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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
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67.シュウvsシノグ

リョウ視点です。

俺とシノグはインセプションリングを嵌めて体育館をあとにして、学校から出ると、人気の少ない通りでシナイルードンを使い、マッドシルダー山脈へと向かう。

今回は少しゆっくりめで飛び、シノグに訓練の時間を作った。

シナイルードンの同時操作だが、最初は少しだけ苦労していたみたいだが、俺が普段使っている時の感覚や、イメージについて説明するとコツを掴んだようで、まだ完璧とまではいかなくてもとりあえずは扱えるようになった。

結構難しい技術のはずなんだが、シノグの成長速度なら問題はなかったらしい。


それからしばらく飛び続け、マッドシルダー山脈に着いた頃にはシナイルードンの扱いにも大分慣れてきたようで、戦闘でも問題なく使えそうなくらいにまで仕上がった。

俺はシュウと戦う前の慣れって事で、ここら辺のモンスターを相手にすることにした。

スプレッドテリトリーで索敵を開始する。

シノグにはとりあえずやり方は教えたが、スプレッドテリトリーのように、魔法の効果範囲を拡げるような物は持っていなかったし、これから戦闘が始まるのに消耗の激しい道具生成もしていられず、結局出来る範囲での索敵となった。

それでも、普段視界に入るくらいの距離は索敵出来るらしく、十分優秀だったが、やはり初めはモンスターか動物かの判断が難しいらしく、実際にモンスターと会うまでは何回か間違えていた。


そして、シノグにとってこの山脈での記念すべき最初のモンスターは、運が悪いのか良いのかリザマンだった。

案の定、こちらを見つけると大声を上げてモンスターを引き寄せ始める。

俺はすかさずシノグに声を掛け、今回の役割分担を決める。


「シノグ、あいつはリザマンっていう仲間を呼び寄せるモンスターだ、こっから色んなモンスターが来るから注意してくれ、それで今回はシノグが前衛で俺が後衛を担当する、シナイルードンを使えば攻撃が当たる心配もないだろうが、気を付けてくれ。」


「わかった、それじゃ早速やるか、新しい相棒のクリエイソードの実力も試したいしな!」


「多分めちゃくちゃ感動すると思うぞ、まあ、おしゃべりはここまでにしてさっさと倒しますか、幾多の敵を切り刻め、フリスネイド!」


今回はフリスネイドを呼び出し、シノグを上手く避けながら攻撃を加え、時に隙を作らせてシノグに斬らせ、シノグの攻撃を避けた所に攻撃を加えるなど、即席にしては上出来な連携をしながらモンスターを次々と狩っていく。


「フィジカルブースト!」


時折支援の魔法を混ぜながら、戦いを優位に進めていく。

フィジカルブーストで身体強化の上から更に強化することで、更にシノグの動きの質が良くなり、狩るペースが更に上がっていく。

そして俺はシナイルードン10基を使って戦場の把握、と言っても2人の為見るのは主にモンスターの配置とかなのだが、それを行いながら時にシナイルードンをぶつけて攻撃に利用したり、攻撃を受け流したり受けきったりしながら戦いを進めていく。


シノグはシノグでシナイルードンの扱いに慣れながらも、俺がいるからか時々わざと敵陣に突っ込んで囲まれながら戦い、シナイルードンの使い方を自分なりに改良していた。

おかげで、戦闘が終わる頃にはシナイルードンを攻撃と、その予測に使い、俺と同じようにシナイルードンから自分の魔力を放ちながら、見えない中でもモンスターの動きを正確に把握出来るようになっていた。


そして、粗方掃討し終えた所でわざとリザマンを逃がし、それを追いかける。

もちろん道中でしっかりと倒したモンスターは半々に分けて、俺はゲートに、シノグは腕輪に送り込んでいる。

そうして、リザマンを追っていくと、またモンスターの種類が変わった辺りで大声で叫んでモンスターを集め出し、再びモンスターの集団と戦う。

この頃になると、シノグは途中に魔法の詠唱も行い、自分の手の届かない所をいくつかの魔法を混ぜた混合魔法で潰し、近距離では愛剣クリエイソードで蹂躙するを繰り返していた。


