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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
74/141

55.クラス内トーナメント2回戦ジークvsシノグ

リョウ視点とジーク視点です。

6、リンダ○vsドーラ●


さて、兄妹対決だったけど、お互いに変な情に流されないで真剣勝負が出来たみたいで一安心だな。

それに、自在剣という珍しい武器同士の戦いだったし、お互いの技量も高かったから見てる方としても勉強になっただろうし、楽しめたはずだ。

俺も我流で自在剣は使うことがあるけど、やっぱりあの2人には到底及ばないな。

俺の両手斧以外の武器は基本的に今ハーレムメンバー達が使っている得物だから、どうしても技量で勝つことは難しいんだよな。


それに、この大会を機にそれぞれが自分の個性というか、戦い方を掴んできていて、それは見ても俺が真似できる物ではないから、今だけしか皆を圧倒することは出来ないんだろうな。

まあそれでも、剣に関して言えばシュウとの戦いのおかげで随分と扱いに慣れたからそう簡単には負けないだろうけど。


次回の大会を楽しみにしながら俺は2回戦最終試合の始まりを待つ。

ジークvsシノグ。

どちらもこのトーナメントが始まるまでほとんど知らなかった2人だけど、シノグの方は1回戦で俺に衝撃を与えてくれた。

だから、ジークには悪いが、シノグには勝ち上がってきて、ハーレムメンバー達と戦って、どこまで戦えるのか見てみたい。

番狂わせがあり得るのはシノグだと思っているし。

あの成長速度と攻撃を冷静にさばけるだけの集中力と技量、技のイメージの強さ、成長速度以外は今はまだそれほどでもないけど、もしこのまま勝ち上がり続けるなら、、、

俺はそんなシノグを想像しながら小さく笑みを浮かべる。

そして、新たな戦いのモチベーションができた瞬間だった。


∨∨∨


さて、どうしたもんかな。

俺は2回戦の対戦相手であるジークを見ながら考える。

俺の武器は片手剣1本のみ。

盾を着けようかとも考えたことはあったけど、何となく避けているうちにこのスタイルになった。

対して相手のジークは魔人族で俺よりも体格が良い。

しかも何の因果か盾持ち片手剣士ときたもんだ。

思わず苦笑を浮かべた俺は悪くないだろう。


しかも、同じ片手剣同士とは言っても、人族の俺が装備する片手剣と、魔人族の装備する片手剣は大きさがまるで違う。

むしろ、ジークの剣はもし俺が使うなら大剣だろう。

それを盾を持った状態でブンブン振り回しているのを見ると、どうしたもんかなと溜め息もつきたくなる。

俺は金クラスの1期生だった。

新しいクラスってのもあったし、武術大会もあるんだから、そこで優勝して有名になろうぜと他のクラスメイトと熱く語った時もあった。

だけど、このクラスはそんな俺の、いや俺達の目標がどんなに夢のような物なのかを突きつけてきた。


次々と正気を失い、モンスター化していくクラスメイト達。

気づいたら俺の同期はみんなモンスターになって、俺や後から来たクラスメイト達に滅ぼされていった。

俺も、長い間金クラスで過ごす内に自我をどんどん失っていって、せっかく出れた武術大会予選もほとんど何も出来ないで終わるのを繰り返していた。

やがて、心も折れかけて、近い内にモンスターになるんだろうなって時に、リョウが現れた。


リョウに解放されるまではわからなかったけど、リョウが身体から黒い何かを出してくれて、それを倒して自我を取り戻して、ようやくリョウという存在のすごさを知った。

見てわかる程の強さ、それが日を追う毎にどんどん強くなっていく。

そんな成長速度を見て、俺なりにリョウに追い付けるように訓練していた。

何よりも同じ人族だったというのが、より一層リョウの強さを際立たせていた。


人族は知能は確かにあるし、器用だけど、身体能力はどの種族にも劣る。

そんな中で、あらゆる種族を従えて、その誰よりも強い存在感を放つリョウ。

それを見て目標にするのは当然の流れだと思う。

けれど、あの成長速度は異常だし、正直どうやって追い付けばいいのか検討もつかなかった。

だから、ひたすら考えた。

考えて考えて考え抜いて、自分の戦闘スタイルも見直し、相手の動きも前よりも観察するようになり、ひたすら訓練を続けた。


けれど、そんな簡単に強くなれるはずもなく、クラス内トーナメントを迎えた。

そして、1回戦のピースと戦っている時に全ての歯車が噛み合った気がした。

リョウの試合を直接見た影響もあったんだろうけど、今までと視点が変わったような感じだった。

そして、俺は2回戦に勝ち上がれた。


これで、俺の目標であるリョウと戦えたのなら、俺はどれだけ強くなれるのか、それを考えるだけでやる気や闘争心が満ち溢れてくる。

確かに相手は魔人族で俺よりも強者だろう。

だけど、俺はそれよりも圧倒的に強い人と戦おうとしている。

それに、今の実力では到底リョウに勝つことはできない。

だからこそ、一戦一戦で成長させてもらう。

ジーク、俺の踏み台になってもらうぞ!

