表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/86

4話

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 今日も日課のようになってしまった騎士様たちとのやり取りを終え。

 これまた日課のように駄ドラのもとに向かう。


 ・・・・これ、オウチ、帰れるんだよね・・?

 日課っていっちゃったけど、日課にしたくないからね?

 ここ、騎士塔は、あくまでも仮住まいだからね?


 誰言うでもなく、自分自身に言い聞かせる。

 ここは弱気になったらだめだ!絶対ダメだ!


 自分を奮い立たせながら、今日も駄ドラに見られながら天幕で過ごす。



 収納魔法石から二冊取り出して、その重みに、一瞬放置しようかな?と思った。

 が、受け取ってしまった以上、書くよりも書かなかったほうが面倒そうなので、書くことにした。



「ええと・・・・とりあえず今日の日付と・・」



 あの二人に押し付けられたものの片方、観察記録をめくって、今日の分から書き始める。

 ・・・観察記録から始めたのは、特に意味はない。

 知らない間に神官にしようとされた恨みとかじゃない。


 私はそんなに、ココロ、セマクナイヨ??



「天気・・晴れ。気温・・わかんないよ、温かい。湿度・・わかるかぁぁ!!ちょっとジメジメっと」



 適当に書いていく私。だってさ、私ちゃんと『素人です』って言ったもんね。

 あとで『これじゃ役に立たん!』とか言われたら『専門家に任せます!』って言おう。


 うむ、完璧な作戦だ!!



「キュルウ??」

「待ちなさい、駄ドラよ。今面倒くさい作業してるところだから」



 覗き込んでくる駄ドラに、上の空で話しかける。

 ・・・まあ、相変わらず意思疎通は出来てないから、駄ドラ覗くの止めないんだけどね。



「駄ドラの鱗の様子ぅ??・・・キラキラとした茶色い鱗っと。排泄物・・・乙女に何確認させようとしてるんだよ、なしっと」



 下の方を見ると、ゲンナリするほどまだまだまだ書く項目がある。

 それだけでも嫌なのに、私にはあと一冊あるのだ。


 ああ、暇だった昨日にカエリタイ。


 それにしても、何を書いたらいいか理解らない項目が多いな・・・。

 注意事項を読んでも、まだ分からないよ、なにこの専門用語たちは。


 ・・・・面倒だから、わからない所は全部『?』にしちゃおう!そうしよう!



「食事頻度・・・はちみついっぱい。魔素巡回・・・『?』。行動範囲・・・はちみつから動かず。今日の美しい角度??・・なんだこれ・・『????』」



 あと他は全部理解らない項目だったので、『?』を書いてハイ終了!!お疲れ様!私!!

 どさり、と観察記録を置くと、その横に生育日誌が・・・。


 はぁ・・・と溜息を吐きながら生育日誌を開く。・・・ん?大体同じ項目じゃないか??

 書き方とか順番は違うけど、殆ど同じ・・・。



 ちょっ!同じなら、一冊にまとめてよぉぉぉぉ!!でも書かなかったら、神官長に神官にされそうゥゥゥ!!

 仕方なく、観察記録を再度開きながら、生育日誌も埋めていく。


 そうして、万年筆を置く。



 よっしゃぁぁぁ!!書き終わったぜぇぇぇ!!


 重たい二冊と万年筆を収納魔法石に放り込む。書き始めて10分。うん、中々手間取ったな!


 気分も軽くなった所で、お茶セットを取り出す。


 さぁて!今日は確か、チーズタルトだったな!

 頭使ったことだし、美味しいものでも食べようそうしよう!!


 ウキウキしながら、紅茶の用意をする。仕方がないので、駄ドラ用のはちみつも用意してやろう。



「キュルルル!!」



 おぉおぉ、駄ドラも喜んでおるわ。ほれ、はちみつだよー。



「失礼致します。ルルリーア・タルボット嬢」



 ・・・・いやだ。振り向きたくない。



「・・・・・あの、ルルリーア・タルボット嬢?」



 振り向いたらいけない、振り向いたら絶対悪いことが起きる。

 私もちゃんと学習してるんだよ。



「キュルゥ??」

「ひ、ひぃぃぃ!!・・ル、ルルリーアじょうぅぅぅ!!」



 駄ドラが顔を近づけたようで、後ろから助けを呼ぶような悲鳴とともに、私の名前が呼ばれる。

 ・・・・仕方がないな。


 くるり、と振り向くと、顔を青くした近衛騎士様がホッとした顔でこちらを見てきた。



「ワタクシは、ルルリーア・タルボットなる淑女ではございません。ヒトチガイデスヨー?」

「と、言われるだろうと、陛下から仰せつかっております。ではこちらへ」




 ヒトチガイ、だってばぁぁぁぁ!!!

