
『はいっ!119番!緊急でしょうか!お急ぎではないのですか!』隊員
『どのような症状でしょうか!どうぞおっしゃって下さい!』山際光一
『父親が食事中に行き成りうめいて倒れました!』加藤光男(長男)
『のどに何か詰まりましたか!脈拍は在りますか!息はしていますか!』
山際光一隊員
『のどに何も詰まってはいません!脈は在ります!息もしています!』
加藤光男
『手足の震えは在りますか!ケイレンはしていますか!問いかけに
応答しますか!喋り方ははっきりして居ますか!』山際光一隊員
『問いかけにははっきり返事が出来ません!ろれつが回っていません』
加藤光男(長男)
『お名前と住所をおっしゃって下さい!救急車両を至急向かわせます!』
山際光一隊員
『加藤さん!倒れたのは初めてですか!普段の健康状態はどうでした』
国生敦夫医師
『糖尿病でした!毎月内科に通院して居ました!』加藤菊男
『血糖値はいくつでしたか!ヘモグロビンA1cはいくつでしたか!
飲酒はされていましたか!』国生敦夫医師
『血糖値は195・ヘモグロビンA1cは9.5!焼酎は一日3合ワインを
一合飲んでいました!』加藤菊男
『アルコールの量が随分大分多いですね!半分に減らした方が良いと
思いますね!運動はやった方が良いでしょうね!』国生敦夫医師
『野菜類は多めに摂った方が体にいいでしょうね!』国生敦夫医師
『玉葱!納豆!は血液をサラサラにしてくれますよ!ゴボウは食物
繊維豊富で大腸の働きを助けてくれますね』!』国生敦夫医師
『アルコールの量が多過ぎますね!いつからですか!』』国生敦夫医師
『40年前から飲酒していました!』加藤菊男
『営業マンだったので夜の付き合いが多くて!断り切れずに飲んで
居ました!』加藤菊男
『加藤さん!この生活状態ですと何か前兆現象が在りませんでしたか』
『両足首がしびれてジンジンして居ました!』加藤菊男
『脳神経内科に行った方が良いかと思いますね!紹介致しましょうね』
国生敦夫医師
『国生敦夫先生からの紹介ですね!紹介状に寄りますと両足のしびれが
出ているとの事ですね!』床田郁夫医師
『糖尿病に寄る神経障害の様ですね!血糖値とヘモグロビンA1cが
高いので飲酒を控えて毎日運動をする様にして下さい!』床田郁夫医師
『血糖値のコントロールに気を配って下さい!』床田郁夫医師
『悪化すると壊死を引き起こして両足を切断する事に成ってしまいます』
床田郁夫医師
『お父さん!最近もの忘れが多く成っているよ!』真知子(長女)
『お母さん!お父さんがね!随分もの忘れが多く成ってきているよ!
認知症の症状が出て来ているみたいよ!』涼子(次女)
『お父さん!ちゃんと運動やっているの!体動かしているのを見た事
ないわよ!糖尿病が進行しているんじゃないの!』麻子(三女)
『ま~その~!適当に体を動かしているけどね!』菊男
『親父!適当じゃ無くてきちんとスケジュールを決めて、体を動かして
生活をしないと合併症を引き起こすよ!』光男(長男)
『あなた!子供達の注意勧告を真面目に聞いて生活しないと!いつ
倒れるか分からないわよ!』加藤正子
『ちゃんと聞いているよ!スクワットを百回もやっているよ!』菊男
『下半身の筋肉を鍛えておかないとね!色々と不都合な事が起こる
からね!もうそんなに若くないからね!』菊男
『あなた名前は菊男だけど!皆の言う事は聞いてないのよね!』正子
『なんだ!お婆ギャグかよ!もう飽きたよな!若い時は可愛いお尻を
していたのにな!ヘチマみたいな尻に豹変したよな~!』菊男
『失礼な親父!自分のタレチンはどうしたのよ!迷惑なタレチンよね!
子供三人産ませたらもうそれっきりよね!』
『たまには奥まで!かたいの突っ込んでみたらどうなの!』加藤正子
『お父さんもお母さんも!あまり具体的に表現しない方が良いと
思うけどね!糖尿病が悪化すると勃起不全に成るらしいわね!』麻子
『それが原因で離婚する夫婦が増えているらしいよね!』麻子
『麻子!あまり具体的な表現はしない方が良いわよ!勃起不全症候群
とかね!回数がサッパリ少ないとかね!』涼子
『涼子もあまり具体的な表現は止めた方が良いわよ!インポテンツ
とかね!役に立たない迷惑チンとかね!』真知子
(誠実泌尿器科で治療すると元に戻す療法を施され勃起します)
『女も子供を産むと具体的な表現に成ってしまうのかな!処女から
女に成ってしまうと!大胆に成ってしまうね!』光男
『光男!大胆な女に成らないとね!分娩台で広げて赤ちゃんを出産
出来ないのだよ!』菊男(大きく広げたのは両手です)
【ピ~ポ~ピ~ポ~!緊急車両が通過します!ピ~ポ~ピ~ポ~】
【床田脳神経内科】に搬送して下さい!』加藤光男
『意識は在りますので暫く入院して下さい!МRIの検査結果を見てから
考えましょう!』床田郁夫医師
『薬物療法から始めましょう!糖尿病が可成り進んでいますね!運動は
なされていましたか!脳血管障害に成っています!神経性難病です!』
床田郁夫医師
【数日後】
『関口看護師さん!加藤さん家族に至急床田医院まで来院する様に
連絡して下さい!容態が急変致しましたと伝えて下さい!』床田医師
『床田先生!主人の具合はどの様に成っているのでしょうか!』正子
『危篤状態です!突然意識不明に成られました!ドナー登録なされて
いますね!外科病院に転院致しましょう!』床田医師
【内山田外科病院】まで搬送お願い致します!』関口ひろこ看護師
『臓器移植コーディネーターの佐川友三です!倫理審査委員会と
心療内科医の説明を40分間ずつ3回受けて下さい!』
【二日後】
『倫理審査委員会と心療内科医の説明終了書にサインをお願いします!
『司法解剖承諾書にサインをお願い致します!』佐川友三
『臓器提供承諾書にサインをお願い致します!』佐川友三コーディネータ
『メディエーター制度も在りますがご利用なさいますか!』佐川友三
(メディエーター=家族と医師の中を取り持つ中立的立場の院内職員)
(医師に対する疑問等に答えてくれる!主に医師に聞きづらい事等)
(家族と医師の怒鳴り合いを防ぐ制度・家族に寄る裁判沙汰を防ぐ制度)
『正直そうなお医者さんなので私達は結構です!ウソをつく様な
医師には見えませんでした!人は分かりませんけどね!』加藤正子
【二日後】
『加藤光男さんご家族を呼んで下さい!』内山田清外科医
『脳内血管障害における難病性脳血管破裂です!突然死状態です!』
内山田清外科医
『最善の治療を行いましたが!お亡くなりに成られました!』
『内山田先生あまりにも突然過ぎますね!』光男
『はいっ!その通りの病名ですね!突然起こりました!』内山田清医
『私もあまり突然で仰天致しました!これでダメだなと思いました!』
『7月14日午後16時30分永眠致しました』
『ご冥福をお祈り申し上げます!』内山田清医師
『臓器摘出手術終了後ご自宅に【花畑天国ポックリ葬儀社】より
ご遺体の搬送がご座います!』野口三郎(臓器移植助手)
『7月16日午後15時30分に搬送予定に成って居ります!』野口
【内山田外科病院】の野口三郎です!下げが一体出ました!
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登さんでしょうか!ご遺体の
搬送をお願い致します!』野口三郎助手
『お名前とご住所をお願い致します!』名越秀登
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!ご遺体の搬送です!
『ドライアイスは死ぬほどたっぷり詰め込みました!途中で蘇生
する事は出来ません!もめる事は在りません!』名越秀登
『ご葬儀手配の見積もりを作成致します!悲しみの最中に申し訳
在りません!商売と言え悲しい気持ちでいっぱいです!』名越秀登
『私共の葬儀社はちいさなお葬式ではなく、大きなお葬式です!
盛大に執り行います!18人の僧侶達が最前列に立ち並び18人
全員の僧侶が直径90センチのシンバルを両手に持って一斉に叩き
鳴らし!読経を大声でわめきます!DVDリハ~サルをやりますね!
心底感銘して下さいね』名越秀登
【ジャァア~ン!ジャァ~ン!ジャァア~ン!ジャァ~ン!】
【ジャァア~ン!ジャァ~ン!ジャァア~ン~!ジャァ~ン!】
【魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!】
【魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!】
【南漫陀!南漫陀!壱萬円札は南枚陀!壱萬円札は何処にある!】
『加藤様!どうです気にいって頂きました!盛大に執り行いますよ!
