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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
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43.二刀流VS二刀流

リョウ視点です。

高速で距離を詰めた2人は、間合いに入った瞬間互いの武器を振り合う。

二刀流で手数の増えている俺に剣1本で対応するシュウ。

剣がぶつかり合う音が辺りに響く。

二刀流の合間に魔法を放つが、軽く捌かれる。

自分の全開の速度で武器を振るが容易に防がれる。

シュウの武器の方が格が上のようで、オーラ状態にして強化してもなお押しきれない。


だが、そんな中でも俺は自然と笑っていた。

こうして斬り合っている間にも自分の剣の腕が研ぎ澄まされていくのがわかる。

その証拠にさっきよりも剣を振るスピードは速く、押されていた攻撃も受け流せるようになっていた。

けれど、そんな俺の成長に合わせるかのようにシュウの動きも洗練されていく。


俺がシュウのレベルまで到達するには、今以上の速度で成長しなければならない。

俺は、(分析)と(並列思考)を全開に使い、戦いながら経験を積み重ねていく。

相手が成長していようと関係ない。

俺がシュウを超える成長をすればいいのだから。

俺の様子を見ながらシュウも笑っていた。

きっと、自分が成長しているのがわかるのだろう。


まあ、俺としては只でさえ強いシュウなのに、どんどん強くなっていく様子は苦笑いを浮かべるしかないのだが。

だが、徐々に俺の成長がシュウを上回り始め、俺の斬撃が少しずつシュウの防御を掻い潜っていく。

そしてようやく、ほんの小さなかすり傷をシュウに入れる事ができた。


その瞬間俺から一気に距離を取るシュウ。

追撃をかけようとしたが、迂闊に飛び込めば手痛い反撃を受けるのは、火を見るよりも明らかだったため、1度仕切り直す。

その間にシュウのかすり傷は治ってしまったが、攻撃を与えられた事実は変わらないので、再び距離を詰めようとして、シュウから溢れる力に動きを止めてしまった。

その一瞬でも十分だったようで、そのエネルギーを使い、シュウは新たな武器を生み出していた。


〈我が半身の力をここに、セイバー!〉


残念ながらこれで先程までの俺の優位は完全に消え去ってしまった。

だが、これはある意味チャンスでもある。

今までのシュウは剣1本だけだったから、そのまま相手の動きを取り込む事は出来なかったが、二刀流になった今なら全ての動きが参考にできる。


まあ、とりあえず倍になった手数を何とか乗りきらないといけないけどな。

新しく作られたセイバーも俺の剣より格が上なのは間違いない。

というか、白と黒で出来ていたソーディアンから黒が抜けて白一色に、反対にセイバーは黒一色になってる。

そして、シュウの魔力から黒い異物が完全になくなって、今までにない位魔力が輝いている。

そして、セイバーからモンスターの意識というか、黒い異物の意識を感じる。


力をコントロールできなくなるから、暴走が起きるのだから、黒い異物に乗っ取られても力をコントロールできるなら、今みたいな状況も作れるのだろう。

だが、これはおそらくシュウという規格外な強さを持った存在だからこそできたのだろう。

俺は改めて強くなってしまったシュウに敬意を持ちながら、戦闘を再開する。


只でさえ押されていたのを何とか五分に戻したのに、更に強化された今はまた劣勢だ。

今度は防御もままならないかもしれない。

だからこそ、守りを極力減らして相手の動きを(分析)する事に力を入れる。

そのためには先手必勝。


俺は再び踏み込んでシュウとの距離を詰める。

そして、再び斬り合う。

ただし、斬り合う速度は先程の比ではなく、むしろ俺自身も斬り合えているのが不思議な程の速度だった。

シュウがまだ完全に二刀流に慣れていないからこそ奪えたアドバンテージ、そして二刀流としてのシュウの動きを俺は吸収していく。

だが、それはシュウも同じであり、段々とシュウの動きも俺の動きを吸収して洗練されていく。


ただ、先手必勝でアドバンテージを取った俺は、シュウよりも早い成長スピードを持っていたため、シュウが強くなっても何とか対応できていた。

まだ劣勢なのは変わらないが、少しずつシュウの動きに慣れてきた。

まあ、俺だけが成長してる訳ではないので、中々差は詰まらないが、それでも少しずつ五分に近づいていく。

