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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
97/141

78.ブラックアサシン幹部+フラン

リョウ視点です。

俺はブラックアサシン達に自分の体験や見えてる景色、そういった物を映像として見せる。

言葉を聞くのと、実際に見るのを合わせれば説明もしやすく、相手に内容を理解させやすい。

だからといってすぐに俺と同じ事を出来るわけではないが、映像と説明のおかげか、ブラックアサシンのメンバー達の魔力の流れや、生命力の安定感が、このわずかな間に改善されていた。

そこまで出来ればあとは俺の教えることはなにもない。

ひたすら戦いのなかで経験を積み、自分にあったやり方を見つけるしかないからだ。


最初は確かに真似でもいいが、ずっと真似ばかりしていては、自分だけの戦いかたを見つけられず、やがて伸び悩む。

その点を本能的になのか、感覚的になのか、もしくはそういう教えなのか、どれかはわからないが、ブラックアサシンのメンバーはわかっているようで、それぞれ実力の近い相手や、相性の悪い相手と模擬戦をすることで戦闘スタイルを探しているようだ。

そのなかで何人かはすぐに自分の戦いかたを見つけ、試行錯誤を繰り返していた。


やはり基礎は出来ているし、基本的に集団で戦うことを前提としているのはわかっていたので、対個人というよりは集団特化の戦いかたを身に付ける者が多かった。

中には、先発部隊として敵に誰より早く切り込むために、1対多数を見越した戦いかたを見つけた者や、偵察特化もいたが。


そしてシャーム曰く、俺の教えた体験はそれこそ彼らブラックアサシンの常識を覆す物だったようで、今まで当たりそうだった壁を難なく超えることができ、一気に実力が上がったらしい。

こんな短時間でそんな馬鹿なとも思っていたのだが、確かにブラックアサシン達の動きを見ていると、今までと違い、連携を意識した動きを1人の状態でもできるほど、というより、ここでこういう連携をするつもりなんだろうと、見ているだけでわかるくらいに戦闘スタイルを確立していた。


それを見た俺は安心して、今度はフランに、シャームを始めとする隊長、副隊長格を鍛える事にした。

まずは、現状どれだけ力を付けたか見るために模擬戦を行うことにした。

フランはトーナメントの時に、その実力は把握しているが、昨日のルイや今のブラックアサシン達のように、戦いかたを見つけるだけでも、実力は大きく跳ね上がる。

そして、その完成度次第では俺がアドバイスをするのは逆効果となる場合もあるため、模擬戦の結果次第でこの後の訓練内容を決めようと思う。


当然相手は、フランとシャーム、隊長、副隊長格の11名、先程のブラックアサシンの部下達よりも人数は圧倒的に少ないが、それでも質と言う面で遥かに凌駕しているだろうから、試合内容としては、先程よりも厳しくなるだろう。

