15.女子会とハーレム
リナ視点とリョウ視点です。
リョウの部屋で暮らす事になる私たち6人は、雑談を交えながら、ある程度打ち解けるとまず6人での決まりを作ることにした。
こんなに人数が増えてしまったら、争う原因は正直いくらでもあると思う。
ただ、リョウはそんな風に争っている私たちを見たらきっと悲しむだろう。
けれど、スキルでその事を感じず、いつか心が壊れてしまうかもしれない。
私はそんな事になる前に防いで、リョウと楽しく過ごしていきたい。
そして、出来ることならここにいる6人で彼を支えていきたいと思う。
《それじゃみんな、第1回女子会を始めるよ、進行は私リナが担当するよ!、まず初めにそれぞれがリョウの事をどう思ってるか確認しよう!、それをふまえて今後どうするか決めるから!、まず私はリョウが大好きで大切に思ってる、同時に側で支えたいと思ってる。》
《私はリョウを気に入っているからこれからも着いて行こうと思ってるよー!、いつかリベンジもしなきゃだからねー!》
《私はリョウが好き、好かれる事を諦めていた私に手を差しのべて助けてくれた、だから私はリョウが誰を好きでもいい、リョウは助けてくれたから今度は私が助けていきたい。》
《リョウ様は私の白馬の王子様です!、突然やって来て私を救ってくれた強くてカッコ良くて優しい王子様です!、何があってもリョウ様に着いて行きます!》
《リョウ殿は私の恩人であり、尊敬できる人物で好意も持っている、暴走の原因を取り除いてくれたという返しきれない程の恩もある、だから何があっても一生着いて行こうと思っている。》
《私はリョウの実力をもっと側で見て感じて超えていきたいわ、それにあいつの優しさと強さに惹かれてもいるわ、だから私はリョウの行く所に着いていくわ、それに色々見られちゃったし!》
私はみんなの答えに驚いていた。
この場にいる全員がリョウに好意を持っているし、それぞれがリョウに着いていく決意もしてる。
こんな短期間にこんなに多くの人の心を掴むなんて、やっぱりこれはリョウの魅力だよね。
《みんなリョウが好きなんだね、それじゃ私達は仲間でもあり、ライバルでもあるね、じゃあまずは平等な関係を作るために、リョウを自由にできる日を決めよう!、それぞれ定期的に予定がある曜日を外して決めるよ!》
話し合いの結果、月曜はリンダ、火曜は私、水曜はルイ、木曜はスート、金曜はフラン、土曜はサクラ、日曜はその日にジャンケンで決めることになった。
ちなみに、今日は火曜日なので私の日だ。
今日はもう日暮れだし、実際にこのルールが生きてくるのは明日からだけどね。
《次はご飯作りの分担をしよっか、この中で料理を普段からしている人は手をあげて!》
手をあげたのは、私とリンダとサクラだった。
分担はサクラが月火、私が水木、リンダが金土で日曜は3人で作る。
料理の作れないメンバーはその他の家事をこなすことで話が進んだ。
《他には何か不満などが出来たときは、その都度女子会を開いて解決していく予定だから、リョウの前にまで話を持っていかないようにしようね!、あとはあんまりリョウを困らせないようにみんなで気を付けようね!、それじゃこれで第1回女子会は閉幕で!》
全員が頷き合い話し合いが終わると、自然と拍手が出て、それぞれ訓練に戻っていく。
まだまだ問題は数多くあると思うけど、不思議とこのメンバーなら楽しく上手くやっていける気がしていた。
私がリョウの方を見ると、リンダが床に転がされていた。
うん、良い子なのはわかるんだけど色々と残念なのが惜しいと思う。
私も周りを見渡す。
学園で聞く噂とは違い、気さくできちんと努力をして実力を磨いている金クラスのメンバーたち。
その中心で笑顔のリョウを見ると、愛しさが込み上げてくる。
あとでリョウにも決めたルールを話さないとだ。
みんなが楽しむためにはリョウの協力も必要不可欠になるから。
私は訓練を始める前にリョウの元へと向かった。
∨∨∨
俺が訓練をしていると、話し合いが終わったのかリンダが俺に向かって走ってくるのが見えた。
俺は落ち着いてそのまま抱き付こうとしてきたリンダを地面へと受け流した。
これはきっと俺達の挨拶みたいなものだろうと考える事にして放っておく事にした。
