【連載版はじめました!】俺だけステータスオープンできる件~ごみスキル【開く】のせいで実家を追放されたが、ステータス確認できる俺はチートスキルもS級アイテムも選び放題で気づけば世界最強
連載版、はじめました!
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「これより【鑑定の儀】を執り行う。呼ばれたものは前に出よ」
王都に存在する教会。
祭壇の前にたつのは、白いひげを蓄えた老神父。
彼の前には俺と同じく、今年で15歳になる子供たちが集められていた。
鑑定の儀に参加するためだ。
鑑定の儀。15歳になると、王国民ならだれもがこの儀式を受け、そして天より【職業スキル】を授かる。
職業スキルとは、誰もが一つは授かる特殊な能力のようなもの。
たとえば、剣士の職業を得ると、その日から剣を自由自在に扱えるようになる。
魔法使いの職業なら訓練せずとも魔法が使用可能となるし、騎士なら体が頑丈になる。
それゆえ、この儀式で授かる職業スキルの結果が、人生を大きく影響を与える。
俺……【ヒラク・マトー】は、剣の名門マトー家に生まれた長男だ。
マトー家は代々、この鑑定の儀で【剣聖】の職業スキルを授かってきた家系である。
「いよいよだな、ヒラク。お前には期待してるぞ」
「はい、父上……」
俺の隣には禿頭の男が立ってる。
【トザース・マトー】。俺の父であり、現マトー家の当主だ。
「なんだ緊張してるのか? なに、問題はない。なにせおまえはわたしの息子! 必ずや剣聖を引き当てるだろう。100%、確実に!」
「……この世に100%確実なものなんて、ありはしませんよ、父上」
父は剣聖のスキルを所有しており、当然、その息子にもそのスキルが発現するものだと、公言しまくってる。
だが、スキルは遺伝されるものではないのだ。
「……ちっ、ヒラクばっかり、期待されやがって……むかつくんだよ」
俺の左隣には、俺よりちょっと背の低い少年が立っている。
彼は、【ジメル・マトー】。
双子の弟だ。ただ、俺のほうが先に産婆に取り上げてもらった関係で、俺のほうが兄、ジメルが弟となった。
「ジメル。父上はおまえにも期待してる」
「うるせえよ、ヒラク! ちょっと先に取り上げられただけで兄貴面すんじゃねえよ! カスが!」
このように弟との仲はあまりよくない。
父が俺に過剰な期待を寄せることで、ジメルの自尊心を傷つけていたからだ。
完全に俺のせいではないが、間接的に、俺という存在がジメルを傷つけていた。
申し訳ない、という気持ちがある。
「次、マトー家の長男。ヒラク・マトー。前へ」
いよいよ俺の番になった。
俺は祭壇の前へと移動する。父は大丈夫とはいうが、この世に確実なんてものは存在しないと思う。
スキルに関する文献を漁ってみたことあるが、職業スキルが遺伝される確率は、確かに高いかもしれないけど、しかし100%ではないのだ。
……もしも剣聖を引けなかったら?
父からの期待は失望へと変わる。
……ダメだったら……いや、もう恐れてても結果は変わらないのだ。
俺は今日まで、勉学や剣の稽古にまじめに撃ち込んできた。
きっと天地創造の女神さまは、俺のことを評価して、俺にスキルを与えてくれるはず。
「さぁ、ヒラク・マトー。この水晶に手を乗せるのだ。さすれば、ここにそなたの授かった職業スキルが表示されるだろう」
「はい、わかりました」
結果はもう決まってる。そうわかってても、知るのが怖くて、触れるのに躊躇してしまう。
ええい、ままよ。
俺は水晶玉に触れる。
すると、玉が七色に輝く。
「おおお! なんと美しい光! きっと素晴らしいスキルをさずがったに違いない! さすが我が息子、ヒラク・マトー!」
別に光が七色だからすごいというわけではない。
まあ確かに、同じように鑑定を受けた子供たちのときは、こんな色で水晶玉が輝いてなかったけども。
ほどなくして、光が収まる。
老神父は結果を読み上げる。
「ヒラク・マトー。職業スキルは……ひ、【開】?」
「…………は? 【開】……?」
な、なんだそれは……?
