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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第一章 ここ、異世界?
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2.行動開始

リョウ視点です。

早速スキル(考察)を使いこなす為に辺りを捜索しようと思い、とりあえず近くにある木に近づき触れてみた。


この時、木に毒があったり、モンスターだったりしたら一瞬であの世行きだったが、幸いそんなこともなく、見た目通りの生命力の高さを感じ、軽く叩いたり、揺らしてみようとしたり、色々と試してみるが、やはり何も起きない。


そうして周りの木も調べようと思い、最初に調べた木に目印をつけ、そこから右回りで一周した。


一通り見て回ったが、元の知識が役に立つ所ではないため、生命力の高く、七色の実をつける木ということしかわからなかった。


足をかけられそうな所もあり、登ってみようかとも思ったが、実がなっているのは結構高い所だ。


登れないこともないだろうけど、この体力でどのくらい登れるかわからないため、とりあえず水を探すことにした。


さっきまでは気づかなかったが、よく耳を澄ましてみると水の流れる音が聞こえる。


普段ならそれだけで場所を把握する事は出来ないのだが、スキル(考察)のおかげか、それなりに歩いた所に水場があることがわかった。


今いる場所を動くのに不安はあったが、ここでじっとしていても、水がないならいつかは動かなければならないと思い、水場を目指し歩き始めた。


初めに俺がいた場所では、見える木々全てに七色の実がなっていたが、少し歩くと森のように木々が広がっている中に、七色の実がなっている木は少なくなっていった。


しかし、まったく無いわけではないので、ホッとして歩いていると、段々と水の音がはっきり聞こえるようになってきて、そのまま進むと、開けた場所があり、そこに川を見つけた。


歩いて来た木に目印を作り、川へ近づくと、川の水はかなり綺麗で透き通っていて、流れも穏やかだったが、残念ながら魚は見当たらなかった。


果たして飲める水なのか不安に思ったが、この水が飲めなければどっちにしろ長くは生きられないと思い、覚悟を決め飲んでみた。


すると、今まで飲んできた水の中で一番おいしく、身体に吸収されるのを感じられるくらいに、心地よく、満足いくまで水を飲んだ。


すると、頭の中にまた無機質な声が聞こえてきた。


【スキル(浄化)を手に入れました】


まさか水を飲んだだけでスキルを覚えられるとは思わなかったが、とりあえずスキルが手に入った喜びを噛みしめて、効果を確認した。


ステータス


天神 凌 (てんじん りょう)


スキル (考察) (浄化)


スキル(浄化):身体に異常をもたらすものを無害にする。


ここまで都合良くスキルが手に入ると、物語の主人公になった気分になるが、まだ生活する段階で何とかなっただけで、よく物語に出てくるゴブリンやスライムなどの敵対生物に対抗する術はない。


それが手に入らない内は浮かれている場合ではないため、気を引き締める。


しかし、スキル(浄化)のおかげで食べられない物は無くなったと思っていい。


これで水と食料に問題は無くなったため、早速今まで気になっていた七色の実を食べられる。


「早速七色の実を食べるために来た道を戻ろう!!」


一人で気合いを入れ直して元いた場所へと戻る。

途中の木に登って取ってもいいのだが、森の中では見晴らしが悪いため、空が見えるくらいに開けている最初の場所の方が辺りを見渡す事もできるため、次の目的地を決めるためにもいいと思った。


そんなことを思いながら歩き、最初に俺がいた場所へと戻ってきた。


ここでモンスターが登場、、、とか身構えていたが、そんなこともなく川に行く前と変わらぬ景色が目の前に広がっていた。

戻ってきて間もないが、早く七色の実が食べたかったため、実を取ろうと木に近づき、足をかけ登り始めた。

しかし、目の前の木は公園にある木等よりも遥かに高く、ようやく実まであと半分という所に着くと、疲労感が限界に近づいてきた。

少し休むかと考えていると、上に休めるくらいのスペースを持つ部分を見つけた。


元々幹が太いため、少しの足掛かりでも休むことはできたのだが、 見つけた場所は座ってゆっくりできるとこだった。

疲れた身体を何とか動かし、その場所まで行くとそこはキツツキが木をつついてできたような場所だった。

ただ、その大きさはキツツキがつついた物の比ではなく、そこに休憩する場所を作ろうとしたかのような大きさだったが、、、


そこで一息つくと、また頭に無機質な声が聞こえてきた。


【スキル(登り降り)を手に入れた。】


三回目のため、少し慣れてきたなと感じながらステータスを開き、スキルを確認した。


ステータス


天神 凌 (てんじん りょう)


スキル (考察) (浄化) (登り降り)


スキル(登り降り):何かに登ったり降りたりするのがスムーズに行える。


相変わらずスキルって便利だなと思い、丁度良いタイミングで良いスキルを覚えてくれて、これからがとても楽しくなった。


疲れもとれてきたため、再び七色の実を求めて登り始める。

先程よりも登りやすくなり、今までよりも速いスピードで木を登っていき、遂に実のついた枝まで着いた。

枝も太く俺が二人で手を繋いで歩けるくらいの広さと丈夫さがあった。


ただ、高さが高さなため、足を踏み出すにはかなりの勇気が必要なはずだったが、そこは人と感性の違う俺なため、平然と歩いて実があるとこまで進み、実を取った。


そのまま枝に座り七色の実を食べた。

口いっぱいに広がる実の果汁、その味は食べている途中にも様々な味に変化していく。

甘い、辛い、渋い、すっぱい、かと思えば旨味が溢れてくる。

これだけ味が変わったりすれば美味しいのかよくわからなくなるのが普通なのだが、不思議とそんなことはなく、味の変化がこの実を際限なく食べられるようにしている。


その後もお腹いっぱいになるまで実を食べ、満足すると辺りを見渡してみたが、広がるのは森だけだった。

とりあえず降りようと思い、幹の方まで戻り降り始める。

降りる方が登るよりも大変かと思ったが、スキルのおかげか登りより苦労せずに降りていける。

休憩地点で休もうかとも思ったが、それほどの疲れも感じていなかったために、そのまま降りていくことにした。


そして木から降りた俺はどうするか考え、先程の木登りでHPがどうなったのか確認することにした。


ステータス


HP 70/70

MP 50/50


装備(ジャージ上下)


今の木登りで20もHPが伸びた。

これが多いのか少ないのかはわからないが、とりあえず動くことでHPが伸びることがわかったので、これからも地道に上げていこうと考えていると、およそ人間が出せると思わない声が聞こえてきた。


〈グゥゥギャャァァァ!!!〉


スキル(考察)により、声のした方向を突き止め相手が比較的近くにいることがわかる。


離れてくれればいいが、(考察)を使い足音、風をつたってくる臭いから近づいてくることがわかる。


戦う手段はないが、ここで逃げたところでいつかは戦わなければならないならと覚悟を決めて、声の主が近づいてくるのを待ちながら俺は戦闘意欲を高めていった。


そして徐々に足音が近づいてきて、いよいよその声の主の姿が見えた。

小説やゲームの中でしか登場せず、俺より少し小柄な体型と緑の肌、切れ味はあまり無さそうな剣を持ち、こちらを見て口角を僅かにあげ、声をあげた。


〈グギャャャギャ!〉


見た目や、声、武器で足がすくみそうになるが、もう一度覚悟を決め、相手の動きの一挙手一投足を見逃さないように集中力を高めながら呟く。


「ゴブリンか」


この異世界と思われる場所に来て初めての戦闘だ。




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