23/79
珈琲
こなれた幸せを手離せるのか
いい加減ほんとうのことを言ってみたらどうなのか
そのせいで何もかもが壊れたとしても
過ぎ去ってしまえばきっと一文で済まされる出来事
ぐるぐると珈琲をかき混ぜていても
冷めて不味くなるだけ
誰のせいにもできやしない
ずっとごまかしてもいられない
貫かれた心の穴は貫かれたものでしか埋まらない
ほんとうがどうかなんてほんとうは興味ない
一秒でもこの時を引き延ばしたいだけ
煮つまった頭で見る景色は響かない
どうにでもなれ
そんなふうにはなかなかならない
都合よく誰かがいなくなればおさまる事柄ならば
幸せに狂ってしまう
でも
ぐるぐると珈琲をかき混ぜていても
冷めて不味くなるだけ




