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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
59/141

40.シュウ

リョウ視点です。

増援のモンスターが来なくなってから現れたそいつは、雰囲気、魔力、生命力など全てにおいて先程まで戦っていたモンスターとは、比較にならないほど強力だった。


「エルン!、あいつは何だ?」


『わからない、私も初めて見る相手だ!、だが明らかに強敵だな。』


「とりあえず、俺が相手するから雑魚は任せたぞ!」


『ああ、任せろ!』


俺は一気に集中力を高め、身体能力を全開に強化、魔法の弾幕、オーラ状態の俺の持てる技術を全て最大限に発揮させる。

相手の実力が正確に測れない以上、俺よりも強者と考えた方がいいだろう。

相手はどうやら俺の準備が終わるまで待っていたようだ。

モンスターらしからぬ行動をするやつだと思いながら観察すると、完璧に黒い異物に飲まれているみたいだな。


〈オレの名はシュウだ、準備が出来たなら行くぞ!〉


「お前しゃべれるのか!?、俺はリョウ=テンジンだ、ああ!、かかってこい!、ウエイトマジック、レインボー!」


謎の魔物がしゃべれた事には驚いたが、戦闘が始まると、そんな事を考えている余裕はなくなった。

俺が今まで見た中でも最速の動きに反応して防ぐのがやっとだった。

その防いだ攻撃も、1発1発が重く強いため、反撃に移れない。

シナイルードンでのオート防御もシュウが速すぎて追い付かない。

かといって、俺のマニュアル操作でも、ギリギリ間に合うかというくらいなので、俺はこの世界で初めて圧倒的不利を体感していた。


『リョウ助太刀するぞ!』


「待て!、こいつの相手は俺がする!、だから手を出すな!」


俺の声に不満そうに動きを止めるエルン。

エルンが来ても、この状況を打破出来ないだろうというのはもちろんあったが、一番なのは、目の前のシュウはモンスターとは思えないほどの知性と、男気を持っているため、俺も恥じない戦いをしたかった。

現に、エルンが話しかけてきた時も、シュウは不意討ちしたりせずに、こちらの反応を伺っていた。


おそらく、俺が2人で戦う選択をしても何も言わなかっただろうが、俺が一騎討ちすると言うと、嬉しそうにしていたので、本心では一騎討ちしたいんだろう。

俺はそんなシュウの願いにも応えたかった。

まあ、単純に負けを認めたくなかったのもあるがな。


そうして仕切り直した俺とシュウは、再び戦闘を始める。

今まで武器を持っていなかったシュウだが、俺のように武器を呼び出していた。


〈我を導く刃、ソーディアン!〉


そうして呼び出した剣は、白と黒で剣が出来ていた。

そしてよく見ると、黒い異物に完全に飲まれている魔力が、いつの間にか誰よりも美しい光を放つ魔力に変わっていた。

だが、すぐに黒い異物に飲み込まれる。

これは俺にはどうすることも出来ないが、こんな人物もいるんだなと、俺はシュウに尊敬の念を持った。

きっとあの剣はシュウ自身を示しているのだろう。

飲み込まれたモンスターとしてのシュウと、人間味を持つシュウ、その二面性こそ彼であり、不思議な魅力を放っているのだろう。


この世界で格上の相手と本気で戦える初めての機会を俺は全力で楽しむと決めた。

カリバーンとブラークの二刀流の俺とソーディアン1本で戦うシュウ。

斬り合う俺とシュウだが、相変わらず俺が劣勢なのは変わらない。

そもそも、武器のない状態でも勝てないのに、武器を持った状態では更に分が悪い。


しかも、モンスターと違い、人間と同じようなかなり高い知性を持っているし、おまけに人間の心も持っている。

まあ、そのおかげで戦えている部分もあるんだろうが、つくづくシュウの強さには驚いてばかりだ。


だが、俺には(分析)と(並列思考)がある。

これで、超高速で膨大な経験を積んでいく。

だが、シュウの技術も高く、更にシュウも成長しているようで、差が中々埋まらず、劣勢が続く。

だが、段々とシュウの実力に近づいてきているのか、10回に1回は反撃することが出来るようになってきた。


劣勢ではあるが、負けることはない俺はそのまま戦闘を続けていく。

どれだけの時間が過ぎたのか、劣勢のまま戦い続けると、いつの間にか日が暮れてきた。

すると、シュウが距離をあけた。


「どうしたんだ?、負けるつもりはないが、俺が劣勢なのは否定できないんだが。」


〈リョウ、お前との戦いは面白い、もう日が暮れてきた、この戦いの続きは後日ここでやるとしよう。〉


「どうすればシュウに会える?」


〈この島でこれを使えば、いつでもオレはリョウの前に現れよう。〉


そうして、シュウは俺に笛を渡すと霧の中に姿を消していった。

俺は戦闘状態を解き、ようやく落ち着く事が出来た。

先程の戦いは完全に俺の負けだった。

最後の方にようやく抵抗できるようになったが、悪あがき程度のレベルでしかなかった。

シュウが、完全に人としての意識を無くしたモンスターだったら俺たちは全滅していたかもしれないと考え、知らない内に自惚れていた事を反省し、より実力を磨くことを決めた。


『リョウが勝てない相手がいるとは思わなかったな、シュウと言ったか?、奴はいったい何者だ?』


「俺もまだ完全にはわからないが、モンスターとしての心と人間の心を共存させてる人物だな、どうやっているのかわからないが、とりあえず規格外なのは間違いない。」


『なるほどな、リョウがそこまで言うとはよっぽどの相手だな、だが今まで何故出てこなかったんだ?』


「それは本人に聞いてみないとわからないな、だがこれでこの島に来る理由が増えたな、シュウに勝てるように俺も努力しないとな。」


これが俺とシュウの出会いだった。

この出会いが俺の運命を大きく動かした事を俺はまだ知らなかった。

次回更新は6/6です。


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