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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第一章 ここ、異世界?
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19.試験と金カード

リョウ視点です。

俺は試験開始の声と共に剣を構え、下位4属性の他にそのままの魔力と無属性を流した魔法剣準備し、身体能力強化をほどこし、待機魔法の詠唱を始めた。

レイさんの動きがどれ程のものなのかわからないため、目に多く魔力を集めておく。


(おれ)は求める、光の奔流、シャイン!」


俺は全身から12のシャインの魔法を形成し、俺の魔力で包み込み、それを魔力の糸を使い自由に動かせる準備を整える。


今回カリバーンとの(意識共有)を使うつもりはない。

もしかしたら連携を見られているのかもしれないが、カリバーンの今のスペックは俺とほぼ変わらないはずなので、戦闘中に誤差を調整していけば十分動きを把握できるだろう。


それに、これは俺たちの入学試験だ。

これでお互いに協力するのは、カンニングのようなものだと俺は思う。

俺ならそんなやつは合格させない。

だからこそ、あえて連携をメインには考えない。


レイさんはとても楽しそうに俺たちに話しかけてきた。


「面白い魔法の使い方をするだね、しかも魔法剣も面白いね!」


「なら、これで合格にしてくれませんか?」


「それはだめだよー、面白いだけなら大道芸人でもやればいいんだからー!」


そんな俺たちのやり取りの中、カリバーンは、魔法剣に無属性を流して、魔法を唱えるのか、何かに集中していた。

そのため、先陣は俺が切ることにした。


以前よりも魔力量と身体が成長したためか、身体能力強化にまわせる魔力が増え、今では元の3倍相当の動きができるようになった。


俺は待機してあるシャインを全方向からぶつけにいく。

まさか俺が魔法の方向性を操るとは思っていなかったようだったが、そこは流石学園の教師と言うべきか、すぐさま闇魔法で防御に入る。


(レイ)は求める、闇の防壁、シャドウウォール!」


込めた魔力なのか、自分自身を指す詠唱によるものなのかわからないが、明らかに俺の光魔法では相殺出来ないであろう威力の壁だった。

だが、レイさんにも限界はあったようで、一部のシャインの前には壁が無く、持っていた剣で受け止めるつもりらしい。

なら、やることは1つしかない!


まず、ここまでは想定の範囲内だ。

この魔法が止められないような実力ならテストは合格で終わるはずだしな。


そうして俺はレイさんとの距離を一気に詰める。

だが、俺は訓練を受けた訳ではないため殺気を隠すことが出来なかった。

俺の接近に気付いて、驚きの表情を浮かべるレイさんだったが、シャドウウォールもあるためシャインを剣で受け止めていた。


俺は笑みを浮かべながら、シャドウウォールを切り裂き、レイさんに迫る。

まさかシャドウウォールを切り裂かれるとは思っていなかったようで俺の剣を避けられなかった。

だが、レイさんは咄嗟に右手をシャインの犠牲にして左手に持った剣で俺の剣を止めた。

だが、俺は両手で振っているうえに、俺の剣はカリバーンの意識が宿っていたような代物であり、レイさんの剣の質がどれ程かはわからないが、勝るとも劣りはしないと思うので、折られる事はないだろう。


