表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/86

7話

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




「え?この子が例の、称号盛り沢山の子、なの?すごい地味っていうか普通」



 どうも、初対面の女性に、とても率直に正論を言われました。

 ホッとしたような心がえぐられたような、複雑な心境のルルリーアです。


 只今、妙な黒い物体の調査に辺境へと旅立つ直前の、これから苦楽を共にする(予定)仲間との初顔合わせ中だ。

 と言っても、知らない顔は彼女だけなのだが。


 目の前には、髪を肩口に切りそろえた、少し目元のきつい如何にも仕事が出来そうな女魔術師様が、不思議そうな顔で私を見ている。

 理解るよ、私も今の状況はとっっっっっても不思議なんだ。


 最近身に過ぎた称号だのなんだのがすんなり周りに受け入れられるのって、やっぱりおかしいよね??


 なんでみんな、おかしいと思わないの?

 私こんなに静かに生きたいと思ってるのに。



「私は魔術師団研究部主任研究員のミシェル・フスカ。ミシェルでいいわ。・・・ねえねえ、本当に貴方が『あの』ルルリーアなの?」

「『あの』は要りません。ルルリーア・タルボットと申します」



 私から『あの』妙な称号たちなど言うものか。

 『竜騎士のモニョモニョ』だの『救国のモニョモニョ』だの『騎士団長の良心』だの『最後の希望』だの・・・。

 というより、どれも私は承知も納得もしてないからなぁぁぁ!!



「ふーん。貴方が騎士団長とソランを手玉に取ってる、『あの』悪女、ねぇ??」

「・・・・・・・・・・ふぁっっっっ!???」



 なななな、なんだってぇぇぇぇ!!???『あの』って、称号のことじゃなくて!!??

 っていうか、私がいつ、騎士団長とソラン君を、手玉に取ったんだぁぁぁ!!??

 そんなの、これっぽっちも知らないよぉぉぉ!!!???



「おいっ!!それは本人に言うことじゃないだろっ!?」

「でも、そう見えないんだから、本人に聞くのが一番手っ取り早いじゃない」



 ギギギッと音が鳴りそうなくらい、錆びついた首を回して、犯人を見る。


 もう一人の旅の仲間、あの魔術師団長ドラゴン係のレナルド・バローさんだ。

 ・・・・・どういう、こと、かなぁぁぁ!!?



「いやいや、お、俺が最初じゃないよ??多分!!」



 多分、の一言でもう色々と台無しだよ!!ドラゴン係め!!

 道理で魔術師様たちが食堂でヒソヒソと遠巻きにしてたし、魔術師塔でも避けられているような気がすると思った!!

 あれは悪女だと思われてたんだな・・・・。


 此処は今後のためにも、キッパリ否定をしなくてはっ!!



「強者大好き騎士団長とは婚約もなにもしてませんし、アイリーン様大好きソラン君は友達です」

「・・・・騎士団長の好み、変わってなかったんだ・・・」

「・・・・ソラン、まだ諦めてなかったのね・・・」



 両者とも私の的確な説明で納得してくれたようだ。

 うん、誤解は解けたね!!なによりなにより。



「・・・・きちんと、真実を広めてくださいね??バローさん??」

「モチロンだよ!!あ、後レナルドでいいよ。ウチ、バロー姓が五人いるから」



 五人共親戚でもなんでもないらしい。・・・バロー姓は結構居るもんね。

 じゃあ、レナルドさんと呼ばせてもらおう。



「それにしても、素人を調査団に入れるなんて、上もどうかしてるわ」

「だから本人の前で・・・。まあ、政治が絡んでんだから、そう言うなって」

「ふむふむ、確かに」「え?」


「純粋な調査に政治なんて混ぜないで欲しい」

「全くその通りです」「ちょ」


「別に貴方が悪い訳じゃないけど、貴方のサポートに回す時間を調査に当てたいし」

「素晴らしいです!!全力で肯定します!!」「だから!!」


「??この手は、何??」



 がっしりと手を掴んでいる私を、またしても不思議そうに見るミシェルさん。

 もちろん、逃さないようにデスヨ??



