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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
80/141

61.クラス内トーナメント3位決定戦カリバーンvsシノグ

リョウ視点とカリバーン視点です。

2、シノグ●vsリョウ○


予想以上に楽しい戦いで、ほんとならいつまでも続けていきたいくらいだったが、シノグの精神的にも限界だったみたいだし、いくら成長速度が早くても、それはあくまで技術的なもので身体能力的には少しだけ成長が早い位でしかないため、俺と同じ動きをしていたら身体が限界を迎えてしまう。

だからこそ、俺は名残惜しかったがシノグとの試合という名の訓練を終わらせた。

端から見れば手を抜き俺が弱者を痛ぶり、自信過剰とも言えるような台詞を吐いた嫌なやつに見えるだろう。


だが、シノグの才能は確かに本物であり、その伸び代はまだまだ限界が見えない。

そして、この試合でシノグは確実に他を圧倒するほどの成長をしたはずだ。

それこそ、下手をすればハーレムメンバー達ですらシノグに勝てなくなるくらいに。

それだけ強くなったが、シノグに俺は実戦でだけでなく、観戦中にも何かを学べるようになってほしいと思う。

そうして更に強さに磨きをかけて、単なるコピーではなく、コピーを積み重ねたオリジナルを産み出してほしい。

その土壌であるメモリーオリジナルは出来ているし、これには実際の試合だけでなく、観戦した試合での技も含まれている。

だから、見て学ぶを知らないうちに取り入れているのだから、あとはそれを自覚して生かせるかだ。


それにしても、シノグとの試合は本当に楽しかった。

もちろん、このトーナメントで戦ってきたどの試合も制限があるなかで戦って自分を磨いたり、普段とは違う動きをしたりと楽しめる所は多かったが、この試合ではシノグの成長を目の前で見ながら、楽しみながら、強くなっていく様子を見ていた。

これをそんな間近で見られるのは俺の能力と実力、そして試合のおかげであり、少しずつ自分に実力を近づけてくる様子は、スリルがあり、ワクワクがあり、対抗心が湧きついつい俺も引き上げられてしまった。

シノグのおかげで俺は昨日よりも更に高みへと昇ることができ、新たなライバルとなるであろう相手として見ることができた。

次の対戦を今から楽しみに待ち、次こそは俺が初めから余裕を無くすくらいの強さを見てほしいと思った。


これで、残るは3位決定戦と決勝のみとなった。

盛り上がりを高めるために3位決定戦を先に行い、決勝を締めとすることにした。


3位決定戦、カリバーンvsシノグ

決勝、スートvsリョウ


シノグには連戦で酷だがそんな事を言ってはいられない。

今は模擬戦だし、トーナメントだから途中休憩や寸止め、ダメージ軽減があるのだが、もしここが本物の戦場であればそんな理屈は通用しないし、そんな甘い考えならすぐさま命を散らす事になる。

そういった事情もあるため、同情はするが同時にチャンスだと思って戦ってほしいと思う。

まあ、疲労度で言えばカリバーンも負けてはいない。

2戦目からエルンやサクラ、スートなど常に強力な相手と戦ってきたのだから負担も相当だろう。

だからこそ、休憩がなかったとしても、俺の教えも受け継いでいるシノグに不利な状況だけではないため、結果を楽しみに待つ。

そうして試合開始地点にカリバーンとシノグは歩いていく。


∨∨∨


ほんとになんなんだよ全く。

リョウの周りの女だけじゃなくて、こいつも急成長するのかよ。

俺様は目の前のシノグを見て、ウンザリするくらいのため息を吐いた。

それはそうだろう、この前まで眼中にもなく相手にもならなかったクラスメイトがこの僅かな間に恐ろしい速度で成長してたんだからな。

というか、リョウのやつも知らないうちに規格外さを更新してやがった。

今まで制限をつけて戦っていたことは気づいていたし、実力の高さも把握しているつもりだった。

だけど、そんな予想なんて甘過ぎてリョウの実力を過小評価していたことに気がついた。

シノグをあの速度で成長させながらも全く寄せ付けない圧倒的なまでの強さ、今までならリョウと並び立てたかもしれないが、今のリョウには並ぶことはおろか、(意識共有)を使ってもすぐに引き離されそうだ。

俺様も訓練に余念はなかったし、やれるだけの事はやったつもりだったが、まだまだ全然甘かったみたいだな。


そんな考えを一先ず置き、目の前の相手に意識を戻す。

今は雲の上のようになったリョウに今さっき鍛えられ、そして恐ろしい速度で強くなってきたシノグ、正直今の俺様で相手になるかもわからないほどの実力の持ち主になってるはずだ。

