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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
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24.スートの新技

リョウ視点です。

いつも通りにアラームで目を覚ますと、マッサージ機とアイマスクを使いながら幸せそうな表情を浮かべているマドルが目に入る。

しかも、自分の魔力のほとんどを俺の魔力に変えていて、何も言えなくなってしまった。

まあ、マドルはどんな魔力でも自分の使いやすいものにできるから、別に俺の魔力が大半を占めていても問題は全くないのだけど、何となく複雑な気分になるのは仕方ないだろう。


俺が起きた事に気づいたようでアイマスクを付けたまま挨拶してきた。


『旦那様おはようございます、奥様方も起こしますか?』


「訓練に行きたいメンバーだけ起こしてくれ、それとどんだけアイマスク気に入ってるんだよ。」


『旦那様の魔力をいつでも味わえる、これほどの幸福はないです!』


俺が呆れながら言うと、興奮した様子で力説された。

しかも、若干涎もでて急いで拭っている。

何でマドルはこんなに朝からテンション高いのだろうと思いつつ、マドルにメンバー全員が起こされ、それぞれ準備を始める。


この世界には色々と便利な魔法があるので、女の子でも準備がそんなにかからない。

だから、起きて少し経てばいつもの整った見た目になる。

異世界さまさまだなと思いつつ、全員の準備が出来たのを確認して、みんなで部屋を出る。

エルンは今からモンスター狩りに出かけるようで、俺たちとは別行動になるようだ。


「そんじゃエルン、今日も任せた!、またあとでな!」


『任せろマスター!、行ってくる!』


エルンが見えなくなるまで見送ると、何となく罪悪感が湧くのは気のせいではないだろう。

俺は自由に過ごしながらお金はエルンに稼いでもらっている。

完全にヒモ状態だ。

その内みんなで稼ぎに行ったりするのも面白そうだなと考えながら俺は別校舎の体育館を目指す。


今日はスートの日なので、今は手を繋いで歩いている。

ただ、身長差がかなりあるので手を繋ぐのも大変そうだ。

俺は何とか出来ないかと考え、面白い魔法を思い付いた。


「スート、ちょっと手を離してくれるか?」


《いいけど、また繋いで。》


「ああ、すぐ済むから安心しろ、トランス!」


魔法を唱えると、一瞬煙に包まれて身長が縮み、スートより少し高い位にまでになった。

一応は変装も出来るが、わざわざ顔を変える必要はないので、そのままだ。

これで、スートと手を繋ぐのも楽になる。


全員いきなり俺が縮んだので驚いてはいたが、もう俺なら何でもありだと思われているようで、特に詰め寄られたりはしなかった。

何となく寂しいような嬉しいような複雑な気分になりながら、再びスートと手を繋いで体育館へと向かう。

だが、この身長のまま訓練をすることはない。

そうすると、武器を振り回す時の感覚や届く距離が変わってしまうからだ。

完全に出かけるようだな。


体育館に着くと、やはり俺たちは1番ではなかった。

精が出るなーと思いつつ周りを見ると、ドーマ先生の機材は置きっぱなしになっており、横では気持ちよさそうに先生が寝ている。

まさかこんなところで寝ているとは思わなかったのだが、機材を見るとデータを取り続けているようなので、放っておくことにした。


思い思いに体育館でバラけていき、俺はスートと一緒に訓練することにした。

ただ、その前に昨日ドーマ先生の機材を守るために作った盾と同じようなものを作ることにした。


意識を集中させて、魔力でイメージを再現、生命力で具現化させて様々な効果の魔力を流す。

浮遊した盾をオートとマニュアルどっちでも動かせるフロートコントロール、魔法を分解するディスパージョン、物理攻撃を跳ね返すカウンター、自動修理のリペア。

最後にあらゆるものから守る意志を込めて完成させる。


完成した盾は9つで性能は全て同じでリンクイヤーと同じように盾の中央の宝石の色が異なる。

それぞれの宝石の色に合わせて盾の色も調整されている。

とりあえず、身体に同化させると、9つの盾は同じ物として扱われるようでオーブが1つ増えた。

再び出してみると、出せる個数は自由に選べるみたいだ。

これはシナイルードンと名付ける事にした。

普段は見えなくさせることも出来るようなので、一緒にいる人数分は常に出しておく。


今近くにいるのはスートだけなので、俺のと合わせて2つだけにする。

ちなみにシナイルードンのオート反応は俺の手の届く範囲までで、マニュアル操作はレイワロンのスプレッドテリトリーが届く範囲までだ。

とはいえ、普段の魔法の2倍の射程はあるため、よほど離れて戦闘しない限りは盾の介入が出来るだろう。

(並列思考)があれば処理が間に合わない事もないだろうが、常に全員の戦闘状況を確認していなければならないので、そこが難しい。


まあそれも慣れていくしかないので、俺は訓練に戻る。

盾のマニュアル同時操作に加え、レイワロンを通した魔法の制御と相殺、俺の残りの武器の動き方のおさらいと洗練をまとめて訓練する。

普通なら頭がこんがらがるだろうが、(並列思考)のおかげで何とかなっている。

