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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【連載版はじめました!】俺だけステータスオープンできる件~ごみスキル【開く】のせいで実家を追放されたが、ステータス確認できる俺はチートスキルもS級アイテムも選び放題で気づけば世界最強

作者: 茨木野

連載版、はじめました!

https://ncode.syosetu.com/n9203ii/


短編版の続きも投稿されてます!

よろしければ、↑のリンクから飛んでみてください!

「これより【鑑定の儀】を執り行う。呼ばれたものは前に出よ」


 王都に存在する教会。

 祭壇の前にたつのは、白いひげを蓄えた老神父。


 彼の前には俺と同じく、今年で15歳になる子供たちが集められていた。

 鑑定の儀に参加するためだ。


 鑑定の儀。15歳になると、王国民ならだれもがこの儀式を受け、そして天より【職業スキル】を授かる。


 職業スキルとは、誰もが一つは授かる特殊な能力のようなもの。

 たとえば、剣士の職業を得ると、その日から剣を自由自在に扱えるようになる。


 魔法使いの職業なら訓練せずとも魔法が使用可能となるし、騎士なら体が頑丈になる。

 それゆえ、この儀式で授かる職業スキルの結果が、人生を大きく影響を与える。


 俺……【ヒラク・マトー】は、剣の名門マトー家に生まれた長男だ。

 マトー家は代々、この鑑定の儀で【剣聖】の職業スキルを授かってきた家系である。


「いよいよだな、ヒラク。お前には期待してるぞ」

「はい、父上……」


 俺の隣には禿頭の男が立ってる。

【トザース・マトー】。俺の父であり、現マトー家の当主だ。


「なんだ緊張してるのか? なに、問題はない。なにせおまえはわたしの息子! 必ずや剣聖を引き当てるだろう。100%、確実に!」

「……この世に100%確実なものなんて、ありはしませんよ、父上」


 父は剣聖のスキルを所有しており、当然、その息子にもそのスキルが発現するものだと、公言しまくってる。

だが、スキルは遺伝されるものではないのだ。


「……ちっ、ヒラクばっかり、期待されやがって……むかつくんだよ」


 俺の左隣には、俺よりちょっと背の低い少年が立っている。

 彼は、【ジメル・マトー】。


 双子の弟だ。ただ、俺のほうが先に産婆に取り上げてもらった関係で、俺のほうが兄、ジメルが弟となった。


「ジメル。父上はおまえにも期待してる」

「うるせえよ、ヒラク! ちょっと先に取り上げられただけで兄貴面すんじゃねえよ! カスが!」


 このように弟との仲はあまりよくない。

 父が俺に過剰な期待を寄せることで、ジメルの自尊心を傷つけていたからだ。


 完全に俺のせいではないが、間接的に、俺という存在がジメルを傷つけていた。

 申し訳ない、という気持ちがある。


「次、マトー家の長男。ヒラク・マトー。前へ」


 いよいよ俺の番になった。

 俺は祭壇の前へと移動する。父は大丈夫とはいうが、この世に確実なんてものは存在しないと思う。


 スキルに関する文献を漁ってみたことあるが、職業スキルが遺伝される確率は、確かに高いかもしれないけど、しかし100%ではないのだ。

 ……もしも剣聖を引けなかったら?


 父からの期待は失望へと変わる。

 ……ダメだったら……いや、もう恐れてても結果は変わらないのだ。


 俺は今日まで、勉学や剣の稽古にまじめに撃ち込んできた。

 きっと天地創造の女神さまは、俺のことを評価して、俺にスキルを与えてくれるはず。


「さぁ、ヒラク・マトー。この水晶に手を乗せるのだ。さすれば、ここにそなたの授かった職業スキルが表示されるだろう」

「はい、わかりました」


 結果はもう決まってる。そうわかってても、知るのが怖くて、触れるのに躊躇してしまう。

 ええい、ままよ。


 俺は水晶玉に触れる。

 すると、玉が七色に輝く。


「おおお! なんと美しい光! きっと素晴らしいスキルをさずがったに違いない! さすが我が息子、ヒラク・マトー!」


 別に光が七色だからすごいというわけではない。

 まあ確かに、同じように鑑定を受けた子供たちのときは、こんな色で水晶玉が輝いてなかったけども。


 ほどなくして、光が収まる。

 老神父は結果を読み上げる。


「ヒラク・マトー。職業スキルは……ひ、【ヒラクモノ】?」

「…………は? 【ヒラクモノ】……?」


 な、なんだそれは……?