聞いたことがない。俺は家にあった、スキル図鑑を読んだことがある。
【開】なんてスキル、乗ってなかったぞ……?
それは老神父も同様らしく、困惑してる様子だ。
「な、なんじゃ【開】とは?」
「おい聞いたことあるか?」「な、ない……」
「まさか、はずれスキルか……?」
どくん! と心臓が体に悪い跳ね方をした。
はずれスキル。スキルにも、発揮する能力によって、優劣というものが存在するのだ。
……【開】。それが、どんな効果なのかは、不明だ。
名前から察するに、何かを開く力なのか?
「ぎゃは! ぎゃははははは! 聞きましたか父上ぇ! ヒラクのやつ、はずれを引きましたよぉおおおお!」
振り返ると、弟のジメルが勝ち誇った笑みを浮かべていた。
……俺が剣聖を引けなかったことがそんなにうれしいのか? いや、うれしいんだろう。
「【開】って! あれですよぉ? ドアとか窓を開くだけのクズ能力に決まってらぁ!」
「剣聖の息子が? 開だけの力を……」「なんとも……それは……」
ジメルは喜び、周りの人たちも俺がはずれをひいたと思ってるらしい。
「ま、待ってください。まだ、ドアや窓を開くだけのスキルとは決まって……」
「うるさい! だまれ!」
「父上……」
父が怒りで顔を真っ赤にしながら、俺の胸ぐらをつかんできた。
「この出来損ないめ! わたしがおまえに期待してやってたのに! その期待を裏切りよって! ゴミ! カス! 死ね! 死ね!」
「す、すみませ……」
そのときだ。
おおお! と歓声が周りから上がる。
なんだ?
祭壇の前には、弟のジメルがいる。
「す、すごいですぞジメル・マトー。あなたの職業は大剣聖! 剣聖の、上位互換スキルでございます!」
ジメルが剣聖のさらに上を行くスキルを引いた。
父はそれがうれしかったのか、満面の笑みを浮かべると、俺を投げ捨てて、弟のほうへとかけよっていく。
「素晴らしいぞジメルぅ! おまえのおかげで家のメンツは保たれた! 本当によくやったぞ!」
「ありがとうございます、父上!」
父がジメルの頭をなでる。
弟は俺を見て嘲る。
「ところで父上ぇ、そこのはずれのクズは、どうしますかぁ?」
ああ、ついに来たかこのときが。
【開】を引いた瞬間、俺は自分の運命を悟っていた。職業が人生を決める世界だ。
はずれの職業を引いた俺に待ってるのは……。
「ヒラク。おまえはもうこの家には不要な人間だ。出ていけ。二度とわたしたちの前に姿を見せるな。このはずれスキル持ちのごみめが!」
☆
王都の神殿にて、俺は父上から追放を言い渡された。
今すぐ出ていけ……そう言われた俺だが、いったん屋敷に戻った。
俺にやさしくしてくれた使用人たちに、一言お別れを言いたかったのだ。
けれど……。
『話しかけないでください』『さっさと消えろカス』『あーあ、今まで仲良くしてやってたのに無駄になったなぁ』
……使用人たちは、俺が実家追放になったと聞いたとたんに罵声を浴びせてきた。
俺は、理解した。所詮俺は、マトー家の長男だから、次期党首最有力だったから、みんなからチヤホヤされてたのだと。
「厳しいな、現実とは……」
何の理由もなく人から好かれるわけがないのだ。それが現実だ。しかたない。
でも、ちょっと……いやかなり堪えたな。
「これから……どうするか」
俺の持ち物は訓練用の鉄の剣、そして儀式に参加するために着させられていた礼服。以上。
私物を持ち出すまえに、使用人たちからたたき出されてしまった。
多分もう俺はマトー家の人間ではないからだろう。
持ち出せば窃盗になるしな。
「とりあえず、王都から近い街を目指そう。人がいる場所なら仕事もあるやもしれん」
生きていく以上、金が要る。
俺ははずれスキルの烙印を押されたからといって、死ぬつもりはなかった。
親、そして周りの優しかった人たちからののしられて、つらい気持ちにはなったけども。
それでも、死んでやるつもりはない。
ということで、俺は王都をし出発、徒歩で街を目指していたのだが……。
「ガウゥウウウウウウウ!」
「ふむ。……あれは灰狼か」
魔物だ。町の外には普通に魔物がうろついてる。
本で読んだ知識によると、たしかDランクの魔物だろう。
「ガオォオオオオオオオオオン!」
灰狼が突っ込んでくる。
だが俺は冷静に、訓練用の剣を抜いて構えた。
剣聖の家で、俺は何もしなかったわけではない。
「はあ!!!!!!」
ざしゅっ!
