3話
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放心状態のアイリーン様は、中々戻ってこられないようだ。
「あの、アイリーン様??」
呼びかけると、はっと意識を取り戻した。倒れられたらどうしようかと思ってた、よかったよ。
「おまたせしてしまって申し訳ありませんわ・・。そ、その・・・・皆様、のご様子は、如何かしら・・?」
おお、今の嵐のような彼等を無かった事にしたよ、すごいなアイリーン様。
まぁ、私も敢えて触れたいとは思わない私も無かった事にしたい。ならないかなぁぁぁ!!!
ん?おやおや、みんなの反応が怖いのか?意外と小心者だなアイリーン様。
「皆、アイリーン様を心配しておりましたわ」
私とサラはしてないけど。他の人もわからんけど、引いてましたと正直に言えるはずがない。
そう鈍くはない(はずの)アイリーン様は、私の建前を見抜いて、顔を歪める。
「・・・・あぁもうどうしてこんなことに・・・・せっかく冤罪から免れたのにこれじゃ」
????声がちっちゃくて聞き取れないぞ?なんて言ったんだ????
「???アイリーン様?どうされました?」
そう問いかけると、アイリーン様は、その綺麗な目から大量の涙を流しながら、私にしがみついてきた!!!
ぎょわわぁあああああ!!なんじゃぁぁぁ!!????
「お願い!!ともだちになってぇぇぇぇ!!!!!!」
おおおう、大分追い詰められてるなアイリーン様。ちょっとかわいそうになってきたな。
私の中で、同情心と現状を天秤にかける。結論はすぐに出た。
「申し訳ありません、一身上の都合により友人にはなれません」
「なんでぇぇぇぇ!!!!」
あっさり断った私に、アイリーン様はますますしがみついてくる。
いやだって、公表できないけど私『国王専属愚痴聞き係』なんだよね、対アイリーン様の。
その私がアイリーン様と友人になるって、それどうなのよ。駄目でしょ。
「理由は申し上げられません」
「どうゆうことぉぉぉお!!ルルリーアさんが最後の頼みなのぉぉぉ!!」
解任されれば、まぁ・・・・駄目だな。王弟殿下とか王弟殿下とか王弟殿下とかいるもんな。
さっきの見たでしょ、あんなの無理無理、アイリーン様とおともだちになれない。
「申し訳ありません」
「取り付く島もないぃぃぃ!!!」
随分と口調が崩れてるけど、それが素なのかアイリーン様。
と、何を思ったのか、涙でグチョグチョだけど麗しい顔を輝かせた。え?なに?『これしかない!』って??
「交換日記しよう!!そこからでいいからっ!!!」
・・・・・・はぁ???何をいってるんだ???
「え・・・・、私、その、日記をつけておりませんし・・・私事を記して交換する趣味はないので・・・」
アイリーン様って私生活を他人に見せたい変態なの??公爵家令嬢なのに????
それはないわーーー、引くわーーー。
「だぁぁぁ!!そうだった!そういう風習なかったんだ!!」
そう叫ぶと、貴族のご令嬢にも関わらず、アイリーン様は床に這いつくばった。えぇぇぇ!????
「オワタ、私の今生オワタ・・・・」
大丈夫かなアイリーン様、人として。
「で、でも、まだ終わりじゃない・・・諦めたらそこで試合終了なんだ・・・」
なんだか良いこと言ってるけど、目が虚ろですよアイリーン様。
と、突然跳ね起きたアイリーン様は、私の両手を握り宣言した。
「とりあえず知り合いからお願いします!ルルリーアさんっ!」
「はぁ・・・」
それなら、もうそうなんじゃないかな?????
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なんとか持ち直したアイリーン様と一緒に、庭園に戻る。
途中、小声ながらもものすごい早口で、『友達を作る方法』らしき行動を呟き始めて真面目に怖かった。
アイリーン様、まずは周りをどうにかしないと、無理だと思いますよ。
「皆様、大変申し訳ありませんでした」
美しく優雅にカーテシーをするアイリーン様。さっきまでとは別人だ。
「いえ、私達は気にしておりませんわ。美味しいお菓子を頂いておりましたし」
あううぅぅうぅ!!!ヴィクトリア様、私が居た時食べてなかったじゃないか!!
みんなで美味しくいただいてるよ!私抜きで!!!!
「そう言って頂けて・・・ありがとうございます。・・・・少々体調を崩してしまいまして」
乱入者のことはまたしても綺麗さっぱり忘れてるのかアイリーン様。それはさすがに無理があるぞ。
でもそう言うしか無いのは事実だ。
「まぁ!それは大変ですわ!ご無理なさらずに、私達御暇いたしますわ」
『え』と呟くアイリーン様。体調不良の主催者じゃ、帰るしか無いでしょ。
「・・・・・・・・・・・・・お心遣い感謝いたします。この埋め合わせは必ずさせていただきますわ」
溜めが長い、長いよアイリーン様。もう諦めろ。多分次はなさそうだぞ。
それから、申し訳ないからお土産を・・と準備し始めるのを、(ヴィクトリア様が)断って、ようやくやっとのことでサラと家路につく。
「小規模なお茶会でよかったわね、ディラヴェル公爵家は」
「ははは、そうだねー、噂好きも居なかったから、ギリギリね」
お茶会の成否は、そのままその家の評価に繋がるのだ。今回は大失敗だったがな。
・・・・あっなんか思い出した、鳥肌が立ったぞ。
「・・・・ねぇ、リーア」
サラはお茶会が終わってからずっと真面目な顔をしている。どうしたんだ??
「アイリーン様は、本当に我が国の公爵家令嬢なのかしら」
「???まぁ、言動は変だったと思うけど、そうなんじゃない?」
いきなりすごいこと言い始めたな、サラ。なんだなんだ??
「・・・出されたお菓子が、ね。想像もしたことないようなものだったの」
目をキラキラさせるサラ。その顔はまさに古より伝わる邪悪な(以下略)
「ま、確証が持てたら話すわ」
「ふーん、わかったよ。お菓子ねぇ・・・って、ああああああああああああああああ!!!!」
わ、わたしだけ、お菓子どころか、紅茶すらのんでなぁぁぁぁああい!!!
頭を抱える私をよそに、楽しそうなサラ。うぅ、自分は食べたからってぇぇぇ!!!
「もう一度招待される??」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・やめとく」
なんだかものすごい損した気分だよ!!!
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※本当に蛇足なので、読まなくても大丈夫です、大丈夫ですよ???
※裏設定
・アイリーン様:
冤罪ルートを免れて、純粋な女友達と楽しく過ごそうと、前世記憶フル活用してウキウキ色々用意した。のに、邪魔された挙句誰も友だちになれなかった!!orz←イマココ
・王弟殿下:
実は外務大臣だったりする王弟殿下。隣国との外交で一番忙しい時期にやらかされて腹立たしいので騎士団長も巻き込んだ。他の令嬢は調査済みだが、またあいつがいるぞ!←イマココ
・騎士団長:
王弟殿下に言われて渋々ついてきたら嫁or部下候補がまた面白いことになってる様子。甥をいじ・・鍛えて何事か聞いてみよう。←イマココ
・サラ:
前々から面白かった親友が、更に面白いことになってるとっても楽しい!!公爵家令嬢が怪しいので、秘密も暴いちゃおう!←イマココ
・主人公(ルルリーア・・・ですよ?):
本当にもう巻き込まないでくれ友達は他で作ってくれオウチカエリタイ←イマココ