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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
72/141

53.クラス内トーナメント2回戦ソルンvsキール

リョウ視点とソルン視点です。

4、スート○vsフラン●


2人の試合内容はお互いの武器を活かした素晴らしい戦いだった。

キャッスルガードという強力な防御技を編み出したフラン、それを打ち破ったスートのイメージ力。

俺対ハーレムメンバーで戦った時よりも格段に強くなっている2人、しかもスートは課題であったイメージ力を見事に自分の物にし、技を完成させた。

あれなら、シナイルードンを上手く使っても防ぐのは難しい程の一撃になったはずだ。


しかも、開始直前に投げた槍の一撃、あれの威力やスピードをもっと上げることができれば、サクラのインベルを超えられる可能性もでてきた。

本当に試合が進むごとに楽しみが増えていくから、トーナメントの観戦が楽しくて仕方ない。

それは、既に敗退したトーナメント参加者達も同様で、自分の動きに取り入れようとする者や、純粋に試合を楽しんでいる者もいた。

今までは強くなる為の訓練しかやってこなかったが、こういう風に皆が楽しめる企画を作るのも良いかなと少し思った。


さて、次の試合はソルンvsキールだけど、ここはキールが前の試合でどれだけ成長できたか、もしくは、この試合でどれだけ成長できるかで試合の面白さは変わるだろう。

ソルンの扱う武器は大剣であり、キールは槍を使うが、前の試合で両手斧を使うアイルと戦っていたため、重量武器の対策は立てられるはずだ。

だがまあ、1回戦を見る限りではキールが勝つ見込みは残念ながら無いだろう。

だが、この試合でどれだけの間ソルンと戦えるかでこれからの成長や、他の金クラスのメンバー達のやる気にも繋がる一戦であるのは間違いないだろう。


ソルンはこの試合をいかに早く終わらせて、自分の圧倒的な強さを相手に教えるか、キールはいかにソルンの強さを肌で感じ続けられるか、勝負のポイントはおそらくここにあるだろう。

ソルンの勝ちは何となく予想できるので、俺はキールの奮闘を願いつつ、試合の始まりを待つ。


∨∨∨


あたしは、目の前の対戦相手のキールの実力を少しでも暴こうと動きを観察していく。

その結果わかったのは、キールの実力はリョウの側にいる面々よりも明らかに足りていないと言う事だった。

何となく想像もできていたけれど、やっぱり強くなる為には強い人と戦うのが1番なのは言うまでもない。

だけど、だからと言って手を抜くつもりはない。


確かに、キールの実力はリョウやリョウの側にいるあたしたちに及ばないかもしれないけど、リョウの見てる前で無様な試合をするわけにはいかない。

それに、相手だって2回戦まで勝ち上がってきたのだから、対戦相手が誰であれ勝ち上がれる何かを持っていたということだ。

そんな相手に舐めてかかれる訳がない。


改めて、あたしは試合へ向けて気を入れ直す。

これだけの実力差があるのなら、無理に決めにいく必要はないが、圧倒的に勝つ必要はある。

というか、しっかり油断せずに戦えばそれほど勝つのに時間はかからないと思う。

相手の実力を把握して、なおかつ最善のやり方で勝つ、それがあたしを成長させてくれるはずだから。

実際の戦場で戦うとしたら、あたしより弱い相手も出てくる。


そんな相手に常に全力で戦っていたら、あたしより格上の相手がでできたら、何もできないで負けてしまうかもしれない。

だからこそ、相手の実力を正確に把握して、消耗も少ない戦いが出きるようにするのが1番の理想であり、あたしの成長になるはず。

だからこそ、目の前の相手、キールとの戦闘でベストなのは、相手を圧倒しすぐに倒すこと。

もし、時間をかけてしまえば、昨日のリョウとシュウの戦いのように逆転を許してしまうかもしれないから。


目標を決め、いつでも戦いが始められるように準備を整える。

キールとあたし、お互いに向かい合った所で、今回の審判が上がってきた。


『今回は私、エルンが審判をしよう、2人の準備は出来てるみたいだな、それじゃいくぞ、試合開始!』


エルンの掛け声であたしは高速で距離を詰める。

相手が槍である以上、相手の間合いで勝負していたら試合が長引いて、負ける事はなくてもあたしに不利になるかもしれない。

なら、あたしの持てる最速で決めるまで!

