28.名案
リョウ視点です。
体育館へと入ると、ハーレムメンバーを除く全員が俺に視線を向け、そしてすがるような目を向けていた。
何となく予想できるような気がするが、考えすぎであってほしいと思っていると、笑顔で近づいてくるマドルを除いたハーレムメンバー達。
だが、俺にはわかる。
一部を除いて、笑顔の裏に隠された般若が見える。
あー、やっぱり気のせいじゃなかったと、心の中で嘆いていると、説明を求められた。
《リョウの事は信頼してるし、リョウの魅力をみんなが知ってくれて嬉しいけど、側に置く女の子増やしすぎだよ!、色々大変なんだからね!》
《いやー、リョウってもはや天然たらしだよねー!》
《今日1日見てたけど、やっぱり想像以上だった!》
《リョウ様ー!、何人増えても私は諦めませんよー!》
《どれだけ増えようが、リョウ殿に対する忠誠は変わりません。》
《何かもう今更なんだけど、ちゃんと責任取りなさいよね!》
『寄ってくるのが女性ばかりとは全くマスターは見ていて飽きないな!』
「毎回毎回みんなに迷惑をかけてしまって申し訳なく思ってる、それでもソルンは新しい仲間だからよろしく頼む。」
何人からかは厳しい言葉をもらったが、とりあえずはソルンが拒否される事はなくてよかった。
まあ、事前に連絡は取ってあったから、それはないとは思っていたけど。
それにしても、この笑顔なのに押し潰されそうな威圧感は、きっと警告なんだろうな。
うん、気を付けよう。
それをきっと肌で感じていたから、体育館にいるみんな俺の帰りを待っていたんだろうな。
よし、俺への説教タイムも終わって、改めてソルンの自己紹介をしないとな。
それと、今回のお詫びに何か作ることにしよう。
ご機嫌取りは重要だからな。
俺がソルンに合図すると、自己紹介を始めた。
《あたしは亜人族のソルン!、リョウに危ない所を救ってもらったから着いていく事にしたの!、ホントに綺麗な人ばっかりで驚いちゃった!、何か自由日とかの決まりがあるみたいだけど、私はこの状態で着いていくから気にしないで大丈夫!》
そういってミニドラゴン形態になるソルン。
それを見た女性陣の目が変わった気がした。
《うわーかわいい!、亜人族の姿でもかわいかったけど、ドラゴンの時は更にかわいいね!》
《はあ~、この子なら何でも許せちゃうよ~。》
《ちっちゃい子枠が取られそう、頑張らないと、でもかわいい!》
《くうー!、リョウ様一筋だけどそのかわいさが私を揺さぶってくる!、ああ!、私はどうしたら!》
《ドラゴンに変身も出来るのか、そのうち大きくなったら乗ってみたいな。》
《ドラゴンになれる亜人族なんて、相変わらず見たことも聞いたこともないようなのを集めるわね。》
『凄いな!、亜人族は沢山の種がいるとは聞いていたが、こんな事も出来る種がいるのか!』
ソルンのミニドラゴン形態にみんなご満悦のようだ。
これで、自由日の分担等も何とかなりそうだ。
さて、ソルンの紹介も終わったことだし、早速ドーマ先生に魔法破壊の事を教えてあげよう。
「ドーマ先生、面白い魔力の使い方を見つけました!、実演しますので魔法を使ってもらえますか?」
{へえー、どんなのか楽しみだな!、わかった、それじゃいくよー!、ファイア!}
あれ、いつの間にかドーマ先生も詠唱無しで魔法が使えてる。
やっぱり、ドーマ先生に俺の魔法や魔力の使い方を分析してもらったのは正解だったな。
あとは、みんなにもっと詳しいやり方や理論を教えてくれれば、個人差はあるだろうがそのうち使えるようになるだろう。
その事を嬉しく思いながら、俺はウィダル荒野で戦ったミノタウルにやったのと同じように、魔力の矢で核を射ち抜き、魔法を破壊した。
