25.ボグールドの沼地
リョウ視点です。
[みんなー!、ご飯出来たから帰っておいでー!!]
[りょーかい!]
リナとのリンクイヤーでのやり取りを終えた俺たちは他のハーレムメンバーと共に体育館を出る。
恒例の自由日の人は俺とイチャイチャするというのがあり、トランスで身長を縮めたので腕に抱き付きながら部屋に向かっている。
すると、本校舎に入ったところで柄の悪そうな連中と遭遇してしまった。
もちろんスルーできる筈もなく絡まれてしまった。
「おい、金クラスのガキ!、朝から女連れて良い身分だな!」
「しかも女のレベルたけーな!、おいガキとっとと失せな!、おい女共、そんなガキより俺らが楽しませてやるから着いてこいよ!」
「その前に生意気なガキは締めとこうぜ!」
「そうすっか!」
そんな馬鹿みたいなやり取りをしながら近寄ってくる柄の悪そうな連中。
あー、ものすごいめんどくさい。
早くリナの料理食べたいし、こんな馬鹿の相手してる場合じゃねーんだよなー。
とりあえず、いつも通りカウンターボコボコで行くか。
すると、横にいたスートがいつの間にか俺の前に立って相手に警告していた。
《このまま黙って帰れば許してあげる、さっさとどっか行って。》
スートの言葉に大笑いを始める馬鹿共。
「おいおい!、ガキの女は頭足りてねーみたいだな!」
「金クラス風情が俺らに勝てるわけねえだろ!」
「1人くらい見せしめが必要だな、おいやるぞ!」
そういって標的をスートに向けた馬鹿達。
スートだけでも十分対処出来るだろうが、俺は側にいる相手は助けるって決めたからな。
こんな奴等をスートに近付けるわけにはいかないか。
スートに殴り掛かってきた奴の前に俺はシナイルードンを展開し、殴った攻撃を跳ね返す。
すると、ぶっ飛ばされた馬鹿は逆ギレし始める。
「てめぇガキが魔法使いやがって!」
「そんなに死にたいならお望み通りにしてやる!」
「卑怯ものが!」
「先に手を出したのはお前らだからな!」
とかなんとか支離滅裂なアホみたいな言動を繰り返しながら詠唱を始める馬鹿共。
予想通りだが、ホントこういう奴等って同じ行動しかしないよな。
俺はうんざりしながら飛んできた魔法をシナイルードンで防ぎきって、身体強化をすると死ぬかもしれないので、生身のままで首に手刀を馬鹿共4人に入れ、気絶させる。
とりあえず処理を終えたので俺は皆に声を掛ける。
「さて、邪魔が入ったがリナの料理が冷めたらもったいない、早く部屋に戻ろう!」
俺の声に頷いて再び歩き出す俺たち。
スートはまた腕を抱いてきていたので、お礼を言っておく。
「さっきはありがとなスート、俺を守ろうとしてくれる意志が伝わってきて嬉しかったよ!、まあでも、ああいう時は俺に任せてくれ、戦闘とかなら諦めもつくが、あんな奴らに俺の大切な仲間達が傷つけられるのは我慢できないからな!」
《わかった!、でも私もあんなやつら相手でリョウに怪我してほしくない。》
「そしたら、一刻も早く俺を守れるくらいに強くなってくれ!、そしたら俺も安心できるしな!」
俺の笑顔を見ると、スートは少し顔を紅くして俯いてしまった。
他のメンバーも平然を装っているが、少し顔が紅くなっていて、何となく俺まで恥ずかしくなってきた。
俺たちが部屋に着くと、リナに遅かったねと言われ、先程の状況を説明すると、みんなの顔が紅いのに気付いたようで、拗ねてしまった。
そんなリナにフォローしたら、他のメンバーも歯止めが効かなくなるかなと迷ったが、俺の1番はリナなので気にせずフォローすることにした。
他のメンバーには悪いが、何か言われたらちゃんと説明して理解してもらおう。
そうしてトランスを解き、もとの身長に戻った俺はリナを抱き締めて頭を撫でる。
すると、拗ねてる雰囲気から一気に幸せそうな顔に変わったので安心した。
「リナ悪かったな、だけど俺の1番はリナだから少しは許してくれな。」
「あ、もちろん他のみんなも俺の側にいる限り責任は取るし、しっかり守っていくし、なるべく平等に接すると約束するから、多目に見てくれ。」
俺の言葉に、様々な表情をしながら納得してくれた。
リナから1位の座を奪おうとする表情、それでも構わないという表情、イタズラっぽい表情等あとあと恐そうな人達もいたが、とりあえず問題は解決したので、冷めない内に朝食を食べることにする。
昨日の夜も思ったが、マドルが食材を切ったりしているようで、同じ素材のはずなのに、前食べた時よりも美味しくなっていた。
おそらく、俺の作った包丁のお陰なのだろう。
良い能力を付けたなと自分でも満足した。
さて、朝食を食べ終えた所でスートに予定を聞いてみると、俺に合わせるそうなので二人でギルドで依頼をこなすことにした。
少しでも稼いでおきたいし、たまには対人じゃない戦闘も経験しとかないとな。
ついでに俺はエルンの昨日の狩りの成果を確認することにした。
エルン曰く、結構稼いだらしいので楽しみだ。