本葬ではもっと盛大に僧侶達が式場内を走り周りますよ!』名越秀登
『シンバルをかざしながら走り回るその姿は盆踊り寄り盛大ですよ!』
【ジャァア~ン!ジャァ~ン!ジャァア~ン!ジャァ~ン!】
【魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!】
【南漫陀!南漫陀!壱萬円札は南枚陀!壱萬円札は何処行った!】
『あまり賑やか過ぎて魂が黄泉の世界で行方不明に成りませんか』正子
『名越さん!僧侶18人衆の葬儀ですとお布施の金額が曹洞宗な額に
跳ね上がりませんか!壱万円札が何千枚あっても足らない様な気が
しますが!明治安田生命天国倍額保険で間に合いますか!』
『お布施最上限度額が弐千万円に統一されています!安心です』名越
『旧統一教会の孫請け宗教団体でしょうか?』加藤正子
『賑やかなのか好きな主人でしたので!この葬儀スタイルでお願い
致します!黄泉の世界で18人の僧侶達に追いかけ回される姿が
目に見える様です!とても逃げ切る事は出来ないと思います!』
加藤正子
『ご葬儀内容に変更が生じた場合は連絡下さい!確認に伺います』名越
【この全ての会話は突然死した菊男の耳には聞こえていた】
『お母さん!遺品整理を始めないとね!何が出て来るかしらね!変な
DVDとか出てきたら恥さらしだね!』麻子
『あっ!やっぱりエッチなDVDが出て来たわよ!』涼子
【新妻禁断の底なし沼全集】【看護師達のクリコリ全集】
【奥様一緒に無限の銀河へ全集】【蜜の味谷間への誘い全集】
『バカな男ってどうしてこんなエッチDVDが好きなのかね!』正子
『エッチDVD位良いと思うけどな!たいした事ないよ!これ位!』光男
『真面目な顔していたのにね!こんなの見て喜んでいたのかしら!』正子
『昔の高校生はこれ位のエッチなエロ本は持っていたよ!女の子だって
持っていたよ!しかもモザイクなしのエロ本だったよ!』光男
『今のエロ本は男と女の体位を紹介しているエロ本もあるよ!』光男
『お父さんの机の引き出しから鍵が出て来たよ!何だろう!』真知子
『皆この鍵知って居る!誰か見た事ある!』真知子
『ふ~ん!玄関の鍵じゃないね!お勝手口の鍵でもないね!』涼子
『部屋の鍵でもないしね!防犯用補助キーの鍵でもないしね!』
『車のキーとは全く違うキーだよね!初めて見る形の鍵だよ』麻子
『ホ~ムセンタ~の中にある鍵複製【本庄ロックサ~ビス】で鑑定して
貰おうかな!今行って来るよ!』光男
『すみません!この鍵は何の鍵でしょうか!亡くなった父親の机の
引き出しの奥に隠してあった小箱から出て来た鍵です!』光男
『はいっ!ちょっと待って下さいね!え~っとね!珍しい形ですね!
滅多に見ない鍵ですね!あ~!これは貸金庫の鍵らしいですね!うち
では複製は出来ませんね!銀行に持って行って複製をして貰うしか
ありませんね!銀行の特定は出来ませんね!』
『銀行の特定は出来ないのですか!』光男
『各銀行に寄ってカギ作成指定業者が違いますからね!』カギ屋北斎
『あっ!そうですね!お父さん名義の銀行預金通帳の貸金庫の鍵だと
思いますね!通帳を探して出て来た通帳の銀行で鑑定して貰うと良いと
思いますよ!』
【本庄ロックサ~ビス】カギ屋北斎店長
『お母さん!お父さんの預金通帳の隠し場所は分かる!』光男
『手分けして探すしかないね!変な所に隠して在ると見つからないと
思うけどね!夫婦でも当然通帳は別々だからね!』正子
【2時間後】
『あっ!あった!出てきたよ【りそな銀行本庄支店】だってさ!』光男
【総合ご案内受付カウンター】名札・金持玲子行員
『この鍵は【りそな銀行本庄支店】貸金庫のカギでしょうか!』
『免許証&マイナンバーカードをお持ちでしょうか!この書類にお名前
ご住所をご記入して下さい!記入例にならって間違えの無いように
記入して下さい!貸金庫専用待合室で少々お待ち下さい!支店長を
呼んで参ります!』金持玲子行員
『お待たせいたしました!支店長の皆藤院宗道と申します!当支店の
貸金庫のカギと思われるカギをお持ちだと伺っております!拝見
させて頂きます!はいっ!間違いなく当銀行の貸金庫のカギですね!』
『申請登録されていますお名前と申請書書類のお名前が違いますね!
どう言う理由でしょうか!』皆藤院宗道支店長
『つい先日父親が他界致しまして!このカギが出て来まして家族中で
どこのカギだと言い争いに成りまして!【りそな銀行本庄支店】に
やっと辿り着きました!】加藤光男
『お父様の死亡証明書はお持ちでしょうか!お持ちでなければ今日は
貸金庫にご案内する事は出来兼ねますね!』皆藤院宗道支店長
『申請書最下段の注意事項見落としなさいましたね!死亡証明書添付覧』
【花畑天国ポックリ葬儀社】には死亡証明書を提出なされましたね
こう言う場合には死亡証明書を二通申請しないといけませんでしたね!
明日お越し下さいませ!』皆藤院宗道支店長
『あんまり長引くとドライアイスの追加が面倒だな!臭いしな!』
加藤光男
『昨日はお手数をおかけしました!死亡証明書をお持ち致しました!』
加藤光男
『はいっ!おひとり様で貸金庫を開錠して下さい!』皆藤院宗道支店長
『後ろから見張っているのかい!アイマスクをしてくれよな!』光男
『盲目支店長に成ってくれよな!こっそり見るなよ!』光男
『はいっ!慣れておりますよ!恋は盲目ですね!』皆藤院宗道支店長
『盲目の熟女と付き合っているのか!指先が器用そうだな!色々と
楽しく過ごしているのかい!今は幸せかい!』光男(佐川)
『カギと通帳と印鑑持って帰るよ!見えている!恋の盲目支店長?』
『銀行印の押し間違いをやりそうだな!恋の盲目支店長!!間違い
ないか確認しろよ!まだしていたのか!アイマスク外していいよ!』
光男
『光男どうだった!貸金庫開けられたの!中身は何だった!』真知子
『通帳と印鑑(実印)とカギだったよ!口座名義人は女の人だよ!』
『山本孝子さんに成っているよ!お母さん!覚えのある名前なの!』光男
『山本孝子さんね~!全く記憶に無い名前だね!初めて聞いた名前よ!』
『このカギも見た事ないカギだよ!何のカギかしらね!』涼子
『カギ屋北斎さんに鑑定して貰うしかないね!』涼子
『カギの鑑定をして頂きたいのですが!サッパリ見当が付きません!』
加藤光男
『う~ん!ちょっと探してみますね!このカギは一軒家ではないですね!
マンションとかアパートで使用されているカギですね!』
『建設会社に寄ってカギ指定をしていますからね!特定するのは
むつかしいですね!』カギ屋北斎
『総合口座通帳の一ページに店番表示が在りますからね!038・632
577・234・とか店番で探すと支店名が判りますね!その地域内の
マンション・アパートのカギでしょうね!』カギ屋北斎
『この店番だと児玉郡の支店だけどね!広いからね!特定するのは
可成り難しいね!』光男
『解決まで少し時間がかかりそうだからね!葬儀を先送りして棺桶
レンタル制度を利用して見ようかな!皆良いと思う?』光男
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登さんでしょうか!葬儀執り
行いを先送りして棺桶をレンタルしたいのですが!棺桶一泊お幾ら
でしょうか!棺桶泊六泊七日の予定です!』光男
『一泊三千円ですね!六泊七日で二万壱千円に成ります!ご葬儀先
送りは珍しいですね!何か重大な事が起こりましたか!』名越秀登
『自宅安置の場合棺桶から出して!布団に寝かせるらしいのですが
母親の強い要望で棺桶のままが良いと言う事に成りました!』光男
『夜中に突然蘇生して家中を歩き回ると言っています!』(妄想)
『佐川急便でドライアイス弐日置きに配達して下さい!』光男
『山本孝子さんの預金通帳の最終ページに!鉛筆で数字が書いて
在るけど何の数字かしらね!BS884AP4542』涼子
『暗号資産の番号じゃないの!』麻子
『お兄ちゃん!良く見たら毎月30万円ずつ振り込まれているよ!合計
預金残高四千万円に登っているよ!』涼子
『ええ~っ!振り込み相手がカトウキクオに成っている!お父さんは
この山本孝子に貢いでいた様だね!』涼子
『あら~!ちょっと見せてくれる!下半身を鍛えておかないとな!とか
言っていた意味が良くわかったわ!』正子
『私の為じゃなかったのね!この山本孝子の為に下半身を鍛えて
いたのね!度スケベオヤジ!』正子
『振込開始は何年何月から始まっているかしら!もうかれこれ15年で
残高が四千万円に成るのね!五百万円は使ったみたいね!』正子
『銀行に行って山本孝子の住所を聞くのは無理だと思うよ!他人
だからね!身内でも出来ないからね!』光男
『やっぱり!謎の番号の解明よね!麻子!パズル得意だったわね!
確か数学の図形が得意だったわね!何とか解明してくれる!』真知子
『常識では考え着かない答えに成ったけど!いいかしら!』麻子
【BS884AP4542】ビッグサイズ林アパ~ト45号室に成ったけどね!