だからこそ、出し惜しみはしないし、様子見もしない。

俺様は挑戦者のはずだからな。

いつまでも王者でいられるはずもなかった。

そこがリョウとの差が開いた根本な気もするしな。

そして、覚悟を決めた俺様と先程の試合のテンションをそのまま持ってきてやる気満々のシノグ、そんな緊張感と駆け引き、そして強敵と戦うときの高揚感を共有していると、審判が現れる。


《今回の2試合は私、リナが担当するよ!、いよいよ大詰めだから、誰から見ても恥じないような試合内容でね!、それじゃ試合開始!》


『人剣エクスカリバー!』


さっきも言ったが、俺は挑戦者だから様子見もしないし余裕も持たない。

今の俺様に出来るのは、シノグに俺様の全力をぶつけて勝つか、俺様の実力も吸収されてシノグの糧になっちまうかのどちらかだ。

そして、剣と一体化した身体でシノグとの距離を詰め、神速の一撃を放つ。


『神速斬、閃!』


その一撃を避けるでもなく、受け流すでもなく、1本の剣で受けるシノグ。

しかし、弾かれたのは剣を振り下ろしたはずの俺様の方だ。

全く、厄介なもんをリョウはあいつに身に付けさせやがって!

それはさっきの試合でリョウの身体強化を真似して洗練させていた身体強化、だが今の俺様にとってそれは圧倒的な身体能力差となっている。

そして、距離を詰めてくるシノグだがスピードが尋常ではなく、気づいた時には間合いに入り込まれていた。

俺様は咄嗟に神速の一撃を連続で放つ。


『神速斬、二閃!』


両手の剣を同時に振り下ろし、何とか身体能力の差を埋めて、攻撃を加えられるのを防いだ。

硬直時間はあったが、とりあえず吹き飛ばしたおかげでカウンターを受けることもなく逃れられた。

しかし、手詰まりなのは変わりない。

俺様の一閃なら弾かれ、二閃なら何とか勝てる程度、だが外した瞬間に負けが決まるし、あまり乱用していると、あっという間にシノグにこの技術は奪われる。

八方塞がりの状況をどう打開するか考えていると、そんな余裕を与えないというばかりに、シノグが距離を詰めてくる。

だが、今度は2回目ということもあり、何とか反応でき、攻撃を次々と避けていく。

そして、反撃の方法を見つけ、攻撃を避けながら、魔法を構成する。


『ソードレイン!』


魔法で作り出した剣をシノグに降らしていく。

その数は7色7本、それぞれの属性を持った剣がシノグに迫る。

それを一刀で超高速で捌いていくシノグ。

だが、それくらいは想定内であり俺様はソードレインを防いで一瞬動きの止まったシノグに向けて技を構築してぶつける。


『勝利のための剣、ブレイドマスター!』


全身を剣として次々に攻撃を加えていく。

身体強化でこちらの身体能力は劣っているが、技でそれを補う。

そして、俺様のブレイドマスターはそれだけでは終わらない。

神速斬に少し劣る速度で様々な角度でシノグへと迫る剣、そして、全身から剣が生えているためその剣一つ一つにブレイドマスターのイメージを固めていく。

絶え間なくシノグへと向かう俺様の剣、そして全身の剣を生やした身体ごとぶつけたり、それを両手両足に移したりしながら、ブレイドマスターの技を纏っている剣をシノグへと当てていく。


それでも直撃を避けていくシノグ、そして徐々に俺様の攻撃にカウンターを入れ始める。

しかし、俺様のブレイドマスターは常に剣にやどるため、時間を掛ければ掛けるほど技の精度が上がり、イメージも固まっていく。

そして、初めに全身に生やしてから1度も両手両足に変換させず、身体ごとぶつけた時にも折れなかった1本が俺様の中の最強になった所で、それをシノグにぶつける。

しかし、それに合わせるように見えないように技を完成させていたシノグとぶつかる。


「メモリーオリジナル、我流ライフォルト!」


前回8つのドラゴンだったその技、今は剣にそのドラゴンを纏い俺様のブレイドマスターとぶつかり合う。

技同士になってしまえば、身体能力の差よりもイメージの勝負となる。

そして、俺様のブレイドマスターは確かに最強の状態で放ったが、俺様の意思次第で更なる強化がされていく。

成長していく自分に合わせて成長する技、それはまるでリョウに渡したはずのカリバーンの特性そのもので、カリバーンの意識であった俺様の持つポテンシャルそのもの、そして今もその特性によって技のイメージ、強度は強化されていく。

勝ちを疑わない俺様、だが、シノグの成長速度は俺様の遥か上を行っていたようで、俺様の成長と共に強化されていくブレイドマスターをシノグのライフォルトが飲み込んでいく。

やがて、俺様のブレイドマスターが敗れ、シノグのライフォルトが俺様へと命中し、決定打となった。


《そこまで!、勝者シノグ!》


こうして俺様のクラス内トーナメントは4位という結果で終わった。

次回更新は6/27です。


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