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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第一章 ここ、異世界?
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9.村の案内と魔法

リョウ視点です。

目が覚めると、知らない天井があった。

夢かと思いながらも起き上がり、周りを見渡すと、見覚えのある風景が広がっていた。


木で作られたテーブルと椅子、今俺が乗っているベッド、床には昨日キエラさんからもらった靴がある。


やはり、昨日の出来事は俺の妄想からきた夢ではなかった。

もし、夢だったらどうしようと考えてた自分に気付き、複雑な気分になったが、深く考えないようにした。


昨日は色々と濃い1日だったせいか、ベッドに入ってすぐに意識がなくなった。

特に着替えとかもないため、とりあえず靴を履いてステータスを確認する。


ステータス


天神 凌 (てんじん りょう)


HP 220/220

MP 50/50


装備 (ジャージ上下) (運動靴) (鉄剣)


スキル (考察) (浄化) (剣技) (拳技) (精神耐性) (異世界言語理解)


スキル(異世界言語理解):自分と異なる世界の者の言葉がわかり、話すことができる。


昨日はリナに話しかけられてる途中にスキルを覚えたから、スキルの効果を確認する暇がなかった。

まあ、予想通りだったから特に不都合はない。


あんまり覚えていないのだが、昨日知らない内に剣を外して、靴と一緒に置いていたみたいだ。

夜この部屋に入った時は眠すぎて頭が回らなかったから、無意識の行動だったと思うが、剣持ったままベッドにダイブとか危なすぎるから、俺の危機回避能力に感謝しとこう。


さて、今日は村の案内をリナにしてもらう予定だったが、いつからやるかとか話してなかったな。


というか、そもそも時間の仕組みも分かってないし、わからないことだらけだ。

せっかく(考察)があるのに、聞いとかなきゃいけないことを聞いてないとか、スキルを使いこなせなすぎて泣けてくる。


まあ、まだこの世界に来て2日目だし、慣れてないからってことにするか。


そろそろリビングへ行こうかと思ったとこで、ドアをノックされた。


《リョウ、起きてる?朝ごはん出来たよー!》


朝からリナの元気な声が聞こえてきて、こっちまで元気になってくる。


「起きてるよー!今行く!」


リナに返事を返すと、リビングに向けて歩き出す。

昨日はぐっすり寝れたため、身体に疲れはない。

目も覚めたし、体調に問題はない。


リビングに出ると、キエラさんとリナは既に朝食を食べるため椅子に座って俺を待っていた。


「すいません、お待たせしてしまって!」


二人に謝罪すると二人とも、今準備できたとこだから、と笑顔で慌てる俺を見ていた。

相変わらず俺、遊ばれてるなと苦笑しながら俺も椅子に座ると目の前には、綺麗な黄色のスクランブルエッグと分厚いハムを切ったもの、昨日食べたのと同じパン、新鮮さ溢れるサラダと、ミルクのような飲み物が置いてあり、昨日あれだけ食べたのに食欲が湧いてきた。