責任持てないけどいいかしら!』麻子
『こんな名前のアパート児玉郡に一軒もないと思うよ!』光男
【この全ての会話は突然死した菊男の耳には聞こえていた】
『交番に聞くより!赤いホンダのス~パ~カブで走り回っている郵便
物配達局員に聞くのが早いよね!ちょっと見張っていようか!』
【ドッビッ~!ドッピッ~!ドッピッ~!ドッピッ~!ピゥ~】
『あ~!来た~来た~赤いホンダのス~パ~カブのお兄ちゃん!』
『ちょっと!ストップ!信号無視の現行犯職務質問する!』真知子
『えっ!あっ!俺の事か!身に覚えが在りませんけど!』平海郁夫
『右手のアクセルと右足のブレーキペダルが覚えて居るだろう!正直に
白状しろ!盗撮刑務所にピザと一緒に配達する事も出来るぞ!』真知子
『二本の白線が入った緑色の腕章を認識しろ!本物の交通課だ!』
【ビッグサイズ林アパ~ト45号室】を記憶しているか!郵便受けから
覗いて盗撮したね!部屋にいたノ~パン女性を精密描写したよね!』
本庄警察署交通課勤務・加藤真知子
『はっ!只今地図と観察した本物を描きます!』平海郁夫(美大卒)
『おう~!上手いね~!曲線が女の尻に見えるよ~手慣れているね~』
『この真ん中のへその下黒いモジャ!モジャ!部分は何だ!ひじきか!』
『やっぱり盗撮したな!異様な精密画だ!講師は伊藤若冲だったか!』
『足を広げたモデルを正面から見て描いていました!東京芸大卒です!』
『目がうつろに成ったな!目の前の熟女が好みか?釈放してやる!』
本庄警察署交通課勤務・熟女真知子
『真知子!山本孝子のアパートは判ったの!場所はどの辺なの!』正子
『東京芸大卒の精密描写のタテ割れ図面の通りに説明しますね!』
『児玉のセブンイレブン近所に在る!アパート三階建ての45号室
南向きの左恥の部屋らしいよ!東京芸大卒・伊藤若冲の2番弟子が
性蜜に描いているね!地図に黒いモジャ・モジャは見あたらないね!』
【黒いモジャ・モジャ精密描写!本庄ビエンナーレ展最優秀金賞受賞】
2024年度受賞・交通課熟女・真知子(元武蔵美卒)
『真知子あまり無理な表現は止めた方が良いよ!ひょっとしてへその下』
加藤正子
『お母さんも!具体的な表現はヤメテよ!タテに割れていた!』涼子
『皆!下ネタ学習塾と違うぞ!もっと毛をつけろ!』光男
『お兄ちゃん!品のない表現はヤメテよ!恥毛が生えたのはつい最近よ』
加藤麻子
【この全ての会話は突然死した菊男の耳には聞こえていた】
『光男!山本孝子さんのお顔を拝見したいから、デジカメで盗撮して
来てくれる!全身と七分身で頼むね!2Ł判にプリントしてね!』正子
『階段の真下か撮らない様にね!通行人に通報されるよ!』正子
『はいっ!プリントしてきたよ!この女の子だよ!』光男
『30代前半位かしら!麻子と同じ位かしら!少し太っている感じよね』
涼子
『お父さんと随分年の差があるね!こんな若い子と何処で尻合ったの
かしらね!クラブとかキャバレ~かしらね!』真知子
【種基本物産婦人科・泌尿器科】看板
『次の方!山本孝子さん診察室へどうぞ!』相沢三千子看護師
『山本さん!経過はいかがでしょうか!もう直ぐですね』種基院長
『はいっ!順調です!産まれて来るのが楽しみです!』山本孝子
『ご主人のお名前の覧にカトウキクオと記載されていますが!年齢の
記載がなされて居ませんが!何か特別なご事情がおありでしょうか』
種基愛子院長
『はいっ!年齢は記入しないでくれと言われています!』山本孝子
『ご年配の方でしょうか!週に何回位の性行為でしたか!本当の回数を
白状して下さいね!ウソをつくと産まれてくる赤ちゃんに悪い影響が
出て来ますよ!多くても恥ずかしくないですよ!』種基愛子院長
『ウソつきの大人に成って将来政治家に立候補する様に成ります』
【私はキックバックを受け取った記憶はないです!営みのバックだけ】
『週に2~3回位でした!』山本孝子
『若い方ですと極一般的な回数ですね!ご年配の方ですと可成り多い
性行為回数ですね!おいくつ位の方ですか!』種基愛子院長
『65歳を越えた位です!』山本孝子
『男の子女の子どちらが欲しいですか!』種基愛子院長
『女の子が欲しいと思っています!』山本孝子
『妊娠した時の前戯のお時間は何分位でしたか!15~25分位ですと
男の子が飛び出します!40~60分以上ですと女の子が飛び出して
来ます!前戯が長いと愛液がたっぷりほとばしり!女の子に成ります』
『男の子が産まれるのは短い前戯の男性側の責任ですね!』種基院長
『何分位でしたか!正直にお話下さい!恥ずかしくないですよ!』院長
『70分位でした!恥ずかしいです!広げてしまいました!』山本孝子
(大きく広げたのは両手・・・・以外です)
『両太ももを強く捕まえて離して貰えませんでした!』山本孝子
『間違いなく200%女の子が確実に産まれますよ!おめでとう
ございます!15~16歳の年齢に成りましたら!子宮がん検診を
受けるように促して下さい!HŁAの検査を受けさせて安心して
子宮頸がんのワクチンを接種して下さい!』種基愛子院長
【ふんぎぁぁあ~!ふんぎぁぁぁ~!ふんぎぁぁぁ~!】
『立派な女の赤ちゃんです!おめでとうございます!両側のふくらみ
具合も程良く!無垢なタテ割れに成っていますよ!』園山妙子助産師
『13~14年したら立派な産毛が生えそろいます!!半年で成人女子の
毛に成ります!周りの男共が匂いを嗅ぎに来ます!匂いを嗅がせては
いけません!広げてもいけません!神秘の谷間は清潔に消毒保存して
下さい!触らせないで下さい!ウイルスに冒されます』園山妙子助産
『急速冷凍保存が良いでしょう!年頃に成って毛が生えると自然解凍
されます!大人の女に成りフェロモンを放失する様に成ります!』
『種を植え付けられる可能性が出て来ます!性教育を正しく指導して
健全な聖域を守り抜き!明るく正しい性春を育みましょう!』
【コンド~ムはスマホと一緒に常に携帯させましょう!】園山助産師
【男性任せではいけません!ビ~ルの様に本生が良いと懇願します】
『お母さん!山本孝子さんが出産したらしいよ!女の子だってさ!
姉妹が増えたね!消毒冷凍保存の女の子らしいよ!』涼子
『お父さんの棺桶泊は3週間延長して貰おうね!』光男
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登です!3週間のご葬儀延長
ですか!承りました!ドライアイス死ぬほど追加注文ですね!』
『あまり延長するとミイラに成って!ツタンカーメンの高額棺桶に
法的強制移棺される可能性が出て来ました!よろしいでしょうか!』
【花畑天国ポックリ葬儀社】名越秀登
『いつまでも半生状態じゃ成仏出来ないかもね!早めに手筈通り
燃やして貰う事にするかな!』光男
『今の状態じゃ!ポックリどころか永久不滅半生蘇生停死状態に
成っちゃったね!オヤジ!天国に行きそびれちゃったね!』光男
【魔訶般若波羅密多】
【質素なお通夜の夜】
『お姉ちゃん!山本孝子さんが控えめにこっそり来たわよ!』麻子
『山本孝子と申します!この度は大変ご愁傷様でございました!ご冥福を
お祈り申し上げます!菊男様には生前大変色々と腰回りをお世話に
成りました!』山本孝子
『あなたはいつ頃から主人とお付き合いを始めたのかしら!』正子
『二十歳前位からお付き合いをさせて頂いて居ました!』山本孝子
『随分若いのに!どうして家の主人とお付き合いをする様になったの
かしら!年の差も大きいのにね!』正子
『菊男様の会社で開かれたパーティー会場で、初めてお会い致しました』
山本孝子
『あなたはコンパニオンとして!パーティー会場に来たのかしら!』正子
『その通りでございます!幼い私には頼もしく太く感じました!』
山本孝子
『男と女の関係に成ったのはいつ頃かしら!』正子
『二度目に会った時からです!丁度二十歳に成った時位です!』山本孝子
『妊娠するのに随分時間が掛かったわね!いつも避妊していたの!』
『はいっ!その通りでございます!消毒保存して居ました!』山本孝子
『今日来たのはお見舞いだけで来たのかしら!』正子
『いえそれだけでは在りません!もっと重要な事で参りました!』
山本孝子
『重要な事とは何でしょうか!』正子
『戸籍謄本を持参致しました!』山本孝子
『え~っ!何これは本当なの!いつの間に!皆も見て頂戴!』正子
『え~っ!これは養子縁組を組んでいる!』真知子
『養子縁組を組んだ娘と菊男は性交渉していたと言う事ね!遂に妊娠
してしまったと言う事ね!』正子
『人間として許せない男だったのね!光男!棺桶で半生状態の男は
【Wハイブリッド超音速瞬間】焼き窯で昇天して貰うわね』正子
『山本孝子さん!女の子の名前は何とおっしゃいますか!』正子
『山本碧と言います!』孝子
『碧ちゃんね!今風の名前ね!可愛いでしょうね!今度連れて来てね!』
加藤正子
『今日はこれで失礼致します!』山本孝子
『皆!菊男の遺品を全て集めてくれる【Wハイブリッド超音速瞬間】
焼き窯に詰め込んで全て灰にして!北朝鮮金剛山霊場に違法投棄して
くれる!娘と変わらない年の女と性交渉をして居た男なんて!何の
未練もない!欲情むき出しの恥知らず男!』正子
『お母さん!若い頃のツ~ショット写真も在るけどね!燃やしちゃって
良いの!この頃は二人供若かったのね!』真知子
『あ~!これはお父さんからのラブレタ~ね!随分文通したのね
これも全部燃やしちゃって良いの!』涼子
『あの男が手にしたすべての物は灰にしてくれる!汚らわしい男よ!』
正子
『通勤に使っていたホンダス~パ~カブも、鉄クズ屋に二束三文で
売り飛ばしてくれる!20年間乗り続けた愛車もポンコツ置き場に
不法置き去りにしてくれる!』正子
『無一文にして三途の川を渡れない様にしてやろうか!恐山に在る
【賽の河原】の石を百八キロ背負わせて!血の池地獄釜に叩き込んで
やろうか!鉄の蓋被せて地獄の底まで押し込んでやろうか!』正子
『黄泉の世界に棲むと言う十八人の僧侶達を従えて!逃げる菊男を
追い掛け回し金玉千切って切り刻み!カラスのエサにしてやろうか!』
【延命地蔵菩薩】の慈悲を受けさせず!極楽浄土の道を断ち切って
永久不滅の無縁仏にしてやろうか!』正子
『お母さんもうその辺で良いと思うけどね!充分でしょう!』真知子
【花畑天国ポックリ葬儀社】の名越秀登さんでしょうか!母親の
正子に霊が乗り移り喋り続けて止まりません!葬儀執り行いを
早めに終わらせて死ぬ程燃やして下さい!』加藤光男
『急きょ一変してご葬儀前倒しですね!受け給わりました!至急手配
致します!死ぬ程燃やすと2度手間追加料金が発生致します!』名越
『葬儀場専用送迎バスにご乗車して下さい!悲しみに暮れる加藤菊男
様の霊を弔って下さい!セピア色の風景が泣いて居ます!』名越秀登
『時間が在りません!ツタンカーメン高額棺桶のまま葬儀場に搬送
致します!祭壇の前には十八人の僧侶達が立ち並びます!両手に
シンバルをかざして読経をわめきながら!葬儀場内を三周致します!』
『黒い袈裟をひるがえしながら無邪気に走り回る罪の無いその姿こそ
正に【延命地蔵菩薩】の産まれ代わりでございます!』名越秀登
【ドバドバドバドバ!ドバドバドバドバ!ドバドバドバドバ!】
【ジァァンジァ~ン!ジァァジァ~ン!ジァァンジァ~ン!】
【ドバドバドバドバ!ドバドバドバドバ!ドバドバドバドバ!】
【ジァァンジァ~ン!ジァァジァ~ン!ジァァンジァ~ン!】
『真夏の盆踊りよりも激しく哀しいその姿はむなしく哀れです!』
名越秀登
【魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!】
【南漫陀!南漫陀!壱萬円札は南枚陀!壱萬円札は何処に在る!】
【南漫陀!南漫陀!壱萬円札は南枚陀!壱萬円札は何処行った!】
『お父さんもこれで成仏出来るかしらね!お母さんが心配だね!』
『壱萬円札は何枚位用意したのかしらね!』加藤真知子
【明治安田生命天国倍額生命保険】で間に合いそうだね!