「さあさあ!!行きましょう!!宰相閣下のところがいいかな・・いや、邪神たる王弟殿下のほうが・・いっその事陛下に・・・」

「え??いいけど」「いいけどじゃなーーーい!!!」



 ちょっとそこどいて下さい。ドラゴン係のレナルドさん。邪魔です。

 今から陛下のところへ直談判しに行くところなんです。



「だからっ!!っもうっ団長も、俺の後ろからそろそろ出てきて下さいっ!!二人を止めてくださいよっ!!」



 レナルドさんが後ろを振り返ってそう叫ぶ。

 ・・・うん、ずっと居たんだよ、魔術師団長。今回の旅のリーダー、のはずなんだけど。



「だ、だってよ・・・。ドラゴンが、寝てるしよ・・・。可愛いし・・・」

「うがぁぁぁああ!!俺の背中でモゾモゾしないでください!!」



 そうなのだ。駄ドラも実は居たのだ。

 さあ出発しよう、となったところで、駄ドラが寝てしまった。駄ドラとっても自由。


 それを魔術師団長が、『起こしたら可哀想だから』と言って出発が現在進行形で遅れています。

 道中するはずだった自己紹介も、空いてしまった時間でしていた、という訳だ。


 さて、レナルドさんが魔術師団長に気を取られている。今の内に行くとしようか。


 ミシェルさんを連れて行こうとした私の襟首が、がしりと掴まれる。



「駄目だからね?もう決定済みだからね?」

「・・・・ちっ」



 良い笑顔でレナルドさんに言われる。・・・夢くらい見たって、いいじゃない。



「ミシェルも。出発が遅れたらそれだけ調査が遅れ「早く出発するわよ」・・・ウン、ワカッテル」



 間髪入れず、出発しようとするミシェルさん。

 ああ、私の希望が・・・。ミシェルさん、調査好きなのかな・・・。



「じゃあルルリーアちゃん、ドラゴンを起こしてくれる?」

「えーーーー」

「お、おい!!それは、可哀想だろっ!!」「団長は黙ってて下さい。予定が押してるんです」



 レナルドさんに冷たく言われる魔術師団長。本当に魔術師団の長なんだろうか。

 しかし、ここでこうしていてもお家に帰れるわけでもないので、仕方ない、起こすか。



「だーどーらー!おきろー」

「・・・・それで起きるの??しかもそれ、名前なの???」


「駄ドラの気分次第ですね。あと名前じゃないですよ?駄目ドラゴン、略して駄ドラって呼んでるだけですよ??」



 全く反応がないので、駄ドラを起こすことを早々に諦めた私。


 そしてミシェルさんから質問を受けたので、きちんと答える。

 きちんと答えたのに、何故かミシェルさんからの視線が変な子を見るようなものに変わった。

 ・・・・え??ど、どうしてっ!!??



「ちょっとわかったわ。貴方が色々と言われる根拠が」

「えっ、ちょっ!?さっきまでは普通の子だって!!??」


「あールルリーアちゃん、その反応いいから。早く起こしちゃって」

「レナルドさんっ!?」



 酷いっ!!私の扱いが酷いぃぃぃ!!!


 私があまりの扱いに嘆いていると、いつの間にか魔術師団長がレナルドさんの背中から出てきていた。

 そして必死な顔で、駄ドラを庇う。


 おお、流石ドラゴン愛溢れるドラマニアだ。



「っだ、だめだっ!!こんなに気持ちよさそうに寝てんのに起こすなんざ「・・・キュウ???」あっ・・・」



 あーあ、魔術師団長が近くで騒ぐから、駄ドラ起きちゃったよ。


 やっちゃったな、と思って魔術師団長を見・・・あれ?居ない??

 レナルドさんの後ろ・・にも居ない。どこいったんだ??



「だんちょー。焦ったのはわかりますけど、そんなに完璧に姿消さないで下さい」



 えっ!?姿を消し・・・わぁ!!いきなり現れたっ!!

 今度はミシェルさんの後ろだ。確かにレナルドさんよりは駄ドラとの距離あるもんね。

 ・・・・うわぁ、凄い迷惑そうな顔してるよ、ミシェルさん。


 そして冷静なレナルドさん。流石魔術師団長のドラゴン係は伊達じゃないな。



「お、俺がっ、ドラゴンをっ、おこしっ!!!」

「団長落ち着いて下さい。慌てない騒がない」

「ねー、まだ出発しないの??」



 ・・・・中々混沌としているね。これどうしたらいいんだろう。私には無理。

 ふう、と空を仰ぐと、駄ドラも一緒になって空を見た。



 ねえ、駄ドラよ。

 この旅、というよりこの人達、大丈夫かな・・・不安しか感じられないよ。



「キュルゥゥゥ???」



 首を傾げて私を見る駄ドラ。・・・だよねーー。

 あー、空が青くて綺麗だなー・・・・。



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