その一方俺はそれほど戦わなくてもシノグ1人で戦闘を優位に進められるため、止めを兼ねていたさっきとはうってかわり、支援することに重きを置いた。

フィジカルブーストを細めに掛けながら、フリスネイドを使って、モンスターの攻撃を受け流し、シナイルードンで動きを鈍らせ、シノグに渡す。

それを繰り返して、そろそろ訓練の時間を終えるため、逃げるリザマンをフリスネイドで絡めとりシノグの元へと運び、モンスターを全滅させた。


再び、倒しモンスター達をそれぞれ回収し、本日の俺の目的を果たすために笛を取り出し、一吹きする、

何をしているんだ?という疑問の目をシノグに向けられたが、少しするとどこからかシュウが現れて驚いていた。

まあ、俺は気づいていたけど。


「シュウ、一昨日ぶりだな、元気にしてたか?」


〈ああ、元気にはしてたが、やはりリョウとの戦いが無いとつまらなくてな、この辺のモンスターは相手にならないし、仕方ないから1人で訓練していた、それでリョウ、隣のやつは何だ?、見たところそれなりの強さはあるようだが、何故連れてきた?〉


「こいつはシノグって言って、俺のクラスメイトなんだが、面白い奴でな、是非シュウと戦わせたいと思って連れてきた。」


〈ほう、リョウがそこまで言うなら先に相手をするか、ただし、戦いが終わり次第リョウも戦ってもらうぞ?〉


「早く終わったらな、俺もシュウと戦いたいからな、まあ、どれだけ時間がかかるかはシノグ次第だ。」


「さっきから勝手に話を進めてるとこ悪いが、状況を説明してくれないか?」


「あー、とりあえずシュウは良い奴だけど、やるのはいつもの訓練じゃなく本当の殺し合いだ、だから気合い入れてがんばれ!」


「それ何も説明してないよな?、まあこんだけの強さの相手とガチバトルなんてそうそう出来ないからな、やってやるさ!」


そうして、武器を構えるシノグを見て、見た目以上の実力を感じたようで、シュウは嬉しそうにしていた。

そして、シュウは先手をシノグに譲るらしく、それに頭にきたのか突っ込むシノグ。

ただ、頭にきたとはいえ、そこで冷静さを無くすような頭の悪いやつではないため、直線ではなく左右にフェイントを入れながら距離を詰めていく。

まあ、その程度をシュウが見逃す筈もなく、シノグの動きに見事に合わせながら移動、攻撃をしていく。


それをシノグはシナイルードンで防ごうとするが、シュウの攻撃はそんなに甘くないため、シナイルードンが吹き飛ばされ、それに合わせてシュウが距離を詰めて、シノグに止めを刺そうとする。

