3話
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それからは、何故か私を介して討論を続ける二人。あれか、相手に直接話しかけたくもないってやつか?
「はあ」とか「ええ」とか「そうなんですか」で全部切り抜けた私。
もう終わらないかなー。帰りたいなー。おなかすいたなー。
ここ飲み物しか出てもないんだもん。お菓子とかお菓子とか出してくんないかなー。
紅茶をちびちび飲みながら、どうでもいいことを考え始める私。
この集まってる部屋って、神殿のどの辺なんだろう。来る時案内されたけど道全然覚えられなかったし。
途中途中、転移陣で移動してたからな。
・・・そう考えると、あの案内してくれていた神官様、やっぱり凄いんだな。
『あれ』とか『しまった』とかは聞こえなかったことにしよう。
完全にこの協議会に興味をなくしたけど、形だけでも話しかけられてるから、居眠りすら出来ない。
いや、最初から興味ないんだった、てへ。
あぁ、だめだ・・・。すごく眠くなってきた・・・。今は駄目だ・・・バレちゃう・・・。
何かしゃべれば・・・眠気が・・収まるはず・・。
あっ!そうだ!ちょっと気になってたことがあったんだよね。
ここには頭のいい二人がいるから聞いてみようかなー。
この雰囲気ならと、どうせ次回の協議会は呼ばれないだろうし。
いや振りじゃないよ?呼ばないでよ??
丁度話が一段落、ついてないけど、喉が渇いたのか、二人共紅茶を飲み始めた。
今だねっ!何か発言しておかないと、後々陛下にネチネチ言われそうだしなっ!
「あのー質問なのですが」
「なんだ!?」「なんです!?」
息がぴったりですね、お二人様。さっきまでいがみ合っていた勢いそのまま、こっちに振り向く。
こうあって反応するのは、なんだかんだ言っても討論好きなのでは?
「昔ドラゴンが来た時、魔物が増えて強くなったって習いましたけど、それって原因はドラゴンなんですか?」
軽い気持ちで質問したら、予想外に二人が沈黙した。え?いやそんなに真剣に悩まなくても・・私、軽い気持ちで・・・。
「・・・・・ドラゴンと魔物の関係性は色々と言われてるがな」
「・・・そうですね。そもそもドラゴンとは未だ説明の付かない存在ですからね」
お??私を介して話す、という面倒な会話方法をやめて、仲良く議論し始めたぞ??
本当は仲いいだろ、貴方達。
いやいやいや、そんな難しい質問したのか私。
ちょ、神官長・・いや・・そんな・・神の時代まで遡らんでも・・・。
ドラゴンの行動傾向について・・?それって機密なんじゃ・・?魔術師団長??
「ふむ。もう時間じゃぞ」
小難しい話で私の頭が破裂しそうになっていたが、陛下の一言で生き返った。
危ない危ない、もうちょっとで大惨事だったよ!私の頭がねっ!
そして質問したけど、結局何なのかわかんなかったよ!!!
「おや、もうそんな時間でしたか・・・では次回までに初版の賢王伝記を用意致しましょう。竜騎士の花嫁よ」
「じゃあこっちは団内で最新のドラゴン観察資料を持ってくるぜ。嬢ちゃん」
結論は出なかったというのに、どこか満足そうな魔術師団長と神官長が、頷きながら言う。
え?いら、いらないぃぃぃぃ!!!!そんなもん見せられてもぉぉぉぉ!!!
困る困る、そういう重要そうなものは私なんぞに見せちゃいけないと思います!!
ん??この話の流れは・・・いやいやいやそんな、そんなねぇ?陛下??
「では次回もよろしくな。竜騎士の花嫁よ」
陛下に駄目押しをされる私・・・。これ、え、これは次回も、さんか????
やっちまったな、という顔で見てくる陛下。
・・・・・・・・・・やっちまったよぉぉぉぉ!!!!!
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「それはやっちゃったね。リーア」
『いつでも来ていいよ』という言葉に全力で甘えて、ソラン君の研究室にお邪魔した。
流石魔導の申し子だな!私と同い年なのに部屋持ちか!
もう色々と限界だった私は、話を聞いてほしくて神殿から一番近い魔術師塔にいるソラン君に会いに来ました。
ちょっと驚いた様子のソラン君だったが、今はご機嫌でお茶の支度をしてくれている。うむ美味しいお菓子が欲しいなっ!
