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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
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75.マスターオブウエポン

リョウ視点です。

俺はシュウとの勝負を終えると、戦いの中で突然伝わってきた武器の声のような物に再び耳を傾ける。

会ったばかりの時のカリバーンみたいな念話で話してくるようなはっきりとした物ではなく、ドペルが俺と一体化した時に、それを推奨してきた俺の武器達の思いが伝わってきた時の感覚と似ていた。

というより、あの時に感じた感覚がより強くなったような、そんな表現が正しいんだと思う。


ただ、実際にシュウとの戦いで有利に働き、この力がきっかけで勝敗が決まったのは言うまでもない。

自分の劣化分身を作るのではなく、1人で全ての武器を扱う技、あれを技と呼ぶのかは疑問に思うところだけれど、それでもシュウを圧倒し、成長できたことに変わりはない。


俺はもう一度マスターオブウエポンを使うために意識を集中させてみる。

そうすると、さっきは夢中で、しかも咄嗟にやったからわからなかったが、俺と一体化した武器達に込めた俺の意志が反応して、それぞれがしゃべらないまでも、必死に自分達の存在を主張してくる。

その全てを理解するには、どうやら俺の実力が足りないらしく、武器達には悪いことをしているなと思ってしまう。


ただ、裏を返せば、あれほど強力だったマスターオブウエポンはまだまだ発展途上であり、武器達はそんな俺の成長を待ってくれているみたいだ。

今までも、リナ達を守れるくらいに強く、という目標もあったし、仲間の誰よりも強くありたいと思っていたが、それと同じくらい、共に戦ってきた武器達の期待に応えたいと思うようになった。


より一層のモチベーションを得た所で、1度集中を解く。

マスターオブウエポンは強力な反面、精神的な消耗が激しいみたいだ。

リフールリングを着けてもこれなのだから、実際はどれほど消耗するのかは恐くて想像しないことにした。

同時に、今までは身体強化で身体を強引に酷使したり、道具生成で魔力や生命力の総量を上げたり、扱い方を模索したりしていたが、それに加えて、こうして武器達と会話して精神を鍛えようとも思った。


小説やゲームの中には、どれだけ身体能力が高くても、精神的な攻撃であっさりと負けてしまうということもある。

その点、このマスターオブウエポンは、肉体的な消耗はほとんどないものの、精神的な消耗は激しく、鍛えるにはもってこいだ。

多分、精神と言う目に見えない曖昧な物だからこそ、俺と一体化している武器達と繋がれるんだろう。

そして、そんな曖昧な物だからこそ、強く意識を持ち続けないと、簡単に消え去ってしまう。

そんな自分なりの解釈を終えたところで、シュウが話し掛けてきた。


〈リョウ、さっきのあれは何だ?、俺もそこそこ長い間生きているが、あんな技は、いやあれは技ではないな、あんな現象は初めてだぞ?〉


「うーん、俺もまだ完全にはわかってないんだが、俺の武器は俺と一体化しているのはわかるよな、そんで、その武器達の声というか、感覚というか、そういうのを感じ取った結果としか言いようがないな。」


