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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
73/141

54.クラス内トーナメント2回戦リンダvsドーラ

リョウ視点とリンダ視点です。

5、ソルン○vsキール●


予想通りの試合結果だけど、試合内容はこれ以上ないくらいの結果を得られたな。

ソルンがキールを圧倒するのはもちろんわかっていたが、キールの強者へと挑む姿勢をきちんとソルンが学べたのは嬉しい誤算だった。

俺はシュウと戦っているからいいが、ハーレムメンバー達は俺やメンバー同士で戦わないとどうしても互角の戦いにならないから、手を抜きすぎたり、逆に力を使いすぎたり、強者へ対する耐性がないなどの問題がある。


だけど、ソルンはキールとの戦いのなかで、今の自分に絶対に勝てない相手と相対した時に、ただ全力でぶつかるのではなく、常に勝つための方法を探っていくがむしゃらさを手に入れることができた。

何度も経験になるわけではないけど、十分に強者と戦うときと同等の経験を得ることができた。

それは、これから何があっても生き残る可能性を上げるのに必要な能力だ。

強者と戦わなければならないとき、自分を理解し、相手を理解したうえで最善の行動をとる。

それが出来て初めて勝ち目が出てくる。

そういった面で強者と戦って負けても死なないこのトーナメントは強くなる為にはうってつけの環境だ。

この試合を見て、何かを感じた面々もいるみたいだから大きな収穫だろう。


さて、次の試合もある意味面白い試合になりそうだな。

リンダvsドーラ

忘れがちなんだけどこの2人って兄妹なんだよな。

全然似てないんだけど。

というか、何でリンダはもうちょっと兄貴に寄ってくれなかったのかな。

そうすればおそらく非の打ち所のない女の子になってたはずなんだが。

まあ、今のリンダも慣れれば嫌いじゃないけどな、ちょっと面倒なだけで、、、


操るのはどちらも同じ自在剣、多分戦い方も似てくるんだろう。

リンダとドーラのどちらが自在剣をより自由に扱えるか。

自在剣は良くも悪くも癖の強い武器だし、その名の通り使い手が自在に操れる剣だからな。

戦い方は似ていても成長の方向は変わっていくだろうし、同じ武器同士だから戦いの最中でも成長があるだろう。

さて、どちらが勝つか楽しみだな。

試合開始を待ちながら、兄妹の戦いに胸が躍る。


∨∨∨


リョウ様に会った時、本当に理想の白馬の王子様が来たのかと思った。

何故かって聞かれたら、直感とかびびっときたとか曖昧な表現しかできないけど、確かに私はリョウ様に運命を感じた。

白馬になんか乗っていなかったし、すごくイケメンな訳でもない。

だけど、物凄い強さと空みたいにどこまでも広く優しい心、側にいればいるほどそれを強く感じてより一層リョウ様の側にいたいと思うようになった。


このトーナメントだって、リョウ様が全力を出してしまえば勝てるような者は存在しないと思うほどの実力差があり、それを昨日に嫌というほど体感した。

もし、リョウ様がただ強いだけの人間だったなら、私や他の女の子達もリョウ様の側にいたいとは思えなかったと思う。

けれど、リョウ様は強くても決して驕らず、常に自分を高め、その得た知識を私たちに与え、私たちの成長を助けてくれた。


おそらく、リョウ様がいなければ、私たちはいずれモンスターとなり、この学園に迷惑をかけていたと思う。

それに、もし何らかの方法でモンスター化しなくても、今ほど強くなる前に心が折れていてもおかしくなかった。

それほど、私の中で、いやこのトーナメントに出ているメンバー達の中でリョウ様は特別な存在だと思う。

このトーナメントも武術大会のメンバーを決めるための戦いではあるけれど、出場してる以上はみんなが優勝を狙っているだろうし、リョウ様と戦ってみたいと思っているはず。


それは目の前の兄も同じ。

小さな頃から何でも出来た兄、私が勝てるものは何もなくて、学園に来てからもどんどん自分の意思が無くなって、兄とこうして向き合うことは出来なかった。

だけど、リョウ様に会って側にいると思うからには、そんな兄という壁を乗り越えられないといけない。

リョウ様と出会ったおかげで私は前よりも強くなれた。

それは兄も同様だとは思うけど、それでも負けるわけにはいかない。

リョウ様の側にいるためには生半可な強さでは到底無理なのだから!