なんだか怪しげな紫色のお茶が出てきたが、一気に飲み干す。あら意外と美味しい。
「ほんと、どうしてこうなったの・・・・」
「どうしてって・・・きみ、知らなかったの?」
呆れたように言いながら、おかわりを注いでくれるソラン君。
おっミニパイだ!チョコがとろっと出てきてうまーー!
え?知らないって何を??
「その様子だと知らなかったみたいだね・・。割りと有名だと思ってたんだけど」
「ふへ?はにはに??」
だから口に物入れて喋らないって注意された。てへ。
だってこのお菓子ものすごい美味しい!!!
「団長と神官長にはドラゴンに関する質問は厳禁なんだよ?」
「ふぁ?ふぁんへ??」
・・・・すいません。飲み込みますから、教えてください、ソラン様。
ソラン君曰く、魔術師団長と神官長は基本的に仲が悪いが、両者ともドラゴンマニアらしい。
昔、取り入ろうとしたある貴族が、ドラゴンに関する質問をしたところ、二人に会う度にドラゴン情報を詰め込まれ神経過敏気味になってしまったそう。とうとう自分の息子に家督を譲り、館から出てこなくなったらしい。・・・恐ろしいな。
ちなみに、その貴族は出世しなかったらしい。無念だな。
え、あれ、私、ドラゴンに関する質問、しちゃったような・・・・・。
・・・・・・・・・・やっちまったよぉぉぉぉ!!!!!
あぁ、やっちゃった・・・いやいや!王宮に行かなければ万が一でも魔術師団長に遭わないだろうし、王都の神殿に行かなければ万が一でも神官長に遭わないだろう!だから大丈夫だなよし。
半年後の例の協議会は、うん、考えない!!
ん?だとするとおかしいぞ??
私ってば、竜騎・・・いやぁぁぁ!!自分では言えないぃぃ!!れ、例のあの呼び名の持ち主なのに、めっちゃ睨まれてたよ??
ドラゴン好きなら質問攻めにするんじゃないの?いやしてくれなくて助かったんだけど。
ソラン君に聞いてみると、乾いた笑いを浮かべた。
「ああ、それね。嫉妬だよ、嫉妬。事故とはいえ、ドラゴンに乗ったんだからね。ふたりとも羨ましかったみたいだよ?」
それって、魔術師団長と神官長の話なの?
魔術を極めた我が国の双璧、魔術師団長のことじゃないよね?
神に最も近い神官と言われる、神官長のことじゃないよね?
「だけどやっぱり気になるから、きみに会う機会を増やせて、今頃喜んでるんじゃない?」
「やだぁぁぁぁぁ!!もうやだぁぁぁぁぁ!!」
私も神経過敏にな・・・らないと思うけど、やだぁぁぁぁ!!!
ぽん、と肩にソラン君の手を置かれる。その生ぬるい目はもしやっ!!
「嵌められたね、陛下に」
「やっぱりぃぃぃぃぃ!!!」
あの喧嘩ばっかりの二人に一人挟まれるのが嫌で、陛下私を呼んだんだな!私最近こんなんばっか!
あんなに祈ったのにぃぃ神様ぁぁぁ!!遅かったのか!!??祈るのが遅かったのか!??
「・・・・これ、足りなかったら言って」
そう渡してくれたのは、色とりどりのお守り(魔法石)たち。
・・・・・・アリガトウ、ソランクン。
それよりも代わってくれませんかァァァァ!!!ソラン様ァァァァ!!!
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※読まなくても問題ない設定でございます。
※裏設定
・ソラン君
主人公に渡したお守り(魔法石)は元々魔術師団長の実験に巻き込まれないように自作したもの。結構貴重な宝石と膨大な魔力で作られたソレは主人公が考えているよりも遥かに高価である。が、友達が無事ならいいか。←イマココ
・神官様
神官長の従者のような仕事をしている女性神官様。神聖魔法の威力の高さから王都神殿に勤めることとなったが、おっちょこちょいすぎて中々独り立ちさせてもらえない。ミーハーな性格なので今話題の『竜騎士の花嫁』に会えて感激!!←イマココ
・主人公
私ただ単純に疑問に思っただけなのに一番最悪な選択をしちまったよオウチカエリタイ←イマココ




