【閑話】四人は一人のために『ソラン君』
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---バタン!
手で開けるのも億劫だったから、足で蹴り開ける。
すると、案の定暗がりで宝石を抱えながら、キノコ生やしてるヤツがいた。
大きな音を立てて入ってきたにも関わらず、アイツはコチラに気づいても居ない。
・・・どんなに集中しても、周囲の警戒は怠るなと教えた筈だこのやろう。
俺の養子であるソランの横にある魔法石を一つ拾う。
いつもながら凄い魔法陣を組み込んでんなぁ、コイツ。
・・・ふんっ、なるほどな、魔法石外部へ魔素による『魔法現象』ではなく、魔法石内部に魔素の核を残して『自然現象』を引き起こすのか。
これならば、あの嬢ちゃんがこれから行く邪竜召喚の場でも、召喚魔法陣に影響すること無く使用できるだろう。
そこまではいいんだけどよ。
ソランに近づき、手元の作業を見る。
虚ろな目で宝石に魔法を込めようとしているが、肝心の魔法が込められる前に霧散している。
おうおう、集中力も何もねぇ状態で、そんな複雑な魔法陣、組めるわけねぇだろうが、ったく。
「ぼくは・・はやく・・・リーアが・・やらなくちゃ」
「うっとおしい」
ばきん
「っっっっ!!!???」
拳骨を頭に落とすと、ソランはようやく俺に気づいてこちらに目を向けた。
おうおう、見事に真っ黒な隈だな。どんだけ寝てねぇんだ??
「いつも言ってんだろ。目的の無い魔法に、意味なんてねぇんだよ」
「・・し、ししょう・・」
見慣れた赤い目から、涙をボロボロ流す。
男がそうやすやすと涙なんぞみせんじゃねぇっての。
コイツはいっつもそうだ。
親に捨てられたと泣き、誰かに悪魔と言われては泣き、アイリーンに振り向いてほしくて泣き。
ったく、どんだけ泣いてんだコイツ。
てめえの生みの親なんざクソ野郎だったじゃねぇか、『悪魔』なんて言った奴らは全員クズだったじゃねぇか、アイリーンは・・・まあこれはしょうがねぇか。
「でもっ、ぼくのこの魔法石に、リーアの命がかかってるんだ!」
泣きながら悲痛な声で叫ぶ。
・・・まあ、場合によっちゃ、そういうことになるかもしれねぇな。
ソランは、更に目を暗くして、己に引きこもるように呟く。
「ぼ、ぼくには」
「あの子みたいに、全てを知ることは出来ないし」
「アイリーンみたいに、貴族をまとめることも出来ないし」
「ライオネルさんみたいに、どんな所にも助けに行くことなんて出来ないし」
「だから、ぼくに出来ることと言ったら、魔法石を作るだけ・・」
そう、そこまで言い切ると、俯いて涙を流す。
・・・まあ、他人に対してそこまで考えられるようになったと、成長したと思いてぇがな?
青白い顔で濃い隈で魔力枯渇寸前、が減点だよ。
「おらよ」
どさり、と革袋を置く。
ぽかんとしたソランをみて、ちっと舌打ちして袋の中身を机の上にぶちまける。
「こ、これは、希少なイエローダイヤ!!こっちも、レッドダイヤモンド!パライバ・トルマリン!!!・・・師匠!これは!!??」
「これで足りんだろ」
熱に浮かされたように宝石を見ていると、ソランは早速魔法を込めようとする。
のを、足で蹴って止めさせる。
「っっっっ!!!??い、いだぁ!!」
「だーかーらー、目的のないもんつくんじゃねぇっての」
ソランの向かいのソファに座り、肘置きに足を乗せる。
そうして、軽く結界を張り、ソランが作った魔法石を適当に拾い、放り投げた。
---バッシャーン
---バチバチィィィ
・・・・・ん、雷魔法と水魔法の複合か。
複合魔法としての結果は素晴らしく、学術論文でも出せば一躍人気者だな。
まあ、本人が、論理的に、この複合を証明できればな。
「これ、広範囲魔法の複合だろ。それじゃ、嬢ちゃんも巻き込まれんぞ」
「あ」
これは、まったく気づいてなかったんだろーな。
みるみるうちに肩がこわばり、死んだ魚の目から、腐った魚の目になりつつある。
あーあ、ったく、しゃーねぇなぁ・・・。
「宝石に込める魔法陣はそのままでいい。だが、威力を下げろ。嬢ちゃんは大量殺人したいわけじゃないんだろ?」
「・・・うん・・囮になって・・一発殴りに・・行くんだって・・・」
コイツの言葉はまったくもって不明瞭だから、何言ってんのか全然わかんねぇ。
一発殴るって、誰をだよ。
ひょいっとソファから立ち上がる。
「ほんと、天才のくせして、阿呆なやつだな」
「・・・・・」
俺の言葉に、傷ついた様に俯くソラン。
・・・・思うんだが、こいつ必要以上に傷ついてんじゃねぇか?
今のなんて、褒めてんだがな。
「それだけありゃ、足りんだろ」
「う、うん。足りるよ」
少し持ち直したソランが、こちらを見る。その涙でグシャグシャの顔で。
滅多にねぇが、頭を抱えたくなってきた。
子供ってのは、みんなこうなのか?
「威力減、範囲減、無駄な複合なし、ソレさえ克服すりゃ問題ねぇだろ。・・・・俺の息子なんだから、できんだろ?」
「ふへぇ???」
おお?なんだソラン、間抜けな声だな。
「むす、む、むす、こぉぉぉぉ!!!」
なんだ、更に間抜けな声だしやがって。
もしや、知らない間に養子解消されてたのか?・・・後で確認しておくか。
「・・・がんばって詰め込めよ?」
そう言い捨てて、半分壊れたドアから出る。
「が、がんばります・・・。と、ととと、とうさ、ん」
くそっ、こそばゆいこと言うんじゃねぇよ!!!
・・・・しょうがねぇな。こっちも本気で行くとするか。
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※魔術師団長視点でした。
・魔術師団長:本人なりにソランへ愛情を持ってるが不器用なためすれ違い。今回でちょっと前進。
・主人公:騎士団長と修行中