このまま押しきる、そう思い、より剣に力を込めようとすると、レイさんの方からの激しい衝撃に吹っ飛ばされた。

予期せぬダメージに焦ったが、すぐに体勢を立て直し、レイさんの方を見ると、先程の技は自爆技だったのかレイさん自身もダメージを負っていた。

むしろ、俺よりもレイさんの方がダメージを負ってるみたいだ。


ここが攻め時だと思い、足を踏み出そうとした所で尋常じゃないエネルギーをカリバーンの方から感じた。

見ると、カリバーンは7属性全ての魔法をぶつけ合い、互いに高め合いながら相殺し合い、エネルギーを発生させている。


魔法同士をぶつければ当然エネルギーが発生するし、相殺する際も魔力を散らす為のエネルギーが発生する。

そもそも、魔法の相殺は違う魔力をぶつけ合い、互いの反発する力につられて魔力が拡散する事をいう。


だが、カリバーンは魔力を拡散させないように、この7属性の魔法を自分の魔力で包んでいる。

この場合、反発する力は発生していても魔力は拡散していかない。

しかも、それを圧縮する事で更に内部のエネルギー量を上げている。

そうして出来た7色の球体は、とても綺麗だが、内包されてるエネルギーは規格外だ。

あれを放てば、おそらく相当な範囲に被害が発生するだろう。

むしろ俺たちが生きていられるかわからない。

だが、今無理やり抑え込めばその反動は全てカリバーンへと返ってくる。

これだけのエネルギーが返ってきたら確実にカリバーンの身体は消しとんでしまうだろう。


そんな事をさせるわけにはいかないので、どうしようか考えていると、これ以上は限界だったのか、カリバーンが7色の球体をレイさんに放った。

それを見たレイさんはいつの間にか傷を治した状態でこちらを見て笑っていた。


「やっぱり二人とも面白いな、まさかそんな魔法を使ってくるとは思わなかったよ、さすがにその魔法は力を解放しないと無理かな。」


「安心しなよ、二人とも試験は合格だ、せっかくだから俺の全力を見せてあげるよ、リリース!」


レイが叫ぶと、レイから感じられるエネルギー量が爆発的に増える。

どうやら今までは手加減していたらしく、先程とは比べ物にもならないくらいの力だ。

それに伴って剣も先程の剣とは思えぬほど輝く銀色になっていた。

そして、剣を構えると輝く銀色の剣に力が集まってくる。


「剣技、オーラブレイク!」


レイさんが唱えると、剣集まった力が安定し、レイさんは7色の球体に斬りかかる。

そして、7色の球体をこちらに衝撃を与えることなく霧散させた。

俺は、レイさんの実力の高さに驚愕した。

まだまだ上には上がいる。

自分がいかに、井の中の蛙であったのかがわかり、改めて学園に来てよかったと思えた。


そして、試験を終えた俺たちだが、レイさんにお説教された。


「リョウ、カリバーン、今回試験官が俺だったから良かったものの、他の教員だったらお前らさっきの魔法で死んでたぞ?、まあ説教はこれぐらいにしとくが、俺が許可するまでさっきの魔法は使うなよ。」


