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4話

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




「つまり、わしを除け者にしたルルリーア嬢は、そのドラゴンの飼い主になったわけじゃな」

「一言も正確に伝わっておりませんよ。陛下」



 最近、なんだか馴染んでしまった鍛錬場で、陛下と面会中でございます、ルルリーアです。

 ・・・除け者ってなんですか、陛下。


 私、そんなことした覚えないんですけど。



 王宮に滑り込むようにして着いて早々、近衛騎士様に『陛下をお願い致します』と取り次いで貰おうとしたら、『コイツ調子に乗ってんな』という目で見られた。

(ちなみに、その前に通った王宮門の門番さんは、単身現れた私を不思議そうに見ていた。)



 ああ、そうですよね?近衛騎士様、それ私も理解ります。

 臣下で淑女なこんな私が、この国の頂点である国王陛下を呼び出すなんて、不敬だとは思ってますよ??


 しかし、そういう訳にも行かないのです。



 なので、仕方なく、本当に仕方なく、駄ドラを召喚しました。

 ・・・実際には、王宮の扉に向かって歩き出しただけだが。


 そうしたらあら不思議、どこからともなく飛んできた駄ドラが、壁を壊す勢いで私に付いてこようとするではありませんか。


 ソレを見て、近衛騎士様は、ようやく理解してくれ、そして凄い速さで姿を消した。

 ・・・・震える同僚を置いて。



 そうして案内されたのが、騎士鍛錬場。

 その片隅は陛下とついでに私のために、天幕と優雅な机と椅子が用意された。

 ・・・もちろん、駄ドラに私が見えるよう、配慮されている。


 アア、コウチャガ、オイシイナー。



「しかし、わしを仲間外れにしたルルリーア嬢は、話題に事欠かんのう」



 ・・・ちょっとしつこいぞ、陛下。

 ちゃんと、『ご迷惑をおかけして、申し訳ございません』って謝ったじゃないか。


 だというのに、拗ねる陛下。

 それよりも、ここからだと誰かに見られるかもしれないのに、クッション抱えてていいのか??威厳大丈夫なのか?



「別に仲間外れにしたわけではありませんよ、陛下。・・・何の仲間かわからないですけど。そして話題とかいらないので、コレ、ドラゴンの島に帰したいのですが」



 ん?そうだな!!!盲点だったよ!!

 陛下なら『うむ帰してやろう』って命令してくださるはず!!

 そうして、王命の下った騎士様魔術師様たちが、きっと駄ドラを島に帰してくれるに違いない!


 それだぁぁぁ!!陛下お願いしますゥゥゥ!!


 拝み始めた私に、陛下は溜息をつく。



「・・・無理矢理帰すわけにはいかんじゃろうて。暫くは騎士塔で生活することじゃな、ルルリーア嬢」



 ・・・えええぇぇぇえええ!!??わ、わたし、淑女ですよぉぉぉ!!??

 なにが悲しくてむさ苦しそうな騎士塔で、生活しなくちゃいけないんですゥゥゥ!!??



「鍛錬場より広くて、何があっても直ぐに対応出来るところが、他にないからのう」



 ・・・わかるけど、わかりたくないぃぃぃ!!!

 全身から嫌だという気持ちを吹き出したのだが、陛下はやはり例の言葉を言う。



「これは、決定事項じゃ」




 け、権力の、ばかやろうゥゥゥぅぅ!!!





 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




 一人とドラゴンで、ぽつんと言うには片方が大きいが、鍛錬場に取り残される。


 陛下はどうも戦後処理で忙しいらしい。

 ・・・そう言われてみれば、なんだかやつれてる気がするような気がしてた。うん、してたしてた。


 それよりも、陛下が『悪夢が・・戻ったら悪夢の片割れが・・・』と呟いてたけど、『そのうちルルリーア嬢も・・・』とか言い捨てていった方が気になる。


 一体、何があったのぉぉぉ!!??

 そして、『も』ってなんですかぁぁぁ!!??そこだけでも教えてぇぇぇ!!


 天幕の中で、陛下の謎の言葉に悩み、そしてこれから騎士塔で生活をしなければいけない現実に苦しんでいると、駄ドラが覗き込んできた。


『何してるの?』と言わんばかりの、無邪気な目だ。



 ・・・・そうだ、コイツが自分の島に帰れば、全てが上手くいくはずなんだ・・・。


 ふふふふ・・・。そうだ、そうすればよかったんだ。

 そう笑いながら、ゆらりと立ち上がる。


 少し、駄ドラが後ずさりする。



 こいつに、帰ったほうがいいと、理解らせてやるぅぅぅ!!!