実際の戦闘の際は(分析)も使って敵の動きの癖や攻撃パターンを読んだり等も増えるので、今の内に慣らさなければならない。


まったく(並列思考)さまさまだなと思いながら、訓練を続ける。

しばらくすると、先程よりもスムーズに操作ができるようになり、より余裕を持って周囲を見ることが出来るようになった。

横目でスートを見ていると、槍に生命力を混ぜた7色の魔力と生命力を流し、技と魔法の中間の状態を作り出していた。

生命力の質を変えることで、生命力と生命力の混ざった魔力とが別々のものとして集まっているため、槍の破壊力が上がっている。


生命力は強化魔力のようなものだ。

魔力がもたらす効果を更に強化したり、今回みたいに使えば技と魔法が共存できる可能性もある。

イメージ次第ではどちらも強力な武器だ。

それを武器に共存させれば強さは単体で使う時の比ではない。

俺には思い付かなかったやり方で、面白い技術だった。

まだ、イメージが完全に出来ていないが、突き詰めていけばスートの得意技と成り得るだろう。

これからのスートに期待したい。


俺が見てるのに気づいたのか、少し恥ずかしそうにしながら俺に話し掛けてきた。


《何か見られるの恥ずかしい、リョウこれどう?》


「それは悪かった、すごい技術だよ!、きっとスートの必殺技になると思う!、まだ完成してないみたいだけど、このまま続けてればそう遠くない内にマスター出来るはずだから頑張ってな!」


《うん、頑張る!、これが出来ればリョウを少しは守れるようになる!》


「気持ちは嬉しいが、あんまり無理するなよ。」


そういって頭を撫でると、とても喜んでくれたみたいで、幸せそうな顔をしていた。

そして、その嬉しさが極まったのか俺に抱きついてきたので、俺も少し驚きながらも優しく抱き締めた。

そこから身長差があるため、自然と上目遣いになりながら俺に確認してくる。


《私はまだまだ強くなるから、1番じゃなくてもいいからリョウの側にいさせてくれる?》


「ああ、スートが良いなら俺は拒まないよ!、その代わり俺の側にいるならきちんと守ってやるよ!」


俺の言葉に益々嬉しくなったみたいで抱き締める力を強めるスート。

まあ、今まで冷たい視線を向けられて来たんだから嬉しくもなるか。

さて、いつまでも抱き締めているとあとが怖いからな。

現にあちこちから視線を感じるし、早めに離れておくか。

俺はスートから離れ、訓練を再開しようとすると、スートから提案を受けた。


《リョウ、思いついた攻撃があるから試させて?》


「ああ、構わないよ、いつでも掛かってきな!」


少し距離を開けてから向かい合うと、槍を魔法槍改(俺がそう呼ぶことにした)状態にして、技のための生命力を別で集めて放ってきた。


《ストルピア!》


槍で高速の突きを放ち、エネルギーを飛ばす技のようで、全てに追尾性能が付いているらしい。

技の発動と速度がかなり早いな。

どう対処しようか迷っていると、槍を二刀流形態に変え、どちらも魔法槍改状態を維持しながら別の技のイメージを作り放ってきた。


《ダーブトピーア!》


槍を左右別々の方向に投げて俺に追尾させてくる。

だが、これはさっきのストルピアと違って魔法槍改で破壊力が上がり、7属性の魔法と技のイメージも込められているため、相殺するのもかなり難しそうだ。

これはすごい、2つの技のイメージを持ちながら

、7色の魔力を具現化させた魔法に近い攻撃を時間差で仕掛ける。

これが完璧になればタイミングさえ間違えなければ、防ぐのはかなり困難になるだろう。


まあ、今の段階くらいなら何とか上回れるし打ち勝てるだろうけど、盾を作ってなかったらかなり苦労しただろうな。

俺は残りの7つの盾を呼び出す。


「全てを遮る力、シナイルードン!」


現れた9つの盾でスートの攻撃を防いでいく。

魔法の力は受けきり、技は跳ね返しながら相殺させていく。

技のスピードが早いため、オートで追い付けない攻撃も出てくるため、俺は追い付けない部分だけマニュアルで動かして上手く攻撃をさばいていく。

2つの槍はさすがにぶつけ合って相殺したり、跳ね返したりは出来なかったので、盾の地力で受けきった。


うん、初めて盾を戦闘っぽく使ってみたが、これはかなり使える。

ある程度の攻撃なら跳ね返せるし、跳ね返す方向を工夫していけば相手の技同士で相殺させることも出来る。

しかも、盾自体の防御力もかなりのもので大半の攻撃なら防いでくれそうだ。

性能実験も出来たし、スートの技の将来性もわかったから、かなり有意義な訓練になった。


「それすごい技だな!、多分もう少しイメージが明確に出来れば防ぐのはかなり難しくなるはずだ!、魔法の力も混ざってるから、技を消すくらいのイメージで魔法槍も作れば、さらに相手は対処し辛くなると思う!、完成を楽しみにしてるよ!」


《分かりやすいアドバイスありがとう!、次はその盾も突破する!》


「望むところだ!」


これだけ力があればこの先に俺が側に居られないときでも、自分の身を守ることが出来るだろう。

そうならないのが1番いいし、そうならないようにするのも俺の役目だから気を付けようと思う。

こうして俺とスートの親交は深まった。



次回更新は5/21です。


引き続き、評価、レビュー、感想、ブックマークお待ちしておりますので、これからも「憧れの異世界で」をよろしくお願いします!!

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