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晩御飯



 要件が終わった俺たちは、豊さんに送られて自宅まで戻ってきていた。


「上崎様、お嬢様をよろしくお願いします」

「分かりました。車ありがとうございます」

「いえいえ、では失礼します」


 そう言って豊さんは帰っていったので、これでやっと自室に帰れる……訳ではなく、もう日も傾いてきたので詩織の家で晩御飯を作らなければならない。


「誠、今日はハンバーグが食べたいわ」

「分かったけどちょっと時間かかるぞ? それにまず材料があるかってところからだし」

「それは問題ないわ、誠が来る前に豊が買ってきてくれたもの」


 豊さんまじ優秀過ぎる。


「じゃあ、手を洗ったから早速作り始めたいんだけど、調理器具とか調味料がどこにあるか教えてもらっていいか? なかったら俺部屋から持ってくることになるけど」

「調理器具と調味料ならここにあるわ」

「ありがとう……って全部新品じゃねえか」

「だって私料理しないもの」

「ならなんで材料買ってきてもらってたんだよ」

「作ってみようと思って?」

「なんで疑問形なんだ……ていうか作れるのか?」

「料理は今までしたことがないわ」

「なんでちょっと自信ありげに言うんだよ」


 はぁ、このお嬢様の会話のペースはまだよくわからん。


「まあいいや、さっそく作り出すからリビングでテレビでも見て待っててくれ」

「見てちゃダメ?」

「別にいいけど邪魔はするなよ? 危ないから」

「しないわ、見たいだけだもの」

「分かったよ、別に面白いことなんてないと思うが好きにしてくれ」

「ありがとう誠」


 というわけで早速ハンバーグを作り始めることにする。


 野菜を切ったり、肉をこねたりしているだけなのだが、横で詩織がキラキラした目で見てくるので、非常に居心地が悪かった。

 そんなに俺が料理するところを見るのは面白いのかね?


「出来たから机に並べるのは手伝ってくれ」

「わかったわ、これを持っていけばいいのね?」

「ああそうだ、頼んだ」

「ん」


 言ってから気づいたが、お嬢様に手伝わせるのはいかがなものだろうか。

 特に嫌なそうな雰囲気ではなさそうなので多分問題はないだろうが……


 皿を運び終えて、俺たちは机に向かい合うように座る。

 まさか一人暮らし初日から二人でご飯を食べることになるなんて、思ってもいなかったな。


「「いただきます」」


 早速ハンバーグに箸を入れて口に入れると、いつも通り、いやいつも以上に美味かった。

 やはりいい肉を使って作っているからだろうか。


 ちらりと前を見てみると、詩織が美味しそうにハンバーグをほおばっていたので、ホッとする。

 お嬢様のお口にあったようで何よりである。


「誠、美味しいわ」

「それはどうも」

「明日もハンバーグがいいわ」

「え、明日もハンバーグって飽きないか?」

「このハンバーグは美味しいから一週間ならいけるわ」

「詩織がいけても俺が飽きちゃうんだけど……」

「誠はわがままね」

「え、これ俺がわがままなの?」


 衝撃である。


「仕方ないわね、誠がそう言うなら他のでもいいわ」

「助かるよ、リクエストがあるならその日の朝までに言ってくれたら多分大丈夫だから」

「分かったわ」

「理解が早くて助かるよ」


 これから多少無茶なリクエストがきても作れるように、料理スキル上げとかないとな……




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