77.ブラックアサシンの実力
リョウ視点です。
俺が武器を構えると、100人を超えるブラックアサシンのメンバーは、侮りを一切捨て、こちらの動きを探りながら、辺りを囲み、先発部隊を出すタイミングを見計らっていた。
普段リーダーとなるべきシャームや幹部達がいないにも関わらず、これだけ統率された動きが出来ることに素直に感心しながら、俺は念のため身体強化を施しておく。
ウエイトマジックや、アンリミテッドマジックもあるが、今回は武器同士を合わせて実力を測ろうと考えているため、魔法は使わない。
ブラックアサシン達も準備が整ったのか、先発部隊が10人で突っ込んでくる。
それに合わせて、後方から弓や魔法が飛んでくる。
それも30発ほど、そして後方では回避した先を追撃する為の部隊と、そのまま乱戦時に死角に飛び込もうとする部隊で気配を最小限まで落としている。
部隊の分け方、攻めかた、そして連携の質など想像以上に練度が高く、俺は改めて彼らの実力に感心した。
あとは、その後の対処がどの程度のレベルかだ。
ここまでは、ほぼ完璧に攻めている、この攻撃を仕掛けられたら、簡単には凌げないだろう、それこそ、圧倒的に上回る人海戦術を使わなければ受ける側の被害だけが積み重なるくらいに。
ただまあ、ここまで絶賛してはいるが、詳細に説明できるくらい俺は全員の動きが見えているし、そこそこのスピードで動いているであろう先発部隊も止まって見えるは言い過ぎだが、余裕で対処できるレベルだった。
魔法など更にお話にならない、発動の速さと燃費の良さを意識しているのだろうが、どれもつい先日サクラの魔法を見ているため、どうしても見劣りしてしまうのは仕方ないだろう。
後方で気配を消してる部隊も、回避先で待ち受ける部隊も、普通の相手なら全く問題はないのだろうが、俺は生憎普通の相手ではないらしいからな、その程度では全く問題にならない。
というわけで、結論を言ってしまえば、練度は想像以上に高いが、それだけと言う感じだった。
俺は迫ってくる魔法と矢をカリバーンで全て切り裂く。
そして、先発部隊の1人1人を気絶させていく。
残念ながら俺の動きに着いてこられる人材はいないらしく、俺を捕捉することもできないようで、見当違いの方向を向いていたり、攻撃したりしている。
そして、先発部隊突破後、弓、魔法部隊を速攻で無力化させ、残りは気配を消している部隊と追撃部隊だけになったのだが、先に気配を消している部隊にスートのミラージュと気配消しを行い、気付かれずに近づき、仕留める。
追撃部隊に至ってはいつの間にか周りの味方が倒れている状況となり、一瞬の迷いを抱いて動きが鈍ったのを見逃さず、一瞬で間合いを詰めて戦闘不能にさせる。
これでブラックアサシンの全部隊を無力化した。
とりあえず大体の実力はわかった。
他の裏組織がどのくらいの実力を持っているのかわからないが、もう少し彼らの地力を上げれば、連携と、リーダー格からの適切な指示も合わさって、戦いを有利に進められるようになるだろう。
俺がブラックアサシンのメンバー達の訓練方針を決めていると、シャームが話しかけてくる。
「まあ勝てるとは思ってなかったが、ここまで圧倒的だとはさすがに思わなかったな、あの人数でリョウに一撃もいれられないとは予想外だったな。」
「まあ、俺だってちゃんと成長してるからな、それにシャームはそう言うが、想像以上に実力は高かったぞ?、裏組織がどの程度の実力があるのかはわからんが、少し教えるだけでも一気に強くなれるだけの下地はありそうだしな。」
「それならよかったぜ、俺としてはリョウに呆れられないか心配だったんだが、杞憂だったみたいだな。」
「ああ、早速ブラックアサシンの奴らが目を覚ましたら、本格的に訓練を始めることにするよ。」
「ああ助かるよ、そんじゃ俺もついでに鍛えてもらうとするかな、リョウに鍛えてもらえる機会なんてほとんどないからな」
「ああ、構わないさ、俺もシャームの戦いかたは参考になるからな、俺は良くも悪くも周りに合わせることは出来ても、使うことはできないからな、その点シャームは部下の使い方が上手いからな。」
「そういってもらえるのは嬉しいが、俺としてはどうせならリョウほど強くなって、いつでも仲間を守ってやりたいけどな。」
「まあそれが1番だよな、とりあえずそんなわけで改めて今日はよろしくな!」
「ああ、こっちこそ頼んだぜ!」
こうして、俺とシャームで会話を終えると、フランが横で少し拗ねたような顔をしていた。
確かに、戦いが終わってからほっといたからな、ちゃんとフォローしなかったのは失敗だった。
「フラン、ほったらかしで悪かったな、その代わりと言っちゃなんだが、俺のサポートを手伝ってくれないか?、フランがいてくれれば俺も気が楽だし、それに落ち着くからな。」
《そ、そんな事を言っても簡単に許すつもりはないからな!、だが、リョウ殿も大変なのはわかっている、だから私も手伝おう。》
とりあえず、上手く説得できたようで、フランの表情は先程の拗ねたような表情から、笑顔になっていた。
とりあえずフォローが無事にできて安心し、ブラックアサシン達が目を覚ますまで、フランを混ぜた起きている面々で世間話をしながら時間を過ごす。
少し経った所で、目を覚ましてきたブラックアサシン達は、自分達がどれほどの相手に訓練をつけてもらえるのかを身を持って体感したため、今はやる気に満ち溢れていた。
最近は強くなった実感もあり、気付かない内に天狗になっていた事実を改めて認識したため、心を入れ替え、そして今まで以上に気を引き閉めていこうと決めている様子が見てとれた。
そんな彼らの様子に喜びながら、俺は訓練を開始する。
次回更新は7/13です。
引き続き、評価、レビュー、感想、ブックマークをお待ちしております!