俺が放った斬撃は、灰狼を縦に真っ二つにした。
剣聖の家で15年も厳しい訓練を受けたのだ。
D程度の魔物一匹位なら、スキルがなくても倒せる。
もっとも、複数体で襲ってこられると、さすが対応はできないだろうが。
魔物が死ぬと、紫色の煙となって、その場に1枚のぼろい毛皮と、そして小さな結晶が出現した。
動物と違って、魔物は死ぬとその場にアイテムを残す。
これをドロップアイテムという。
「低ランクの魔石に……これは灰狼の毛皮かな」
ドロップアイテムは、ギルドへ行くと買い取ってもらえる。
そこには【真実の目】という、ランクを調べる魔道具があり、アイテムのランクを鑑定してくれる。
かつてこの世界には鑑定スキルを持った人間が存在したけれど、今はいないんだよな。
「これも貴重な財源だ。回収しておこう」
おそらくそんなに高くは売れないだろうが。
と、そのときである。
「きゃあああ!」
女の悲鳴が遠くから聞こえてきた。
俺は声のするほうを見やる。
「! 女の子が、魔物に襲われてる……」
女の子が複数体の灰狼に囲まれていた。
状況を確認した俺は……。
すぐさま、助太刀へと向かっていた。
……人によっては、他人を助ける義理などないというだろう。
だが、俺は行く。
人より多くを与えられた生まれた人間は、弱きものを助ける義務がある。
ノブレス・オブリージュ。
俺はもう家を追い出されたけど、その考え方を捨てるつもりはない。
「伏せろ!」
「は、はい!」
「ぜやあ!」
俺は斬撃を近くの灰狼にお見舞いする。
一匹は奇襲で倒すことができた。
だが灰狼は俺に気づくと警戒心をあらわにし、複数体で俺たちを取り囲んできた。
戦いにとって数は勝敗を決める重要なファクターだと、本に書いてあった。
こちらは二人。相手は、10。
さすがに分が悪い。
「あ、あの! 逃げてください! 私なんておいて……」
「馬鹿を言うな。君を置いて一人逃げるわけにはいかない」
髪の長い(というか髪の毛を切ってない)女の子が、潤んだ目を俺に向ける。
彼女はぼろ衣同然の服に身を包み、かばんはおろか武器すら持ち合わせていない。
どう見ても戦う力も逃げる力もない子だ。
俺が守らねば。力あるものとして。
「こい!」
「グラァアアア!」
ざしゅ! ざしゅ! ざしゅ!
「す、すごい! 一気に3体の灰狼を倒しちゃうなんて!」
どがっ!
「ぐっ!」
背後から灰狼に突進されて、俺は地面に倒れてしまう。
その際に剣を手放してしまった。
「くそ!」
すぐに起き上がろうとしたのだが、灰狼の1匹が俺に襲い掛かってくる。
俺はとっさに利き腕ではない、左腕を前に突き出す。
がぶっ!
「っつぅう! だが……くらえ!」
どが!