昨日と同じようにそれぞれ食べる前の挨拶をすませると、思い思いに朝食に手をつけていった。


食事は基本的にナイフとフォークとスプーンを使う。

昨日の俺は食事に気を取られていて気付かなかったが、今思えば普通にナイフ、フォーク、スプーンがあるのは驚きだ。


昨日のトイレの魔具のように、明らかに俺のいた世界と似たような物がある。

まだ情報が足りないけど、これこそ異世界人がいた証拠なのかもしれない。


どちらにせよ、情報を集める為には俺も知識や実力をつけて、早いところ学園に通わなければならない。

やることだらけだなと考えつつ、今は目の前の料理を食べることに全力を注ぐことにする。


さて、スクランブルエッグとハムだが、味付けは塩胡椒だが、俺の世界にはない香辛料なのか、食べるほど食欲をそそられる。

それだけでも十分美味しいのだが、パンと一緒に食べると、どちらの料理も味の質が上がる。

ミルクのような飲み物は甘く、ミルクに砂糖を溶かしたような味だった。

このミルクも他の料理に余韻を持たす役割を果たしていて、決して外せないものだ。


この世界の食べ物は組み合わせることで、うまさが格段に変わるため、食べ方を色々考えられて楽しいし、美味しい。


こうして完食すると、二人も食べ終わり、片付けを終えると今日の予定を確認した。


「今日はリナに村を案内してもらうんだよね!その後に何か仕事とかあるの?」


今の所タダで住まわせてもらってるうえに、食事までもらってる。

これで学園の勉強だけさせてほしいっていうのはむしのいい話だ。

恩を仇で返すようなことになってはいけない。

俺が力になれるかはわからないが、どんな事であれ今の俺には貴重な経験になる。


出来ることはやるべきだと思い、決意を新たにしたところでリナが、


《今日は私の仕事はないから、使えるようになるかはわからないけど、リョウに魔法を教えるね!》


と嬉しい提案をしてくれた。


昨日見たときに思ったが、魔法はかなり便利だ。

使えるようになれば、空いた時間に体力トレーニングと平行して、魔力のトレーニングも出来る。


この世界でひよっこ同然の俺はやることがたくさんある。

一個ずつきっちりやっていって、エジマリフ学園を目指す。


「ありがとう!じゃあ、村の案内が終わったら魔法の指導お願いします!」


そういって俺とリナは準備を整えて家を出る。

最も俺の持ち物は剣ぐらいしかないから、準備の必要はなかったが、、、


まず案内してもらったのは道具屋だった。

これは二種類あり、エフォル村の特産品を売っているお(エール)と、行商人がやっているお店だ。

エールは毎日やっているが、行商人の方のお店は行商人が滞在している時にしか開かないため、行商人の滞在中は寄ってみるといいそうだ。


次に訪れたのは鍛冶屋だった。

リナが言うには、ドワーフがやっている鍛冶屋とは設備も質も雲泥の差があるらしい。

ドワーフの鍛冶屋を見たことがないから俺にはわからないのだが、装備の手入れや買い換えができるのは嬉しい。


いくらスキルが有るとはいえ、俺は剣など使ったことのない初心者だ。

ただ、せっかく異世界に来たんだから剣は使っていきたい。

そうなると、メンテナンスとかを頼める人の存在は重要だ。

そういった事からこれから利用する事が多くなりそうだ。


次に訪れたのは、昨日キエラさんとの会話でも出た書庫で、中を見ると意外と広く、本も沢山置いてある。

学園の勉強に使えそうな本はそんなに多くはなかったが、基礎を学ぶうえで必要な物は揃ってるそうだ。

この世界での俺の学力がどんな物かはまだわからないが、スキルもある事だし、悪くはないだろう。

空いてる時間はなるべくここに来て勉強しよう。


最後に来たのは訓練所で、ここの作りは他の建物に比べても頑丈に作られているようだ。

ある程度までなら中の物が壊れても、修復する魔法がかけてあるらしく、学園に所属する生徒くらいのレベルなら全力で戦っても大丈夫で、身体的なダメージは実際にくらう物の10分の1程度になるそうなので命を落とす危険は少ないそうだ。


魔法の練習をするときや、模擬戦をやる時はここでやることにしよう。


これで主要な施設は全部回った。

せっかく訓練所に来たので、魔法はここで教えてもらおうと思い、


「リナ、魔法教えてもらうのここでもいいかな?」


と尋ねると、


《もちろんいいよ!その為に最後をここにしたんだから!》


と笑顔を向けてきた。


ほんとリナの笑顔は可愛いなと思いながら、まずはリナから魔法の基礎について教わる。


《まず、魔法には火、水、土、風の基本4種と、光、闇の上位2種、どれにも相性が変わらない、無の7種類の属性があるの。》


《火は風に強く水に弱い、水は火に強く土に弱い、土は水に強く風に弱い、風は土に強く火に弱い、とそれぞれに得意な属性と苦手な属性があって、魔法同士ぶつけた時は、余程の差がない限りは相性が悪い方が負けるの。》


《光と闇は他の4種に対して強いけど、お互いに打ち消し合う特性を持っていて、無属性はどれでも打ち消せるけど、打ち勝つことはできません。》


《ほとんどの魔法を使える者は、無属性と多くても3種類しか使えなくて、闇と光を使えるのは一握りしかいないみたい。》


《この前私がリョウに使ったのは、無属性の(クリア)、風属性の(ヒール)で、光の色で魔法の属性がわかるようになってるよ。》


《火は赤、水は青、土は黄、風は緑、光は銀、闇は紫、無は白って別れてるんだよ。》


《これをふまえたうえで、身体の中の魔力を使って魔法を発動させ、その時に必要なのが詠唱よ。》


《まずは、力の方向性を定める為の詠唱が(我は求める)の所、定まった力で起こしたい現象のイメージを言葉にして、最後に現象を具現化するための魔法名を言葉にして魔法が完成するの。》