最も、俺は以前フランと共に戦ったからとはいえ、この場にいるフランを除く10名を撃退している。

その時から俺も成長しているため、そうそう負けることはない。

シュウのような規格外は別だが。


そんな事を考えながらも、意識を戦闘モードへ切り替える。

手を抜いて相手をしては、訓練にならないため、きちんと相手の実力を把握したうえで戦う必要がある。

俺はブラックアサシン幹部+フラン達の準備が出来たのを確認し、模擬戦のルール合わせを行う。

最も、ルール合わせと言っても、基本ルールは先程の模擬戦と同じ、違うものとすれば、審判がセルフなのと、開始がコイントスな事くらいだろう。


ルール合わせが終わり、互いにある程度の距離を取った所で、俺はコイントスを行う。

コインの弾かれる音が辺りに響くと、互いの緊張感が増し、俺に至ってはその緊張感のおかげで感覚が研ぎ澄まされていく。

これは、シノグやシュウ、スートのようなメンバーと戦ってきたからなのだろう。

相手の動き、呼吸、何を狙っているのか、どんな行動をとるのか、(並列思考)であらゆる可能性を模索しては対処を繰り返す。

まだ戦ってもいないのに、イメージトレーニングだけでここまでの経験が得られる事に、内心で喜んでいると、遂にコインが地面と接触する。


すると、まずはフランが先行してくる。

盾を持っている為、そこは予想通りだが、問題はフランがブラックアサシンの彼らと連携ができるかだ。

当然、フランは盾を使い、敵から味方を守るのが役目なので、周りと連携がとれないでいれば、それは攻撃手段を持たないただのお荷物に他ならない。

それを心配していたのだが、どうやら杞憂だったみたいだ。

フランが先行し、俺がそれをスルーして他のメンバーを狙おうとすると、それを防ぐかのようにフランが立ち位置を変える。

それにブラックアサシン達が合わせ、それぞれ攻撃を仕掛けてくる。

引こうとしようにも、それを狙い済ましたかのように魔法や矢が飛び、ならば左右に避けて距離を開けようにも、それをシャームや他のブラックアサシンの幹部達が防ぐ。


見事に動きを封じられた俺だが、それほど焦りはしない。

俺を囲んでいるということは、それだけどこか1つが崩れれば脆いものだし、人数を分けているため、1つの場所の防御力が落ちるのは言うまでもない。

だが、そこはきちんと工夫しているようで、正面はフランと遠距離攻撃をする部隊、右にはシャームがいる方は、シャームと側近の2人、左にはその他のメンバーと、一応の実力は均等になっていた。


そして、俺は1番防御が弱そうな幹部達のみで構成されている左を強襲する。

普通なら2人しかいなくて、盾等を持っていないシャーム達のいる右側の方が崩しやすいのだろうが、その分個人個人の実力が高いため、結局すぐには落とせない、フランのいる方に関しては言うまでもない。

その結果、左側を攻めることになったのだが、彼らも自分の実力は把握しているようで、俺を足止め、というより、自分達を囮にして俺を引き付けるように戦う。


その間に後方からは、シャーム達が、横からはフランが、逃げ道は遠距離部隊がと、長年訓練してきたかのような統率された動きで俺を抑えてくる。

流石、連携の質と囲みかたがわかっていて、明らかにブラックアサシンの部下達と戦った時とは比べ物にならないほど苦戦する。

それでも、俺は全ての攻撃を受け流し、回避し、まともな攻撃は一撃も受けていない。


それでも、より一層激しさを増す攻撃、俺もカウンターを入れようとするが、絶妙なタイミングでフランが俺の動きを制限させ、味方をアシストする。

前衛での壁役としてこれ以上無いほどの成果を出しているフラン、そのおかげで他のメンバーは思いきった攻撃ができる。


だが、俺は残念ながらこの作戦の穴に初めから気づいていたため、それを気づいているのか確認する意味も含め、わざと長期戦へ誘導させる。

そうはさせないと、全員更に踏み込んで来るが、それでも俺に攻撃が当たることはない。

やがて、遠距離部隊のうち、魔法を使っているメンバーが、魔力の限界を迎え、それに伴い俺の回避方向の1つが増えてしまう。

それを好機とした俺は、遠距離部隊の攻撃が弱まった方向へ、囲まれないために距離を開ける。

同時に技を構築していくが、その動きは想定内だったようで、フランやシャーム達も俺が離れるタイミングで技を構築していた。


完成はややフラン達の方が速かった。

おそらく、本命の攻撃はこれなのだろう。

手のひらで知らない内に踊らされていた俺は、彼らに感心しつつも自分の技の構築を続ける。


《キャッスルグラウンド!》


「お前らの力、借りるぜ、ミナソード!」


フランの防御特化の技に、味方全員の力を集めるシャームの攻撃技、イーブンを使おうかとも考えたが、今のフランにそんなものが効くとは思えなかったし、シャームのミナソードを狙ったとしても、それをフランが見逃す筈もない。

完璧に連携と相性を考えた攻撃に、思わず笑みを浮かべてしまう。

想像以上の実力を付けていてくれたので、こんなに楽しい勝負ができる。

俺は、そんなフランやシャーム達に応えるように、技を完成させる。


「スラッシュ!」


剣を使うものなら誰でも使える技、しかし、技を左右するものはイメージの強さ、俺はその初歩的な技を、俺の持てるイメージの全てを総動員してフランへとぶつける。

当然、盾も使い、キャッスルグラウンドで防御が完璧なフラン、だがそんなフランのイメージを上回る圧倒的なイメージ力をぶつけられ、フランのキャッスルグラウンドは破られ、そのまま吹き飛ばす。

そして、ミナソードも同様にスラッシュで消し去る。

ミナソードは、シャームとブラックアサシンの幹部達のイメージを総動員した物だったのだが、それを俺は上回って見せた。

そして、ミナソードを破られるとは思っていなかったシャーム達は一瞬動揺し、動きが止まる。

その隙があれば、十分だった。

一気に距離を詰めて、1人1人にカリバーンを突き付け、俺の勝利で模擬戦が終了した。


次回更新は7/14です。


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