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28.エリックside

 

「まったく不誠実なんだから!」


「だ・か・ら~~~~~っ。それは昔の話。十年以上前の話を持ち出してこないで!」


「どうかしらねぇ。イマイチ信用できないのよね。浮気する男って一生治らないって言うし。ねぇ、マスミ。こんなバカでアホなダメ男、あなたのような可愛い子には相応しくないわ。このバカ弟が結婚すると宣ってあなたを連れて来た時は心臓が止まるかと思ったわ。とうとう無垢な未成年に手を出した挙句に結婚詐欺のような行いをしたのかと思ってね」


「俺とマスミは同い歳!!」


 

 姉弟の会話をニコニコと聞いているマスミは、俺やロイドと同じ歳には見えない。俺達も実年齢よりも若く見られるが、マスミの場合はそれを超越していた。


 どう見ても十代にしか見えない。

 何度未成年に間違えられた事か……。


 マスミは「アジア系は若く見られるって本当だね」と笑っていたがそうじゃないと思う。幾ら若く見えても年相応の雰囲気を醸し出しているもんだ。でも、マスミは雰囲気そのものがティーンエージャー。永遠の十代。この国の社交界では秘かに「妖精」と囁かれている事を本人だけが知らない。


 


「ねぇ、マスミ。やっぱりロイドと離婚して私と再婚しない?」


「はぁ?! 姉さん!何言ってんのさ!!!」


 

 あぁぁぁぁぁ!!

 そっちの展開だったか!!

 薄々気付いていたが、姉御結構本気でマスミを狙ってたんだな。



「良い案でしょ?」


「まったく!そもそも俺を『不誠実』だとか『浮気者』だとか言ってるけど自分だって一緒だろ!!」


「それこそ『はぁ?』よ」


「しらばっくれるな!俺は知ってるんだぞ。姉さんが同時進行で付き合っている事は!!!」


「何の話よ?」


「今だって五人の男と付き合ってるじゃないか!!」



 ……姉御。

 マジか。それってロイドの事をとやかく言えない。



「失礼ね、あんなのは付き合っているうちに入らないわ!」


「恋人関係じゃないと?」


「当然じゃない!」


「じゃあ、あの男どもは何だって言うんだ!」


「アレは『下僕』に決まってるでしょ」



 ……最悪の返答がきた。

 それってロイドよりヒデェ。



「姉さんの方が遥かに酷い!」


 ホントにな。

 ロイド、俺はお前を最悪の男だと思っていたが上には上がいるんだな。流石は姉弟。よく似てる。



「仕方ないでしょ? 下僕になりたいって言うんだもの。ヒールで踏んでくれって頼まれるんだもの。私だってストレス発散できて丁度いいかなって思ったのよ。いうなれば『ボランティア』よ」


 ヒデェ『ボランティア』もあったものだ。

 本物の『ボランティア』に勤しむ善良な人々に謝れ!



「あんたと違って死人なんて出してないわ!」


「アレは勝手に死んだんだよ。ホラーだよ」



 ロイド、人間は勝手に死なない。

 ホラーでも何でもない。



「拘留されるたびに助けてあげたでしょうが!腕の良い弁護士をつけて!!」


「忘れもしない容疑者扱いの日々だったよ。姉さんは酷い!俺を他人に弁護させて!!」


「バカね!身内に弁護はできないのよ!!」


「警察連中は俺を犯人だと確定してやがった!!今思い出しても腹が立つ!!」


「しょうがないでしょ?当時、付き合っていた男があんただったんだから。こういうのはね、身内から疑うものなの」


「酷い!!」



 ロイド、お前って奴は。

 拘留されてたのか。

 それ初耳だぞ?


 その後も出るわ出るわ醜聞とミステリー。

 なんだろ?

 ロイドは何時からミステリーの主人公になったんだ?

 しかも容疑者でないことが分かった今も犯人が捕まっていないって……怖すぎる。


 

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