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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
20/141

1.学園と町巡り

リョウ視点です。

目を覚ますと、既に日が上っていてカリバーンはまだ寝ていた。

俺は慌てて準備を整え、カリバーンを起こす。


「おいカリバーン、起きろ!、リナとの約束時間過ぎてる!」


『マジか!、やベーな、おいリョウ急いで集合場所に行くぞ!』


そういって秒速で準備を終えて部屋から出ていくカリバーン。

ちょっと待て!?

何でお前を起こした俺より早く出ていくんだよ!?


俺は身体強化を全開で使ってカリバーンを追いかける。

だが、カリバーンも身体強化を使っているらしく中々追い付けない。

そんなこんなで俺とカリバーンは集合場所に着いたのだが、リナの姿はなかった。

何となく嫌な予感がした俺はカリバーンに視線を向ける。

カリバーンも同じだったようで、俺たちは同時に昨日の寮に向かって走り出した。


昨日一悶着あって、俺たちは個室に入ることになったのだが、それはリナと別れた後の話だ。

そうなると、待ってても来ない俺たちを迎えに行くために寮に行く可能性は十分にある。

そして、そうなれば確実に揉め事になっているだろう。

出来れば何も起こっていないでくれ、と願う俺の願望は、何かを言い争う声によって打ち砕かれる。


俺たちが駆けつけた時には、リナと俺のルームメイトだった3人が言い争っていた。


《さっきの言葉を取り消して!、リョウは私の大切な人だし悪く言うのは許せない!》


「エルフの分際で俺に楯突いてくるとはな、身の程をわきまえろ、それにあいつは口だけの落ちこぼれだ。」


「そうだぜ、それにあんな人族を大切とかエルフ族も堕ちたもんだよな、それにあんな自分全て正しいみたいな奴この学園にいる資格もないだろ。」


「おいらも、あんなやつの行方なんか知らないし、その辺での垂れ死んでるじゃない。」


リナを見下す目を向けているルームメイトの3人、まだ何かを言おうとするリナだったが、その前に俺が止める。


「リナ、落ち着け、ここで言い争ってても仕方ない、とりあえずこの場から離れよう。」


《リョウ!?、今までどこで何してたの!?、あんな酷いこと言った人達を私は許さない、絶対謝らせる!》


そういって引かないリナだが、俺はそんな事よりもリナを馬鹿にされた事の方が問題だった。

とりあえず、暴れるリナをカリバーンに任せ、俺は3人と向かい合う。


「女の子を3人で言い負かそうとするとかプライドないのかよお前ら。」


呆れながら言う俺に3人はキレ始める。


「落ちこぼれの屑なお前にそんな事を言う資格はないだろ、そこのエルフの女も身の程をわきまえない屑だし、屑は屑らしく黙っていろ!」


「お前さー、立場わかってる?、お前は落ちこぼれクラスでそこのエルフは下等種族、そもそも俺たちに話しかける事自体ありえないんだから、見逃してやってる俺らに感謝しろよ!」