「もしも、俺の許可なくさっきの魔法の練習をしようものなら、容赦なくお前らを殺すからな。」


「あれは、そのぐらい危険な物だって事を覚えておいてくれ、俺は今日お前らと戦って久しぶりに楽しかったんだ、頼むから俺に楽しみを奪わせないでくれ。」


レイさんの殺すと言った時の目は本気だった。

初めて本気の殺意を向けられて、俺は一瞬息も忘れるくらい身体が硬直した。

多分、あのまま殺気を当てられていたら、俺は死んでいたと思う。

改めてあの魔法の力の強大さがわかり、カリバーンが使えるなら、あの魔法は俺にも使える。

レイさんにあれを扱えると認めてもらうまでは、封印しようと決めた。


「そんなわけで、試験は合格だ、お疲れさん、これ持って受付に行けば入学に必要な手続きが受けられる。」


そういって受け取ったのは、金色のカードだった。

すごい高そうなカードにおっかなびっくりな俺を見てレイさんが笑いそうになっていた。


こうして、俺たちは無事に入学試験に合格することができた。

部屋をでるとリナが待っていてくれたようで、俺は自然と顔が綻んだ。

それを見たカリバーンがニヤニヤしていたが、とりあえずは放っておく。

そして、リナが結果を聞いてきた。


《二人とも試験の結果は?》


「無事合格できたよ!」


金色のカードを見せながら言うと、リナは首を傾げていた。


《おめでとう!、でもそのカード初めてみたよ?、みんな普通は魔法使う時に出る7色のどれかなはずなんだけど、試験官誰だった?》


「レイ=ライデンって人だったよ、滅茶苦茶強くて上には上がいるなって思ったよ。」


このカードは珍しいみたいだ。

何となく優越感があって嬉しいが、リナが知らないということは、もしクラス分けがこのカードでされるなら、リナと同じクラスではないということだ。

それにショックを受けていると、リナは驚いた様子で俺に試験内容を聞いてきた。


《え、レイ先生って世界に1人しかいない勇者って職業につけた人だよ!?、しかも、強すぎて試験にならないって有名で、レイ先生が試験官だったら諦めろとまで言われてるんだよ!?、どんな試験でどうやって合格したの?》


久しぶりにリナのこの詰め寄りをくらったなーとか考えながらリナの質問に答える。


「二人でかかってこいって言われて、普通に戦っただけだよ、結果的には手のひらの上で踊らされていた感じ、でもレイさんの全力の剣技は凄かったよ!」


あのオーラブレイクという剣技はすごかった。

俺にもいつか、撃てるようになるだろうか。

そう思っていると、リナは更に詰め寄ってくる。

いくら、カップルになって同じベッドで寝たからってリナがかわいいのに変わりはないし、相変わらず心臓が鼓動を刻みすぎて困る。


《レイ先生の全力見れたの!?、それってすごいことだよ!?、いいなー私もレイ先生に全力を出されるくらい強くならなきゃね!》


そういって笑顔を向けてくるリナの表情に前のような曇りは一切ない。

前を向いて歩けるようになってくれて俺は嬉しくなった。

思わず抱き締めてしまうくらいに、、、

そして、俺に抱き付かれて幸せそうな表情を見て俺も幸せな気分になる。


だが、ここは学園だ。

カリバーンに咳払いされて、俺はあわててリナを離す。

残念そうな顔しないで、リナさん!?

俺の理性がー!?

