表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/86

2話

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




 兄様に背負われて、どうやら我が家の庭へ急いでいる模様の、ルルリーアですよ?


 一体何事があれば、弱った妹に鞭打つような仕打ちをするのだろうか、兄様よ。


 しかし、迂闊に文句を言えるような形相の兄様ではない。

 今まで共に育ってきて、初めて見るような必死過ぎる顔の兄様に、何かを言えるわけがない。

 ・・・まあ、言う気力もない、というのが大半なんだけどね!!!



「・・・だから今、リーアは動けないのよ」

「そうそう、リーアに会えないんだから、諦めて早く帰りなよ」

「そうだそうだ!帰れ帰れ!」



 ・・・何か聞こえてきたぞ??

 誰かを追い返そうとしているような、弱い者いじめをしてるような、そんな雰囲気のする三人の声が。


 一体、誰なんだ??



 その正体は、兄様が全速力で、我が家の庭に出る角を曲がったことによって、判明した。

 三人に囲まれてやいやい言われている、薄茶のカタマリ。



 ・・・・おまえかぁぁぁ!!駄ドラゴン!!!



 それにしても、恐るべきドラゴンであるはずなのに、三人のその勢いに困惑しているような素振りを見せる駄ドラゴン。大きい図体を縮めるように、そわそわしている。

 ・・・コイツ、本当にドラゴンらしくないな・・。


 そこで、三人が、兄様とその背に負われた私に気がついたようだ。



「あら、お兄様。問題ありませんわ?任せてくださいな」

「そうですよ、きちんと追い返しますから」

「もち!!ドラゴンの一匹くらい、チョチョイのチョイですよ!!」



 三者三様の笑顔で兄様に頷く。

 ソレに対して、乾いた笑いしか返せない兄様。がんばれ。



「・・・リーアに縁のあるドラゴンを帰したら不味いのでは、と言ってくれ」

「・・・にいさま、が、いえばいいじゃない・・・」



 ひそひそと私に言う兄様。に、当然のことを言う私。

 そんな私を、兄様がまるで非道なことを言った悪党を見るような目で見てきた。

 

 え?おかしくない??むしろ非道なことされてるの、私じゃない??



「お前、何言ってるんだ・・・。魔王に、次期魔術師団長に、次期公爵家当主だぞ?俺に死ねと?」



 ・・・私の友達、兄様にとってどんな存在なの。

 反論しただけで命が危うくなるわけ無いでしょうが。そっちこそ、何言ってるのさ。



「・・・確認できる限り、ルメールに居るドラゴンはこの一体だけね」

「じゃ、こいつを帰せばいいわけだね。僕はブレスを封じる、アイリーン」

「もっちろん!!ドラゴン梱包は任せて!!」


「キュ、キュゥゥゥゥ!!」



 おっとぉ??兄様とにらみ合いをしている内に、話が進んでいるぞ??

 助けを求めるかのように私の方を見る、駄ドラゴン。


 ドラゴンってたしか、生態系の頂点なはずなんだけど。・・・まあいいか。



 さらば、駄ドラゴンよ。悪い時に来たな・・・。

 兄様のお願いを、私はまるっと無視して、既に駄ドラゴンを見送る気持ちで一杯だったのだが。



《これこれ、そう苛めんでくれ》



 やはりの、天眼竜様、降臨。



 いつもの、藁色の髪の少年の姿で、ふわりと現れた。

 ・・・その節は、邪竜をどうやったかは解らないけど、なんとかしてくださってありがとうございました。


 だけど、通常時は、一言っ!!来るって一言欲しかったァァァァ!!



 そんな天眼竜様に対して。


 睨みつけるサラ、臨戦態勢をとるソラン君、・・あれ?アイリーン様は??

 ・・・見つけた、木の陰に隠れてるよ、素早いな。


 いやしかし、天眼竜様(と駄ドラゴン)今度は何なのか・・・と思っていたら、ぐらり、と世界が揺れた。



「・・・リーア・・・おれは・・もう・・・だ、めだ・・」



 ばたり。


 兄様が倒れた。私を、背中に、抱えたまま。

 地面に倒れ伏す兄様。の道連れに、私も地面に倒れ伏す。



「に、にいさまぁぁぁ」



 せ、せめて、おろしてぇぇぇぇ!!!兄様ぁぁぁ!!




