表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
26/141

7.修羅場?

リョウ視点です。

体育館に着いた俺は何て説明しようか迷っていた。

というか、こんなに早くデミアンがリナを連れて帰ってくるとは思わなかったから心の準備が出来てない。

デミアンの優秀さに色々な意味で涙した。

まあ話すと決めたし迷ってる場合でもないか。

スートも不安そうな顔してるし、リナも何の話だろ?みたいな感じでそわそわしてるし。

俺は覚悟を決めた。


「リナ、とりあえずこの子を紹介する、スートがんばれ。」


俺の声で覚悟を決めたようでリナとその友達に自己紹介する。

スートには、リナが俺の大切な人だと説明しているから余計に緊張するのだろう。


《私はスート=ノウンで亜人族です、よろしくお願いします。》


スートの自己紹介に流石に驚いたようだったが、リナは笑顔でリナの友達は困惑した顔をしつつ自己紹介を行った。


《私はリナ=エルフィンでリョウの恋人です、こちらこそよろしくお願いします。》


《私はルイ=リオンだよー、初めて亜人族の見たよー、とりあえずよろしくねー!》


自己紹介が無事に終わると、スートが安心した様子を見せていた。

流石に俺の側にいたいと言っていたのに、俺の大切な人に拒否されたら立ち直れないだろう。

まあ、俺もそんなリナは見たくなかったけど。

とりあえず第一段階は無事に終わったので次に進むとする。

ここにリナの友達がいるのは予定外だったが、まあ良い機会なので良しとする。


「さて、互いの自己紹介が終わった所で本題に入る、スートは亜人族で本校舎にいると迫害の対象になるらしい、それと今から俺が見せる映像でわかるがこれが今回リナに相談した理由だ。」


そういって俺は黒い異物を取りだし、それと戦うスートと、戦い終わった後に俺の側にいたいと願う様子を全て見せる。

これは、デミアンに見せたのと同じだが、おそらく(並列思考)がなかったらできなかっただろう。

基本的にこの映像は俺の見てきた記憶を使って再現するので、(並列思考)が無かったらこんなに鮮明には再現できなかったと思う。


スートには事前に全てを見せる事に了承はもらっているので、これを見たリナがどうするかで決まる。

すると、リナはこれを見てどうしようかと迷ってるようだった。

そして、何かを決意したようで俺に聞いてくる。


《スートちゃんの思いはわかったよ、リョウはどうしたいと思ってるの?》


「俺は亜人族が迫害されてる中で、スートを放ってはおけない、だけど俺が大切なのはリナだ、それにスートも女の子だからリナが嫉妬したりで辛いならリナを優先させる。」


俺の思いは変わらない。

リナが好きだしスートも助けたいとは思う。

けれど、やはり優先するのはリナだ。

スートには悪いが、リナが駄目というなら諦めてもらうしかない。

そうしてリナの返答を待つ。

すると、リナはスートに話しかける。


《スートちゃん、私が言うのも変な話しだと思うけど、リョウが私を好きな限りスートちゃんが報われる事はないし、側にいても辛い思いをすることも多いと思う、それでもリョウの側にいたいの?》


《私の思いは変わらない、私は確かにリョウの事を好きだけど、それ以上に私を暴走から救ってくれたリョウに恩返しがしたい、だから図々しいお願いなのはわかってるけど、リナさんが邪魔だと思わないなら一緒に居させてほしい。》


スートの言葉を聞いてはにかむリナ。

そして、俺に自分の思いを話す。


《私はスートちゃんの願いを叶えても良いと思う、ただ絶対にリョウは私とスートちゃんのどちらも中途半端にしたら駄目だから責任とってね!》


「わかった!、二人とも幸せにする!」


これで無事に問題は解決した。

いや、大変なのはここからなんだが、何はともあれリナにスートが認められて安心した。

俺は二人を大事にして、幸せにする。

その覚悟を改めて持った。

だが、納得できない人物が一人いた。


《ちょっと良い話で纏めようとしてるとこ悪いんだけど、私はあんたを信用できない、というかリナから話を聞いていたけど二人を幸せにする器量も実力も無さそうに見える、二人を幸せにできるっていうなら実力を見せてよ!》