私は自分の相棒でリョウ様の作ってくれた自在剣ソーラゴンを構え兄と、いや、ドーラと向かい合う。

今は、この戦いの中だけは、兄に対する憧れを全て置き去りにして対戦相手として接する。

それが、私の勝つための覚悟だから。

それに愛するリョウ様の前で無様な試合は見せられないから!


お互いに向き合い、高まり合う緊張感と集中力。

そんな中だけど不思議とドーラから圧倒される程のなにかは感じられない。

もちろん、強いのはわかっているけど、それでも近くでリョウや他の女の子達を見てきたからなのか、何となく心地良い適度な緊張感を保つことができてる。

多分、身体の調子的には絶好調だと思う、負ける気がしない!

そんな私とドーラの元に今回の審判がやってくる。


《今回は私、スートが審判を担当する、確認はいらなそう、だからやる、試合開始!》


お互いにそれぞれの相棒を自在に動かして相手へと迫る。

剣の刃がぶつかる直前に手元を動かして角度を変えて相手の剣を弾いて剣を伸ばそうとする。

それを読みきって角度を変えた私の剣へとカウンターをするドーラ。

それにまたカウンターを狙ってと、多くの駆け引きを続けていく。

伸ばしたり、引いたり、時折フェイントを掛けたりと手元を細かく動かしていく。

けれど、このままでは埒があかないと思い、距離を少しずつ詰めていく。


その分攻撃を防ぐのは難しくなるけれど、攻撃を当てやすくもなる。

ハイリスクハイリターンな戦い方、それでも私に焦りも気負いもない。

リョウ様が見ていて、ドーラと打ち合えているこの状況、これで私が負ける様子を想像できない。

私は笑みを浮かべながら更に距離を詰めていく。

激しくぶつかり合う私の剣とドーラの剣、どこかでお互いに自在剣の状態から普通の剣へと戻すタイミングがあるだろう。

それを間違えれば一気にこの均衡が崩れる可能性もある。


私は剣を捌きながら、また攻撃しながらタイミングを見極めていく。

ドーラの動きは今のところ全て見えているし、反応もできる。

それに、憧れていたとはいえ、小さな頃から見てきた事に変わりはない。

だからこそ、動きの癖も読める。

ドーラの気配というか、雰囲気が変わる。

そして、私はその雰囲気を見逃さずすぐさま普通の剣の状態へと戻す。

そうして、一気に距離を詰める。

最後の一撃として自在剣で攻撃を加えるドーラだけど、自在剣は広範囲での殺傷能力は高いけど、その分個人への攻撃は弱くなる。

もちろん、普通の剣に戻せばこれは逆になる。


そして、全力で私はドーラの自在剣を弾く。

その隙を使ってドーラとの距離を詰めきり、剣を横凪ぎに振る。

自在剣の良い所は伸縮自在な所でもあるので弾いた剣をすぐさま戻したドーラは何とか私の剣の直撃を防ぐ事に成功する。

けれど、防御が遅れているため態勢が崩れるのは自明の理だ。

ここがチャンスと態勢を整える暇を与えず切り下ろし、フェイントからの切り上げ、横凪ぎと攻撃を叩き込んでいき、ドーラの態勢を更に崩していく。

そこから何回か攻撃を加えていったところで、ドーラも私の攻撃に慣れてきたのか、徐々に態勢を立て直してきた。


そして、完全に五分へと戻り、反撃に転じた瞬間、私は笑みを浮かべる。

それに気づいたドーラだったが、もう攻撃を止めることができない。

何かを考えているのはわかるけど、ここで攻撃を止めた方が危険と判断したのだろう。

私への一撃が迫るなかで、私は身体強化を一瞬だけ、それも魔力と生命力を合わせ、尚かつ身体の一部、つまり剣を持つ右腕だけに集中して端から見てもわかるほどに流し、ドーラの剣にぶつける。


そんな攻撃に咄嗟の反応ができるはずもなく、ドーラの剣が弾かれ、返す刃を首筋に当てて、止め。

そう、ここまで押し返されたように見せたのはそれでドーラを油断させるため。

そして、勝ちを急がせるように、またカウンターを引き出すためにあえて五分に戻した瞬間に隙を作り、絶対に攻撃を止められないタイミングで私の最強の一撃を入れた。

追い込んでいる時では、私の動きに反応して防がれる可能性があったから完璧なタイミングで攻撃を入れることができて満足した。


《試合終了!、勝者リンダ!》


こうして兄妹対決は私の勝ちで幕を降ろした。

次回更新は6/20です。


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