それにシュウも二刀流で戦っているため、先程よりも(分析)が役立っていく。


シュウの動きを吸収、予想していきシュウとの実力差を埋めていく。

ようやく、五分まで持ってきた所で俺の動きの癖や、吸収していく傾向も掴んできたようで、膠着状態になった。

だが、着実に俺の技術は磨かれているし、げんにこの島に来た時と比べれば天と地の差ができている。

それでも、優位を取れないのはひとえにシュウの戦闘センスと、磨いてきた技術と経験によるものだろう。

結局この日も決着をつけられないまま、日がくれてしまった。


〈成長スピードが凄まじいな、だがリョウのおかげで俺も更なる高みを目指せそうだからな、感謝する、また戦おう!〉


「シュウの実力が高いおかげで俺も成長を実感できて嬉しいよ、こちらこそ強くなるために是非よろしく頼むよ!、明日はちょっと予定があって来られないから、次の戦いは明後日になる!」


〈りょーかいだ、オレはいつでも問題ない、次の戦いを楽しみにしている。〉


こうして俺とシュウは握手して、ハーレムメンバー達の元へ戻る。

とはいえ、途中から俺とシュウの戦いを観戦していたみたいなので、シュウの実力の高さに開いた口が塞がらないみたいだ。


「みんな、気持ちはわかるが、ここにいたらモンスター達と絶え間なく戦わなくちゃいけなくなる、とりあえず帰るぞ。」


俺の言葉に我に返ったハーレムメンバー達はインセプションリングを装着する。

目の前でいなくなったみんなに驚きの表情を浮かべていたシュウだったが、俺と手合わせしているため、俺の仕業なのを何となく気づいたのだろう。

特に何を言うわけでなく、霧の中に姿を消していった。

俺達はシナイルードンに乗り、オーノスへと戻っていく。

今回はこのまま部屋に戻ればいいので気が楽だ。

無事に部屋へと戻ってきた俺達は今日は食事を作る時間もないため、食堂で食べることにした。


それぞれが食べたいメニューを注文し、いつも通り俺の隣を争い、くじ引きで勝負していた。

だが、ここは部屋ではないので、そんな俺達、主に俺を見て柄の悪い連中がこちらへと歩いてくる。

相手にするのも面倒なので、魔力に殺意を乗せて届けておく。

だが、この2日でものすごい勢いで成長した俺の魔力と殺意は常人に耐えられるものじゃないらしく、柄の悪い連中は失神してしまった。

色々と体内から垂れ流しながら。


そんな奴らを視界にいれないように俺達の周りだけを特殊な結界で囲み、視界から消す。

幸い、俺の気づいたのが早かったおかげで、まだハーレムメンバーは気づいてないみたいだった。

サクラは俺が魔法を使った事や、魔力を放った事に気づいたようだったが、特に触れてこないでくれたので助かった。

食事を食べ終えた所で、リナから質問が飛んできた。


《リョウ、あのシュウって人何者なの?、リョウと正面から戦って優勢なんて信じられなかったんだけど。》


「俺もまだ2回しか会ってないから、詳しいことは言えないけど、暴走のトリガーになる黒い異物に乗っ取られても力のコントロールができる、いや、黒い異物のモンスターとしての力も自分の思い通りに操れる人物かな?」


俺の言葉に絶句するハーレムメンバー達。

それはそうだろう、スート達のように黒い異物に乗っ取られかけていたメンバーなら、シュウの規格外さがわかるだろう。

黒い異物に乗っ取られる前でさえ、自我を保つのも難しかったのに、完全に乗っ取られている状態で力を思い通りコントロールし、なおかつ自分のモンスターの部分を思い通り操るなど、普通の人間にはできない。

改めてシュウの異常さを認識したメンバー達だった。


部屋へと戻った俺達は、全員今日の疲労もあるし、明日はいよいよクラス内トーナメントなので早めに就寝することにした。

もちろん、寝床争いはいつも通り起こるのだが。

こうして、俺と寝るのは、上にソルン、左にリンダ、右にルイとなった。

リンダも今日は流石に疲れているみたいで静かだった。

リンダは今日自由日だったはずなのにそれほど構えなかった俺に何も言わない。

それを申し訳なく思ったので、軽く頭を撫でてあげると、幸せそうな表情に変わる。


騒いでいなければ容姿も整っているので、普通にかわいいリンダ。

ほんとにこの変人ぶりさえなければ、料理もできるし、戦闘もできるので非の打ち所がない美人なのにと内心苦笑しながら俺も眠りにつく。


クラス内トーナメント開催!



次回更新は6/9です。


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