「屑を屑と見て悪いことはないとおいらは思うし、言いがかりをつけてきたのはそっちなんだから、謝るのはそっちでしょ?」


これを聞いた俺は、こいつらを少しの間でも友達だと思った自分に嫌悪感を持った。

同時にこいつらの言い分の出鱈目さに怒る気力すら失せた。

だからこそ、俺はリナとカリバーンを連れてこの場を離れる事を選んだ。

それを見た3人が何かを言っていたが、俺がその言葉に反応する事はない。

彼らは俺の中でもう人では無いから。


リナは3人の言葉に何か返そうとしていたみたいだが、俺の気配を察したのか俺の事を心配しているような表情でこちらを見ていた。

俺は笑顔をリナに向け、とりあえず集合場所だった所に戻った。

そして、まずはリナに謝ることにした。


「ごめんリナ、寝坊しちゃったみたいで集合時間に遅れちゃった!」


謝る俺を見てアワアワしていたリナだったが、まずは俺に説明を求めてきた。


《遅れちゃったのは気にしないで、それよりリョウ達は何で寮にいなかったの?》


そういって俺は、リナに昨日の出来事を説明した。

それを聞いたリナは、更に怒りだしまたしても寮に乗り込みそうだったので、慌てて止めて落ち着かせた。

だが、怒りはまだまだ抜けないらしく俺に愚痴を言ってくる。


《あの3人、リョウにそんな事を言うなんてホントに許せない!、リョウも何で言い返さなかったの!?》


今度は怒りの矛先が俺に向いたようだ。

何となくデジャブを感じるなと思うと共に、リナは俺の為に怒ってくれているので、怒りの感情を向けられてもむしろ嬉しいと思ってしまう。


「あの場でリナが巻き込まれて、悪く言われるのを聞きたくなかったから離れる事を一番に考えたんだ、それにあいつらは人じゃない、そんな奴と会話する必要は無いからさ。」


俺の言葉に複雑な表情をリナはしていた。

だが、紡ぐ言葉が見当たらないようで、何かを考え込んでいる様子だった。

俺はそんな雰囲気が嫌だったので、リナに当初の予定だった学園の案内をしてもらうことにした。


「リナ、このままここにいても仕方ないし、予定してた学園の案内を始めよう!」


俺のあからさまな話題転換に納得いかない様子だったが、気持ちを切り替えたのか俺に笑顔を向けてきた。


《わかった!、それじゃ一個一個回ってたら日が暮れても終わらないから、とりあえず主要な施設だけ回るね!》


そういってリナは歩き出した。

俺とカリバーンはそのままリナに続いていく。

このエジマリフ魔導学園は、全部で7階建てで城のような造りなので、一個一個の部屋も広くかなり広い敷地に建てられていた。

1階から赤、青、黄、緑、銀、紫、白の順にクラスが並んでいる。


そして、俺たちのクラスは城の敷地内にある別校舎にあった。

これは俺の世界の学園と大差はなくそこまで大きな建物ではなかった。

しかし、校舎の横には俺たちが試験を受けた本校舎の体育館よりも大きな体育館があった。


設備としては、エフォルにあった訓練所と同じような物らしく、訓練にもってこいの場所だそうだ。

そんな施設なら他のクラスも使いそうなものだが、本校舎にも同じ建物はあるし、何よりも金クラスのある校舎が近いため、一部の生徒以外は近づかないそうだ。


俺とカリバーンはそれを聞いて安心する。

訓練するときまで、見下してくるような連中と会おうとは思わない。

むしろ会いたくない。

静かに訓練できる環境があって良かった。


そして、本校舎にある主要な施設は図書館に保健室、生徒会室、体育館、食堂だった。

別校舎にも生徒会室を除いて同じ物はあるが、設備の質が桁違いのようだ。

なので、もしも利用するなら本校舎の方がいいそうだ。


こうして校内を回り終えた俺たちは、本校舎の食堂で食事をとっていた。

今の俺たちは一文無しなので、恥ずかしながらリナに奢ってもらった。

早いとこ、お金を稼ぐ手段を確立しなければならない。

それと、並行してせっかく学園に来たのだから勉強もしないといけないし、訓練をして実力もつけていきたい。

そう思い、俺はリナにお金の稼ぎかたを聞いてみた。


「リナ、学園にいる間ってどうやってお金稼ぐの?」


《授業は、基本的に自由参加だから、外にモンスター狩りに出かけてお金は稼ぐのが普通かな、それで学園の生徒はみんな町にあるギルドに登録するんだけど、そこで依頼を受けてモンスター狩りと併用していくって感じ!》


この世界にもギルドがあるようで、俺はテンションが上がった。

小説でギルドと言えば、成り上がる定番だし主人公達がよく利用する施設でもある。

それに、町の問題を解決する何でも屋という感じだ。


俺とカリバーンはまだギルドの登録はしていないので、これから行きたいとリナに頼むと、喜んで案内してくれた。

ついでに町の案内も頼んだ。


学園都市といわれているが、学園は城のような物なので城下町と表現する方が良さそうだった。

地区が4つに別れ、北の商人区、西の貴族区、南の冒険者区、東の居住区となっている。


商人区には生活用品から魔具、武器など幅広く売っていて、買い物はこの区画でするのが一番のようだ。

貴族区には、文字通り貴族達が住んでいるため、俺たち学生はあまり立ち寄る事はないようで、依頼者に会うくらいしか行かない所らしい。

冒険者区にはギルドがあり、特殊な武器や癖の強い武器などを扱うお店が多く、値段もその分安くなっているらしい。

居住区には、各区画で働いている人達や冒険者が住んでいるそうで、依頼で訪れる事が多いらしい。


一通り見て回り、ギルドへと登録に向かう。

ギルドへ入ると、厳つい顔をしたいかにも冒険者といった感じの人から、人の良さそうな人まで色んなタイプの種族が集まっていた。

そんな人達は俺たちの姿を見ると、見定めるような視線を向けてきた。

俺たちは今、学園の制服を着ている。

ただ、制服というよりも私服に近く、とてもお洒落に作られている。


俺たちはそんな視線を受けながら受付へと向かう。

受付は7つあり、6つはそれぞれの種族の人が担当していて、7つ目は人族の人が担当していて初めて登録に来る人達専用の場所のようだった。


俺たちは初心者担当の人の所へ向かい、クラスカードと生徒手帳を見せて、冒険者になるうえでの注意を受けた。


「冒険者には、ランクがありEからSまであります、ランクは依頼を達成することで上げる事ができ、各ランクの依頼を100回達成すると、自分のランクの2つ上までしか依頼は受けられないのでご了承ください、また依頼を失敗するとランクが下がりますのでご注意下さい。」