しかし、シノグも生命の危機を感じるアンテナは感度が高いようで、すぐさまシナイルードンを囮に距離を1度開けて仕切り直す。

シュウの表情が感嘆を示すものになり、その後は笑顔を浮かべ、先程のように距離を詰める。


だが、今度はシュウの表情に驚愕が浮かぶ。

それもそうだろう、先程は盾ごと弾かれた攻撃を今度は盾できちんと防いだのだから。

これには、理由があり、当たる瞬間に盾を少し引き衝撃を逃がしつつ、角度をほんの少し変えて剣の威力を殺して止めたのだから。

これはシノグの思考速度とリンクイヤーのサポート、成長速度が無いと出来ない技術なのでこれで勢いに乗ろうとするシノグは再びシュウに斬りかかる。

もちろんシュウがそれを許す筈もなく、早々に距離を取り、距離を詰めるシノグにカウンターを入れにいく。

それを察したシノグは回避行動を取り上手く避けきった。


こうしてシノグが劣性な中で戦いは更に激しくなっていく。

シュウの容赦ない攻撃を何とかシナイルードンと剣での受け流し、回避でしのいでいくのだが、中々攻撃に移れない。

けれど、攻撃をまだ受けていない事からわかるように、シノグは防戦一方だが、勝ちの目が無いわけではない。

その証拠に少しずつだが、シュウの動きに対応し、ギリギリの防御から何とか攻撃に当たらないでいられる程度に余裕が出てきている。

そして、その余裕のおかげで、より多くの情報を取り入れられるようになり、ようやく反撃を少しずつ出来るようになっていった。


そして、両者の実力が拮抗すると、お互いに剣の応酬をするが、どちらも決定打にならない。

シノグは成長速度でシュウを上回り、シュウは経験でシノグを上回っているため、シノグの剣速が上がろうとも、その成長速度と方向性まで読みきって対処していく。

そして、互いに自身の実力を高め合いながら、膠着状態を維持していく。


流れを変えようと動くと、互いに牽制しあい、結局は膠着状態の斬り合いに戻る。

そうした応酬を繰り返す内に、シュウの経験をシノグの成長速度が上回っていく。

シュウが自分をどのように認識しているかを察し、トーナメントの際にリンダにやられたように、途中で戦いの癖を変更してシュウを追い詰めていく。

初めて焦りの表情を浮かべたシュウだったが、こちらも少しすると対応され、再び膠着状態へと移る。


それからも、シノグが癖を変え、戦い方を変えと試行錯誤しながらシュウに挑んでいったが、すぐに対応され、膠着状態へ移り、シュウが攻めに転ずれば即座に対応して再び膠着状態へ、そんな展開が続き、その内に時間が過ぎ、俺が戦いを中断させる。


「そろそろ俺らの帰る時間だ、続きはまた今度だ。」


俺が声を掛けると、2人の動きが止まり、互いに距離を取り合う。

そして武器をしまった所で、俺はシュウに話しかける。


「シュウ、シノグはどうだった?、楽しめたろ?」


〈ああ、まさかリョウの他にこんな逸材がいるとは思わなかったな、是非また戦いたいところだ。〉


「ああ、それで提案なんだが、シュウもうちの学園に来ないか?、学園に来れば俺とシノグや、一昨日連れてきたメンバーともいつでも戦えるぞ?、それに道具生成で剣にモンスター化の原因を移したから問題ないだろ?」


〈魅力的な相談だが、大丈夫なのか?、今は俺もこの剣にモンスター化の原因を移したままでいられてるが、これがいつまで続くかわからないぞ?〉


「なら俺もその剣の暴走を防ぐ役割を担う。」


俺はそういって、シュウにセイバーを出してもらい、セイバーに俺の魔力を送り込む。

あくまでセイバーの元に送り込んでいるため、モンスター化の原因には何の影響もない。

そして、このセイバーにいつでも干渉できるようになった。

これで、シュウが飲み込まれそうになったときに、俺の魔力が防波堤となってくれるはずだ。

それ以外では使わないけどな。


「これで、モンスター化する前に俺の魔力とシュウの魔力を合わせればモンスター化の原因をシュウから切り離せるはずだ。」


〈感謝する、だが、こいつも俺の一部で、何というか俺の相棒のようなものなんだ、だから出来る限り切り離す事はしたくないな、それになるべくなら自由にさせてやりたい。〉


「それなら、そのシュウの相棒に意識があるのかはわからないが、何とかして危害を加えないようにさせるしかないな、そうなったら手伝うさ、それで学園の話はどうする?」


〈ここまでやってもらったんだ、もちろん喜んで行かせてもらう。〉


「よし、そんじゃシュウも連れて帰るとするか!」


盛り上がる俺に対して一言。


「いや、一応俺にも相談してほしかったんだが。」


と不満そうにしているシノグの事はとりあえず気にしないようにして、俺、シノグ、シュウでオーノスへと帰っていく。

ついでにリンクイヤーとインセプションリングもシュウに渡しているため、オーノスへ入る際も問題ない。

こうして、今日の俺の目的は無事に達成された。




次回更新は7/3です。


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