何で僕はリナの友達にキレられているんでしょうか。

そして何でこれ受けないといけない流れなんでしょうか。

俺は泣きたくなりそうな気持ちを抑えながら戦いに向けて気合いを入れ直す。

ここまで言われたなら並大抵の実力では納得しないだろうし、彼女も自分の実力に自信があるのだろう。


「わかりました、そこまで言われたなら俺も退くわけにはいきません、納得してもらえる実力を見せましょう。」


こうして俺とルイさんは体育館の中央で向かい合った。

リナとスートは自分達で納得したあとなので複雑そうな顔をしていたし、デミアンは俺の戦闘を初めて見るので目をキラキラと輝かせていた。

この状況で負けるつもりは毛頭ないが、もし負けようものならマスター失格としてデミアンに殺されるかもしれない。

負けられない理由が一つ増えた瞬間だった。


『僭越ながら、審判はわたくしデミアンがやらせていただきましょう、これは命のやり取りではないのでどちらかが致命傷足りうる攻撃を受けるか、どちらかのギブアップにより勝敗を決します、それでは試合開始!』


デミアンの掛け声と共に試合が始まった。

俺が身体強化をすると、ルイさんが一直線に距離を詰めてくるが俺から見ればかなり遅い。

とりあえず俺の勝利条件は圧勝なので相手の得意分野で勝利することにしようか。

本来ならここで魔法を展開するところだが今回はそれをせずに拳に7色の魔力を集中させる。

相手は拳甲をつけているので格闘戦に自信があると思ったからだ。


俺の拳を見て驚きの表情を浮かべていたが、俺が避けないのを見ると自分のスピードを全力で乗せた拳甲を振り切ってきた。

これくらいならばカウンターを入れておしまいなのだが、それでは何が起きたかわからないと思うので、その拳甲目掛けて拳をぶつけた。

激しい衝撃が辺りに広がったが、ダメージを受けたのはルイだけだった。


やはりと言うべきか俺の身体強化の方が圧倒的に強かったようだ。

俺は吹き飛ばされたルイにゆっくりと近づいていく。

自分の渾身の一撃が防がれて戸惑っているようだったが、すぐに頭を切り替えたようで今度は膨大な力を拳甲に集めていた。

そして膨大なエネルギーが拳甲に纏い安定し、掛け声と共にルイが突っ込んでくる。


《フィニッシュナックル!》


俺の魔力を見る目に反応はない。

そして、この反応はレイさんの使っていたオーラブレイクと似ている。

もちろん威力が比べ物にならないが、とりあえずこの技への対策を考える。

魔力ではないが、何かしらの力が集まったのは事実であり、考えられる可能性は生命力だ。

見ると先程よりも疲れているのがわかるので間違いないだろう。


だが、一度似たようなものを見ているとはいえ俺は生命力の扱いはやったことがないため、同じようなスキルをぶつけることはできないだろう。

おそらく(魔力創造)で生命力をふっとばす魔法や魔力を作る事はできるだろうが、それをやるとルイ本体の生命力もふっとばしてしまう可能性があるため却下だ。


俺は諦めて拳に魔力を全力で集中させることにした。

そして、向かってきたルイのフィニッシュナックルに向けて拳をぶつける。

だが、俺の拳の魔力が強すぎたせいであっさりとフィニッシュナックルのエネルギーを霧散させルイの拳甲を粉々にして吹き飛ばしてしまった。

壁にめり込んだルイは当然戦闘不能となった。


『勝者マスター!』


デミアンの声が響いたが辺りは物凄く静かだった。

いや、確かに魔力を全開に込めた一撃は初めて使ったけどさ、こんな事になるなんて思わないだろ!?

あの拳甲めちゃめちゃ高そうだったよね!?

え、やっぱ壊したのは俺のせい?

てことは、弁償?