《これが、魔法を発動するまでの手順よ。まずは魔力を感じる事から始めてみよう!》


俺はリナに頷きで返し、体内の魔力を感知するために意識を集中させた。

ここまでの説明を聞いて、俺はこの世界の自分の記憶力に感動した。

今の説明の内容を完璧に覚えている。

元の世界の俺なら話の途中から理解も出来ず、最初の方を忘れてしまっていただろう。


知識だけ入れて、何も知らない状態でやれば魔力を感じるのは相当難しいのだろうが、俺は二回魔法を見て、受けている。

なので、何となく魔力がどんな物かわかる。

あの時の感覚を思い出しながら、体内の反応を探っていく。


感覚としては、自力で健康診断をしているような物だ。

身体の異常を探すというよりも、身体の見たことのない物を探すような感じだ。

しばらくすると、身体の中心に不思議な流れを感じた。

これが、恐らく魔力だ。


ここから詠唱を唱えればおそらく魔法が発動できるはずだ。

ただ、魔法を具現化させるための言葉を俺はほとんど知らない。

だからまずは、魔力をそのまま出してみる。

身体の中心から血液を通じて、手のひらから出すイメージで集中力を高める。

すると、見えないが何かがそこにあることがわかる。


これが魔力を動かす感覚か、不思議な感覚だが、一度経験するとあるのが当たり前になる。

とりあえず、出した魔力を戻そうとしてみる。

初めは戸惑ったが、さっき魔力を出す動きの反対の動きに変えただけだったので、思うほど苦労はしなかった。


魔力の出し入れが終わると、集中力が切れ、ふとリナの顔が目に入った。

その顔は驚愕といった感じで口をパクパクさせている。

その表情は普段見れないせいか、いつもよりも新鮮でより魅力的に見えた。


そんな感想を持っていると、我に返ったリナに問い詰められた。


《リョウ、何で魔力をそのまま出し入れできるの!?それに、いくら私の魔法を見てたからって魔力を感知出来るようになるまで早すぎるよ!?》


俺に問い詰める為にかなり近づいてきたリナだが、俺はそれどころじゃない。

リナ、近い!近いよ!!

あなた自分の魅力に気付いてなさすぎだよ!!!

女の子経験なんてない俺にはこの状況を何とかするライフカードはないよ!


とりあえず、一刻も早く答えるのがこの状況を脱する唯一の手段だな。

このままも悪くないし、むしろもったいない気もする、、、

あー!!!このままだと雑念に負ける!

急げ俺!


「魔力感知に関しては、さっきリナが言ってた通り、リナの魔法を見てたからできたんだよ!?

魔力を出し入れ出来たのは、魔力の流れを意識したらできただけだよ!」


とりあえず、リナの質問に答えたが、本人はあまり納得してないみたいだ。

そろそろ俺の心臓が限界に近い!

何とか勇気を振り絞って、


「リナ、その、、、ちょっと近くないかな、、、」


正直な感想を伝えた。

すると、最初はきょとんとしていたリナだったが、言われた事実に気づいたのか顔を真っ赤にして慌てて離れていった。


《あっ、ご、ごめん。で、でもリョウの事が嫌で離れたわけじゃないからね!》


リナも混乱してるみたいで、何かとんでもない事を言ってる。

照れてるリナは、誰がみても惚れそうなくらい可愛かったので、俺もこのままだと、何かしらやらかしかねないと思い、心を落ち着かせるために全力を費やしていた。


その時、無機質な声が頭に響いてきた。

【スキル(魔力操作)を手に入れました。】


また、動揺が広がったが、今はスキルを確認している余裕はない。

再び、落ち着かせることに全力を傾けた。


お互いに落ち着いた所で、リナはまだ納得できないみたいだったが、ひとまずは俺の事を信じて引き下がってくれたみたいだ。


そして、リナがこれからどうするか聞いてきた。


《思ったよりもリョウの成長が早くて、ここから先は書庫にある本読んで知識を蓄えて実際使ってみるしかできないから、もう教える事無くなっちゃったんだけど、どうする?外に特訓にでも行く?》


せっかくリナと一緒にいるんだ、わざわざ書庫に籠る必要もないな。

魔法を戦闘では使えないだろうけど、剣の特訓にはできるか。

HPも上がるだろうし、良いことづくめだな。


「外に行こう!戦闘経験も積んでおきたい!」


こうして俺とリナは訓練所を出て、村の外に特訓に出掛けた。



次の更新は4/21予定です。


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