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朝のトラブル



 最後に詩織からとんでもないことを言われてしまったが、これでやっと今日の仕事が終わったので明日の朝七時に起こしに行く事を決めてから、お隣の自分の部屋に帰ってくる。



「のんびり高校生活を送ろうと考えてたのに真逆のようなことになるなんてな……」


 今日起きたことを布団の中で思い返してみると、なかなかにおかしい。

 

 引っ越してきてお隣さんに挨拶をしに行ったら、お隣さんがお嬢様で、そのお嬢様のお世話係をすることになり、晩御飯を一緒に食べて、そして一緒にお風呂に入った。


 ほんと、自分で言っていて訳が分からない。

 誰かに言っても信じてもらえないくらいぶっ飛んでいる。特に最後のやつとか……


 そんなことを考えているうちに、だんだんと意識は沈んでいった。






「んぁ? なんでこんな時間にアラームかけてるんだ」


 目が覚めると、まだ六時半だったので春休み中なのになぜ? と思ったが、いつもと寝ている場所が全く違うので昨日のことを思い出す。


「そういえば、昨日からお嬢様に雇われたんだったか」


 七時には起こしに行かないといけないので、とても眠いが顔を洗い無理矢理目を覚ます。

 どっちにしろ後一週間で学校なので、この生活習慣に慣れるためにもちょうどよかったのかもしれないなと思いつつ、着替えを済ませてある程度朝の支度を終えるともうすぐで七時になりそうだったので部屋を出る。


 詩織を起こそうととなりの部屋のドアを開けようとしてふと思い出した。


 そういえば、合鍵貰ってないから開けられないし連絡先も知らないから起こすことができないのでは?


 一応インターホンを何度か押してみるが、中からの反応は無いので詩織は熟睡中なのだろう。はて、どうしたものか。


 といっても、できることは無いので一旦部屋に戻って自分の朝食を作りそれを食べてからもう一度隣の部屋の前に行きインターホンを押す。

 もう八時なので、そろそろ起きるかな? と期待していたのだが、中からの反応は無し。


 仕方がないので、十五分おきにインターホンをを押して反応がなければいったん帰るというのを何度か続けると、九時ごろにやっとドアのカギが開く音が聞こえた。


「やっと起きたか……ってなんちゅう格好で出てきてんだよ」


 やっと詩織が出てきたと思ったのだが、その肝心の詩織は眠たそうに眼をこすりながら、パジャマをかなりはだけさせた状態で出てきた。


「誠、七時じゃなかったの?」

「いや、とりあえず服をだな……とりあえず入るぞ」

「うん」


 このままではダメな気がしたので、眠たそうな詩織の手を引いて部屋に入る。


「とりあえず、服を直してくれ」

「別に部屋の中だからいいじゃない。誰かに見られるわけじゃないでしょ?」

「良くないし、俺がいる」

「誠は気になるの? ……やっぱりエッチ?」

「俺がエッチなんじゃなくて、人間なら誰でも気になるっての。ていうかそんな恰好で玄関開けちゃダメだろ、取り返しのつかないことになってたかもしれないんだぞ?」

「誠以外にはしないわ」

「俺以外にはしないってそういう問題じゃ……」

「それよりお腹が空いたわ、朝ご飯作って」


 このお嬢様は危機感が少しなさすぎではないだろうか。

 とりあえず朝ご飯をご所望とのことなので、キッチンに行きパンを焼いてその間にサラダを準備して持って行く。


「それで、どうして七時じゃなかったの?」

「それなんだが、起こしに行ったはいいもののこの部屋のカギを持っていなくて開けられなかったから起こせなかったんだよ。連絡先も知らなかったからな」

「そういえば渡してなかったわ――はいこれ」


 そう言って詩織から一つのカギとロックが解除されたスマホが渡される。


「ありがとう、ところでこのスマホは?」

「連絡先を追加しておいて」

「了解」


 カギをちゃんとしまったあと、スマホをみると詩織も有名な某連絡アプリを入れていたので、友達登録をしてスマホを詩織に返す。


 初めて自分の連絡先に両親以外の名前が載ってかなり嬉しいのだが、流石にそれは詩織に知られたくないのでポーカーフェイスで何とかごまかす。


「どうしてニヤニヤしてるの?」


 あれ? ポーカーフェイスでごまかせていたのでは?????


「な、何でもないよ」

「そう? 変な誠」


 この喜びに比べたら、少しくらい変でもいいさ。


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