 聞いたことがない。俺は家にあった、スキル図鑑を読んだことがある。


【開】なんてスキル、乗ってなかったぞ……?

 それは老神父も同様らしく、困惑してる様子だ。


「な、なんじゃ【ヒラクモノ】とは?」

「おい聞いたことあるか?」「な、ない……」

「まさか、はずれスキルか……?」


 どくん! と心臓が体に悪い跳ね方をした。

 はずれスキル。スキルにも、発揮する能力によって、優劣というものが存在するのだ。


 ……【開】。それが、どんな効果なのかは、不明だ。

 名前から察するに、何かを開く力なのか?


「ぎゃは! ぎゃははははは! 聞きましたか父上ぇ! ヒラクのやつ、はずれを引きましたよぉおおおお!」


 振り返ると、弟のジメルが勝ち誇った笑みを浮かべていた。

 ……俺が剣聖を引けなかったことがそんなにうれしいのか? いや、うれしいんだろう。


「【開】って! あれですよぉ? ドアとか窓を開くだけのクズ能力に決まってらぁ!」

「剣聖の息子が? 開だけの力を……」「なんとも……それは……」


 ジメルは喜び、周りの人たちも俺がはずれをひいたと思ってるらしい。


「ま、待ってください。まだ、ドアや窓を開くだけのスキルとは決まって……」

「うるさい! だまれ!」

「父上……」


 父が怒りで顔を真っ赤にしながら、俺の胸ぐらをつかんできた。


「この出来損ないめ! わたしがおまえに期待してやってたのに! その期待を裏切りよって! ゴミ! カス! 死ね! 死ね!」

「す、すみませ……」


 そのときだ。

 おおお! と歓声が周りから上がる。


 なんだ?