リョウという目標を再び意識した事で先程までの悩みは一気に吹き飛んだ。

そうして100%戦闘に向けて集中力を高めた所で審判がやってくる。


《うむ、互いに良い集中力だな、これは試合内容にも期待できる、挨拶が遅れたが今回の審判を担当するフランだ、もう言葉はいらないな、それでは試合開始!》


相手の動きを少しでも吸収するためには、すぐには倒されず、相手の剣筋、癖、動きかたまで全てを把握しなければならない。

幸い、ジークも待ちが基本らしいので、とりあえず駆け引きとばかりに身体に力を入れたり抜いたりしながらゆっくりと距離を詰めていく。

剣も細かく動かしていくと、面白いように俺の動きに反応してくれる。

おかげで、どんどんジークの動きの癖が掴めてくる。

さて、小手調べも終わったことだし、次は俺とジークの身体能力差の把握だな。


まずは、ジークの動きの癖からわざと隙を作り出させてそこへ高速の突きをいれる。

何とか盾を抜くことはできたが、剣で防御されたため、ダメージは与えられなかった。

むしろ、剣を弾かれた俺の方が腕にダメージを負った。

ったく、わかってはいたけどやっぱ身体能力の差はでかいなと思いつつ、カウンターを避ける。

今のところ負けそうな気配はないが、勝つための方法も今のところ浮かばないな。


再び、俺は剣を振り下ろして攻撃を加えにいく。

今度は盾を使わせるように動かす。

予想通り盾に防がれる俺の剣、盾にぶつかった時の感覚が普通と違う。

金属音は聞こえるが、上手く表現できないが、衝撃を受け流されてる感じだな。

めんどくさい防具だよほんと。

まあ、それでもそれほど盾の技術は高くなさそうだから、盾に受けられないように斬ればいいな。


あとは、極力正面から剣を打ち合わないように気を付ければいいか。

そんな風に考えながら再び盾の合間を縫って攻撃を加えにいく。

もちろん、剣で迎撃しようとするジーク、だが、その辺は予定通りだ。

標的をジークの剣に変え、俺の腕にダメージがいく前にジークの剣を受け流し態勢を崩す。

ここまでは俺の予想通りに動いてくれている。

これで、止めだと踏み込もうとした瞬間、嫌な予感が全身を過る。

あわてて後方へ下がると、ジークは盾で俺の頭を狙ってきていた。

あれに当たっていたらおそらく一発ノックアウトだっただろう。


冷や汗を流しながら自分が知らぬ間に油断していたのを実感し、まだまだ甘いなと気合いを入れ直す。

だが、1回戦の時のように身体の調子が段々と良くなり、感覚が研ぎ澄まされていく感覚が広がってくる。

さっきよりもより相手の動きが見えるようになってくる。

というか、ジークの動きが鈍っているように見える。

だけど、ダメージや疲れがあるようには見えないため、多分俺の感覚のせいだろうなと思いつつ、再び攻撃を仕掛けていく。


正面から切り下ろそうとして、ジークの盾を出させて目隠し、その後一気に後方へと回り込み、攻撃を加える。

だが、そこまで甘くはなかったらしく、咄嗟に剣でガードされる。

だが、無理矢理剣でガードしたため、身体能力の差が出ることはなく、力が拮抗する。

そこに俺は身体に魔力を流して身体能力を強化して押しきろうとする。


それを感じ取ったのか、先に剣をわざと受け流して距離を開けるジーク。

このチャンスに畳み掛けようと、身体強化をしたまま距離を詰めて連撃を入れていく。

態勢を崩したジークだったが、持ち前の身体能力で何とかカバーしているようだった。

それでも、身体強化している今ならジークの一歩手前か同等くらいの身体能力があるため、段々と不利になっていくジーク。

だが、ジークも身体強化を使ったようで簡単には打ち勝てなくなったため、仕方なくジークとの距離を開ける。


俺もジークもまだ身体強化を上手く扱えないため、疲労感が襲ってくる。

それでも、感覚が研ぎ澄まされている今の俺は身体強化に慣れるのも早かったので、ジークほどの疲れはない。

そして、もう一度身体強化をしてみると、身体に自然と力が湧いてくる。

どうやら、身体強化は問題なく扱えるようになったみたいだ。

この歯車が噛み合う感じは堪らない。


これで身体能力の差はほとんど無くなった。

なら、あとは攻撃を加えればいいだけだ。

ジークとの距離を高速で詰めていき、疲労で動きが鈍ってきたジークに迫る。

防衛本能かなんとか俺の攻撃を剣や盾で防いでくるジークだが、呼吸のリズム、動作前の癖などが感覚が研ぎ澄まされてよく見える俺は、そんなジークの防御を少しずつ掻い潜っていく。

そして、念には念を入れて同時に技のイメージも作り上げていく。

そのついでに身体と剣を一体化させるイメージも作り上げて攻撃の鋭さや威力を更にあげていく。


ようやく技のイメージが完成する手前でジークの盾と剣が俺の剣に弾かれたため、少し残念に思いながらも俺はジークの首に剣を密着させる。


《そこまで!、勝者シノグ!》


技を使えなくて残念だったが、俺は無事に2回戦を突破した。


次回更新は6/21です。


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