そんな事を考えていると、カリバーンから小言を言われた。


『あのな、お互いが好きなのはわかったから、少しは場所考えて行動しろよな、しかも見せつけやがって、俺様が独り身なの忘れてんじゃねーだろうな。』


「悪かったよカリバーン、リナがかわいすぎてつい。」


《ごめんねカリバーン、私もリョウに抱き締められるのが幸せ過ぎて。》


そうして見つめ合う俺とリナを青筋を浮かべながら見るカリバーン。

うん、からかうのはこれぐらいにして、受付に向かおう。


受付に着いて、金色のカードを見せると職員さんはこちらを見下すような視線を向けてきた。

カリバーンはその態度にイラついていたようだが、俺は別に気にならない。

ただ、この人の評価が人では無くなるだけだ。

リナは、何か言い出しそうだったので、俺が止めておいた。

ここでわざわざ俺たちの為に自分の立場を悪くする必要はない。

不満そうな顔をしていたリナだったが、俺の意思を汲み取ってくれたようで、とりあえずは退いてくれた。


受付のやつはそれをおもしろくなさそうな目でこちらを見ていたが、もう俺の中でこいつは人ではない。

だから、そんな目を向けられた所で何も感じない。


俺の態度が気にくわなかったようで、乱暴に手続きに必要な物をまとめて渡して、受付を閉めた。


リナに中身を確認してもらい、問題がなかったようかので、俺たちはリナに寮へと案内してもらう。

もちろん、男子寮と女子寮は別れているので案内といっても途中までだが。

寮へと向かう道中リナが先程の職員とのやり取りを不満に思ったらしく止めた理由を聞いてきた。


《何であんなに言われてリョウは黙ってたの?》


俺とカリバーンが不当な態度をとられて怒ってくれるリナを見て俺は嬉しくなった。


「あー、俺の中であの人はもう人じゃないからさ、気にもならなかった。」


サラッと言う俺を見てリナは恐る恐る聞いてきた。


《まさか、この後殺しに行ったりしないよね?》


リナの目には懇願と、強い意志が見えた。

おそらく、俺が盗賊達を怒りに流されて殺していたのを見ていたからだろう。

俺はリナにそれほど大切に想ってもらって幸せだなと思い、この幸せを守る為なら自分の手を汚す覚悟を決めた。


「リナやカリバーンみたいな俺の大切な人に手を出さない限りはそんなことしないから、安心して。」


俺の言葉に一応は納得したみたいだが、最後にリナは俺にお願いをしてきた。


《もし、そういう状態になった時は絶対に一人で何とかしようとせずに、周りを頼ってね?》


「わかった、その時がこないのが一番だけど、きちゃったらよろしく。」


俺の答えに今度は満足した様子で歩くリナ。

カリバーンも俺の答えに満足したようで、機嫌が良さそうだ。


俺たちはリナと別れると、生徒手帳を見ながら寮を訪れる。

俺とカリバーンは別の部屋のようで、俺が105、カリバーンが106だった。


俺はカリバーンと別れると、早速部屋をノックする。

この寮は相部屋で、個室に入るためには個室が空いている時にお金を払わなければならないようだ。

一応卒業の際にプラスで払う契約をすれば、今現在お金を持っていなくても入れるそうだ。

だが今は学園の人達と交流を深めたいのと、相部屋でいいと思っている。


ノックをして少しすると、中から獣人族の男の人が出てきた。

身長は俺より高く、おそらく190くらいだろう。

がっしりした肉体に、ライオンのような顔には気高さが見え、そのキリッとした目が俺を見極めようとしていた。

俺は挨拶と自己紹介を始める。


「初めまして、今日からこの部屋でお世話になるリョウ=テンジンと言います、田舎から出てきたので礼儀などで、不快な思いをさせてしまうかもしれませんが、その都度直していきますので、どうかこれからよろしくお願いします。」


俺が挨拶の後に頭を下げると、獣人族の男の人は驚いた様子で俺に自己紹介してくれた。


「俺はレオン=ガルハートだ、一応室長のような立場をやっている、リョウ一つ質問なんだが、俺を見て何とも思わないのか?」


質問の意図がわからかったが、俺は思うままに答える。


「えっと、強くてカッコいい獣人族の男の人だなと思います。」


俺の返答に大声で笑うレオンさん。


「ガッハッハ、そうか、強くてカッコいいか!、まさか人族の新人からそんな事を言われるとは思わなかった!、こちらは大歓迎だ!、礼儀もむしろ丁寧過ぎるくらいだ!、リョウこれからよろしく頼むぞ!」


そういってバンバン俺の事を叩いてくるレオンさん、だが獣人族と人族では身体のスペックが違うため、俺はかなりの衝撃を受けていた。

身体能力強化をほどこしたままで良かったと改めて思った瞬間だった。


「レオンさん、ありがとうございます!、中へ入ってもいいですか?」


「おっとすまんな、立ち話もなんだ、中へ入って他のメンバーとも顔合わせをしよう!、それと俺に対して丁寧口調はしなくていい、名前も呼び捨てでいいぞ、これからは仲間なんだからな!」