『加藤家の皆様!山本孝子です!山本碧を連れて参りました!』
(ベビ~カ~に乗せている)
『これより【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に向かいます!
『碧ちゃん!言葉が分かる!赤ちゃんだからまだ喋れないね!』正子
『加藤正子様!最期のお別れのご挨拶をお願い致します!』天草院美輪
『あなた!早過ぎる天国でしたね!もう少し一緒に末永く暮らして
居たかったです!残念で成りません!九十九歳まで添い遂げるつもり
でした!あなたの愛が恋しいです!優しかった貴方さようなら!』
正子
【マンマ!パパ!生きている!マンマ!パパ生きている!】碧
【ちょっと!見ている!あかい目!ひかった!】碧
『孝子さん!どうしたの!碧ちゃん喋れるの!赤ちゃんよ!』正子
【菊男さんが生きていると言って居ます!棺桶のすき間から光った
赤い目でのぞいていると言っています!】孝子
『ええ~っ!ひぇえ~っ!そんな!そんな筈はない!』正子
『五週間前に突然死で亡くなったのよ!そんな訳ないじゃない!』麻子
『冷凍保存で氷漬けよ!死ぬ程ドライアイス詰め込んだのよ!』正子
【マンマ!パパ!手をふっている!パパ!あかい目みている!】
【マンマ!ちょっと見ている!パパ!生きている!あかい目!】
『最期のお別れが近づいて来ました!加藤光男様点火スイッチ一回目
スタンバイして下さい!ハイブリッドボタン同時押しです!』
【Wハイブリッド超音速瞬間】焼き窯に挿入致します・天草院美輪
【ドガジァァア~ン!ドガジァァア~ン!ドッバァア~ン】
【うわぁぁあ~~!あぎぁぁあ~!ほがぁぁあ~~】葬儀参列者達
【ツタンカ~メンの蓋が弾け飛んだぞぉぉお~!うがぁぁ~】光男
【まがぁぁぁ~!上半身起き上がったぉぉお~ミイラの呪いだぁ~】
【ひえ~っ!むぎぁぁあ~!わぎぁぁあ~!】加藤正子
【うぎゃぁぁぁ~!悪夢だぁぁ~!赤い目玉か光っている~】真知子
【むがぁぁぁ~!ツタンカ~メンの顔が乗り移っているぅぅう~】涼子
【ドバァジァア~ン!ドバアドバァ~ン!】蓋が棺桶に戻った
『皆様!ご静粛にお願い致します!焼き場では良く起きる光景です!』
『冷凍保存から高温に急上昇!その副反応!その強い筋肉反応です!』
【一瞬の四次元蘇生反応が起きました!ご静粛にお願い致します!】
天草院美輪
『加藤正子様!光男様改めて【Wハイブリッド超音速瞬間】焼き窯の
追い炊きWハイブリッドボタンを再度押して下さい!』天草院美輪
【一回目Wハイブリッド焼き窯は押し間違いエラ~発生表示でした】
【ヴァァリヴァァアリ!ボワボワボォォォ~!ボワボワボォォォ~!】
【むんぎぁぁぁ~~ぬんぎぁぁあ~~!ほんぎぁぁあ~~!】
【ドダバダドダバダ!ドダバダドダバダ!ドダバダドダバダ!】
【壮絶成る断末魔の最期のお別れでした!】
【本日のご葬儀執り行い全て終了致しました!】
【改めてご冥福をお祈り申し上げます!】
天草院美輪(死者の番人)
『あ~!やっと終わったね!久し振りに本生ビ~ルで乾杯しましょうか!
キリンとアサヒとサントリ~サッポロ何処がいいかしらね!』正子
『ビ~ルで乾杯するより!盛大にワインで乾杯も良いね!』光男
『あ~すっきりしたね!しかし良く燃えたね!さすがハイブリッドだ!
ドダバダ・ドダバダと聞こえた音は一体何の音だろうかな!』光男
『ツタンカ~メンの顔に成ったのには驚いたね!産まれ故郷のエジプト
ピラミッドに帰して成仏して貰おうかしらね!』正子
『それともやっぱり!北朝鮮の金剛山底無し【重罪地獄】の洞穴で
四千年間修行を積んで貰おうかしらね!』正子
【魔訶般若波羅密多!南漫陀壱萬円札は南枚陀!魔訶般若波羅密多!】
【全ての会話は時空を超越した突然死の菊男の耳には聞こえていた】
【六日後】(時空を超えた伝言)
【天草院美輪様!この度は大変お世話に成りました!私はまだあの
世には行っておりません!闇の中をさ迷っています!頼み事が
在ります!残して来た家族達!山本孝子!山本碧に伝えて下さい!』
【初七日】
『加藤家の皆様!あの世に行かず!闇の世界でさ迷っている魂に
成られた加藤菊男様から伝言を仰せつかりました!申し述べます!』
【お父さんは!病院のベッドで息を引き取った後も皆の話声は聞こえて
いたんだよ!自宅に帰ってからも棺桶の中で聞いていたんだよ!若い
頃の写真が出て来た事!通勤用ス~パ~カブを鉄クズ屋に二束三文で
売り飛ばした事!私の体を無理やり死ぬ程ドライアイス漬けにした事
五週間も葬儀を延長した事!ツタンカーメンの棺桶に無理やり入れて
【Wハイブリッド超音速瞬間】焼き窯で焼いた事!全てを聞いていた】
『麻子!病院のベッドの脇で悲しんでくれてありがとう!嬉しかったよ!
アパートの部屋の暗号良く解いてくれたね!嬉しかったよ!』
『涼子!お前もベッドの脇で泣いてくれたね!ありがとう嬉しかったよ!
優しい涼子はいつも朗らかに笑っていたね!楽しかったよ!』
『真知子!いつも強気の行動だったね!思い出の写真こっそり隠して
くれたね!ありがとう!嬉しかったよ!』
『孝子!色々とお世話に成ってしまったね!碧ちゃんと二人で楽しく
力強く幸せに生きて下さいね!今までありがとう!嬉しかったよ!』
『碧ちゃん!パパの赤い目が見えたんだね!パパが手を振ったのも
見えたんだね!お母さんと明るく生きて下さいね!』
『光男!お前は何と言う男だ!五週間もドライアイス漬けにしたな!