俺は灰狼の横っ面を殴ってやった。
灰狼はぶっ飛んでいく。
くそ、左腕が……やられた。
患部を手で押さえるも、血がとめどなくあふれ出てくる。
「グルルウ……」「ガルゥウ……」
「くそ……万事休す、か」
剣は割と遠くに落ちている。
拾いに行ってる間に灰狼たちが襲い掛かってくるだろう。
そして左腕は負傷している状態。
これで残り7体の灰狼と戦うなんて、無理だ。追い詰められた俺は……。
「こうなったら……いちかばちかだ。【開】」
俺は腕を押さえた状態で、【開】を発動した。
それで何ができるかわらかない。
だが、女神さまが俺たち人間に、この世界を生きるために授けてくださった力だ。
きっと、周りが思うような、はずれじゃあないはず……。
そのときだった。
目の前に、半透明な窓が突如として開いたのだ。
「! これは……」
~~~~~~~
ヒラク・マトー(15)
体力 10/100
魔力 100/100
SP 100
【職業】
開
【所有スキル】
・ステータス操作(SSS)
・アイテムボックス(SSS)
・最上級・鑑定(SSS)
・最上級・氷属性魔法(SSS)
・中級・剣術(C)
~~~~~~~
「なん、だ……?」
これはなんだ?
なんだこれは?
さすがに、わけがわからんぞ……。
いきなり出てきた文字の羅列。
それを理解してる時間は、ない。
だが俺の目は、所有スキルの文字をとらえていた。
所有……スキル。スキルとは職業スキルのことじゃあないのか?
いや、今はどうでもいい。
問題はスキルを所有してるということ。
俺は右手を前に出す。
「【氷槍連射】!」
俺の家にはたくさんの本が所蔵されていた。
その中には魔法に関する本もあった。
氷槍連射。
上級・氷属性魔法。その効果は、大気中の水分を凍らせ、氷の槍を照射するというもので……。
ドガガガガガガガガガガガガ!
まさに、今目の前で起きてる現象のことだった。
「す、すごいです……灰狼を一瞬で全滅させるなんて……」
目の前には灰狼の死体が転がっている。
俺が、やったのか? 魔法が使えた……おかしい。
俺は魔法使いの職業スキルを所有していなかったのに……どうして?
~~~~~~
■灰狼 (10)のドロップアイテム一覧
選択してください
・魔石(E)×10
・毛皮(E)×10
・灰狼の大毛皮(D)×5
・灰狼の牙(D)×5
・灰狼の大牙(C)×2
・狼王の肝(S)×1
~~~~~~
「なん……だと……」
俺の前にまた半透明の窓が出現した。
そこには、ドロップアイテムを選べと書いてる。
「選ぶ? 馬鹿な……ドロップアイテムは、ランダムだろう? 選べるはずが……」
「あ、あのぉ……どうしたんですか? 虚空なんて見つめて」
「! 君は、これが見えないのか?」
俺はこの半透明な窓を指さす。
こくん、と女の子がうなずいた。
「どうなってる……」
正直この半透明な窓が現れてから、次から次へと知らないことが襲ってくる。
だが、不思議と嫌な気持ちにはならない。ワクワクしてるのか、俺は。
「…………」
俺は、とりあえず選べといわれてるので、一番ランクの高い、灰狼の肝を選択。
まさか、Sランクのアイテムが出現するなんてことは……。
ぼふんっ、と窓が消えて、俺の手のひらには、生物の肝が出現した。
「! これは……まさか……ドロップアイテムを、自分で好きに選べるってことなのか?」
☆
俺が助けた少女は、ぺこりと頭を下げてきた。
「私はミュセルと申します。危ないところを助けてくださり、ありがとうございました!」
ミュセルと名乗った少女を、改めて見る。
身長は俺よりやや低いくらい、160だろうか。でも女にしては背が高い気がする。
それに胸も尻もかなり大きい。
また、顔の作りも整っている。翡翠の瞳は宝石のようにきれいだし、流れるような金髪はまるで絹のよう。
正直かなりの美少女だ。
なぜこんな貧相な身なりで一人歩いてるのかさっぱりわからない。
「っ! 君は、奴隷なのか?」
「そのとおりです。ええと……名前をうかがっても?」
「俺か? 俺はヒラク・マトー」
「ヒラク……マトー!? あの剣聖のマトー家のおかたがどうして!?」
「鑑定の儀ではずれを引いてしまい、家を追われてしまってね」
「そう、なんですか……」
脳裏に、屋敷での出来事がよぎっていく。
俺にやさしくしてくれてた人たちは、みな、俺がはずれだと知ると冷たい態度をとってきた……。
「ぐす……」
「え?」
「ひどい……こんなにもお優しいかたを、たかがスキルがはずれだからといって、追放するなんて……」
ミュセルは俺のために涙を流してくれていた。
そんな姿を見て、俺はうれしかった。
現実は厳しい。
だが、そう決めつけるのは早計だったかもしれない。
「ありがとう、ミュセル。それで君は? どうしてここに一人で?」
「私は王都で売られていた奴隷です。王都から別の街への移送中に、さっきの魔物に襲われたのです」
灰狼たちによって、ミュセルを乗せた馬車が横転。
御者、そして同乗していた奴隷たちもみんな死んだ。
残ったのは彼女一人、ということらしい。
「しかし解せないな。こんなにも美しいのに、奴隷に落ちるだなんて」
「あ、あう……ありがとうございます……」
「? どうしたのだ、ミュセル?」
「きれいだなんて、初めて言われたものでして……」
おかしな話だ。
こんなにきれいなのに、初めてだって?