〈なるほど、確かに武器と一体化出来るのだから、不可能な話ではないか、面白いな、俺も自分で武器を作り出して一体化もしているからな、武器の声に耳を傾けるとしよう。〉


「ああそれと、あんまり無茶しすぎると、精神が崩壊するかもだから注意しろよ、これは相当精神に負担がかかるからな。」


俺の言葉の意味がわからないのか、不思議そうな顔をしながら、武器との会話を試みるシュウ。

それは比較的簡単にできていた。

それもそのはずで、シュウの2本の剣の1つセイバーに宿っているのは、シュウの半身とでも言うべきモンスターとしての力なのだから。

これは分かりやすく考えるなら、当初のカリバーンと同じようなものだ。

剣が意識を持っていて、その意識と会話する、これは普段からも出来るし、集中している今ならより簡単に会話できるだろう。

実際、時折微妙そうな顔を浮かべているしな。


ただ、予想通りというか、ソーディアンの方の声を聞くのは難しかったみたいだ。

一応、セイバーを通してソーディアンとの会話を試みているみたいだが、俺よりも更に精神が弱いのか、ほとんど感じられず、消耗するだけのようだ。

まあ、今までモンスターになる瀬戸際だった人間なんだから、精神が弱りきっていてもおかしくはないけどな。

それでも、すぐに実践できるのはさすがシュウって感じだけどな。


〈なるほと、確かにこれは誰彼構わず使えるものじゃなさそうだな、これが完成するまで一先ず俺のリベンジは後回しだ。〉


「わかった、楽しみにしてる。」


そういって俺たちは訓練と言う名の模擬戦を終えた。

恐ろしく密度の濃い充実した時間だったけれど。

そして俺とシュウの戦いを最後まで見ていたメンバー達は、不思議な顔をしていた。

そして、リナがこちらへ歩いてくる。


《リョウ、お疲れ様、すごい戦いだったね、思わず言葉を掛けるのに時間かかっちゃったよ、でもなんでかな?、リョウを見て嫉妬に狂ったり、絶望したり全然しない、むしろ、今まで以上にやる気に満ち溢れる!》


「それはようやくリナが、自分の可能性を信じられるようになった証明だよ、ほんと俺も嬉しいよ、まあでも、当分俺もマスターオブウエポンを扱えるように訓練しないとだけどな。」


《今はまだまだリョウの実力の足元すらも見えないけど、絶対に追い付いてみせるからね!》


「ああ、また初めて会った時のように一緒に戦おうな!」


俺とリナで甘い空間を作っていると、すかさず他のハーレムメンバーも押し寄せてくるが、俺はそれを華麗に回避していく。

何か前よりもハーレムメンバー達の動きがわかるようになったなとか思っていると、俺に追い付いてきたスートが俺に話しかける。


《リョウ、今日フランと自由日交換する。》


「急にどうしたんだ?」


《リョウの試合見て、いても立ってもいられなくなった、今なら何か掴めそう、だからフランと自由日交換する。》


「まあ、俺は構わないが、あんまり無理するなよ?、倒れたらそれこそ時間のロスだからな。」


《そんなリョウを心配させることはしない、でも少しは無理しないとリョウに追い付けない。》


「ならもうなにも言わないさ、頑張れな、待ってるから。」


そうして、短いやり取りを終えると、ハーレムメンバー達もスートに習い、訓練へと向かっていく。

そんな中で、自由日を交換したフランだけが歩いてくる。


《リョウ殿、今日は何をする予定だ?》


「フランはみんなと訓練しなくていいのか?」


《私はいつも自分の限界まできちんと訓練している、週に1度しかない休みまでとってしまったら効率が悪い。》


「なるほど、さすがだな、じゃあ早速で悪いんだが、朝ごはんを食べたら俺とブラックアサシンの元へ向かってくれないか?」


《あの連中の元で何をするんだ?》


「何か裏組織で動きが活発化してるらしいからな、それの確認とブラックアサシンのメンバー達の戦力確認にいく。」


《なぜ私なんだ?、他のメンバーもいるだろう?》


「面識あるのがフランだし、俺の顔を知らないやつらがいるところに、他のメンバーを連れてって何かあったら困るからな、その点フランなら面識あるやつもいるから、そんな動きになる前に自然と収まるだろうし。」


《なるほど、ちゃんとした理由があるなら構わない、裏組織が必要な理由もやつらと共に行動してから考えていたが、オーノスの雰囲気でわかったからな、明らかに奴等とリョウが同盟を組んでから犯罪が減っていた、悔しいがな。》


「わかってくれたなら嬉しいな、世の中綺麗事だけで回すには色んな力が必要になってくるからな、それでも悔しいならいつかその力をフランがつければいい。」


《無論そのつもりだ!、その為にも今日は1日よろしく頼むぞ、リョウ殿。》


「ああ、任せろ。」


そんな訳で今日はフランと後日に予定していたブラックアサシンとの顔合わせ兼実力把握、兼訓練相手として、ブラックアサシン本部へと向かうことにした。


[シャーム、予定変更だ、今日フランと行動することになったから、こっちの準備ができ次第そちらへ向かう。]


[りょーかいしたぜ、全員に通達しておく、待ち合わせは、学園の正門にしよう。]


[わかった、じゃあまた後でな。]


こうして、今日の予定が決まり、みんなの訓練が終わるのを、精神の消耗を回復させながら待っていた。

次回更新は7/11です。


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