「わかった、紹介よろしくなレオン!」


そうして、上機嫌で部屋に入るレオン、俺も続いて中へ入ると、部屋はあのお城のような学園の中だけあってかなり広かった。

そして部屋には魔人族とドワーフ族の男の人達がいた。

魔人族の方は、身長は俺と同じくらいで、頭に2本の角が生えていて色が白いため、紫の肌もありすごく目立つ。

2本の角は、綺麗さと力強さを併せ持っているようで自然と目が惹かれる。


ドワーフの方は、茶色の肌に小柄な身体、しかし、たくましい腕と強面の顔に貫禄を感じる。

存在感があると言えばいいのか、力強く男らしさを感じる。


二人とも俺を見定めるような視線を向けてくる。

レオンがいなければ、更に警戒され敵意すら持たれていたかもしれないくらいに、強い目だった。

そんな二人を見てレオンが呆れながら俺に自己紹介の場を用意してくれる。


「ほらお前らはそうやって威圧するな、すまんな、こいつらは他人と話すのが苦手でな、悪いがこのまま自己紹介してくれ。」


俺は頷いて、二人の方を見ながら自己紹介する。


「これからルームメイトとしてお世話になるリョウ=テンジンと言います、他の種族の方々と会う機会がなかったので、会えて嬉しいです、これからよろしくお願いします!」


俺が頭を下げると、やはり二人とも驚いていた。

レオンもそうだったが、そんなに驚く事なのか?

そうして、二人とも先程よりも柔らかな表情を俺に向けて、まず魔人族の人から挨拶された。


「俺はデール=アクトゥム、デールでいいぜ!、人族だから警戒してたが、良い奴みたいで安心したぜ、魔人族に聞きたい事があれば好きなだけ聞いてきな、色々教えてやるから!」


デールは意外と気さくな話やすそうな人だった。

何となく見た目とはギャップがあって、やっぱり他の種族の人達も俺たちと同じ人間なんだなと改めて思った。

続いてドワーフの人の自己紹介だ。


「おいらは、ビット=ワイマーだ、リョウはいいやつだな、おいらは鍛冶が得意だから武器や防具で困ったらおいらに相談すればいい、これからよろしくだ!」


俺のイメージのドワーフってもっと寡黙なイメージだったんだけど、意外にフランクでやっぱり優しい。

3人とも良いルームメイトで安心した。

俺は入学試験が終わった後にもらった手続き書類を仕上げたり、生徒手帳読んだりしてわからない所を聞こうと思った。


「レオン、今日入学試験だったから書類とか書いていいかな?」


「ああ、俺たちの事は気にするな、基本的には皆それぞれ好きなことをして過ごしてるからな、何かわからない所があれば聞いてくればいい!」


そういって笑いだしたレオンの横で俺は書類を書いていく。

書類を書き終わって、俺は生徒手帳を読み進めていく。

大体はキエラさんに聞いた通りだったので、読み進めていく。

書いてある内容はほとんどが俺の世界の校則みたいなもので内容も変わらなかった。

その他は、行事の予定や建物の見取り図だった。

行事が近づくと学校から告知があるらしいのでとりあえずは後回しにする。

見取り図を見ると改めてその広さがわかるが、俺の(並列思考)は優秀なので、これから迷うことはないだろう。

生徒手帳を読み終えて俺はレオン達に質問した。


「なあ皆、クラスってどうやってわかるの?」


すると、代表でレオンが答えてくれた。


「普通は受付で聞かされるはずなんだが、リョウ試験が終わった後に色付きのカードをもらっただろ?、それがクラスの色だ、ちなみに俺が赤で、デールが紫、ビットが黄だ、リョウは何色だ?」


俺は生み出した精霊で分けてるのかと思い、レオンに聞いてみたが、そういうわけではなく、普通に赤のクラスに魔人族がいたり、ドワーフがいたりするようで、何が基準なのかわからなかった。


「俺は金色なんだけど、どんなクラス?」


あの受付の反応から見ると、何かあるクラスの気がしてならない。

けど、リナは知らなかったしよくわからない。

だが、俺の色を聞いた瞬間彼らに同情の目を向けられた。

そしてレオンが理由を教えてくれた。


「リョウ、残念だが金は落ちこぼれのクラスだ、どの色のクラスからも馬鹿にされる、さっき生徒手帳読んだならわかると思うが、年に1度各国の学園が集まって優劣を競う武術大会の校内予選万年ビリのクラスだ。」