 ・・・・・わかったよ・・・ついていけばいいんでしょ・・・。




 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




 そうしてついていった先は、なんと立派な会議室だった。

 てっきり、いつものような奥まった応接室みたいなところだと思ってたので、どうぞ、と言われても入るのに尻込みしてしまった。


 でも、入らないわけにはいかない。


 入った瞬間。・・・・仮住まいでもいい、天幕でもいい、どっちでもいいから帰ってもいいかなぁぁぁぁ!!



「ほらほら、大人しく座りなさい。ルルリーア嬢」

「・・・かしこまりました・・・。ごきげんよう、皆様・・・」



 久しぶりでございますねぇぇぇ!!王弟殿下!!

 相変わらず嫌味なほどの整った顔に面白そうな目でこちらを見てくる。

 ・・・これは絶対に碌なことにならないやつだ!!


 その証拠に、意気消沈した私をみて、含み笑いしているよ!

 王弟殿下、ほんと性格悪いなぁぁぁ!!



「おい、ちゃんと書いてんだろうなぁ?観察記録」

「えっ??え、ええ!!もちろんですよ!」



 ギロリと魔術師団長に睨まれる。やだなぁ、私の出来得る限りを尽くしてるよ??

 ほらほら、そんなに睨んじゃその格好いい顔が、台無しデスヨー??



「・・・ルルリーア嬢はそちらの席に。では、本会議を始めます」

「うむ」



 こうして、宰相閣下と陛下の言葉により、何もわからない状態のまま、私を加えた会議が始まったのであった。



 ・・・どうか、私と関わりがありませんように!!!!!!

 いや・・・むり・・かな・・・。




 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




「つまり、辺境からの要請ってことですか?」



 真面目な顔をした王弟殿下が、宰相閣下に言う。


 ・・・王弟殿下が真面目な顔するときって、私碌な事にならないんだよねってすみませんでしたぁぁぁ!!

 古の混沌たる邪神が不埒な事を考えた生贄に対してどう罰しようか考えてるような、そんな顔しないで下さいィィィ!!


 そんな王弟殿下と私を全く気にせず、宰相閣下は返答する。

 邪神様顔を無視出来るなんて、尊敬するよ!!宰相閣下!!



「ええ。例の邪竜事件から、不審な物体の目撃報告が多発しており、それの調査要請が来ております」


「不審な、物体、だぁ?魔物じゃねぇのかよ」

「魔物じゃないから、こうして我々が集まってるんじゃないか、魔術師団長殿?」



 揶揄うように言う王弟殿下に、あぁ?と凄む魔術師団長。

 えぇぇぇ・・魔術師団長は誰彼構わず喧嘩を売っていくスタイルなのか?


 陛下も宰相閣下も、二人の態度には触れずに会議を進めていく。

 ・・・じゃあ、私もいいか。



「報告ではドラゴンの活動も変化があるようで」

「俺が行く」



 即答ですか魔術師団長。そして想定内ですか宰相閣下。

 微笑ましげに見る陛下に、やはり邪神様の笑顔の王弟殿下。


 そのよくわからん物体の調査を魔術師団長がする、と。

 へー、なんだか大変そうですね頑張ってくださいねー。


 そう、他人事のように思っていたら、宰相閣下が爆弾発言をする。



「では、魔術師団長とルルリーア嬢が調査に向かう、ということでよろしいかな」



 え?


 えええええええ!!??よ、よろしくなぁぁぁぁい!!!

 今までの話で私が調査に行く必要性、まったくわからなかったんですけどぉぉぉ!!??


 辺境ってだってドラ島の近くだよね??

 ドラゴン、近くにいるよね??危険だよね??おまけに変なものまで出現してるんだよね??


 ここは流されちゃ駄目だ。

 最近天眼竜様に駄ドラを置いてかれた時に思ったよ。


 私、ガンガン主張していこう!!