その後にリナがやってきて、俺に先程やっていた女子会?らしいもので決まったルールを聞いた。
月曜~土曜でそれぞれ俺を自由にできる女の子が違うこと、家事の分担についてだ。
俺からも何かあれば誰かしらに相談すれば良いらしい。
何か本来俺がしっかりしなきゃいけないところを、みんなに丸投げしてる気がして申し訳ないな。
せめて何か楽になる道具でも作ろうか。
あとは、時々ギルドで依頼受けたり、モンスター狩りしてお金も稼がないとな。
せめて、金銭面だけでも俺が何とかしないとこのままじゃヒモになってしまう。
そろそろ、定期的にモンスター狩りしてもらう何かを召還するのもありかもしれないな。
あとは、それぞれの家事の負担を減らしたり、その補助をしてくれるようなのを召還してもいいな。
ただ、そんな使い捨てるみたいな召還はしたくないのも事実だ。
せっかく呼び出す相棒なのだからちゃんとした待遇で呼びたい。
あとは何とかして連絡手段を確立しないと、色々と不便だな。
そういった道具も作らないと。
あー、やることが多いから1個ずつきちんとやらないと、いつ見限られてしまうかわからない。
まずは、召還を試してみるか。
交渉して条件が合わなければ、契約を無効にしよう。
今日はリナの日らしく、少しだけ甘えてくるリナが近くにいるため、希望を聞いてみた。
「リナ、今から家事をサポートしてくれるようなやつを召還しようと思うのだけどどんな能力があると嬉しい?」
《うーん、買い出しとか部屋の掃除とかの時間がないと出来ない作業をやってくれると嬉しいかも、あとは時間通りにきちんと起こしてくれるとか。》
リナの希望を聞いて、とりあえず俺の今持ったイメージのままで良さそうなので早速召還することにした。
武器を作って減った魔力をマジックキープリングから引き出して回復する。
思ったよりもストックがあったようで、減った魔力を全回復させてもまだストックが残っていた。
俺は早速魔方陣を描く。
魔方陣の形は六芒星。
召還のイメージは、家事ができ日常生活を普通に送れて、自衛もできる存在。
対価は俺の魔力でガンガン送り込む。
半分ぐらい魔力が吸われた所で、魔方陣から光が溢れ、その中からメイド服の女性が立っていた。
相変わらず容姿は整っていて、腰まで伸びた黒髪が不思議とメイド服との完璧なバランスを持っていた。
ただ、何となく感じる印象から人では無いと思う。
「召還に応じてくれてありがとう!、俺の名前はリョウ=テンジンだ、君は名前とかはあるかな?」
『私は機械人形なので名前はありません、旦那様名付けをお願いします。』
「すごいな、君は機械なのか!、全然そんな風には見えない!、じゃあ今から君の名前はマドル=メシンだ!、これからよろしく頼むよ!、それから何か求める物はあるかい?」
『かしこまりました、このマドル、旦那様と奥様方のお世話をさせていただきます、定期的に旦那様の魔力をくだされば問題ありません。』
これはとんでもないな。
マシンドールとか、もう機械なのかわからないほど人に近いし、多分周りの驚きを見る限り俺の目だったから違和感に気づけただけだろう。
しかも何故か魔力も生命力もある。
どんな身体の造りをしているのかわからないけど、強さは申し分ない。
というか、こいつもカリバーン並みだから十分化け物みたいなもんなんだが。
デミアンは魔力オタクだったから、マジックチェンジで俺の魔力に自分の魔力をいつでも変化させるという荒業に喜んでくれたが、マドルにはそういう訳にもいかないだろう。
それでもとりあえず、召還記念のプレゼントを送っておこう。
俺はマドルに近づき、魔力を同調させて身体に送る。
魔力同調させるとわかるが、何となく他の人の魔力と違って、俺が合わせなくても魔力を勝手に合わせる事が出来るようなイメージだ。
多分彼女なら支援系の魔法は効果が桁違いに高くなるだろう。
生命力も高いため、普通に戦闘も出来そうだから、俺のイメージ通りなのだろう。
俺は満足してマドルに声をかけようとする。
何となく頬が紅くなって息が乱れてるのは気のせいだろうか。
というか、何かエロい。
数名の男子は前屈みに、俺のルームメイトの女の子達からは疑惑の目を向けられた。
いやいや、俺は無実だよ!?
お祝いでプレゼントあげただけなのに、何でそんな目で見るんだよ!?