「あいつらには強くなる意志がなくて困ってると先生達は言っていた、リョウはそんなやつらに影響されるなよ。」


それを聞いた俺は素朴な疑問持った。


「なあレオン、金クラスの知り合いはいるか?」


「いない、やる気のない連中とつるみたくないからな。」


俺はそれを聞いて、少しレオンに呆れそうになったが、まだそれを判断するには少し早い。

デールとビットにも聞いてみる。


「金クラスの事で知っている内容はデールとビットもレオンと同じか?、それに知り合いもいないか?」


「俺がダチから聞いた話じゃ、色々問題起こすから大変らしいぜ、そんな奴とダチになろうと思えるかよ。」


「おいらも先生達がよく金クラスのようにはなるなよと言っていたから知り合いはいないぞ。」


俺は頭を抱えたくなった。

何でこいつらはこの異常に気付かない。

いや、まだデールの友達の情報源がわかってない、それを聞いてから判断しよう。


「デール、お前のダチは誰からその問題起こして大変って情報を得たか知ってるか?」


「何かそういう噂を聞いたらしいぜ。」


「じゃあお前らは何か目立った問題が起きた時注意されたりとかしなかったか?」


「ちょっと前に白クラスのバカがカンニング見つかって強制労働になったって通達が来て、授業の時も注意されたな。」


まだクラスのメンバーを見ていないからわからないが、あの職員の対応といい、こいつらの反応といい、胡散臭くて仕方ないな。

とりあえずこいつらには、自分のやっていることを教えておくか。


「なあレオン、何で俺が頭を下げた時に驚いたんだ?」


「それはリョウが人族で初対面なのに見下してくることもなく、対等に扱っていたからだ。」


「じゃあ何で獣人族は人族に見下されてるんだ?」


「あいつらが言うには俺らは会話もせずにすぐ暴力に訴える野蛮人なんだとよ!、ろくに会話もしてこないで周りに流されて見下してくるやつと会話なんかできるかよ!」


「そうか、そりゃ怒るよな、そんでレオン、お前が金クラスのやつらに思ってることと、人族が見下してろくに会話もしないこととどう違うんだ?」


そうするとレオンは反論しようとして、返す言葉がないのか黙る。


「会話もできない野蛮人と決めつけて見下す人族、先生の話を鵜呑みにして実際に話したこともない金クラスをやる気のない奴等や、ダチになりたくないと決めつけ関係を作らないレオンやデールやビット、俺には違いがわからない。」


「確かにレオンの言うように、真剣に強くなろうとしない金クラスの奴等もいるかもしれない、デールの言うように問題を起こしたやつもいるかもしれない、ビットの言うように見習っちゃいけないやつもいるかもしれない。」