そんな思いでキールとの距離を詰めて、槍で対処しようとするキールの首に大剣を突きつけようとする。

もちろん、こんなにあっさり終わらせる訳にもいかないのだろう。

キールは槍を攻撃から防御に移し、首に迫る大剣に槍を当て、その衝撃を利用してあたしとの距離を開けてくる。


あたしはその動きに驚きを抱いたが、隙までは見せず、距離を開けたキールに更に大剣で攻撃を加えていく。

切り下ろし、横凪ぎ、切り下ろしのフェイントから切り上げ。

大剣を自在に振り回し、キールを追い詰めていく。

けれど、どうしても決定打にならない。

だが、ここで焦っても良い結果にならないことはわかっているので、キールの実力を正確に把握できなかった事を悔やみながらも、キールの逃げ道を無くしていく。


このままいけば、あたしの勝ちが決まるのがわかったのか、キールは槍で打ち合う集中力そのままに、魔法の詠唱を行う。

それはルイのような強力な魔法でもなく、サクラのように詠唱が早いわけではないけれど、それでも止めの一撃を防ぐくらいの妨害にはなった。

あたしは、魔法の相殺に時間を取られ、あと1歩の所でキールを仕留め損なった。


けれど、不意討ちだった今でそれなのだから、準備ができた次からはそんな攻撃は受けない。

結局は時間をかけながらキールを追い込んでいくあたしだったが、そのキールの戦いの様子に学ぶものを見つけた。

どんなに自分の力を使っても勝てないような格上の相手、けれど、これが模擬戦である以上死ぬ心配はない。

だからこそ、自分の成長のために少しでも戦おうとする意思の強さ、これをあたしは見誤った事に気づいたから。


それに、このトーナメントを勝ち抜いていけば絶対にリョウと戦うか、もしくはそれ以上の強敵と戦うだろう事は予想できる。

今までのあたしなら、全力でぶつかって駄目ならしょうがない、また訓練すればいいと考えたかもしれない。

でも、それは戦いの経験を無駄に捨てるという事と同じだ。

確かに、本来の戦闘なら負ければ命は無いのだからその考えも間違いじゃない。

だけど、これは模擬戦、負けても命の危険はない。

なら、その戦いは強者と戦えれば戦えるほど得られる者の大きさは計り知れないし、戦える時間が長いほど得られるものも多くなる。


そんな当たり前だけど忘れていた強くなる為に必要な事を教えてくれたキール、あたしはキールに感謝しながらも、既に完璧に見極めたキールの実力に合った動きに変える。

さっきは一撃で仕留めにいったからこそ、あらゆる手段で防がれたし、殺気により鋭敏になった感覚で何とか戦えていたキール。

だけど、今のあたしは殺気を完璧に殺し、ゆっくりとキールとの距離を詰める。

その動きに戸惑っているのがわかるけど、それもあたしの狙いだ。

やがて、槍の間合いに入るか入らないかの位置にあたしが来ると、キールに迷いが見えた。


このまま迎え撃つか、距離を開けるか。

先程の防戦を思い出し、距離を開けようとするが、殺気に反応できた先程とは違い、殺気を完全に消している今のあたしに対抗できるのか、そういった迷いが伝わってくる。

あたしの予想通り。

これだけの実力差があるのに、相手を目の前に迷うというのは致命的になるのは言うまでもない。

あたしは、キールの迷いが浮かんで動きが鈍るそのタイミングで殺気を消したまま一気に距離を詰める。

殺気を出したままの時ですらギリギリ反応できたくらいだったし、更にあの時は距離が今よりも離れていたからこそなんとかなった。

それよりも近い距離で殺気も消され、迷いで動きが鈍っている状態で動けるはずもなく、あたしの大剣がキールの首筋に突きつけられる。


『そこまで、勝者ソルン!』


こうしてあたしはキールから更に強くなる為に必要な事を学び、勝利を得た。

次回更新は6/19です。


ようやく、日間PVが1000を超えるようになってきました。


これからも読者の皆さんを楽しませられるような話を作っていきたいと思います。


引き続き、評価、レビュー、感想、ブックマークをお待ちしておりますので、「憧れの異世界で」を応援よろしくお願いします!

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