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天国のようで地獄の苦行



 詩織のビキニ姿に目を奪われていると、詩織はそのまま目の前の椅子に座る。


「誠のエッチ」

「へっ? い、いやだってその、なんていうか……綺麗だったからつい」


 自分で言っててちょっとキモイなと思ったが、言葉に出してしまったので取り消すこともできない。

 

「誠は綺麗だって思うの?」

「え? そりゃあ誰だってきれいだって言うと思うけど」

「この銀髪も?」

「当たり前だろ? 確かに銀髪なんてなかなか日本では見ることはないけど、俺は初めて見た時から綺麗だなって思ったよ」

「そう……だからって言って、ずっと見てくるなんてやっぱり誠はエッチね」

「だから違うって」


 一瞬、詩織の言葉に影があったような気がするが気のせいだろうか。まあ、本人もいつもの調子に戻っているし、無暗に聞くようなことでもないので、置いておいてさっさとこの天国のようで地獄のような時間を終わらせないとな。


 というわけで、そのきれいな髪の毛を洗うことにする。


「このシャンプーでいいんだよな?」

「うん」

「じゃあ、洗うぞ?」


 シャンプーを手に取り、髪の毛を優しく洗う。


「痒いところとかあるか?」

「左のほう?」

「なんでちょっと疑問形なんだよ、……こんな感じでいいか?」

「グッジョブよ誠」

「それは何よりです」


 女性の髪の毛を洗う機会なんて今まで無かったのでかなり不安だったのだが、詩織が気持ちよさそうにしてくれているので問題ないのだろう。


「じゃあ流すから、目に入らないようにしろよ?」


 そう言ってシャワーを手に取り髪の毛についた泡を入念に洗い流していく。

 

「じゃあ、次は体ね」

「本当に俺がやらないといけないのか?」


 正直今の状態ですらかなりしんどいものがあるというのに、体を洗うなんてどうにかなってしまいそうだ。


「自分じゃちゃんと洗えないもの、それにさっき誠がいいって言ったじゃない、噓なの?」


 瞳を少しウルウルとさせながらそんなことを言われたら、反論ができない


「……分かったよ洗えばいいんだろ」

「分かればいいのよ」

「……お前さっきの演技だっただろ」

「何のことかわからないわ」


 はぁ、やらなければならないようだ。

 一つ深呼吸をして俺は石鹼を手に付けて詩織の真っ白な肌に触れる。


 思っていた通り、いやそれ以上にすべすべで柔らかい感触に気を取られそうになるが、何とか持ちこたえて洗う。

 時々詩織がくすぐったそうに声を出すので、非常にやりずらいが、心を無にして何とか洗い終える。

 実際には数分くらいしか経っていないのだが、体感では一時間近く経ったのではないかと思うくらい緊張した。


 ほんと、俺頑張ったと思う。

 だから風呂くらいゆっくり浸からせてほしいのだが、当たり前かのように横に詩織が入ってくる。

 

「極楽ね」

「俺はそうじゃないけどな」

「どうして? お風呂気持ち良くないの?」

「いや確かにそうなんだけど、横にあなたがいるせいで落ち着かないんですよ」

「そうなの?」

「そうなんです」


 詩織にはもう少し自分の魅力というものを理解してほしい。




 そんなこんなで、いい感じに温まってきてので俺は先にお風呂を出て体を拭いてパジャマを着る。

 詩織には、体は自分で拭くように念を押して言ったのでそのままリビングに行って詩織が出てくるのを待つ。


 先に帰ろうかとも考えたのだが、流石にそれは気が引けたので詩織が出てきたら帰ろうかと考えていると、リビングのドアが開く。


「……詩織さん? どうしてドライヤーを持ってこちらに近づいて来るんです?」

「乾かして」


 まあ、ドライヤーを持ってきてた時点で分かってましたけどね……


 コンセントを刺してドライヤーの電源を入れて詩織の髪に手を入れつつゆっくり乾かしていく。

 男の俺と違ってロングヘアーなので、乾きにくいのだが風邪をひいてはいけないので丁寧に乾かす。


「気持ちいいわ」

「そりゃよかった」

「明日からもお願いね?」

「……えっ?」


 明日からも一緒にお風呂入るんですか?????? 


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