 祭壇の前には、弟のジメルがいる。


「す、すごいですぞジメル・マトー。あなたの職業は大剣聖! 剣聖の、上位互換スキルでございます!」


 ジメルが剣聖のさらに上を行くスキルを引いた。

 父はそれがうれしかったのか、満面の笑みを浮かべると、俺を投げ捨てて、弟のほうへとかけよっていく。


「素晴らしいぞジメルぅ! おまえのおかげで家のメンツは保たれた! 本当によくやったぞ!」

「ありがとうございます、父上!」


 父がジメルの頭をなでる。

 弟は俺を見て嘲る。


「ところで父上ぇ、そこのはずれのクズは、どうしますかぁ?」


 ああ、ついに来たかこのときが。

【開】を引いた瞬間、俺は自分の運命を悟っていた。職業が人生を決める世界だ。


 はずれの職業を引いた俺に待ってるのは……。


「ヒラク。おまえはもうこの家には不要な人間だ。出ていけ。二度とわたしたちの前に姿を見せるな。このはずれスキル持ちのごみめが!」


    ☆



 王都の神殿にて、俺は父上から追放を言い渡された。

 今すぐ出ていけ……そう言われた俺だが、いったん屋敷に戻った。


 俺にやさしくしてくれた使用人たちに、一言お別れを言いたかったのだ。

 けれど……。


『話しかけないでください』『さっさと消えろカス』『あーあ、今まで仲良くしてやってたのに無駄になったなぁ』


 ……使用人たちは、俺が実家追放になったと聞いたとたんに罵声を浴びせてきた。

 俺は、理解した。所詮俺は、マトー家の長男だから、次期党首最有力だったから、みんなからチヤホヤされてたのだと。


「厳しいな、現実とは……」


何の理由もなく人から好かれるわけがないのだ。それが現実だ。しかたない。

でも、ちょっと……いやかなり堪えたな。


「これから……どうするか」


 俺の持ち物は訓練用の鉄の剣、そして儀式に参加するために着させられていた礼服。以上。

 私物を持ち出すまえに、使用人たちからたたき出されてしまった。


 多分もう俺はマトー家の人間ではないからだろう。

 持ち出せば窃盗になるしな。


「とりあえず、王都から近い街を目指そう。人がいる場所なら仕事もあるやもしれん」


 生きていく以上、金が要る。

 俺ははずれスキルの烙印を押されたからといって、死ぬつもりはなかった。


 親、そして周りの優しかった人たちからののしられて、つらい気持ちにはなったけども。

 それでも、死んでやるつもりはない。


 ということで、俺は王都をし出発、徒歩で街を目指していたのだが……。


「ガウゥウウウウウウウ!」

「ふむ。……あれは灰狼グレーハウンドか」


 魔物だ。町の外には普通に魔物がうろついてる。

 本で読んだ知識によると、たしかDランクの魔物だろう。


「ガオォオオオオオオオオオン!」


 灰狼が突っ込んでくる。

 だが俺は冷静に、訓練用の剣を抜いて構えた。


 剣聖の家で、俺は何もしなかったわけではない。


「はあ!!!!!!」


 ざしゅっ!

 俺が放った斬撃は、灰狼を縦に真っ二つにした。


 剣聖の家で15年も厳しい訓練を受けたのだ。

 D程度の魔物一匹位なら、スキルがなくても倒せる。


 もっとも、複数体で襲ってこられると、さすが対応はできないだろうが。

 魔物が死ぬと、紫色の煙となって、その場に1枚のぼろい毛皮と、そして小さな結晶が出現した。


 動物と違って、魔物は死ぬとその場にアイテムを残す。

 これをドロップアイテムという。


「低ランクの魔石に……これは灰狼の毛皮かな」


 ドロップアイテムは、ギルドへ行くと買い取ってもらえる。

 そこには【真実の目】という、ランクを調べる魔道具マジックアイテムがあり、アイテムのランクを鑑定してくれる。


 かつてこの世界には鑑定スキルを持った人間が存在したけれど、今はいないんだよな。


「これも貴重な財源だ。回収しておこう」


 おそらくそんなに高くは売れないだろうが。

 と、そのときである。


「きゃあああ!」


 女の悲鳴が遠くから聞こえてきた。

 俺は声のするほうを見やる。


「! 女の子が、魔物に襲われてる……」


 女の子が複数体の灰狼に囲まれていた。 

 状況を確認した俺は……。


 すぐさま、助太刀へと向かっていた。

 ……人によっては、他人を助ける義理などないというだろう。


 だが、俺は行く。

 人より多くを与えられた生まれた人間は、弱きものを助ける義務がある。


 ノブレス・オブリージュ。

 俺はもう家を追い出されたけど、その考え方を捨てるつもりはない。


「伏せろ!」

「は、はい!」

「ぜやあ!」


 俺は斬撃を近くの灰狼にお見舞いする。

 一匹は奇襲で倒すことができた。


 だが灰狼は俺に気づくと警戒心をあらわにし、複数体で俺たちを取り囲んできた。

 戦いにとって数は勝敗を決める重要なファクターだと、本に書いてあった。


 こちらは二人。相手は、10。

 さすがに分が悪い。


「あ、あの! 逃げてください! 私なんておいて……」

「馬鹿を言うな。君を置いて一人逃げるわけにはいかない」


 髪の長い(というか髪の毛を切ってない)女の子が、潤んだ目を俺に向ける。

 彼女はぼろ衣同然の服に身を包み、かばんはおろか武器すら持ち合わせていない。


 どう見ても戦う力も逃げる力もない子だ。

 俺が守らねば。力あるものとして。


「こい!」

「グラァアアア!」


 ざしゅ! ざしゅ! ざしゅ!


「す、すごい! 一気に3体の灰狼を倒しちゃうなんて!」


 どがっ!


「ぐっ!」


 背後から灰狼に突進されて、俺は地面に倒れてしまう。

 その際に剣を手放してしまった。


「くそ!」


 すぐに起き上がろうとしたのだが、灰狼の1匹が俺に襲い掛かってくる。

 俺はとっさに利き腕ではない、左腕を前に突き出す。


 がぶっ!


「っつぅう! だが……くらえ!」


 どが!

