72.朝の体育館
リョウ視点です。
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頭にアラームが響いてくるが、昨日はいつもより遅くまでルイとプチデートしてた影響か、目が覚めない。
薄っすらと目を開けてみても、みんなまだ寝ているみたいだったので、俺はもう一度眠りに着こうとすると、リンクイヤーでブラックアサシンから連絡が入る。
[リョウ、今いいか?]
[こんな早い時間にどうしたんだ?]
[実は、ここ最近俺達よりも下のグループの動きが活発でな、何か上からの指示が出てるみたいだ、もしかしたら何かしらのちょっかいが来るかもしれないからな、忠告だけさせてもらうぜ。]
[なるほどな、情報をくれてありがとな、あれから団員の調子はどうだ?]
[ああ、今までが信じられないくらいに錬度が上がってる、時間があれば見に来たらどうだ?、リョウの実力も見せておきたいしな。]
[それもいいかもしれないな、つい先日俺のクラスでトーナメントをやったばかりだから、ブラックアサシンの団員がどの程度の実力なのか図れそうだ。]
[そいつは、俺達も気合いを入れとかないとな、いつくらいになりそうだ?]
[うーん、明後日ならシャームも知ってるフランと行けると思う、まあ行く前にこれで連絡するさ。]
[わかった、そんじゃその間に最大限鍛えとくとするさ、他に何かあればまた連絡するぜ。]
[ああ、頼んだぞ、シャーム、じゃあまたな。]
[おう、じゃあな、リョウ。]
ブラックアサシンの団長シャームとのリンクイヤーでの会話を終わらせ、少し話した事で目が覚めた俺はみんなを起こさないように、体育館へ向かう。
人避けの魔力を少し工夫し、マッドシルダー山脈の時のように、相手の力量、姿形も探っていく。
以前より精度は上がってきたが、まだまだ目視するよりも精度は甘い。
それでも、前よりは細かく見えるようになれたおかげと、この前のトーナメントのおかげでこの学校の大体の実力が把握できるようになった。
中には、ドーラやイルデのような、ハーレムメンバー達と対等に戦えるような人物もいるようだが、彼等がクラス代表になっている事からも、ほとんどいない事がわかる。
その2人の実力でさえ、悪いが、シノグや俺、スートと比べると見劣りしてしまう。
それにおそらく、もう一度戦っても、戦闘スタイルを確立したハーレムメンバー達には勝つことは出来ないだろう。
そして、イルデとドーラを越える人物は今まで1人しか探知したことがない。
俺達の試験官、レイだ。
俺の力量を自分で図れないからわからないが、既に完成された強さを持ち、莫大な魔力と生命力を持っている。
詳しくは目視しないとわからないが、何かしらの特別な力も感じる。
もしかしたら、それがレイの持つ勇者という職業の力なのかもしれないが、あいにく、俺たちは誰も職業には着いてないみたいだから、わからない。
この分なら警戒してたが、問題なく武術大会予選は突破できそうだ。
大会のメンバーは既に選んだが、戦闘経験をなるべく実力の低いメンバー達に積ませたいから、場合によってはメンバー変更も考えておこう。
他の金クラスのメンバーならかろうじて同格になりそうな奴もいるからな。
それでも、同格程度しかいないんだけどな。
ブラックアサシンの話もあることだし、俺も教えられるように動きの理解や、力の使い方を改めて復習しておこう。
俺が別校舎の体育館へ入ると、そこにはシュウがいた。
驚くことに、シュウはリンクイヤーの位置把握を見事に誤魔化していた。
まだ渡して1日しか経ってないのに、いつの間にか改造されたみたいだ。
俺の様子に満足した反応を見せるシュウは、俺の存在に気付いていたようだった。
〈どうだ?、ちょっとした悪戯をしてみたのだが、その様子だと楽しんでもらえたみたいだな。〉
「ああ、まさか位置情報を誤魔化されるとは思わなかった、まあ次は対応できると思うけどな、ただ、ヤバい時は隠すなよ?」
〈それは楽しみだな、なら俺は破られないように工夫するとしよう、そんな事は百も承知だ、大体リョウの実力はわかっているし、信頼もしている、だからいざというときは任すさ。〉
「それなら俺から言うことはないな、まあ、俺の装備品を軽く弄れる技量には感嘆の声しか上がらないけどな。」
〈いや、これでも相当苦労したぞ?、何ならまだ完全に掌握できないほど完成度の高い装備だ、そのおかげで俺の技術も底上げされてるけどな。〉
「敵対しないなら、こんなに心強い味方はいないからな、もっと強くなってくれ。」
〈リョウも慢心せずに精進しろよ?、訓練を疎かにすれば俺はすぐにわかるからな。〉
「ああ、まだシュウとの決着はついていないからな、そんな簡単に満身なんかできないさ。」
〈なら、今から一戦やるか?、噂によればここは身体ダメージが軽減されるんだろう?、訓練の環境としてはもってこいだ。〉
「それは俺も賛成だな、そんじゃやるとするか。」
こうして、俺とシュウは武器を構えながら、向き合う。
久々のシュウとの戦いだが、シュウとの戦いは得るものが多いし、何より普段やる模擬戦よりも遥かに密度の濃い経験が得られる。
俺はまずは一刀流のシュウと、トライゴルクで戦うことにした。
そろそろ、他の武器の経験も積んでおかないといけないからな。
「遮るものを突き破る我が矛!、トライゴルク!
」
こうして、俺とシュウの模擬戦が始まった。
次回更新は7/8です。
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