もう泣きたい。


俺の精神がガリガリ削られてる中で、とりあえずぶっ飛ばしてしまったルイに回復魔法をかける。


「リフレッシュヒール!」


とりあえず(魔力創造)の応用でリフレッシュとヒールの魔法を合わせ、身体のダメージと疲労を回復させる。

もっとも身体のダメージといっても、学校の施設の効果で1/100になっているので大したダメージはないと思う。

やってから思ったが、(魔力創造)を利用した魔法をリナに見せるのはこれが初めてだ。

嫌な予感、もとい嬉しい予感がしてリナを見ると、ものすごい勢いで向かってきている。


ほんの悪戯心で近づいてきたリナを避けて後ろに回ってみた。

身体強化をしたままだから、簡単に後ろに回れた。

それが悔しかったようで、リナも身体強化を使って追いかけてきた。

いつの間にか俺の身体能力はリナを越えていたようでしばらく追いかけっこをしていると、リナが追いかけるのをやめた。

どうしたのだろうとリナを見ると、何で逃げるの?と物凄く本当に悲しそうにこちらを見ていた。

俺はやり過ぎたと思い、慌ててリナの元へ駆け寄り抱き締める。


すると、とても幸せそうな顔になったので俺は安心した。

そして、もう二度と悪戯するのはやめようと心に決めた。


「ごめんなリナ、ちょっとした遊び心だったんだよ、もうしないから。」


《うん、何か凄く悲しくなったからもうしないでね。》


そうして抱き締める力を強めるリナの頭を撫でていた。

しかし、俺は忘れていた。

この場にいるのは俺達だけではないことを。

もっと言えば、俺に好意を寄せてる女の子が一人と高そうな武器を壊してしまった彼女の友達の事を。

気付いた時にはもう遅かった。


リナを抱き締める俺を更に後ろから抱き締めてくるスートに、俺のあばら骨の辺りをかなりの力で叩いてくるルイ。


《リナさんだけずるいです!、私も参加します!》


《私の拳甲をよくも壊してくれたわね!、でもその強さは想像以上だったわ!、こうなったら私も責任取ってもらわなきゃ!》


女の子に囲まれて嬉しいはずなのに、どうしよう幸せ感と未来の借金への不安で複雑な心境だ。

というか、何だこの状況!?

あれ、俺リナとイチャイチャしてたはずだよね?

何で3人の女の子に囲まれてるの!?

デミアンに助けを求めようと思い、視線を巡らすが見当たらず、デミアンの現在地を探るとこの場からどんどん離れていく。


あいつ逃げやがった!!

追い付いて一言言ってやりたいが、3人に囲まれて動けない。

そして、最悪のタイミングでやつが現れる。


『リョウー!、ここにいたか、、、っていつの間にか一人増えてるじゃねーか!、お前俺様の前でイチャつきやがって、覚悟はできてるんだろうな?』


そういってニコニコしながら低い声を出し、ボキボキと骨を鳴らしながら近づいてくるカリバーン。

俺は心底恐れていた。

カリバーンにではなく、3人の女の子に。

3人は互いに目を合わせ頷くと、ものすごい勢いでカリバーンを囲み、袋叩きにしていた。

突然の出来事に動揺しているカリバーンを余所に3人は攻撃を続ける。

確かに身体へのダメージは1/100になるが、恐怖などの精神的ダメージは軽減されない。


いつの間にか動かなくなった、いや動けなくなって震えているカリバーンに彼女達は一言。


《私たちのイチャイチャタイムを邪魔するな!》


見事にハモっていた。

そして、3人の視線がこちらへ向く。

何だろう、もの凄く寒気を感じる。

カリバーンから離れてダッシュで近づいてくる3人の女の子。

俺の求めてるイチャイチャタイムはこんな激しくないよ!?

俺は身体強化を全開にして逃げる!


どこまで逃げても追ってくる3人に俺は走りながら思わず叫んでしまう。


「女の子恐いよーーーーー!!!」


その叫び声は学園中に響いたと言われている。

しばらくして捕まったリョウが解放されると、女の子3人は幸せそうに、リョウは複雑な心境だったようだ。


by カリバーン




今日は忙しかったため、更新はこの話だけになります。


次回更新は5/4です!


これからも「憧れの異世界で」をよろしくお願いします!!


引き続き、評価、レビュー、感想、ブックマークをお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