と、そこで俺は気づいた。
ミュセルの側頭部から、とがった耳がのぞいていることに。
エルフ、いや、これは……。
「君はハーフエルフなんだね」
「そのとおりです。さすが、マトー家の長男。ご慧眼であられます」
この世界ではハーフエルフは差別の対象になってる。
なるほど、ミュセルがいかにきれいだろうと、ハーフエルフならば、その見た目の美しさを正当に評価してもらえなくなるものだしな。
「馬鹿げた話だ。ミュセルはこんなにも美しいのに」
「あ、あの……どうして私にやさしくするのですか? 私はハーフエルフですよ?」
「俺は常々思っていたのだ。ハーフエルフを差別するのは、馬鹿らしいって」
俺は本が好きだ。
ハーフエルフが嫌われているのは、かつてハーフエルフの魔女が世界を滅ぼそうとしたから、という歴史があるから。
だが、くだらない。
悪いのは世界を滅ぼそうとしたそいつであって、ミュセルやほかのハーフエルフは悪くないではないか。
と思っていたので、俺はミュセルを差別しないことにしたのだ。
「なんて……お優しいお方……うう……こんなにやさしくしてくれたのは、あなた様が初めてです……」
「ところで君はこれからどうする?」
こんなところに婦女子を一人置いて、街へ行くわけにはいかない。
「たしか、奴隷の現在の持ち主が死んだら、拾ったものの所有物になる、だったな、法律では」
「そのとおりです。そして、お願いです、ヒラク様! どうか私を、あなた様の奴隷にさせてください!」
ミュセルが深々と頭を下げる。
奴隷は、元の主が死んでも、解放されるわけではない。(自分の死んだ後に解放すると事前に決めておくことはできる)。
前の主人が死んだ以上、次に彼女を拾った人間が所有者となる権利を得る。
「本当に俺でいいのか? 俺は家を追われた人間だぞ?」
「マトー家は関係ありません。慈悲深い、あなた様に仕えたいのでございます」
……ここで拒めば、次どんなやつに彼女が拾われるかわからない。
ハーフエルフだが、ミュセルはスタイルのいい美人だ。彼女の体目当てでひろって、ひどいことをする輩がでてくるやもしれない。
ならば、俺が先に拾ってあげたほうがいいか。
それにちょうど、俺も一人で旅をするのに少し不安だったところもある。
しかも都合がいいことに、奴隷なら主人の命令を絶対順守してくれる。ならば、俺の持つこの謎の【開】のことについても、他言しないだろう。
「わかった。よろしく頼む、ミュセル」
「はい! 末永く、よろしくお願いいたします、ヒラク様!」
こうして俺は途中で拾った奴隷のハーフエルフとともに旅立つことになった。
父に追放を言い渡されたときは不安だった。
しかしはずれスキルとされていた【開】が、どうやらとんでもなく凄いものであるようなので、先行きは思ったより悪くないのだろうと、俺は思うのだった。
【☆★大切なお知らせ★☆】
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