俺の体を冷凍キムチ漬けの様にしてくれたな!』
『お前の行動言動は!計り知れない無限の銀河に匹敵する闇で渦巻く
暗黒の世界だ!澄み切った心は微塵もない愚か者だ!』
『ワインで盛大に乾杯するとは悲しみを知らない恥知らず男だ!』
【お前の心の奥底で渦巻く闇の世界を浄化してやろう!】
【黄泉の世界に棲むと言う【百八人衆地獄の首切り羅漢】を呼んである
死ぬ程堪能するが良い!百八回も首を切られ!百八回死ぬ事に成る】
【暗くて黒い闇の中で永遠に首切り羅漢に追い掛け回され!煩悩が
消え去る事は無く永遠に首を切られ続ける!】
【正子!俺の生きた証を全て燃やしてくれたな!ツタンカーメン棺桶の
中に冷凍キムチを放り投げ!キムチ漬けにしてくれたな!】
【20年間乗り続けた俺の愛車を!鉄クズ屋に違法投棄したな!】
【光男と一緒に五週間もドライアイスを詰め込み続け!冷凍人間にして
くれたな【百八人衆地獄の首切り羅漢】を呼んである!光男と二人で
永遠に首を切り刻まれ!涅槃の境地に辿り着く事は出来ない!】
【賽の河原で拾った石を百八キロ背負わせて血の池地獄に叩き込む
とも言っていたな!】
【北朝鮮金剛山底無し【重罪地獄】の洞穴で、四千年間修業を積んで
貰うとか!ツタンカーメンの棺桶と一緒にエジプトに送り帰すとか
言っていたな!】
【あ~サッパリした!生ビ~ルで乾杯しようかとか!言っていたな!】
【お前の心の奥底に棲む黒い闇の渦から解き放ってやろう!】
【お前の心を浄化してやろう!重く伸し掛かる蓋を取り除いてやろう!】
【おお~っ!うぉぉお~っ!これは一体!】(正子・光男)
【両手に首切りガマを携えた【百八人衆地獄の首切り羅漢】出現
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【首切りガマを振りかざし!百八人衆地獄の羅漢が整列した!】
【うお~っ~うおっお~!ザッザッザッザッ!ぎゃぁぁあ~!】
【うお~っ~ぎゃぁぁあ~!ザッザッザッザッ!ザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ドッダァァァア~ン!ドッダァァァア~ン!】
『あっあ~!お母さん~うあぁぁぁ~!お兄ちゃん!』麻子
『息をしていない!脈拍が無い!体の力が全身抜けきっている!』涼子
『心肺停止状態に成っている!』真知子
『天草院美輪さん!これは一体どうしたのでしょうか!』
【手遅れです!黄泉の世界に旅立ちさせられました!】
【二度と戻って来る事は出来ません!魂を抜かれました!】天草院美輪
【黄泉の世界に連れ去ったのは誰でしょうか!】真知子
【父親の菊男でしょうか!】真知子
【マンマ!パパ!手をふっている!パパ!あかい目みえている!】碧
【マンマ!ちょっと見ている!パパ!生きている!マンマ!赤い目!】
【山本孝子さんが産みました赤ちゃんです!】
天草院美輪(死者の番人)
【ええ~っ!そんな!そんな筈は!】真知子
【Wハイブリッド超音速瞬間】焼き窯の手配をさせて頂きます
【薬師如来立像】を呼び出しましょう!天草院美輪
【薬師如来立像】の慈悲に寄る!極楽浄土に導いて貰いましょう!
【マンマ!パパ!呼んで居る!パパ!あかい目みている!】碧
【マンマ!ちょっと見ている!パパ!呼んでいる!赤い目!】碧
【月光菩薩立像】【日光菩薩立像】を脇に従えた
黄金に燦然と輝く【薬師如来立像】出現
【魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!】
【ドガジャァァア~~ン!ドガジャァァア~ン!ドッドォォオ~ン!】
【アッァァア~!アッァァア~!乗用車一台コンビニ突入!】
【アッァァア~!アッァァア~!ぶっつけた車逃走中アッァァア~!】
【ピ~ポ~ピ~ポ~緊急車両が通過します!ピ~ポ~ピ~ポ~】
【ピ~ポ~ピ~ポ~道を開けて下さい!ピ~ポ~ピ~ポ~】
【尻餅外科病院】の看板
『交通事故で頭を強打している様です!奥様は軽傷のように見受けられ
ますが!ご主人の方は重傷に見受けられます!』吉田救急隊員
『笹山看護師さん!止血帯の交換をお願い致します!』
『神山看護師さん!МRIの準備をお願い致します!』尻餅顕一院長
『尻餅先生!父親と母親の具合はどうでしょうか!』平山勇一(長男)
『お母様は打撲程度なので!10日ほどの通院で大丈夫と思いますが
お父様は意識がまだ戻って居ませんので!МRIの結果を見てから
判断しましょう!』尻餅顕一院長
『お母さんとお父さんが居ないからね!今日はデリバリーにしよう
かしらね!中華を食べたいね!』沙和子(長女)
【竜電軒ウ~ハン】でしょうか!平山ですデリバリーをお願い致します』
『はいっ!お待ちどう様でした!四人前で合計七千二百に成ります!
はいっ!領収書です!また宜しくお願い致します!』
中華飯都(チュカ・イ~ツ)
『お母さんは二日入院してから!十日位通院するらしいわよ!』沙和子
『お父さんは意識不明だからちょっと心配だよね!』葉子(次女)
『車を見たけどほぼ全損状態だったね!お父さんが気に入っていた
車だからね!ガッカリするだろうね!』勇一
『車をぶっつけて逃げた男って!どんな顔しているのかしらね!』由紀
『日本全国二千五百箇所に【自動車№自動読み取り装置】が設置されて
いるからね!直ぐ捕まるわよ!バカな三人組の男達らしいよ!逃げ
切る事は出来ないと思うわよ!』由紀(三女)
『コンビニのドアとコピー機・レジのカード読み取り機・食品棚その他
色々壊したから相当な金額に成るね!任意保険で何とか間に合いそう
だけどね!逃げた男達の車も相当ベコべコだったらしいよ!』勇一
『ただいま!今帰って来たよ!ちょっと腰回りが痛いけどね!通院
すれば何とかなりそうよ!』平山久枝
『お母さん!タクシーで帰ってきたの!任意保険でタクシー代金は
出るからね!領収書はちゃんと貰ってね!』沙和子
『四人共に仕事忙しいからね!通院は毎回タクシーにしてくれますか!』
勇一
『お父さんの具合はどんな感じかしら!快方に向かっているのかしら!
心配だよね!』葉子
『平山大地さんに面会でしょうか!四階の45号室の個人部屋で
治療中です!昏睡状態ですが話し掛けて下さい!何かしらの反応が
在るかも知れません!好きな音楽が良いと思いますよ!』皆藤由美受付
『お兄ちゃん!お父さんはフラメンコが大好きだったのよ!CD
ラジカセとベスト・オブ・フラメンコ・ギターのCDを持って来てよ!』
葉子
【アッア~~~!イッイ~~~!エッエ~~~!エ~エ~~~!】
【アワン~ト~イ~~イ~~!エ~エ~エ~~~ア~ア~イェ~~!】
【バチバチバチバチ!バチバチバチバチ!パッチン!パッチン!】
【バタバタバタバタ!バタバタバタバタ!パッチン!パッチン!】
(長いので省略)
(歌手・サビ~カス・シモン・セラ~ノ)
『お父さん!こんな賑やかな歌が好きだったの!うるさくて飛び起き
そうだね!目が覚めないかしらね!』沙和子
『蘇生反応が起きないかしらね!色んな音楽が好きだったからね!』
葉子
『あっ!親指と中指が動いている!指パッチンを無意識にやっている!
意識が無くても好きなんだね!』由紀
『お父さんはその昔、若い頃フラメンコダンサーとして踊っていた
らしいからね!背筋がシャンとして!女の子にモテた見たいよ!』
葉子
『お父さん!聞こえていますか!女の子にモテましたか!』由紀
『あっ!拳を握って親指だけが立った!他に立ったところはある!』
沙和子
『聞こえて居る見たいだね!お父さん!いつまで生きるつもりですか!
ブラック・ユ~モアですよ!目を覚まして下さい!』由紀
『そんな質問したら寿命が短くなるわよ!止めなさい!』久枝
『臓器移植コーディネーターの谷川義治と言います!ドナー登録は
なされていませんが!臓器提供の意思の確認をしたいのですが
よろしいでしょうか!』
『えっ!行き成り臓器提供のお話ですか!父は昏睡状態ですがまだ息を
して居ます!まだ生きています!少し早くないでしょうか!』勇一
『お父さんは!脈拍はまだ在ります!目覚める可能性が在りますよ!』
葉子
『お亡くなりに成ってからでは!担当医は聞きにくいと思います!先に
私の方から臓器提供ご意思の確認をしたいのですが!どうでしょうか!』
『ご家族の皆様でご相談して頂きたいのですが!可成りの猶予が
ございます!ご検討して頂きたいのですが宜しくお願い致します!』
谷川義治コーディネーター
『そうですか!家に帰りまして皆で相談します!』勇一
『お母さんは!臓器提供を受け入れる事は出来ますか!』勇一
『そうだね!臓器提供で生きていけられる人がいるならば!臓器提供を
しても良いかなと思うけどね!』久枝
『沙和子お姉ちゃんはどうですか!賛成出来ますか!』勇一
『私は臓器提供には賛成出来ません!臓器を取り出した空っぽの遺体を
想像したくないです!』沙和子
『葉子はどうですか!賛成出来ますか!それとも反対ですか!』勇一
『私は臓器提供には賛成です!お父さんの臓器で長生き出来るならば
その人の人生が豊に充実した人生を送れる様な気がします!』葉子
『由紀はどうですか!賛成しますか!それとも反対ですか!』勇一
『私は臓器提供には賛成出来ません!お父さんの体をそのまま焼いて
欲しいです!そうで無くても司法解剖で切り刻まれるのに!更に
切り刻まれるのには!お父さんが可哀そうな気がします!』由紀
『お兄ちゃんはどっちなの!意思表示は明確にしてよね!』由紀
『そうだな~!難しいな~簡単に返事が出来無いな~!どっちの意見も
もっともなんだよな~!』勇一
『お兄ちゃん!皆にどっちだなんて聞いといて!あいまいな態度は
筋が通らないわよ!はっきりしてよね!』由紀
『最近の男共は!イエス!ノーがはっきり言えない優柔不断な男が
多いのよね!肝心な時に限って黙秘する男共が多いのよね!勇一も
その仲間なのかい!』沙和子(長女)
『最近のテレビニュースのアンケートでどちらとも言えないと答える
男共が!まあ~多いね!白!黒はっきり着けろと言いたいね!』沙和子
『ついでに言わせて貰えば!現状維持が良いと言う男共も多いね!