「だけど、俺は真剣に強くなろうとしてたのに、実力が伸びなかった人を知ってる、その人はきっかけ1つでみるみるうちに強くなった。」


「今日会った職員は俺のカードが金だとわかるとこちらを見下してきて、説明などをまったくしなかった。」


「俺はこの対応を見たあとでは、さっきのレオン達の言う先生達の言葉っていうのは信用できない。」


「少なくても俺は自分の目で見て会話して、その人の反応でその人への印象と評価を決める。」


「新参者の俺がでしゃばって悪かった、ただ俺はレオンとデールとビットを良い奴等だと思ってるし、これからもっと仲良くなりたいって思う。」


「だからこそ、俺はこれから俺の友達になるかもしれない人達を悪く言ってほしくなかった。」


俺の話が終わると、3人は先程の楽しかった雰囲気を全て消して、俺の荷物を全て投げつけて俺に文句をぶつけてくる。


「この学園に来たばかりのお前にそんなことを言う資格はない、一瞬でも人族を信用した俺が馬鹿だったようだ、出ていけ、お前にこの部屋にいる資格はない」


「やっぱお前も人族だな、低脳で自分が常に正しくて、間違った奴を除け者にする屑だ。」


「やっぱり、おいら人族は信用できない、早くでてけ。」


そうして俺は寮を追い出された。

せっかく友達ができたと思った所だったので、少し寂しかったが、どちらにせよ俺の思いを聞いてあの反応なら、どこかで決別しただろう。


この後どうしようか考えていると、隣の部屋からカリバーンが出てきた。

相当不機嫌だったようだが、俺を見つけると仲間でも見つけたかのような顔をして近づいてきた。


『よう、さっきぶりだなリョウ、お前も追い出されたのか?』


カリバーンの質問から多分俺と同じような状況になったのだろう。

俺は説明も面倒だったので(意識共有)のサインを送る。

これはいわば電波みたいな物で受けとると感覚でわかり、応じるかを決定できる。

カリバーンも説明が面倒だったのかサインに了承した。


一気に増える情報量だが、(並列思考)がある俺たちには関係はない。

お互いの記憶を読み取ると、苦笑し合う。


カリバーンの方は最初は仲良くやっていたが、カリバーンが金クラスだとわかると見下してきたようだ。

一応、今日の俺の対処を真似したらしく、人として見ずに情報源として見ることにしたようだ。

その結果、俺の方と似たような決断をくだし、そんなやつらに嫌気がさしたカリバーンは、自ら部屋を出てきたそうだ。


結局どちらも似たようなものだったため、苦笑してしまったのだ。

とりあえず、ここでボーッとしてても仕方がない。

寮に居られなくなった以上、借金が増えることになるが、個室に入るしかないだろう。

行きたくはないが、もう一度受付に行かなければならない。


今は(意識共有)しているので、俺の考えに了承したカリバーンと共に受付に戻る。

借りる部屋は一部屋にする予定だ。

個室というくらいだから、さっきの相部屋よりも狭いことはないだろう。

ついでに布団かベッドでももらえれば最高だ。


受付へ着くと、先程とは違う職員さんだったので一安心だった。

提出書類を全てだし、個室に入りたいと交渉すると、丁度一部屋空いているらしく、卒業時に払う金額を増やすことで個室に入れるようになった。


鍵を受け取り個室に着いたので、開けてみるとやはり広い部屋だった。

むしろ相部屋よりも広い。

ベッドもゲートの魔法がかかっているクローゼットのような物の中に入っていたので、無事に寝床の確保ができた。


明日は初日ということで、リナに学園を案内してもらう予定だ。

なので、夜更かしせずに寝ることにした。

カリバーンも了承したので、俺が左のベッド、カリバーンが右のベッドで寝ることにした。

そして(意識共有)を切った。


最後に今日と盗賊達との戦闘でステータスがどうなったか確認した。


ステータス


天神 凌 (てんじん りょう)


HP2500/2500

MP2000/2000


装備 (ジャージ上下)


スキル (並列思考) (浄化) (登り降り) (剣技) (拳技) (精神耐性) (異世界言語理解) (魔力操作) (魔法) (意識共有)


寝る前のため、装備は外している。

だが、そんなことより、HPとMPの伸びが異常だ。

戦闘中疲れが減っていた理由はこれだったようだ。

身体能力強化や、魔法剣などで魔力も扱うためMPも上がってるようだ。

この結果に満足し、俺は横になり目を閉じた。


ここに来るまで色々とあったが、遂に入学試験も突破して、学園へ入学した俺とカリバーン。

初日は散々だったが、俺たちの学園生活は始まったばかりだ。

これからの学園生活に希望を持って眠りについた。


だが俺はまだ知らなかった。

ここでの学園生活が俺の旅の始まりになることを。









次回更新は4月29日で2話更新します。


これからゴールデンウィークに入るので出来る限り2話更新でいきたいと思います!


そして、遂に1章が終わり次回から2章エジマリフ魔導学園編となります!


これからも「憧れの異世界で」を応援よろしくお願いします!!


引き続き、評価、レビュー、感想、ブックマークお待ちしておりまーす(o^∀^o)

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