 俺は灰狼の横っ面を殴ってやった。

 

 灰狼はぶっ飛んでいく。

 くそ、左腕が……やられた。


 患部を手で押さえるも、血がとめどなくあふれ出てくる。


「グルルウ……」「ガルゥウ……」

「くそ……万事休す、か」


 剣は割と遠くに落ちている。

 拾いに行ってる間に灰狼たちが襲い掛かってくるだろう。


 そして左腕は負傷している状態。

 これで残り7体の灰狼と戦うなんて、無理だ。追い詰められた俺は……。


「こうなったら……いちかばちかだ。【ヒラクモノ】」


 俺は腕を押さえた状態で、【開】を発動した。

 それで何ができるかわらかない。


 だが、女神さまが俺たち人間に、この世界を生きるために授けてくださった力だ。

 きっと、周りが思うような、はずれじゃあないはず……。


 そのときだった。

 目の前に、半透明な窓が突如として開いたのだ。


「! これは……」


~~~~~~~

ヒラク・マトー(15)

体力 10/100

魔力 100/100

SP 100

【職業】

ヒラクモノ


【所有スキル】

・ステータス操作(SSS)

・アイテムボックス(SSS)

・最上級・鑑定(SSS)

・最上級・氷属性魔法(SSS)

・中級・剣術(C)

~~~~~~~


「なん、だ……?」


 これはなんだ?

 なんだこれは?

 さすがに、わけがわからんぞ……。


 いきなり出てきた文字の羅列。

 それを理解してる時間は、ない。


 だが俺の目は、所有スキルの文字をとらえていた。

 所有……スキル。スキルとは職業スキルのことじゃあないのか?


 いや、今はどうでもいい。

 問題はスキルを所有してるということ。


 俺は右手を前に出す。


「【氷槍連射フリーズ・ランサー】!」


 俺の家にはたくさんの本が所蔵されていた。

 その中には魔法に関する本もあった。


 氷槍連射フリーズ・ランサー

 上級・氷属性魔法。その効果は、大気中の水分を凍らせ、氷の槍を照射するというもので……。


 ドガガガガガガガガガガガガ!

 まさに、今目の前で起きてる現象のことだった。


「す、すごいです……灰狼を一瞬で全滅させるなんて……」


 目の前には灰狼の死体が転がっている。

 俺が、やったのか? 魔法が使えた……おかしい。


 俺は魔法使いの職業スキルを所有していなかったのに……どうして?


~~~~~~

■灰狼 (10)のドロップアイテム一覧

選択してください

・魔石(E)×10

・毛皮(E)×10

・灰狼の大毛皮(D)×5

・灰狼の牙(D)×5

・灰狼の大牙(C)×2

・狼王の肝(S)×1

~~~~~~


「なん……だと……」


 俺の前にまた半透明の窓が出現した。

 そこには、ドロップアイテムを選べと書いてる。


「選ぶ? 馬鹿な……ドロップアイテムは、ランダムだろう? 選べるはずが……」

「あ、あのぉ……どうしたんですか? 虚空なんて見つめて」

「! 君は、これが見えないのか?」


 俺はこの半透明な窓を指さす。

 こくん、と女の子がうなずいた。


「どうなってる……」


 正直この半透明な窓が現れてから、次から次へと知らないことが襲ってくる。

 だが、不思議と嫌な気持ちにはならない。ワクワクしてるのか、俺は。


「…………」


 俺は、とりあえず選べといわれてるので、一番ランクの高い、灰狼の肝を選択。

 まさか、Sランクのアイテムが出現するなんてことは……。


 ぼふんっ、と窓が消えて、俺の手のひらには、生物の肝が出現した。


「! これは……まさか……ドロップアイテムを、自分で好きに選べるってことなのか?」


    ☆

    