早速部屋に置いてある箱を開き、中を調べると、俺は驚きを通り越して最早声すら出なかった。
取れた魔法石は俺が今まで見たなかでも1番大きく、少し持ってみたが軽く3キロはいっているだろう。
しかも、それが数えるのも面倒になるくらいたくさんある。
それに加えてモンスターがそのまま入れられていたりもする。
これはおそらく、マドルが捌いて高品質な素材にしてくれるのだろう。
現にそれをやったあとの素材もちらほらと確認できる。
そうこうしてる内にも追加でモンスターが送られてくる。
うん、俺がお金を稼ぐ意味を見いだせなくなってしまった。
まあ、だからといって俺が自由にしていて良いこととは話が違うので、依頼をこなすことにする。
というか、エルンはきっと羽を使って相当な速度で狩り場に向かい、ボコボコと狩っているのだろう。
うん、俺も何か移動手段を作ることにした。
ただ、ここでは不便なので町の外に出てから作ることにした。
それぞれが準備を終えて部屋を後にする俺たち。
スートと共に俺は部屋をでて、ギルドへ向かい依頼を探す。
すると、ゴブリンやオーク、ウルフ等の雑魚退治の他に面白い依頼があったので受けることにした。
依頼書 未確認生物の調査
依頼主 ギルド
報酬 金貨4枚
期限 早急
内容:ボグールド沼地の先のウィダル荒野でこの辺りで見ないモンスターのような生物が発見された。
既にギルドから偵察を送り出したが帰ってこない。
情報が不足しているため、未確認生物の情報を手に入れてきてほしい。
なお、出来れば捕獲、無理なら消し去っても構わない。
なおこの依頼はクラス関係なく受けられるが、命の保証はできない。
結構物騒な依頼だったが、もし未確認生物がかなり強く敵意のあるものなら俺たちの町にいつ来るかはわからないため、早めに叩いておくことにする。
まあ、無理そうでも方法が無いわけではないし、リンクイヤーでも連絡がとれるので気にしていない。
早速依頼書を受付に持っていくと、心配そうな顔をされたが、俺たちが譲る気配がないのが伝わったようで、受領してくれた。
俺たちは、持っていく道具を一通り確認し、問題は無かったので東門を出て、ボグールドの沼地にと足を踏み入れた。
晴れているはずなのに、そこかしこに泥々の沼が広がっているせいで全体的に雰囲気が暗い。
汚れはクリア等で取ることは出来るが、嫌なものは嫌だし、どっちにしろ乗り物は作るつもりだったので俺は早速作り始める。
魔力でイメージを再現し、生命力で具現化、いくつかの魔力を込める。
常に地上から低空を浮かべるフライ、抵抗を無くすブロック、自動修理のリペア、落下を防ぐウォール。
最後に快適な旅を求める意志を込めて、魔法の絨毯が完成した。
派手な金色に7色の紋様が入っていて、これ単体でも博物館等に飾れそうなほど芸術的だった。
俺とスートはこれに乗り、高速で沼地を進んでいく。
これだけスピードが出るのに風の影響や空気抵抗を受けないのはブロックのおかげである。
これは俺たちの身を守るだけでなく、空気抵抗も無くしているので、スピードもかなり出る。
途中に出会ったモンスターもしっかり狩って、次々と俺の開いたゲートにぶん投げていく。
常にゲートをウエイトマジックで出しっぱなしにしているので、荷物の取り出しも楽に出来る。
絨毯の上なので、俺はルサフルやレイワロンで、スートは槍を二刀流スタイルにして、魔法槍改状態にしてぶん投げて、リターンで戻すを繰り返していた。
時折、技も使いながら今朝俺に使った技を磨いているみたいだった。
ゴブリンやオークも出て来ているので、攻撃を当てる位置は調節していた。
技も魔法も数多く使うことはもちろん重要だが、細かく調整して操る事も上達には不可欠なので、良い練習台になってくれている。
メインは未確認生物のいる、ウィダル荒野なのでそこまではモンスター狩りも最低限で進んでいく。
それでも襲って来るやつもいるので相手はしている。
しばらくすると、沼地が終わり岩山や荒れた地面などが広がるウィダル荒野へと到着した。
さて、探すと言っても目撃情報はウィダル荒野ってだけで場所まで特定できていないため、未確認生物をやみくもに探していると、オーノスに帰れなくなってしまうので、探し出すためのアイテムを作ることにした。
俺はいつも通りに道具生成のプロセスをふみ、小型の偵察機械を9つ作った。
込めた魔力は、視覚を共有できるアシェア、見つかりにくくするハイド、音の共有が出来るサウシア、自動修理のリペア。
込めた意志は状況把握。
これをバラバラに飛ばして未確認生物を探していく。
未確認生物にワクワクと不安を抱えながら、偵察機械が未確認生物を発見するまで俺たちはモンスターを探して歩き始めた。
次回更新は5/22です。
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