 決意を新たに、私は拳を握りしめた。




 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




「だーかーら!!理解る??私が見えなくても、居なくなったわけじゃないから!!」



 叫ぶ私をに対して、小首を傾げる駄ドラ。

 ・・・だめだ、冷静に、冷静になるのよ!ルルリーア!!


 とりあえず深呼吸をして気持ちを落ち着ける。落ち着け私。興奮したら、負けだ。



「わかる?わたし、みえない、でも、へいき!わかった!!??」

「・・・・何をしているんだ?ルルリーア嬢」



 駄ドラへの渾身の説得中に、後ろから声を掛けられる。


 わお!騎士団長だ!!あの天眼竜様の時以来か。

 ・・・そういえば、あの後ドコまで行ったんだろう??



「何って、この駄ドラに理解らせてやってるんですよ!自分の住処に帰ったほうがいいとね!」

「・・・・目を覆って屈んだり、力こぶを作ったり、していたようにしか見えなかったが?」



 いやだなぁ。騎士団の長ともあろう人が、これくらいわかってほしい、ってすいませんでしたぁぁぁ!!

 だから、殺気、抑えてぇぇぇぇ!!



「それはですね。言葉が通じなさそうなので、身体を使ってわかってもらおうとしてたんですよ!」



 いい考えでしょう!と笑顔で言ったのだが、あまり納得してもらえなかったようだ。



「・・・一体何なんだ?片言で・・屈んで・・それでドラゴンを帰せるものなのか・・?」



 額に手を当てて考え込む騎士団長。

 ・・・え、そんなに真剣に考えなくても・・・。



「あーいや、この駄ドラ、がですね?私にずっとついてくるので、まずは私が居なくても平気なように「わかったぞ!」・・あっはい」



 説明しようとしたのに、遮られた。・・・え?どう分かったの??騎士団長よ。


 そんな訝しげな私に気づかず、凄くいい笑顔で、騎士団長は言った。



「やはり、ルルリーア嬢は、『竜使い』なのだな!」



 え?


 いやいやいや、え?なんでそうなるのぉぉぉぉ!??

 おかしいでしょ!どこをどう見ても、使うどころか意思疎通すら出来てないじゃないか!!!


 反論しようとした私を、手で遮って、騎士団長は納得顔で頷く。



「そうかそうか、祭りの時はドラゴンを呼び寄せていたし、邪竜召喚の時はドラゴンの親玉を召喚していたしな。そうか、竜使いか」



 ・・・そう言われちゃうとそう見えるかもしれないけど、事実は違うからぁぁぁぁ!!!

 祭りの時はただ駄ドラが落ちてきただけだし、邪竜召喚の時は天眼竜様が来ることなんて知らなかったからぁぁぁ!


 この勘違い騎士団長を、どうしたらいいのか理解らなくて、その衝動のまま地面に倒れ伏した私。

 を、ひょいと騎士団長が抱えあげる。


 ん?何故に??



「危ないぞ」

「へ?」

「キュウ!」



 後ろを見ると、駄ドラが楽しそうに尻尾を振りながら、伏せをしていた。

 ・・・私がさっきまで居たところになぁぁぁぁ!!!



 この駄ドラめ!私を潰すつもりかぁぁぁ!!



 騎士団長に降ろしてもらって、駄ドラへ文句を言う。



「おいこら駄ドラ!私とおまえの体、どれぐらい違うと思ってるんだ!潰されちゃうでしょうがァァ!!」

「キュウ??」



「わたし、おまえ、おおきさ、ちがう!わたし、つぶされる!!」

「キュウ??」


「・・・何故片言なんだ」



 くっ!全然伝わってない!!この駄ドラめ!!

 そして騎士団長!そこ深く考えないで!なんとなく伝わるような気がするでしょ!伝わってないけども!!


 悔しさに悶絶していると、騎士団長が何かに気づいたように言う。



「こういうのは大抵、主従関係を理解らせればいいのでは?」



 ふむ、という騎士団長。

 次の瞬間、例の、最初に騎士団長に会った頃と同じ、どろりとした殺気を、駄ドラへ浴びせ始めたぁぁぁ!!

