テストの結果は
もともと学力には問題はなかったし、今回はいつも以上に勉強したためか今回の期末テストは難無く終えることができた。
テスト終わりに優斗と柊さんに手ごたえを聞いたところ、いつもより出来ていそうだという反応をもらったので、ひとまず安心だろう。
現在はテスト結果が三十位まで廊下に張り出されているのを、せっかくなので全員で見に来ている。
「そういや誠は自信あるのか?」
「まあ、そこそこやったから悪くはないと思うけど……」
高校に入って期末テストは初めてだったのもあり、廊下にはかなりの人だかりができていた。
「……マジか」
まず視界に映ってきたのはダントツで一位に君臨している詩織だった。
そういや入学式の時も首席だったから代表挨拶してたことを思い出しつつ、そんなに頭がいいのだから面倒くさがらず身の回りのことも自分でして欲しいなと思う。
ちなみに俺も十三位となかなかにいい順位に付けることができていた。
「二人とも凄いわね、当然と言っちゃなんだけど私と優斗は入ってなかったわ」
「な、俺らに教えてくれてさらにそんなに順位高いなんて流石だよ」
「詩織はともかく、俺は運が良かっただけだよ」
そりゃあ勉強は頑張ったが、運が良かったのも本当で、勉強したところがちょうどテストに出てくることが多かったのだ。
なので、それだけいい順位に入ることができたというだけだ。
「まあ運も実力の内って言うし、やっぱり誠が頑張ったからじゃないか?」
「じゃあ、そういうことにしておくよ」
持ち上げられすぎるのも恥ずかしいわけで、これ以上何かを言われないためにもここは素直に肯定しておく。
「っと、そろそろ休み時間終わるしとっとと教室に戻らないとな」
「ええそうね」
先に優斗と柊さんが二人で戻って行ったので、俺と詩織がその場に残る。
「一位流石だな」
「別にそうでもないわ」
本当になんてことないような感じで答えているところを見ると、詩織の中でテスト一位というものはそんなに価値のあるものではないのだろう。
「それでもだよ、俺からしたら凄いと思うけどな。ついでにその頭の良さを生かして身の回りの事を自分でやって欲しいくらいだ」
「それは無理な相談ね。もう誠に全部やってもらうって決まっているもの」
「……それいつの間に決まったんだよ」
「今までに?」
「俺に聞かれても分かるわけないからな?」
そんなことを言われて、別に嫌だと思わなくなってきた自分も大概だとは思うが……。
「もう誠なしじゃ生きていけないわ」
「こら、誤解を生むようなことをこんなとこで言うんじゃありません」
他の生徒に聞かれてあることないこと吹聴されたらたまったものではない。
たとえそれが事実であったとしても、だ。
ちなみにこの後テストが返されたのだが、無事全員赤点は回避できていた。
これで夏休みに補習を受けることはなくなったという訳で、二人共から改めて感謝を受けた。
学校からの帰り道、俺と詩織はケーキ屋に寄っていた。
本当はサプライズでケーキを買ってもよかったのだが、今までケーキは食べてこなかったので詩織の好みが分からないし、それに帰ってから買いに行くと晩御飯が遅くなってしまいそうだったので、一緒に買うことにしたわけだ。
「これかこれがいいわ」
詩織がじっくり考えて選んだのは、イチゴのショートケーキとチーズケーキだった。
「どっちにするか悩むわ」
「なら、その二つにして後で半分こするか?」
「いいの?」
「俺も両方食べたいと思ってたからもちろん」
「じゃあそうするわ」
というわけでレジに行って欲しいケーキをお願いして袋に入れてもらう。
「いい彼氏さんですね」
「へ?」
「仲良く二人で食べてくださいね」
「あ、ありがとうございます」
店員さんにさっきの会話を聞かれていたのだろう、男女で買いに来ていることからどうやらカップルと間違えられてしまったようだ。
ここで否定して話をややこしくしてしまってもあれなので、肯定してさっさと店を出る。
「悪いな」
「何が?」
「さっきカップルだと間違えられたからさ」
「それがなにかダメなの?」
「だって、俺と詩織じゃ流石に釣り合わないだろ?」
本来関わる事すらなさそうな二人なのだ、偶然部屋が隣だったというだけでここまで関係が発展しているのが奇跡みたいなものだと思う。
それなのに、詩織の彼氏だなんておこがましい。
「……ばか」
「ごめん、聞き取れなかったんだけど」
詩織がなにか小さい声で呟いたのだが、俺にはそれが聞き取れなかった。
その後、ケーキを食べるまで詩織は少し不機嫌そうだった。