そう言う考えは進歩や発展はないね!自分の事しか考えていないね!』
『将来の事未来の事を全く考えていない!どんな小さな日常でも改革は
必要だね!それで初めて未来に希望が持てる社会に成ると思うね!』
『目先の事しか見えて居ない!全く情けない男共よ!』沙和子
『お姉ちゃんの言いたい事は良く分かりました!臓器提供の話なので
違う機会にお姉ちゃんの意見は聞かせて貰います!』勇一
『今現在のところ臓器提供に賛成は二人(母親・葉子)臓器提供反対も
二人(沙和子・由紀)後は俺だけかな!む~ん!どうしようかな!』
勇一
『お兄ちゃん!また始まった!典型的な優柔不断な煮え切らない態度
典型的な長男共通の判断能力の低さ!遅いんだよね!』葉子
『よ~し!分かった!臓器提供に賛成するかな!』勇一
『お兄ちゃん!賛成するかな!じゃ無くて賛成しますが正しい答え
だと思うわよ!その辺が曖昧な表現なのよ!』葉子
『それより大事なのがお父さんの意見だね!何か書き残したメモとか
日記とか在るかも知れないね!皆で探して見よう!』沙和子
『お母さん!お父さんは日記付けていたの!』葉子
『日記は付けていなかったけど!手帳に何か付けていたような気が
するけどね!』久枝
『机の引き出しを徹底的に捜索して見ようかしらね!何か変な物が
出てきたら嫌だけどね!個人情報漏洩につながるからね!』沙和子
『わっ!出て来た!コンドーム12パック入った箱が二箱未開封のまま
引き出しの奥に隠してあるわよ!』沙和子
『お母さん!お父さんと二人まだでやって・・使っていた!』沙和子
『これはね遠い昔若い頃の毎日の消耗品の名残よ!製造年月日と消費
期限を確認して見てよ!これで四人に抑えたのよ!』久枝
【日本国内限定販売品オカモトラバ~ズ・アソコ研究所】
【製造番号・ロット・М184184C・使用期限・永遠可能・サイズ3Ł】
『お母さん!まだまだ使用可能らしいよ!今更要らないわよね』沙和子
『当たり前よ!ベッドの上で生死の世界をさ迷っているのよ!心肺
停止に成るわよ!』久枝
『お母さん!お父さんはビッグリサイズだったの!』由紀
『えっ!いやっ!・・・・・・・・・・ね』久枝
『お母さん!手帳の中に重要な事柄が明記されています』勇一
➊脳死状態では臓器提供致しません
➋心臓停止した死後に限り臓器提供致します
➌腎臓・肝臓・膵臓・に限ります
➍家族全員の意見を優先しても良いです・平山大地
【この全ての会話は昏睡状態の大地には聞こえて居た】
【ウアッア~!アッア~!逃走中の車!止まりなさい!ウアッア~】
【ウアッア~!アッア~!熊谷 501・や 68―23止まりなさい!】
【アッア~アッア~!№判っています!止まりなさい!アッア~!】
【ウアッア~!スピ~ド落しなさい!止まりなさい!ウアッア~!】
【ドッドォォォ~~ン!グガガラドッドォォオ~~ン!】
【あぎぁぁぁ~~!ぬぎゃぁぁぁ~~!まぎゃぁぁあ~~!】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!道を開けて下さい!ピ~ポ~ピ~ポ~!】
【ピ~ポ~ピ~ポ~!現場到着が遅れます!ピ~ポ~ピ~ポ~!】
【本庄救急外科・内科病院】でしょうか!交通事故現場から男性3名
搬送しますが!よろしいでしょうか!』大沢救急隊員
『2名の方が軽傷ですが1名の方は意識不明の状態です!』大沢隊員
『中村安代看護師さんМRIの準備お願いします!』山川春樹院長
『町田知子看護師さん止血帯の交換をして下さい!』
『松元看護師さん!3人の名前を調べて下さい!』
『坂本正夫さん!山口友也さん!中華奉仕さんは意識不明の方です!』
『3人のご家族を呼んで下さい!事故の内容を簡単に説明して下さい!』
『坂本正夫さんのご家族と山口友也さんのご家族でしょうか!事故の
内容を説明致します!隣の部屋に入って下さい!』松元妙子看護師
『坂本正夫さん!山口友也さん!お二人共に軽傷ですが違法薬物反応
が出ています!軽傷なので治療には時間が掛かりませんが!警察
病院に転院して取り調べを受ける事に成ります!』松元妙子
『取り調べは別々に行われます!警察病院への搬送は覆面パトカーで
搬送します!面会は当然警察病院に出向いて下さい!』
『詳しい内容は郵送で通達されます!その通達の内容に従って下さい!』
松元妙子
『山口正直に話してくれよ!ハンドルを握っていたのは誰だ、3人の
うち誰が車を運転していた!』岡本達夫警部補
『坂本正夫がハンドルを握って操作して居ました!』山口友也
『事故現場に到着したパトカー隊員の証言に寄ると!青色の服を着た
男が運転席に座って居たと証言している!赤い服を着た男は助手席に
座って居たと証言している!』岡本達夫警部補
『坂本素直に証言してくれよ!事故当時誰が車を運転していた!3人の
うち誰がハンドルを握っていた!』鮫島克典警部補
『山口友也がハンドル操作をしていました!』坂本正夫
『事故当時の服の色は何色を着ていたか!』鮫島克典警部補
『赤色の服を着て居ました!』坂本正夫
『山口!パトカー隊員の証言に寄ると青色の服を着た男が運転席に
座って居たと証言している!事故当日青色の服を着ていなかったか?』
岡本達夫警部補
『確かに青い服を着ていましたが!ハンドル操作はして居ません
車の運転をして居たのは間違いなく坂本正夫です!助手席に座って
居たのはボクです!』山口友也
『その証言に間違いはないね!記憶違いでしたと言わない様にね!』
『岡本達夫警部補どっちがウソをついていますかね!服の色で判断
すると山口がウソをついて居る事に成りますね!間違いなく運転席
から引っ張り出された訳ですからね!』鮫島警部補、
『事故現場付近の監視カメラの映像分析が必要ですね!特殊映像班に
分析して貰いましょうか!』岡本達夫警部補
『特殊映像班の須田昭男です!入念に分析した結果を報告致します!』
『これからスロ~で再生します!良く見て下さい!』須田昭男分析班
『今パトカーに追跡されて逃走している車の正面の映像が写ります!
拡大しますね!ほらハンドルを握って操作しているのは!赤い服を
着た男ですね!坂本がハンドル操作をして居ます!』
『山口友也は青い服ですが助手席に座って居ます!』
『この後に猛スピードで車をハネ飛ばして30M走行したところで
2回横転して車の腹が上を向いたまま停止して居ます!救急隊員が
運転席から引っ張り出して居るのは!青い服の山口友也です!
助手席から引っ張り出して居るのは赤い服の坂本正夫です!』
『車が2回横転して!運転席の人間と助手席の人間が入れ替わって
居ます!ハンドルを操作して居たのは間違いなく坂本正夫です!』
映像分析班須田昭男
『坂本!車を運転していたのは赤い服を着ていたお前だな!どうした!
行き成り黙秘か!留置場から出るのが長引くだけだぞ!』鮫島警部補
『検察の立件が遅れて!国選弁護人が保釈請求出来ないぞ!良いのか
素直に認めろ!留置場の生活が気に入ったのか!留置場の味噌汁は
ぬるま湯に米粒3粒位溶かした偽物味噌汁だ!気に入ったのか!』
『後は裁判が待っている!』鮫島警部補
『山口!お前の罪も重いぞ!車をぶっつけられた相手が昏睡状態で
生死の境をさ迷っている!裁判が待っている!』
『更生して正しい道を歩けよ!』鮫島克典警部補
『坂本正夫!違法薬物所持容疑で再逮捕する!身に覚えがあるだろう』
岡本達夫警部補
『山口友也!違法薬物所持容疑で再逮捕する!体が覚えて居るだろう』
鮫島警部補
『薬物探知犬を連れて来てくれ!三人が乗っていた車を保管車庫から
出してくれ!』(事故車を保管している専用車庫)鮫島警部補
『屋根とボンネットはグチャ・グチャだが!側面は歪んだだけだ!』
『ミッキー!車の周りの匂いを嗅いでくれ!』井上幸男
(違法薬物探知犬専任のハンドラー)
『鮫島警部補!ミッキーが後部座席左右のドアの横にお座りしました!