「依頼の受付、報告はそれぞれの種族の受付でやってください。」


俺はそれを聞いてランクを上げるのがものすごく大変だなと思った。

もちろん、目指すはSランクなので先は長いなと思いながら俺は書類にサインしていく。

そうしてギルドカードをもらった。

これはランクの確認と銀行のような役割も持っている魔具のようだ。

そしてクラスカードに近づけると、ギルドカードが吸い込まれた。


驚いていると、リナが教えてくれる。


《これがクラスカードの効果で、色々なカードを合わせる事ができて、これ一枚あればどこでも証明書の代わりになってお金の出し入れもできるんだよ!》


めっちゃ万能なカードだったのに驚いた。

試しにリナが銅貨を一枚くれた。

クラスカードに近づけてみると、銅貨が吸い込まれる。

原理はわからないが、クラスカードに所持金が記載されるようで、大銅貨一枚と書いてある。

ただ、使えないエリアもあるらしくエフォルでは使えなかったため現金をバッグにしまったようだ。

なので、現金も少しは持っている必要があるようだ。


そして登録を終えた俺たちはついでに依頼を確認する。

ボードに依頼書が多く張られていた。

とりあえず、お金を稼がなくてはならないので討伐依頼を受けることにした。


依頼書 ウルフ討伐


依頼主 ギルド


報酬 大銅貨5枚


期限 今日中


内容:ウルフが増えたことで、流通に影響が出ているので数を減らして欲しい。

場所はオルロース平原。

報酬は3匹毎に出す。

討伐部位の提出で討伐を認める。


定番の依頼があったので、この依頼書をとって人族の受付に向かう。

クラスカードを渡すと何かの装置に通して返された。

見ると、現在受けている依頼内容を映像のように映し出す事が出来た。

これは普段は相手に見えないらしく、本人が見せたい人だけには本人の意思で見せる事が出来るようだ。


意外と便利なクラスカードに俺は嬉しくなった。

依頼を受けた俺たちはリナのアドバイスでオーダーメイドのゲート付き魔具を作ってもらいに行くことにした。


リナ行きつけの冒険者区の鍛冶屋に行くと、そこにはいかにもドワーフといった顔をしている男の人がいた。

ドワーフの男の人はリナを見ると笑顔になった。


「よう嬢ちゃん、今日は何の用だい?」


《カイさん、こんにちは!、今日は私の彼氏とその友人のゲート付き魔具の依頼に来たよ!》


いきなり凄い紹介をしたリナだが、俺とカリバーンを見てきたカイさんは大笑いしていた。


「まさか嬢ちゃんが彼氏を紹介してくるとはな、長生きしてみるもんだ、俺はカイ=ドワンだ、これからも利用よろしくな!、んでどんな魔具にして欲しい?」


凄い元気なドワーフのカイさん、俺も思わず笑顔になった。

カリバーンも機嫌が良さそうだ。

俺とカリバーンはカイさんに欲しい魔具の希望を話す。


「俺はリュックのような物でお願いします。」


『俺様は腰に付けられる物で頼む。』


「おう、任せときな、すぐに作ってやるよ!」


俺とカリバーンはカイさんにクラスカードを見せ、カイさんは作業を始める。

初めて魔具を作る作業を見たが、一目見ただけでカイさんの腕の良さと、魔具を作ることの難しさがわかった。

多分やり方は俺の魔法剣と似たようなものなのだろうけど、それよりも魔法の質が高い。

あれが出来れば魔法の質を持った魔法剣が出来るだろう。

ただ、それだけじゃなさそうだが俺にわかるのはこれくらいだった。


そして最後にカイさんがゲートの魔法を詠唱して組み込んでただの道具を魔具にする。


「我は求める、空間を繋げ、ゲート!」


そうしてゲートの魔法が用意してあったリュックと、ボディバッグのような物に吸い込まれる。

それで完成のようで俺たちに商品を渡してくる。


「これで完成だ、良い仕事したぜ、ほらよこれがお前らの魔具だ、これからも利用してくれよ!」


「カイさんありがとうございます!、また利用しに来ます。」


『良いもんありがとな、また来るぜ!』


俺たちは挨拶をしてモンスター狩りのため店を出る。

ウルフが出るのは北区の門を出た所にあるオルロース平原らしいので、俺たちは北区に向かう。

門は日が落ちると閉まってしまうそうなので、それまでには町に帰らなければいけない。


こうして俺たちは門を出てモンスター狩りへと向かった。




もう1話続けます!

もしかしたら少しだけ更新が遅れるかもです!

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