俺は目の前のマドルにこの言い様のない感覚をぶつけたかったが、理不尽なのもわかったので俺は一先ずこれからの依頼をすることにしよう。
「マドル、これから君には俺のルームメートの女の子のたちの手伝いをしてもらいたい、彼女たちの出来ない家事を普段はやっておいてくれ、毎日俺の魔力を報酬として渡すからよろしく頼むよ。」
『はい、旦那様!、このマドル全身全霊を込めて家事に取り組ませていただきます!』
そういって紅潮した頬のまま敬礼してくるマドル。
なんだろう、何か悪いことをした気分になる。
今日は何でこんなに泣きたくなるんだろう。
俺は大人しく隣にいたリナに抱きついて心を落ち着けることにした。
リナは困った顔をしていたが、少しすると安心した顔をして抱き締め返してきた。
ようやく落ち着いたのでリナから離れると、周りからの視線を感じる。
ついつい弱さに負けてリナを頼ってしまった。
周りからの視線で特に強いのは、俺のルームメイトたちだ。
そして、その目はみんな無言で訴えてくる。
《指定日には私たちにもやってくれるのよね?》
どうしよう、自ら爆弾を増やした気がしてならない。
うん、ここは全てを忘れて召還に逃げよう。
次はモンスター狩るための相棒を呼ぶ。
魔方陣は六芒星。
イメージは戦闘が好きで強く、モンスターの素材の剥ぎ取り等を熟知している存在。
俺は減った魔力をマジックキープリングで補充して満タンにする。
そして、ありったけの魔力を送り込む。
半端ない速度で魔力をガンガン削られ、慌ててブラッドリングで補充するが、その分も吸いとられてもまだ足りないようで、ブラッドリングが空になるまで送った所でようやく了承してくれたようだ。
もの凄い光が溢れ咄嗟に目を瞑るが、同時に強烈な存在感を持つ何かが現れた。
目を開けると、そこには純白の羽を持ち、それに負けず劣らずの白い綺麗な髪、整った容姿に綺麗な青の鎧、手には兜を持っているその姿は戦姫のようだった。
『あなたが私を呼んだマスターか、なるほど伸び代も十分で魂の輝きも素晴らしい、いいだろう、これから私はマスターの僕だ!、好きなように扱うがいい!』
「お褒めの言葉をありがとう、俺が今日から君のマスターになったリョウ=テンジンだ、名前とかはあるかな?、あとは必要な報酬とか、それと俺は君を対等の存在だと思っているからよろしくね!」
『フフフ、面白いマスターだなリョウは、召還された存在を対等に扱うか、益々気に入った!、名前はリョウに決めてもらおう!、報酬はそうだな、私はマスターを気に入った、私をマスターのハーレムに加えてくれればいい!』
おい!!!!
何だよこの天使!
確かに翼があって強い方がいいとは考えたよ!?
でも何で俺のハーレムに加わるのが報酬なんだよ!?
これ以上爆弾を落とすのはやめろー!!
みんなスゲー目で俺のこと見てるだろーが!!
これが召還に逃げた罰なのか。
もうどうとにでもなってしまえ!
俺は折れた心を何とか繋ぎ止めて話を続ける。
「じゃあ、君の名前はエルン=ジェイだ、呼び出したのは俺の方だしその報酬で構わない、改めてこれからよろしくな!」
『任せろマスター!、戦闘に関するものならどんな事でも受けよう!、名前も気に入った!、これから長い付き合いになるだろう!、こちらこそよろしく頼む!』
こうして握手する俺とエルン。
そして俺はまたしても自分の過ちに気づく。
エルンの自由日は決まっていない。
だが、俺はエルンに触れてしまった。
ハーレムメンバーには皆平等に。
俺は嫌な汗が出てきたのを感じて、この場を逃げる!
それはもう身体強化を限界まで使って逃げる!
そうして部屋にたどり着く。
逃げ切った俺はもう限界だった。
とりあえず俺は今日1日の精神的なダメージを回復するためにベッドへ飛び込んだ。
今日は本当に濃い1日で厄日だった。
朝から絡まれ、いつの間にかハーレムになってしまい、召還した天使もハーレムに加わってしまい、もはや俺の周りの女の子は7人にまで増えてしまった。
おかしい、俺はリナがいれば良かったはずなのに、スートを連れてきた時から全ての流れが変わった。
だからといって、俺はあそこでスートを見捨てる事は考えられなかった。
それに、今は何か問題があるわけではない。
ここからは俺の器量と努力次第だ。
ここまで大きくなってしまったのは俺が断らなかったからでもあるのだから責任は取ろう。
今日1日の疲れが一気に襲ってきたからか、物凄く眠くなった。
そうして俺は欲求に逆らわず意識をなくした。
この後に帰ってきたハーレムメンバーで壮絶な争いが起こっていたことも知らずに。
更新遅れてすみません。
次回更新は5/12です。
引き続き、評価、レビュー、感想、ブックマーク、お待ちしておりますので、これからも「憧れの異世界で」をよろしくお願いします。