ドアの中に違法薬物が隠して在る様です!』井上幸男
『さすが探知犬だ!早いね!ビ~グル犬だね!おやつはスペアリブかな』
鮫島警部補
『後部座席のドアを外してくれ!』鮫島警部補
【グガガッジァ~ン!ドガジャン!ドガジャン!ドガジャン!】
『完全に壊れる外し方だな!ランボ~のモノマネか!』
『後部座席まで外れたぜ!』
『後で請求書が届くぜ!』鮫島警部補
『鮫島警部補!左右のドアから違法合成薬物が出て来ました!左右
合わせて!600g×2=1.2Kgです!』ランボ~坂口巡査長
『後は薬物捜査班に任せようぜ!』鮫島警部補
『松元看護師さん!中華奉仕さんご家族を呼んで下さい』山川春樹院長
『中華飯都さんでしょうか!中華奉仕さんの容体をご説明致します!
弟さんの中華奉仕さんは!意識不明の状態で搬送されてきましたが
今は意識が戻り治療中です!他の外科病院で臓器提供を見込まれる
患者が出たそうです!【尻餅外科病院】に転院致します!』山川院長
『徐々に回復して居ますが!腎臓・肝臓が破裂して居ます!臓器移植で
徐々に元の体に戻すことは可能です!』山川春樹院長
『臓器提供者が見つかると!HŁA適合性の検査を受ける事に成ります!
臓器提供者がご年配の方でもご了解して頂けますか!』山川春樹院長
『是非お願いします!少しでも長生きして欲しいです!』中華飯都
『平山大地さんご家族を呼んで下さい!容態に変化が出て来ました』
【尻餅外科病院】臓器移植コーディネーター谷川義治
『先日お話をさせて頂きました!臓器提供の件は皆様でご検討して
頂けましたか!結論は出たでしょうか!』谷川義治
『はいっ!意見は分かれましたが3対2で臓器提供をする事に成り
ましたが!しかし父親の手帳が発見されまして臓器提供に条件が
記載されて居ました!』勇一
➊脳死状態では臓器提供致しません
➋心臓停止した死後に限り臓器提供致します
➌腎臓・肝臓・膵臓・に限ります
➍家族全員の意見を優先しても良いです・平山大地
『なるほど!ご本人様の意見が尊重されますね!今現在は脳死状態に
成っていますので!現状では臓器提供は出来ない事に成りますね』谷川
『腎臓・肝臓・膵臓の移植を待っている方がいらっしゃるのですか!』
久枝
『はいっ!若い方で交通事故を起こしてしまい!内臓破裂状態に
成られまして至急臓器移植が必要に成りました!』谷川義治
『心臓停止するのを待つと言う事でしょうか!家族全員が臓器移植に
賛成したら臓器移植は可能と言う事でしょうか!』沙和子
➍番に家族全員の意見を優先しても良いです!と明記されています!
五人全員の承諾が必要に成ります!』谷川義治
『臓器提供に賛成が2人(久枝・葉子)反対に2人(沙和子・由紀)
勇一(限りなく適当曖昧な賛成)長男1人』
【この全ての会話は脳死状態の大地には聞こえて居た】
『もう一度五人で話を煮詰めます!』長男・勇一
『お兄ちゃん!限りなく曖昧な態度に近い判断能力の低い長男には
話を煮詰める事は出来ないと思うけどね!』葉子
『そうか!分かった!そこまで言うならハッキリ言ってやろう!』勇一
『院内メディエーターを呼んで来い!白黒はっきり着けてやる!』勇一
『院内メディエーターの白川僧斎と申します!臓器提供における院内
トラブルが発生したと報告が在りました!その内容をお聞かせ下さい!』
『あのよっ!臓器移植手術をする場合はよっ【拒絶反応検査】とかな!
【HŁA・主要組織適合性抗原】検査とかな!事前に検査するのが当たり
前だろう!そうだろう【尻餅脳外科病院】じゃやっていね~だろう
インチキ病院!この野郎!』勇一
『そうですね!これからご説明をさせて頂きたいと思って居ました!』
院内メディエーター白川僧斎
『あのなっ!【心療内科医】【精神科医】の説明も全くなかったぞ!
このインチキ野郎!』勇一
【臓器移植倫理審査委員会】の説明も全くなかったぞ!どう言う事だ!
このインチキこの野郎!死にて~か』勇一
『平山様!もう少し落ち着いてお話致しましょう!言いたい事は
分かりました!ごもっともでございます!ちょっと急ぎ過ぎました!
申し訳ございません!』院内メディエーター白川僧斎
『群馬県伊勢崎市にいる!優秀な腕利きの弁護士を知って居る
本庄地方裁判所に提訴するぞ!』勇一
『裁判は止めて頂きたいです!別室でお話致しましょう!』白川僧斎
【日本臓器移植学会】の倫理指針を順守していないぞ!どう言う事だ!
荒稼ぎも程々にしろ!本庄税務署に申告漏れの指摘をされてないか!
腕利きの税理士と腕利きの弁護士を紹介してやろうか!』勇一
『平山様!隣の部屋にどうぞ入って下さい!詳しくご説明させて
頂きます』メディエーター白川僧斎(ダ~ティ・言いくるめ室?)
【60分後】
『平山様!どうでしょうか!ご納得して頂けましたでしょうか!』白川
『はいっ!その手筈通りでお願い致します!家族全員ですね!』勇一
【心療内科医】【精神科医】の説明は二日連続40分間3回ずつ講習
【臓器移植倫理審査委員会】の説明は二日連続50分間3回講習
【日本臓器移植学会】の倫理指針の講習は二日連続40分2回講習
【拒絶反応検査】翌日から実施
【HŁA・主要組織適合性抗原】検査・翌日から実施
(現実ではもっと長い・全く説明しない病院も多数ある)古いデータ
(事前審査がある病院は、日本全国140箇所の病院うち12箇所のみ)
(メディエーター制度を取り入れている病院はほんの数か所)
(勇一はメディエーター白川僧斎にすっかり言いくるめられた)
【心療内科医】【精神科医】【臓器移植倫理審査委員会】
【日本臓器移植学会】の説明終了書にサインをお願い致します!
【司法解剖承諾書】にサインをお願い致します!
【臓器提供承諾書】にサインをお願い致します!
谷川義治コーディネーター
『これでお父さんの臓器提供は決まったね!』勇一
【この全ての会話は脳死状態の大地には聞こえて居た】
『勇一!可成り気に成る事が在るんだけどね!五階の手術室の
フロアーに臓器提供を受ける患者の待機室16号室が在るんだ
けれどね!中で待機している患者の名前が【中華奉仕】に成っている
のよ!どこかで聞いた事ないかしら!』沙和子
【竜電軒ウ~ハン】の出前の兄ちゃんが確か【中華飯都】だったね!』
勇一
『看護師さんに聞いた所が兄弟らしいのよ!中華奉仕の兄が中華飯都
らしいのよ!ところが弟の中華奉仕が乗っていた車は!お父さんと
お母さんが乗っていた車を猛スピードでハネ飛ばした!逃走車両
なのよ!仲間の坂本正夫と山口友也は違法薬物所持容疑で逮捕されて
警察病院で取り調べ中なのよ!』沙和子
『中華奉仕は車の操作はしないで後部座席に乗っていたらしいのよ』
【本庄救急外科・内科】医院から転院して来た患者らしいのよ!』
『内臓破裂で臓器移植を待っている中華奉仕に、臓器提供するのは
お父さんの腎臓・肝臓なのよ!なんだか納得いかないわね!』沙和子
『お兄ちゃん!臓器提供承諾書にサインしてしまったのよね!』由紀
『親父を昏睡状態にした半殺し男に臓器提供は認められないな!』勇一
『寄りに寄って車を猛スピ~ドでぶっつけた相手に!臓器提供とは
納得いかないわね!』由紀
『コーディネーターの谷川義治さんを呼んで相談して見ようか』勇一
『平山様!臓器移植の内容に変更が生じたと伺いました!どういう事
でしょうか!』谷川義治
『父親の臓器を!五階の待機室で治療中の中華奉仕に移植するのは
本当の事でしょうか!』勇一
『はいっ!その通りに間違い在りません!何か不都合な事でも
ございましたか!』谷川義治
『父親と母親が乗っていた車に猛スピ~ドでぶつかり跳ね飛ばした
逃走車両に同乗していたのが!中華奉仕の様なので臓器提供を取り
下げたいと思います!』勇一
『そうですか!非常に残念ですね!5人全員がそのお気持ちで
ございますか!』谷川義治
『車をぶつけられていつ死ぬかもしれない昏睡状態の体にした男に、
臓器提供をする事は非常にやり切れない気持ちでいっぱいです!』
沙和子
『坂本正夫と山口友也を取り調べた警察官の話に寄ると!中華奉仕は
車を止めろ!逃げるのは止めろと!何度も言ったそうです』谷川義治
『それを無視して坂本正夫はアクセルを踏み続けて!車を跳ね飛ばして
逃走してしまったと証言して居ます!』谷川義治
『皆様!お父様の容態が急変致しました!たった今お亡くなりに成って
しまいました!残念です!ご冥福をお祈り申し上げます!』
『9月19日午後16時16分永眠致しました』尻餅顕一院長
『あっ!お父さん!お父さん!しっかりしてお父さん!』葉子
『あっ!お父さん!返事をしてお父さん!』由紀
『あっ!お父さん!沙和子です!私の声が聞こえていますか!』
『メディエーター白川僧斎です!大変失礼ですが大地様は旅立たれて
しまいました!』白川僧斎
『臓器提供を取り下げられるとの連絡を伺いました!皆様でもう一度
臓器提供の有無をご検討下さいませんか!』白川僧斎
『私と谷川は3F32号室に待機しております!宜しくお願い致します!』
白川僧斎
【この全ての会話は脳死状態の大地には聞こえて居た】
『また改めて臓器提供の相談をしようね!』沙和子
『中華兄弟の身辺調査のレポートが参考資料として用意されています!