 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




 睨む二人。

 隠れる一人。

 倒れ伏す兄様。の上に不本意ながら乗っかって倒れ伏している私。


 そんな私たちに相対する、微笑む少年とその小さな体に隠れようとするドラゴン。



 ・・・・何この状況。

 取り敢えず上体を起こしたいけど、忘れちゃいけない、そう私は病人。


 起き上がれないぃぃぃ!!


 だ、誰かぁぁ!!親切な方、いらっしゃいませんかぁぁぁ!!?


 そんな私の願いも虚しく、やはり皆、天眼竜様を警戒している。

 さっきまで甲斐甲斐しくしてくれてたのにぃぃぃ!!くすん・・。



《そう威嚇せずとも、何もせぬよ。鱗なき者たちよ》



 だ、そうなので、サラよ。影の人増やすの止めよう?

 そして、ソラン君よ。たくさんの魔法陣を展開するのも止めようね?

 ・・・アイリーン様は、まずはその木の陰から出てこようか?


 そんな緊迫した空気でも、平凡な少年の顔で、しかし非凡な空気を纏わせた天眼竜様が、私を見て微笑む。



《それにしても珍妙な格好だの。鱗なき子よ》


「これには、深い、わけが・・」



 息も絶え絶えだけど、返事をする私エラい。凄くエラい。

 ・・・少しだけ違和感を感じたけど、気の所為だな、そうそう。


 だけどね、天眼竜様。

 私今自力で起き上がれないのだから、これはもうしょうがない。


 うーん、開き直って、いっそこのままここで寝てしまおうかなぁぁ!?

 ・・・いや、別に現実逃避じゃないからね?



「・・・では、貴方の目的は、何だと言うのですか?」



 緊張した声で、やはり睨んだままのサラが問いかける。

 それに、柔らかく微笑みなら天眼竜様が応える。



《必要であるからな》



 そう言うと、駄ドラゴンを撫でる天眼竜様。


 ・・・え?私にってこと??え?その、駄ドラゴンが??

 いや、どう考えても必要ない。何をもってしても必要ない。お願いですから必要ない。


 ん??待てよ?・・・ということは??



 ----ドゴォォォォオオン



 目の前が土煙で覆われる。

 と、最近お世話になった背中がぁぁぁぁ!!!



「・・・・・」

《ほう、あの時の鱗なき者か》



 天眼竜様に思いっ切り斬りかかってるけど、大丈夫なの?騎士団長ぉぉぉ!!!!

 でも騎士団長の剣、片腕で受け止めてるよ、凄いな!天眼竜様ぁぁぁ!!


 そして、ウチの庭がぁぁぁぁ!!!トムじいィィィごめぇぇん!!!



「・・・っ」

《ほうほう》



 そんな我が家の庭の惨状を物ともせず、騎士団長は天眼竜様に斬りかかる。

 のを楽しそうに受け止める天眼竜様。


 に、兄様ぁぁ!逃げないとまきこ・・・返事がない気絶してるぅぅぅ!!??



 そんな、人外の人間と本物の人外が空中へ駆け上がり、多分ぶつかり合っているようだ。

 私には全く見えないけど。そんな音がする。


 ソラン君が私達の周りに結界を張ってくれたので、ひとまず安全なようだ。

 ・・・ついでに、この哀れな私を起きあがらせてくれないかな??



「こ、これは!一人の乙女を巡る、男同士の戦いキターーー!!くぅ!滾るゥゥ!!!」



 隣で酷い妄言が聞こえてきた。・・・って、いつの間に木の陰から来たんだアイリーン様。

 そして、その戯言、あとで覚えてろよ??



《ではの》

「・・・・・」



 そう、私たちへ天眼竜様が爽やかに言いつつ、終始無言の騎士団長と戦いながら、去っていく。

 ・・・去っていく。


 え?駄ドラゴンは??



 見上げるとそこには、天眼竜様に置いてかれたと言うのに、能天気な様子の、薄茶のドラゴンと目が合った。



「キュルゥ?」

「・・・・・・・・・・」



 あっいやぁぁぁぁ!!ちょっとまってぇぇぇぇ!!天眼竜様ぁぁぁ!!!

 問い詰めようにも、その天眼竜様は、もう見えない。



 嘘でしょ!!??うちに、ドラゴン、置いてかれたァァァァ!!





 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] サブタイトルの「置いていかないでくれ」はソッチの意味かいwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