 ついでに私もその殺気の範囲入ってますゥゥゥ!!


 びくりと身体を硬直させる駄ドラ。



「なんだ、大人しいドラゴンだな」



 あ、な、た、の、殺気の所為ですよ!騎士団長ぉぉぉ!!


 駄ドラに近づいて鼻面を撫でる騎士団長。震えながらなすがままにされる駄ドラ。



「キュウッ!?」



 突然、駄ドラが何かに気づいたように鳴いた。

 ・・・・これ、ようやく祭りで自分の首を締めていた相手が、わかった感じだな。


 逃げ道を探すように、目線だけが私に向く。


 ・・・いや、どう考えても無理だよ駄ドラよ。

 この殺気の中、助けられないから、私も動けないから。


 食肉にされる直前のウシのような、悲痛な目で見てくる駄ドラ。



 ・・・・・・・そんな目で見るなよ。わかったから。

 ただし、騎士団長に言うだけだからね??



「あのー、駄ドラが怖がってますので・・・」

「?・・ああ、悪い。調教の邪魔をしてしまったか」



 誰も、調教なんて、してないですけどぉぉぉ!!??


 なにか誤解が生じているが、とりえず殺気は収まる。

 ほっとする私と駄ドラ。

 ・・・・あれ?こんな時だけ、意思疎通ができてるぞ?


 そうだよね、生命の危機は、生き物として、等しく感じるものだもんね。


 若干、駄ドラと距離が縮まったように感じて、私も駄ドラの鼻面を撫でる。



「駄ドラ、もう大丈夫だよ」

「キュウ!!」



 嬉しそうに鳴く駄ドラ。そうかそうか、そんなに怖かったか、私もだよ。


 ん??

 なんだか、撫でた左手が、光って。



 《おお、ようやく契約を交わしたか》



 駄ドラの影から、ひょっこり出てくる天眼竜様。

 ・・・・天眼竜様ぁぁぁ!!??


 ちょ、『契約』ってなんですかぁぁぁ!!?私、何も交わしてないですよぉぉ!!??

 うわぁ!龍紋が、光ってるぅぅぅ!!!そういえば存在忘れてたぁぁぁ!!!


 なにこれ、なんだか悪い予感がする!!取って!誰か、取ってぇぇぇ!!



 《ふむ、『ダドラ』か。良き名であるな》



 何やら納得顔の少年、こと天眼竜様。

 ・・・ええと、何を言ってるのかな???


 わたし、そんななまえ、つけてない!!!!!!!



 ヒュン



 私の横をすごい勢いで何かが通り過ぎる。



 わかってましたよ。再びの騎士団長ですよ。

 ああ・・・凄く楽しそうですねぇぇ!!!


 嬉しそうに騎士団長の剣を受ける天眼竜様。そのまま、二人は目にも留まらぬ速さで、彼方へと消えていった。



 再び、私と駄ドラが取り残される。

 ・・・・取り残される????



 はっとして振り返ると、駄ドラと目が合う。



「キュル?」




 天眼竜様ぁぁぁ!!忘れ物ですよぉぉぉ!!??






 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

※なにを書こうかな?裏設定ですよ!ちょっと少なめ。

※裏設定

・空っぽの騎士鍛錬場

 主人公がドラゴンを連れてくる、ということで、急遽騎士様たちは追い出された。やっほう休みか?と思う間もなく、警護担当以外は戦後処理も兼ねて遠征演習に出発させられた。右元帥閣下の指導の元。・・・俺たち生きて帰れるのかな!!??←イマココ


・近衛騎士様

 栄えある王族の護衛である貴族意識満々の近衛騎士様。小娘が一人で何しに来た、と侮っていたらドラゴンがついてきて、今までの価値観を破壊された。・・・もっと同僚に優しくしてやろう。←イマココ


主人公ルルリーア

 一体わたしが何をしたというのというよりも、なんでなの天眼竜様ぁぁぁ!!オウチがぁぁぁ!!オウチニカエレナクナッタァァァァ!!←イマココ


(ダドラって言葉あるかな?とグーグル先生に聞いたら、テルグ語に『コンピューター』という意味でありました。お時間があれば翻訳で「英語 dadra」→「テルグ語」で出してみて下さい。テルグ語が可愛すぎです。)

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