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ありえないこと
上手にしたい
どうでもいいことまで
隙間なく
呼吸をするように
自然に
当たり障りなく
記憶の景色に
溶け込めるような
とるに足らない
人でありたい
毒を舐めないよう
どうでもいい話を
聞いていたい
怒りをしずめるような
平坦な言葉を
少なめに話していたい
きらめいた日々を
平熱で思い出したい
泣いたり笑ったりしていた自分を
よくあることの中で
片付けたい
新しい朝日とか
広い青空とか
暮れてゆく夕日とか
きれいな星空とか
この目にうつしても
あたりまえのことだと
思っていたい
これから死ぬまで
穏やかに
痛くない
欠落しない
感情で
揺れない自分を
保ちたい




