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サファリはこの世の絶望のような顔をしながらうなだれている。

「それはダメだ。嫁入り前の女の子が男の前で肌を見せるなんて。そんなことはしてはいかん」

「いったいいつの時代の話よ! それに大丈夫よ。変な目で見る人間は……」


 シェリーがまた天井を指さす。

 だから、それが危ないんだって。真っ先に濡れ衣を着せられて僕が死ぬ。


「海の王者、海王イカと戦うよりも身の危険が迫っているんだけど」

「ダレルの水着も今から買いにいくから安心してね。海楽しみだなー」

「おーい。僕の意見はー?」


 僕の姿は途中から見えていなかったらしい。


 最大限できる抵抗と、主張をしたが、気がつけばこの街でも最近流行だと言われている女の子に人気の水着を扱っているお店に連れて来られていた。


 お店はガラス張りになっていて、中には女の子の姿しか見えない。

 間違いなく男性が入っていい場所ではない。


 ここには見えない結界が張ってある。

馬車の上に音もなくレッドドラゴンが降り立つとサファリも降りてきた。


 この馬車は特殊な作りになっており、天井部分はサファリのドラゴンが休める仕様になっている。


 危険が迫った時には馬を切り離すことで、レッドドラゴンが馬車ごと運ぶことができるようにしてあるのだ。


「お嬢様の忠臣サファリです。馬車の中は快適でしたでしょうか? もし変なことがありましたらいつでもやる覚悟はありますので、お気軽にお申し付けください」

「ありがとう。それじゃあ買い物にいきましょう」


「シェリーここには男性用が売っていないようだから。僕はここで待っているよ」

「何を言ってるの? ダレルが選ぶのよ? そうよね。サファリ?」


「もちろんです。お嬢様の言うことは絶対です」


 これは罰ゲームだろうか。間違いなく不審者に思われる。

 貴族なんだから家に専属の服屋を呼べばいいのに。


 シェリーとソランは率先して店の中へと入っていく。

 僕たちもしぶしぶ後に続いて店内に入ると、僕の後ろでこの店のことを把握していなかったサファリが石化した。


 こいつも何も言われずに連れてこられたらしい。


 サファリの姿は空から差し込む光で、まるで一つのオブジェのように、神々しささえ感じる。こいつもまさか僕に水着を選ばれるとは思っていなくて適当に相槌を打ったのだろう。

人生でこれほどお互いにとって何のメリットもないことも珍しい。


 シェリーに気が付いたのか、店の奥から店長らしき女性が小走りでやってきて、シェリーの前にひざまずいた。


「お嬢様、このようなお店に足を運んで頂きましてありがとうございます。お呼び頂ければすぐにでもお伺いされて頂きましたのに」


「いいのよ。あなたのお店って明るくて素敵だから自分で伺いたくなっちゃうの。3人分の水着を探しているから、適当に見繕ってくれないかしら?」

「承知致しました。すぐに準備します」


 シェリーがスムーズに依頼をすると、店内に設置してあった椅子に座る。


「店長さんが選ぶのに僕が見る必要はあるの?」

「もちろんよ。ねぇサファリも選んで欲しいでしょ?」


「いやっえっ、わっ私は……お嬢様が言うなら……」


 サファリはこの世の絶望のような顔をしながらうなだれている。

 どれ、普段いじめられている分、サファリのはできるだけ似合うものを選んでやるか。


 そんなことを考えながら店内を見渡すと、先ほどまでいたお客さんが全員いなくなっていた。

 シェリーが来たことで遠慮したということだろう。


 まぁ、僕も他のお客さんの目がない方が嬉しいが、他の客にとってはいい迷惑なのであとで教えてやろう。

 そうすれば、こんな理不尽な依頼もなくなる気がする。


「お待たせしました。お嬢様こちらの水着などはいかでしょうか?」

 持ってきた水着はどれもビキニタイプのもので柄が違うだけだった。

 正直、どれがいいのかと聞かれても、僕には基準となる判断の元になるものがない。

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