表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/54

17.エリックside


 ミス・マープルからの報告(愚痴)を聞き終えた俺は頭を抱えた。


 家政婦ロボットにここまでダメだしされる人間って一体……。ヤバイ。ロイドのせいで連合王国(イギリス)の男の評価は最悪だ。いや、その前にミス・マープルの中で人間という生物の評価そのものが落ちている気がする。ロイド一人のせいで。恐るべしロイド・マクスタード。


「ミス・マープル。誤解しないで欲しい。人間は彼奴ほど愚か(アホ)ではない」


≪……それは理解しております。流石にロイド様は()()()()だと認識しております≫


 ホッとした。まあ、あんな馬鹿はロイドだけだ。

 ロイドを人間の基本だと思わなかっただけでも十分だ。


≪それにしてもロイド様の機械音痴には呆れてしまいます。電子レンジを二度もダメにしてしまわれるとは……。あれほどご忠告致しましたのに……≫


 ミス・マープルの苦労が伺える。

 

「ああ。全く困ったものだよ」


 彼女の言葉を肯定はするものの、ロイドは別に機械音痴と言う訳じゃない。ここで否定するとミス・マープルは混乱するだろうから言わないでおく。いずれ分かる事だ。ロイドは料理器具に疎いだけだ。

 それにしてもミス・マープルが訴えるように、ロイドは何故こうも学習能力というものが備わっていないのか不思議でしょうがない。頭は頗る良いのに。天才となんとかは紙一重と言うからな。だが、それを補って余りある程の問題児ぶりだ。俺から言っても効き目はないだろうが話し合いは必要だろう。





 


 五日後――




「俺だって()()()()()()()()()がテーブルに並んでいればちゃんとするさ!」

 

 開口一番これだ。

 ロイド、お前が言うな。この人間失格者が!!


「あぁぁぁぁ!!マスミ()の手料理が食べたい!!お昼のランチもサンドイッチも飽きたよ!!!」


 ロイドが壊れた。


「マスミの作る煮込みハンバーグが食べたい!!オムライスもカレーも食べたい!!ラーメン、餃子、お好み焼き、とんかつ、肉じゃが~~~!!!」


 三十過ぎのおっさんが駄々をこねるな!


「ラーメンや餃子なら中華街で食べられるだろ」


「あれは違う!」


「なにがだ?」


「なんちゃってラーメンと水餃子だもん」


 おっさんが「もん」なんて付けるな!気色悪い!!


「我慢しろ!本場は水餃子なんだ!!」


「ヤダ!!俺は焼き餃子がいい!!」


 このワガママ坊ちゃんは!

 いい加減にしろよ!!


「なら、日本食料理店に行けばいいだろ」


 至極当たり前のことを提案したと言うのに。ロイドの奴は嫌そうな顔で俺を見た後に、大きな溜息をこれ見よがしにする。


「はぁ~~~~っ……エリックは分かってないね。海外に進出している日本料理店の殆どが()()()()()が作ってるんだよ。いわば『なんちゃって日本料理』ってやつだ。そういうのは不味いんだ。俺は美味しい日本食が食いたいの」


 メンドクサイ奴だな。

 食事なんて何でもいいだろ。そこまでこだわるものじゃない。本当に面倒な男だ。これだから奥さんに逃げられたんだな。間違いない。


 このままミス・マープルに任せていたら紳士と謳われた俺たち(イギリス男)まで「最下位の人間」という評価になるのではないか?


 いっその事、再婚相手を探すのも手だな。


 

 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