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47.容疑者1

「ぶわっかじゃないのぉぉぉぉ!!! 殺人事件に巻き込まれて冤罪を着せられて容疑者にされたって聞いたから駈けつけてきたのに!!!」


「全部ホントの事だよ?」


「どこが!? 殺されたのはあんたの恋人だって言うじゃない!!しかもなに?同時進行で付き合ってた別の彼女とバッタリ街で出くわして修羅場になったのを放置して一人帰ってきたですってぇぇぇ!!?」


「そうなんだよ。その後に一人亡くなったみたいなんだ」


「……亡くなった女性の部屋からあんたの指紋が出てきたって聞いたわ」


「付き合ってたんだから指紋くらい出て当たり前だよ。それくらいで俺を容疑者扱いだよ?酷くない?」


「酷いのはあんたの頭だわ!!」


 ロイド()が勾留場に収監されたと聞いたオリヴィア()は急いで駆け付けてきたところ、黒に近いグレーだという事態に激怒した。


「なんでもっと気を付けないの!!」


 彼女の「気を付けろ」というのは主に『事件に巻き込まれないように』という意味合いではなく『殺し合わせるくらいなら自殺に導けるように誘導しろ』という意味である。そして『自分は安全地帯で他人には危険を押し付ける』というのも含んでいた。この弟にしてこの姉あり。ただし、弟と違って姉はそれを表にだすことはない。この言葉の含みを理解出来るものは早々いないだろう。ただし「身内以外で」という意味でだが。


(ああもう!私の弟マジ使えない!!なんでいきなり女達に優しい態度を取り始めたの?意味が分からないわ!?だから女たちが勘違いしてんのよ!!)


 オリヴィアが憤慨する理由ももっともだった。ロイドはその端正な容姿とスマートな洗練された物腰から多くの女性たちを引き寄せる存在だ。しかし同時にその性格は到底女たちに優しいとは言い難い。だから今まで自殺者は出ても殺人事件には発展してこなかったのだ。それはある意味で奇跡のように思えるが、ロイドの絶妙な立ち回りの成果であったのだが本人には自覚がなかった。そんな彼に恋人やセフレが出来ても不思議ではなかった。しかし彼は特定の相手を作らず何人もの女の間を行き来していた。それを傍目に見ていた彼女は呆れていたが同時に安堵もしていた。あれなら勘違い女はあまり出てこないだろうと。それなのに最近急に態度を変え出した。


(今まで冷たかった男が急に優しくなればそりゃぁこうなるでしょうよ。それが自分だけに向けられてるなんて勘違いした女が続出するなんてね。ほんっとうアホな弟だわ!!!)


「まあ、あんたがバカなことをするわけないって分かってるわ」

 

「姉さん……」

 

「優秀な弁護士を付けてあげるわ!それで冤罪を晴らしてあげるわ!!感謝なさい!」


 そう高らかに宣言した彼女に弟は笑顔で頷いた。

 なんだかんだ言っても姉は弟の味方なのである。





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