 そう、安寧は私の手で!!・・・駄ドラに対しては努力した結果が実らなかったけどそれはそれ。


 私はおもむろに手を上げた。



「・・・・どうかされましたか?ルルリーア嬢」



 不審げに宰相閣下に聞かれるがそこに怯んじゃいけない。

 陛下や王弟殿下や魔術師団長の注目を浴びるが、怯むもんか。


 私は、自由を、勝ち取るんだぁぁぁ!!



「私、調査とかその超常現象にも素人です。なので、調査にいてもお役に立てないかと」



 よぉぉし!!言ってやったぜ!!

 どうだこの全く隙のない、完璧な言い分は!!


 満足気に言い切って手を下ろす。と、王弟殿下が妙に憐れむような目でコチラを見てきた。

 ・・・・いやな、よかんが、するよ??



「・・・例の堕ちた英雄との戦争以降、コチラが武力を示してから、大陸から何かと要請が煩くてね」



 溜息混じりに、王弟殿下が言う。 

 魔物退治依頼だの国家間の諍い調整など、今までの爪弾き状態から一変したそうな。


 へーそうなんだー。・・・で?



「近々、ウチで『八カ国会議』をしたいそうだ。・・・どうやら『竜騎士の花嫁』であり『救国の聖女』である君を引き込みたいようだね」



 ・・・・・・えええええええ!!!やだよ!!なんだよ!!

 わたし、巻き込まれたく、ないぃぃぃぃ!!



「であるので、ルルリーア嬢には王都から離れていて貰いたいのですよ」



 そう、若干気遣わしげに言ってくださる宰相閣下。

 そ、それならっ!!



「あの!!自宅でも!!いいのではっ!!!」

「・・・・騎士団長か魔術師団長が、常駐することになりますが・・・」


「すみませんでしたぁぁぁぁ!!!」



 それはむりぃぃぃ!!父様母様兄様が帰ってこなくなって、どっちかと二人っきりになるよいやだよぉぉぉ!!

 ・・・ただでさえ、ドラゴンが居る時は、父様は帰ってこなかったし、母様は領に引きこもっちゃったし、兄様は部屋に引きこもっちゃったし・・・。



「と、言うわけで今回の調査は渡りに船。同行してもらうよ?」



 きっぱりという王弟殿下。どんどん追い詰められていくゥゥゥ!!!



「ド、ドラゴンと一緒に旅・・・」



 顔を赤らめながら呟く魔術師団長。貴方の中では私じゃなくて駄ドラかぁぁ!!!



「ドラゴンを使役するものとして、調査協力にも期待してますよ」



 同情的な視線であるが、ばっさりと退路を断つ宰相閣下。

 何処にも味方が居ないぃィィィ!!!


 縋るように、最後の砦、我が敬愛する国王陛下を見る。



「・・・・決定事項、じゃからの」



 うえぇぇぇん!!!なんでなのぉぉぉ!!??

 平和に、過ごしたいだけなのにぃぃぃぃ!!!



 無情にもその願いは聞き届けられることは無かった・・・くすん・・・。



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


※さあて短めだけれど蛇足的裏設定ですよ!

※裏設定

・神殿紋さん

 神殿に属するものとしての証明の刻印。神官となるとこのタグを貰えるので、神官を目指しているものなら歓喜ものの一品。更に高位の神官になると、神殿紋+自分の紋の合わせデザインの刻印タグを持つことが出来ます。それを自分の部下に持たせることも可。なので、神官長の神殿紋なんて持っていたら、神殿内で無双しちゃうとこだった!!←イマココ


・雲グモさん

 魔物だけれど性格は大人しい。綺麗な空気と高い樹木の上で、雲のようなふわふわの巣を作ることから命名。様々な材料として注目されているけれど、人間の気配を察知するとすぐさま逃げて、同じ場所では二度と巣を作らないことから、その糸は希少。なので、匂いや気配を消せる専門家が許可を貰って採取するが、その専門家も僅か。そんな貴重なものをなんでサラはくれたの???←イマココ


・主人公

 なんだろう、なにか嫌な予感がしすぎて振り切れそうお願いだからあんぜんなところにヒキコモラセテェェェ!!←イマココ


※ということで、この章はまだ続きますが、またまた心のお休み頂きます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