 俺が助けた少女は、ぺこりと頭を下げてきた。


「私はミュセルと申します。危ないところを助けてくださり、ありがとうございました!」


 ミュセルと名乗った少女を、改めて見る。

 身長は俺よりやや低いくらい、160だろうか。でも女にしては背が高い気がする。


 それに胸も尻もかなり大きい。

 また、顔の作りも整っている。翡翠の瞳は宝石のようにきれいだし、流れるような金髪はまるで絹のよう。


 正直かなりの美少女だ。

 なぜこんな貧相な身なりで一人歩いてるのかさっぱりわからない。


「っ! 君は、奴隷なのか?」

「そのとおりです。ええと……名前をうかがっても?」

「俺か? 俺はヒラク・マトー」

「ヒラク……マトー!? あの剣聖のマトー家のおかたがどうして!?」

「鑑定の儀ではずれを引いてしまい、家を追われてしまってね」

「そう、なんですか……」


 脳裏に、屋敷での出来事がよぎっていく。

 俺にやさしくしてくれてた人たちは、みな、俺がはずれだと知ると冷たい態度をとってきた……。


「ぐす……」

「え?」

「ひどい……こんなにもお優しいかたを、たかがスキルがはずれだからといって、追放するなんて……」


 ミュセルは俺のために涙を流してくれていた。

 そんな姿を見て、俺はうれしかった。


 現実は厳しい。

 だが、そう決めつけるのは早計だったかもしれない。


「ありがとう、ミュセル。それで君は? どうしてここに一人で?」

「私は王都で売られていた奴隷です。王都から別の街への移送中に、さっきの魔物に襲われたのです」


 灰狼たちによって、ミュセルを乗せた馬車が横転。

 御者、そして同乗していた奴隷たちもみんな死んだ。


 残ったのは彼女一人、ということらしい。


「しかし解せないな。こんなにも美しいのに、奴隷に落ちるだなんて」

「あ、あう……ありがとうございます……」

「? どうしたのだ、ミュセル?」

「きれいだなんて、初めて言われたものでして……」


 おかしな話だ。

 こんなにきれいなのに、初めてだって?


 と、そこで俺は気づいた。

 ミュセルの側頭部から、とがった耳がのぞいていることに。


 エルフ、いや、これは……。


「君はハーフエルフなんだね」

「そのとおりです。さすが、マトー家の長男。ご慧眼であられます」


 この世界ではハーフエルフは差別の対象になってる。

 なるほど、ミュセルがいかにきれいだろうと、ハーフエルフならば、その見た目の美しさを正当に評価してもらえなくなるものだしな。


「馬鹿げた話だ。ミュセルはこんなにも美しいのに」

「あ、あの……どうして私にやさしくするのですか? 私はハーフエルフですよ?」

「俺は常々思っていたのだ。ハーフエルフを差別するのは、馬鹿らしいって」


 俺は本が好きだ。

 ハーフエルフが嫌われているのは、かつてハーフエルフの魔女が世界を滅ぼそうとしたから、という歴史があるから。


 だが、くだらない。

 悪いのは世界を滅ぼそうとしたそいつであって、ミュセルやほかのハーフエルフは悪くないではないか。


 と思っていたので、俺はミュセルを差別しないことにしたのだ。


「なんて……お優しいお方……うう……こんなにやさしくしてくれたのは、あなた様が初めてです……」

「ところで君はこれからどうする?」


 こんなところに婦女子を一人置いて、街へ行くわけにはいかない。


「たしか、奴隷の現在の持ち主が死んだら、拾ったものの所有物になる、だったな、法律では」

「そのとおりです。そして、お願いです、ヒラク様! どうか私を、あなた様の奴隷にさせてください!」


 ミュセルが深々と頭を下げる。

 奴隷は、元の主が死んでも、解放されるわけではない。(自分の死んだ後に解放すると事前に決めておくことはできる)。


 前の主人が死んだ以上、次に彼女を拾った人間が所有者となる権利を得る。


「本当に俺でいいのか? 俺は家を追われた人間だぞ?」

「マトー家は関係ありません。慈悲深い、あなた様に仕えたいのでございます」


 ……ここで拒めば、次どんなやつに彼女が拾われるかわからない。

 ハーフエルフだが、ミュセルはスタイルのいい美人だ。彼女の体目当てでひろって、ひどいことをする輩がでてくるやもしれない。


 ならば、俺が先に拾ってあげたほうがいいか。

 それにちょうど、俺も一人で旅をするのに少し不安だったところもある。


 しかも都合がいいことに、奴隷なら主人の命令を絶対順守してくれる。ならば、俺の持つこの謎の【開】のことについても、他言しないだろう。


「わかった。よろしく頼む、ミュセル」

「はい! 末永く、よろしくお願いいたします、ヒラク様!」


 こうして俺は途中で拾った奴隷のハーフエルフとともに旅立つことになった。


 父に追放を言い渡されたときは不安だった。

 しかしはずれスキルとされていた【ヒラクモノ】が、どうやらとんでもなく凄いものであるようなので、先行きは思ったより悪くないのだろうと、俺は思うのだった。


【☆★大切なお知らせ★☆】

読了ありがとうございます!


好評のため、

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頑張って書いていきますので、応援してくださるとうれしいです!

よろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 雑です。
[一言] とりあえずSSSというランク付けが最高に頭悪くて好き
[一言] ほんと続編前提のつかみだけ投稿して反応伺う短編って無くならないね
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