お好みで
「過去の砂」
さらさらと何の抵抗もなくすべり落ちる記憶
そんなこともあったね、と独りごちる
その時は熱くて重くて濡れていて痛くてつらかったのに
もうあの感覚を思い出せないなんて
今は軽くて乾いていて熱くも冷たくもない
口にすると砂を噛むよう
「対人関係」
ねじれて伝わる見解
納得できない説教
こみ上げるむかつき
黙ることを選ぶ導火線
お互いに完璧を求めるなど愚の骨頂
言い返さないわたくしは一番の利口者
向こうさんに理解してもらえるよう
費やす労力はもうありませぬ
自分が正解正義真理など
露程も思っておりません
ただ、わたくしはお前を認めない
「うぃーあーざわーるど」
絶対の世界なら
大切なものを失わない
肯定してくれる世界なら
きっと善人でいられる
愛してくれる世界なら
優しさをわすれたりなんかしない
失敗しない世界なら
劣等感なんて知らずに成長できる
誤解がない世界なら
誰のことも嫌いになんかならない
あなたが私に恋する世界なら
何もかも幸せになるに決まってる
「リボン」
リボンみたいに
横槍がはいっても
しなやかに
ぎゅうっと縛られても
するりとほどけて
良いことも
悪いことも
なんでも
包み込んで
私はリボン
と
分かっていたい
「無題」
同じ目線で
同じ景色を
見られないのは
上に立ちたいのか
卑下しているのか
傲慢な
臆病な
不自由な
心
安全圏で
あなたの色々を
暴き出したい
愚かな自分
安全圏で
あなたの色々を
知りたくない
幼稚な自分




