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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
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79.転移魔法

リョウ視点です。

「わかってはいたが、相変わらず規格外な戦闘力だな、流石に一撃くらいはいれたかったんだがな。」


「いや、これでもかなり追い詰められていたぞ?、それに最後の攻撃は一歩間違えば防ぎようも無かったしな。」


悔しがるシャームだが、実際に彼ら相手に圧勝だったのかと聞かれれば、首を傾げざるおえない。

何しろ、俺は一撃もくらわなかったが、それは彼らが即席のチームだったことも影響しているし、個人として元々の力の差も大きかった。

先程のブラックアサシンの部下100人弱との戦いでもわかるように、人数が多くても練度が高くなければお話にならない。

その点、フランとブラックアサシン幹部達は、わずか11人ながら、俺に思い通りに動かせず、なおかつ、自分達の思い通りへの展開へと持っていった。

おそらく、今の俺と互角に戦える者がほとんどいない以上、ここまで追い込まれたと感じたのは久々だった。


そんな考えから出た言葉だったのだが、それはあくまで俺からの視点だった。

フラン達からしてみれば、自分の思い通りの行動をリョウにさせたのにも関わらず、一撃も入れられず負けたわけだ。

それを惜しかったと言われても素直には喜べない。

もちろん、リョウの実力を考えれば、そこまで言わせるだけでも十分なのもわかってはいたが。


「とりあえず、全員の動きの質、癖、戦闘スタイルはわかった、それに、短時間できちんと連携もしていたし、並みの相手なら問題なく潰せるはずだ、それに多少格上でもそれだけ連携されれば一溜まりもないだろうしな、ただ、俺の逃げ道を防ぐ策に消耗が大きすぎる、あれを何か別のものに変えられれば、もっと戦いやすくなったはずだ、まあ誘い込みに使う手としては良かったけど。」


実際、魔法を使っているのがわかったときから、その消耗具合の心配はしていた。

矢ならまだ何とかなるかもしれないが、流石に魔力は有限であるし、威力もそれなりに考えないといけないのであれば、何らかの対策は必要になってくる。

それこそ、入れ替わり立ち替わり、休み休み戦い続けるように。

それだけの余裕がある状態ならさっきの戦いもありだなと思っていた。

それか、もしくは強力な魔法で逃げ道にトラップを仕掛けるとか。


意外と応用の効く作戦だったことに俺は感心する。

それに、これは作戦を実行する相手の実力が高ければ高いほどいい。

後方からの攻撃が強ければ、他の警戒が疎かになり、盾役を突破できなければ、左右から圧力をかけられるし、人数的に防御の薄いところを突破しようとして失敗すれば致命傷となるし、逃げ道はない。

俺はリナ達と組んだ時には試してみることに決めた。


そして、シャーム達も俺のアドバイスを聞き、今の自分達の実力で何とかできる手だてを考えているようだった。

そうしてできた新しい陣形は、俺やシュウのような規格外が相手の場合の対策であったが、残念ながらやはり後一歩が遠く、俺に一撃を加える事は出来なかった。

それからいくつもの陣形を生み出しては、試し、失敗し、を繰り返していたのだが、この日の間に俺に一撃を加える事は出来なかった。

それでも、俺とそれだけ戦いをしていたため、明らかに動きが良くなっていたのは本人達も喜べる所だっただろう。

最も、俺の成長の方が速すぎて実感を持てなかったようだが。


そんなこんなで、ブラックアサシン達との訓練が終わり、俺はここまで移動してきた技術を持っているブラックアサシンのメンバーに話を聞きに行く。

彼女の名前はフリルと言い、俺の訓練と実力を評価してくれていたようで、快く教えてくれた。


《この転移の魔法は飛びたい場所を正確にイメージすることが出来れば使えるわ、けれど、私の力では魔方陣を使った補助がないと出来ないわ、その代わり、魔方陣を消されない限りはどこでも問題なく行けるけどね。》