{おおお!、すごい!、なるほど!、魔力で魔法を構成するイメージを壊したのか!、これは革命だよ!、魔法を相殺するときに詠唱したら間に合わない事が多くて、詠唱が早い人が有利だったんだけど、これなら後からでも十分対処できる、リョウ、これは凄い発見だ!}
{ただ、慣れない内は核を狙うのが難しそうだね、それに魔法を構成するイメージを壊す程のイメージも必要だから、すぐには使えなそうだ!、まあそれでも大発見に違いはないけどね!}
「俺も早く見せたかったんですよ!、それよりも先生もいつの間にか詠唱無しで魔法を唱えられるようになってましたね!」
{僕だっていつまでも生徒に甘える訳にはいかないからね、中々大変だったけど、リョウの魔力の動き方とか魔法構成のタイミング等のデータをまとめて、試行錯誤したら出来るようになったよ!}
「でしたら、今回の魔法破壊も含めて他の金クラスのメンバーにも教えてあげて下さい、地力の底上げはこれから更に必要になってくると思うんで!」
{いいよ!、というかもう既に始めてる所なんだけどね!、リョウも何か分からない事とかあったら聞きにきてくれれば、出来るだけ答えるよ!、だから安心して彼らを僕に任せて、リョウは新たな発見を探してくれ!}
「わかりました!、俺も何かあったら頼みますね!、正直俺1人だとハーレムメンバーとの時間もあって手が回らなかったんで、それじゃ金クラスのみんなを引き続きよろしくお願いします!」
さて、思わぬ収穫があって金クラスのみんなの地力を上げるビジョンも作れた。
ここからは、先生とみんなの努力次第だが、きっとやる気に満ち溢れているこの状態なら、何とかなるだろう。
これからのみんなの成長に期待しつつ、俺はこのあとどうするかを考える。
みんながいると言うことは、まだ夕飯までは時間が掛かるのだろう。
とりあえず、スートと出かけるのもありだが、こんな時間から始めても、大した楽しませられない気がする。
シナイルードンの扱いにも慣れておきたいし、久々にみんなの実力も見てみたい。
そうして、俺は名案を思いついた。
「なあ、みんな対俺で模擬戦しないか?、そのあとはくじとかでチーム分けしてパーティー戦やろう、久々にみんなの実力を見たいからな!」
俺の提案に困った顔をするハーレムメンバー達。
みんなおそらく考えてる事は同じなようで、代表でリナが話しかけてくる。
《さすがに1対8じゃ勝負にならないよ?、それとも私達の事をなめてるの?》
「それは違う!、今の俺自身がどれだけ戦えるのかと、みんなの実力を改めて確認したいんだよ!、やっぱり他人との戦いを見るより、自分で戦った方がわかることもあるし、それにみんなの努力と強さを信頼してるからこそ頼みたいんだよ、弱すぎる相手と戦っても訓練にならないし。」
《そこまで言うなら構わないけど、どうなっても知らないからね!》
「ああ!、手加減はいらない、本気でやろう!」
まあ、俺には言わないが、強くなってるか不安だったり、ルイのように意外と熱情を溜め込んでいたりされると、いつそれが爆発するかわからない。
ただでさえ、一歩間違えば大変な事になりそうなメンバー構成なので、適度にガス抜きも必要だろう。
それに、仲間割れとかをされても困るからな。
みんな俺の作った武器をそれぞれ構えながら俺と向き合う。
その目に油断や手加減などは一切見られない。
俺も余裕があるとは思えないので、審判をカリバーンとデミアンにお願いした。
1人だと戦いを止めるのも一苦労だろうからな。
『そんじゃ、開始の合図は俺がやるな!』
『これよりリョウ対リョウの女達による模擬戦を始める。』
『ルールは俺とデミアンが致命傷と判断した攻撃を受けた場合と、戦闘不能となった者の負けとする。』
『それでは試合開始!』
こうして俺対ハーレムメンバーの模擬戦が始まった!
次回更新は5/25です。
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