【竜電軒ウ~ハン】の営業実態が事細かく記載されています!』沙和子
『中華飯都(長男)は主にデリバリーと会計(パソコン入力)を担当
中華奉仕(次男)は食材の仕入れと調理専門・若い子四人に色々と
指示系統担当』沙和子
『若い男の子2人は中華奉仕の調理補助役として、主に下ごしらえ等
容器洗浄等担当!女の子2人はレジとテ~ブル配膳を交互に担当!』
『食材の仕入れは特に確かな目利きが重要!中華奉仕は達人級の腕を
持ち!密かなファンも多数存在して居る!』沙和子
【竜電軒ウ~ハン】は中華奉仕が居なく成ると、95%の確率で閉店の
波が押し寄せて潰れる可能性が在ります!』沙和子
【仮想音声ボイスレコ~ダ~が在ります!デジタル録音で再生します】
『おいっ!いつものにいちゃんはいないね!今日のチャ~ハンは
ベチョベチョだぜ!どうした!餃子がパリパリとしてね~ぜ』
『今日のラ~メンはやたらしょっぱいな!血圧が360を越えて
脳卒中間違いなしだぜ!血圧計が測定不能に成るぜ!想定外血圧に
成って金を払った途端にレジの前でぶっ倒れるぜ!』
『今日の鳥粥は微妙な塩加減で調理してね~な!胡麻かし油で調理
しているぜ!いつもの板前はどうした!』
『小籠包を注文したら肉まんが出て来たぜ!見分けが付かね~のか!』
『豚マンを注文したら鎖につないだ子豚二頭を前の席に座らせたぜ』
(ようこそ~)(いらっしゃいませ~)ミニブタ・AI音声
【時空を超越したミニブタ・デジタル音声再生】
『お父さん!悪い奴らの仲間だけどお父さんの臓器で更生して生きて
いける事を願って!中華奉仕に臓器提供を賛成しました!』由紀
『お父さん!中華奉仕が深く反省して更生の道を歩んで行く事を
信じて臓器移植に賛成しました!』葉子
『お父さん!今まで身を粉にして働いてくれて、ありがとうござい
ました!感謝しています!他人の体でもお父さんの臓器が力強く
生きて行けるのは素晴らしい事だと思います!中華奉仕と共に
一緒に生きて下さい!』沙和子
『お父さん!今まで皆の為に働いてくれてありがとうございました!
中華奉仕がお父さんの臓器に感謝しながら!生きて行く事を願って
臓器移植に賛成します!中華奉仕の体の中で生きて下さい!』勇一
『あなた!短い間でしたが色々とお世話に成りました!中華奉仕が
更生して命の尊さを胸に抱きながら生きて行く事を信じています!
兄弟で力を合わせて生きて行く事でしょう!中華奉仕の体の中から
応援して上げて下さい!臓器提供に賛成致します!ごめんなさい!
あなた!』久枝
『皆様ありがとうございます!中華奉仕さんも喜んで平山大地様の
臓器提供を受け取る事でしょう!』谷川義治・白川僧斎
【平山久枝・平山佐和子・平山勇一・平山葉子・平山由紀達の頬から
苦渋の涙がしたたり落ちていた】
【この全ての会話は脳死状態の大地には聞こえて居た!そして泣いた】
【葬儀は段取り良く進み手際良く終わった】
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】に到着した
『平山様ご遺体を【ハイブリッド超音速瞬間】焼き窯に挿入致します』
『平山久枝様!最後のお別れのご挨拶をお願いしたします!』
天草院美輪
『あなた!西方極楽浄土でゆっくり休んで下さい!残った私達家族を
末永く見守って下さい!あなたと一緒に暮らした日々は幸せそのもの
でした!私のわがままを嫌な顔一つせずに全て適えてくれました!
ありがとうございました!感謝の気持ちで一杯です!子供達も私と
同じ気持ちだと思います!永遠に添い遂げるつもりでした!
いつの日かまたお会いしましょう!名残惜しいです!あなた!』
【ハイブリッド超音速瞬間】焼き窯のボタンを押して下さい
『勇一様お願い致します!』天草院美輪
【ビッビィィイ~~ン!ビッビィィイ~~ン!】
【本日のご葬儀執り行いは全て終了しました!】天草院美輪
『改めて、平山大地様のご冥福をお祈り申し上げます!』
【黄泉の世界に澄むと言うお迎えの使者が大勢参っております!】
黄泉の世界に澄む【五千五百西方浄土霊法羅漢】(護衛羅漢)
【阿弥陀如来立像】【大日如来立像】【釈迦如来立像】三尊を
呼び出しましょう!天草院美輪
【五千五百西方浄土霊法羅漢】出現・整列した
【うお~っ!おお~っ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【うお~っ!おお~っ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!数珠を携え!】
【五千五百霊法羅漢!魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!】
【うお~っ!おお~っ!ザッザッザッザッ!ザッザッザッザッ!】
【ドッタッ!ドォ~ン】
【あっあ~~!むっむっ~!あなたっ!待って!】
『お母さん!お母さん!どうしたの!お母さん!』沙和子
『息をして居ない!心肺停止に成っている!』勇一
『お母さん!返事をしてお母さん!』葉子
『お母さん!行かないで!お母さん!』由紀
【天草院美輪さんこれは一体如何いう事なのでしょうか!】葉子
【黄泉の世界に澄む使者達と一緒に旅立たれました!】天草院美輪
【黄泉の世界に連れて行ったのは一体誰でしょうか!】由紀
【月光菩薩立像】【日光菩薩立像】【四天王立像】【弥勒菩薩立像】を
脇に従え
【阿弥陀如来立像】【大日如来立像】【釈迦如来立像】三尊が
黄金に光輝く光背に包まれ出現
【御自身の心の奥底に澄む魂が【五千五百西方浄土霊法羅漢】
を呼び寄せました』
【阿弥陀如来立像】【大日如来立像】【釈迦如来立像】三尊が
【五千五百西方浄土霊法羅漢】(護衛羅漢)と供に
【西方極楽浄土銀河の果てまで夫婦二人を導きます】
天草院美輪(死者の番人)
【魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!】
【魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!魔訶般若波羅密多!】
【エンディングテーマ曲が流れます】
【地上の星】歌手・中島みゆき
№2へ 続く
種子火
【この物語は全てフィクションです、登場する個人名・団体名は
この世に存在しません】
【登場人物】
【天草院美輪】主人公
【美里町ウエルダン追い炊き火葬場】焼き窯担当火着け専務
【名越秀登】【花畑天国ポックリ葬儀社】勤務会社員・部長
【内山秀彦】【花畑天国ポックリ葬儀社】派遣社員・お通夜担当
【立石正孝】立石内科院長
【杉山コーディネーター】立石内科勤務
【高田富三郎】夫 【高田ひろみ】妻
【高田雄一郎】長男 【高田美和子】長女【高田幸子】次女
【高田明】美和子の子供・5歳
【井上班長】美里町関一般町民
【岡島達友】岡島医院の院長 【坂町受付嬢】
【山本看護師】岡島医院勤務
【松山義春】岡島医院勤務・コーディネーター
【佐藤宗智】岡島医院・臓器移植助手
【坂上健司】夫 【坂上智子】妻
【坂上良太】長男 【坂上嬉子】長女 【坂上恵子】次女
【西沢静江】健司の同僚
【東口交番勤務のお巡りさん】
【山際光一】救急隊員
【加藤菊男】夫 【加藤正子】妻 【加藤光男】長男
【加藤真知子】長女【加藤涼子】次女【加藤麻子】三女
【山本孝子】加藤菊男の愛人 【山本碧】娘・0歳
【国生敦夫】院長 【床田邦夫】脳神経内科院長
【内山田清】内山田外科院長 【関口ひろこ】看護師
【佐川友三】内山田外科病院コーディネーター
【野口三郎】内山田外科病院・臓器移植助手
【カギ屋北斎】本庄ロックサービス経営
【金持玲子】りそな銀行本庄支店・総合案内受付係
【皆藤宗道】りそな銀行本庄支店長
【伊藤若冲】東京芸大講師・平谷郁夫の恩師
【平谷郁夫】伊藤若冲の2番弟子・東京芸大卒
【種基愛子】種基本物産婦人科・泌尿器科院長
【園山妙子】種基本物産婦人科・助産師
【相沢三千子】種基本物産婦人科・看護師
【尻餅顕一】尻餅外科病院院長
【谷川義治】尻餅外科病院・コーディネーター
【白川僧斎】尻餅外科病院・メディエーター(いいくるめ)
【山川春樹】本庄救急外科・内科病院院長
【大沢裕児】救急隊員
【中村安代】看護師 【町田知子】看護師
【松本妙子】看護師
【中華飯都】竜電軒ウ~ハン経営・兄
【中華奉仕】竜電軒ウ~ハン経営・弟
【鮫島克典】本庄警察署・警部補
【岡本達夫】本庄警察署・警部補
【須田昭男】本庄警察署・映像分析班所属
【坂口巻男】本庄警察署・ランボ~巡査長
【井上幸男】薬物探知犬専任ハンドラー
【ミッキー】薬物探知犬・ビーグルお利口犬・好物スペアリブ
【平山大地】夫 【平山久枝】妻
【平山沙和子】長女【平山勇一】長男【平山葉子】次女
【平山由紀】三女
【山口友也】【坂本正夫】薬物中毒依存症患者