《ただ、街中とかにしちゃうと、突然人が現れるみたいになるから、そういう使い方はお勧めしないわ、確実に面倒な事になるだろうし。》


フリル曰く転移魔法を使える人間は少なからずいるそうだが、飛ぶ際には明確な場所のイメージを浮かべなければいけないことと、他の人物を飛ばす場合、その人物との繋がりを持たなければいけないそうだ。

逆にそれさえ出来れば誰でも使える物のようなのだが、その明確なイメージと言うのが難しいらしく、普通は魔方陣を通して繋げるらしい。

だが、当然そんなことをすれば、逆に飛んでこられるリスクもある上に、魔方陣を消されるとどうしようもなくなってしまう欠点がある。


だが、俺はその話を聞いて、何となくできそうな気がしていた。

イメージと言うのは、自分の経験から生まれるものであり、その引き出しはその人物の経験だけでなく、それを保持する記憶力にも影響してくる。

だが、普通は今までの経験の全てを覚えておく事など不可能だ、けれど、俺は(並列思考)によりその辺の問題はクリアしている。

それに、既に今の段階でも魔力の同調もできるため、転移魔法のいくつかの問題はクリアしていた。

あとは、実際に試してみればいい。

俺は自分達の部屋を思い浮かべ、フランをリンクイヤーの魔力探知にて探しだし、もちろん隣にいるのだが、そこから魔力を同調させ、飛ぶ先のイメージを浮かべながら、それを言葉にする。


「転移、マイルーム!」


すると、空間が歪む不思議な体験をし、けれど身体には違和感は感じないまま、一瞬暗闇に包まれ、次の瞬間には俺達の部屋に戻ってきていた。

突然現れた俺に驚いているマドルには申し訳ない事をしたなと思いつつも、実験が成功した事に喜びを感じる。

これで、面倒な移動手段を使わなくても、1度行ったことのある場所ならいつでも行ける事がわかった。


「マドル驚かせて悪かったな、ちょっと転移魔法を教わったから実験してみたんだ。」


《いや、リョウ殿、試すなら私にも言ってくれないと困るのだが、まあリョウ殿なら失敗しないとは思っていたが。》


『流石は旦那様ですね、今日はもうこのまま部屋にいる予定なのですか?』


「いや、とりあえず実験を兼ねて飛んで来ただけだ、帰るのはもう少し後になる。」


『かしこまりました、ではそろそろ夕飯の準備をしときますね。』


「ああ、任せた、楽しみにしてる。」


そんな俺の言葉に嬉しそうにしているマドルを見た後に、再びブラックアサシンのアジトへと向かう。

明確な場所というのはわからなかったが、景色や雰囲気は覚えているため、問題はなさそうだった。


「転移、アジト!」


再び先程の不思議な感覚を味わい、次の瞬間にはブラックアサシンのアジトへと戻ってきていた。それを驚きの表情で見るフリル。


《まさか、魔方陣なしで飛んでこられるなんて、、、ちなみに何処に行っていたんですか?》


「ああ、学園にある俺の部屋だ、これで問題なく転移魔法が使えるのがわかった、それに実際に場所を知らなくても、景色とかを覚えてれば飛べるってのもわかったし。」


俺の言葉に尚驚いていたフリルだったが、自分には到底できないであろう転移方法を少し羨ましそうにしていた。

けれど、それは一瞬で、自分には自分のやり方があると、俺の事は一先ず置いておく事にしたみたいだ。

そんな彼女に感心しながら、今日の段階でやれる事はやったため、ブラックアサシンのメンバーに挨拶する。


「今日は突然押し掛けて済まなかった、でも想像以上に実力のある組織で正直感動した、これからも良い関係を築いていきたいと思っているから、よろしく頼む。」


俺の言葉に歓声で応えるブラックアサシン達。

その声を後にして、俺とフランはブラックアサシンのアジトを後にする。


次回更新は7/15です。


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