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【閑話】四人は一人のために『ソラン君』

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 ---バタン!


 手で開けるのも億劫だったから、足で蹴り開ける。

 すると、案の定暗がりで宝石を抱えながら、キノコ生やしてるヤツがいた。


 大きな音を立てて入ってきたにも関わらず、アイツはコチラに気づいても居ない。

 ・・・どんなに集中しても、周囲の警戒は怠るなと教えた筈だこのやろう。



 俺の養子やしないごであるソランの横にある魔法石を一つ拾う。


 いつもながら凄い魔法陣を組み込んでんなぁ、コイツ。

 ・・・ふんっ、なるほどな、魔法石外部へ魔素による『魔法現象』ではなく、魔法石内部に魔素の核を残して『自然現象』を引き起こすのか。


 これならば、あの嬢ちゃんがこれから行く邪竜召喚の場でも、召喚魔法陣に影響すること無く使用できるだろう。



 そこまではいいんだけどよ。



 ソランに近づき、手元の作業を見る。

 虚ろな目で宝石に魔法を込めようとしているが、肝心の魔法が込められる前に霧散している。


 おうおう、集中力も何もねぇ状態で、そんな複雑な魔法陣、組めるわけねぇだろうが、ったく。



「ぼくは・・はやく・・・リーアが・・やらなくちゃ」

「うっとおしい」



 ばきん



「っっっっ!!!???」



 拳骨を頭に落とすと、ソランはようやく俺に気づいてこちらに目を向けた。

 おうおう、見事に真っ黒な隈だな。どんだけ寝てねぇんだ??



「いつも言ってんだろ。目的の無い魔法に、意味なんてねぇんだよ」

「・・し、ししょう・・」



 見慣れた赤い目から、涙をボロボロ流す。

 男がそうやすやすと涙なんぞみせんじゃねぇっての。


 コイツはいっつもそうだ。


 親に捨てられたと泣き、誰かに悪魔と言われては泣き、アイリーンに振り向いてほしくて泣き。

 ったく、どんだけ泣いてんだコイツ。


 てめえの生みの親なんざクソ野郎だったじゃねぇか、『悪魔』なんて言った奴らは全員クズだったじゃねぇか、アイリーンは・・・まあこれはしょうがねぇか。



「でもっ、ぼくのこの魔法石に、リーアの命がかかってるんだ!」



 泣きながら悲痛な声で叫ぶ。

 ・・・まあ、場合によっちゃ、そういうことになるかもしれねぇな。


 ソランは、更に目を暗くして、己に引きこもるように呟く。



「ぼ、ぼくには」



「あの子みたいに、全てを知ることは出来ないし」

「アイリーンみたいに、貴族をまとめることも出来ないし」

「ライオネルさんみたいに、どんな所にも助けに行くことなんて出来ないし」


「だから、ぼくに出来ることと言ったら、魔法石これを作るだけ・・」



 そう、そこまで言い切ると、俯いて涙を流す。

 ・・・まあ、他人に対してそこまで考えられるようになったと、成長したと思いてぇがな?

 青白い顔で濃い隈で魔力枯渇寸前、が減点だよ。



「おらよ」



 どさり、と革袋を置く。

 ぽかんとしたソランをみて、ちっと舌打ちして袋の中身を机の上にぶちまける。



「こ、これは、希少なイエローダイヤ!!こっちも、レッドダイヤモンド!パライバ・トルマリン!!!・・・師匠!これは!!??」


「これで足りんだろ」



 熱に浮かされたように宝石を見ていると、ソランは早速魔法を込めようとする。

 のを、足で蹴って止めさせる。



「っっっっ!!!??い、いだぁ!!」

「だーかーらー、目的のないもんつくんじゃねぇっての」



 ソランの向かいのソファに座り、肘置きに足を乗せる。

 そうして、軽く結界を張り、ソランが作った魔法石を適当に拾い、放り投げた。



 ---バッシャーン

 ---バチバチィィィ



 ・・・・・ん、雷魔法と水魔法の複合か。

 複合魔法としての結果は素晴らしく、学術論文でも出せば一躍人気者だな。


 まあ、本人が、論理的に、この複合を証明できればな。



「これ、広範囲魔法の複合だろ。それじゃ、嬢ちゃんも巻き込まれんぞ」

「あ」



 これは、まったく気づいてなかったんだろーな。


 みるみるうちに肩がこわばり、死んだ魚の目から、腐った魚の目になりつつある。

 あーあ、ったく、しゃーねぇなぁ・・・。



「宝石に込める魔法陣はそのままでいい。だが、威力を下げろ。嬢ちゃんは大量殺人したいわけじゃないんだろ?」

「・・・うん・・囮になって・・一発殴りに・・行くんだって・・・」



 コイツの言葉はまったくもって不明瞭だから、何言ってんのか全然わかんねぇ。

 一発殴るって、誰をだよ。


 ひょいっとソファから立ち上がる。



「ほんと、天才のくせして、阿呆なやつだな」

「・・・・・」



 俺の言葉に、傷ついた様に俯くソラン。 

 ・・・・思うんだが、こいつ必要以上に傷ついてんじゃねぇか?

 今のなんて、褒めてんだがな。



「それだけありゃ、足りんだろ」

「う、うん。足りるよ」



 少し持ち直したソランが、こちらを見る。その涙でグシャグシャの顔で。


 滅多にねぇが、頭を抱えたくなってきた。

 子供ってのは、みんなこうなのか?



「威力減、範囲減、無駄な複合なし、ソレさえ克服すりゃ問題ねぇだろ。・・・・俺の息子なんだから、できんだろ?」

「ふへぇ???」



 おお?なんだソラン、間抜けな声だな。



「むす、む、むす、こぉぉぉぉ!!!」



 なんだ、更に間抜けな声だしやがって。

 もしや、知らない間に養子解消されてたのか?・・・後で確認しておくか。



「・・・がんばって詰め込めよ?」



 そう言い捨てて、半分壊れたドアから出る。




「が、がんばります・・・。と、ととと、とうさ、ん」



 くそっ、こそばゆいこと言うんじゃねぇよ!!!



 ・・・・しょうがねぇな。こっちも本気で行くとするか。




 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


※魔術師団長視点でした。

・魔術師団長:本人なりにソランへ愛情を持ってるが不器用なためすれ違い。今回でちょっと前進。

・主人公:騎士団長と修行中

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