表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第一章 ここ、異世界?
16/141

16.模擬戦とカリバーン

リナ視点とリョウ視点です。

ここまで来るのに早かったな。


私は、2日前にリョウとカップルになった。

そして、この訓練所で私の悩みをカップルになったその日の内に解消してくれた。

私は以前から自分の成長を感じられなくなっていた。

100歳とはいえ、私はエルフの中でもまだまだ子供で、人族で見るならおそらくリョウと大して変わらない位だ。


そんなまだまだ成長期の時に、成長を感じられなくて、絶望感まで持っていた。

私の学園での成績は、勉強の方は頑張っていたけど、実技の方はまったく駄目だった。

そんな時にリョウに会って、嫉妬と恋心に気づいて全てをリョウが受け止めてくれたおかげで今の私になった。


私が一番リョウに驚いたのは確かに、成長スピードだったけど、魔力の使い方に感銘と嫉妬を持った。

そんなリョウは魔力の操作に関して、自分の感覚を私にわかりやすく丁寧に教えてくれた。

せっかくリョウが自分の努力で手に入れた技術なのに、悩んでた私を助けるために喜んで差し出してくれた。

この世界で教わってきた知識とは似てるのに全然違って最初は戸惑ったけど、試してみたら私がつまずいていたのが嘘のように成長することができた。


そうして私は、また成長するために頑張る楽しみを感じられるようになって、毎日が楽しい。

今ではつまずいていた期間も無駄ではなかったと思えるようにまでなった。

いつの間にかリョウに対する嫉妬は無くなっている。


リョウは私を救ってくれた。

そんなリョウの側にいると決めた私に出来ることは、私の知識や経験を教えて、リョウの進みたい道に真っ直ぐ進めるように支えて行くことだと思う。


その初めの手段として選んだのが模擬戦だった。

ほんとは、勉強とかも教えたかったんだけど、想像以上のスピードで学園に入るために必要な知識を覚えていってしまうので、手伝える事がこれしか無くなってしまった。


こんな事をしなくても、リョウは近い内に学園に入る為に必要な能力は全て身に付けてしまうだろう。

だけど、それをただ見ているだけなのは我慢できない。

リョウは私を絶望から救ってくれた、まさに恩人のようなもので、何よりも私の大切で大好きな人だ。

そんな人の力になりたいって思うのは自然な事だと思う。


そんなに学園の総合成績の良くない私だけど、模擬戦をやれば、学園のぼんやりとしたイメージを掴む事も出来ると思う。

逆に私にも勝てないようなら、学園に行くのは早すぎる。

行ったとしても、リョウは無駄な時間を過ごしてしまうだろう。

だからこそ、私が自分自身を使ってはからなきゃいけない。

リョウが学園で通じるか通じないか。


私は、覚悟を決めて向かい合う。

リョウの力になるために。


∨∨∨


「試合のルールはどうするんだ?」


《気絶したり、致命傷になりうる攻撃を受ける、もしくは受けただろうとお互いに判断したら試合終了ね!》


俺の質問にリナが答える。

これ審判いなくて大丈夫なのか?と不安に思っていると、キエラさんがやってきた。

どうやら審判をやってくれるようだ。

これで、安心して戦闘に集中できる。

いくら、模擬戦とはいえ真剣勝負に変わりはない。

俺も集中力を高めて、戦闘に向けて没頭していく。

リナも同じく覚悟を決めて準備万端だ。


そうして、キエラさんから合図が送られる。


「模擬戦開始!!」


リナは弓を構え、俺は身体能力強化のあと剣に魔力を流す。

そして、詠唱を始める。


(おれ)は求める、光の奔流、シャイン!」


いきなりの光魔法に驚いていたリナだったが、無属性魔法で相殺しようとしてるのがわかる。

だけど、俺のシャインはいわば囮だ。

これを待機魔法にすれば、リナは俺のシャインを警戒し続けないといけないし、弓での牽制も必要になるだろう。

それだけでも、選択肢を増やしてミスを誘える。


シャインが発動せず、俺の周りにただよってる事に驚愕の表情を見せる。

だが、俺の待機魔法はもう一つ作れる。


(おれ)は求める、燃えさかる炎、ファイア!」


光と火の2つの魔法が俺の周りを漂う。

これで、俺の準備は整った。

リナもようやく理解が追いついてきたのか、無属性を込めた矢を放ってくる。

だが、身体能力強化をした俺は動体視力も上がってる。

それに、無属性魔法は属性魔法に強いだけだ。

それを証明するように、俺は魔法剣で矢を切り落とす。


リナの顔に焦りが生まれている。

動揺してる今がチャンスだと思い、今までの倍程にもなった身体能力で、リナへと突っ込む。

だが、いくら上がったとはいえ、まだ元の身体能力は高くないため俺のスピードは、リナより少し遅い程度だ。

俺が予想より速くなっていた事に驚きはあるもののしっかりと合わせて牽制を入れてくる。


そして、牽制で動きの鈍くなった所にリナは風の魔法をぶつけてくる。


(わたし)は求める、吹き荒れる風、ラ.ウインド!》


俺のウインドとは比べられない威力を持った魔法だ。

初めて見たが、おそらく中級魔法だろう。

シャインをぶつけようか迷ったが、相性もある。

俺はファイアをぶつけることにした。

俺のファイアとリナのラ.ウインドがぶつかり相殺された。


やはり一階級上くらいなら抑えられるみたいだ。

リナもある程度予想はしていたようで、すぐに俺に向けて矢を放ってくる。

今度は魔力を纏った矢で、剣で落とそうとするとつばぜり合いのようになり、何とか撃ち落とせた。

だが、隙が出来たのも確かで無防備な俺に風を纏わせた矢を放ってくる。

さすがに避けられないと思い、待機していたシャインを矢を巻き込みながらリナに向けて放った。


次の矢を放とうとしていたリナは回避が遅れる。

何とか直撃を避けたリナだったが、体制を崩してしまった。

だが、シャインは3秒ほど魔法が続き、レーザーのような物のため方向を変える事もできる魔法だ。

体制を崩したリナにシャインの魔法は避けられない。

案の定、魔力を魔法の当たる所にだけ流し威力を抑えているようだ。


その隙に俺は一気に距離を詰める。

既にシャインは俺の制御下から外している。

そして、両手に魔法の詠唱を始める。

おそらく魔力的にこれがギリギリだろうから、これが決まらなければ俺の敗けだ。


(おれ)は求める、燃えさかる炎、ファイア!」


両方とも3倍に強化したファイアをリナへと放つ。

俺の詠唱が終わった所で、ちょうどシャインが消えたが、既にファイアは発動しているし、限界まで強化したファイアは、範囲も上がっているため、リナに避けることは出来ない。

そうして、直撃を受けて炎に呑み込まれたリナだが、これでは終わらない可能性もあるので、俺は距離を詰める。

そして、倒れたリナの首筋に剣をたてる。


「そこまで!」


キエラさんから制止の声がかかり、試合が終わった。

身体能力強化状態で戦闘していたし、元々魔力が減った状態で戦っていたので、身体が想像以上以上に疲れている。

身体能力強化にまわしていた魔力を元に戻し、何とか意識を失わずに済んだ。


俺の魔法の直撃を受けたリナだったが、身体へのダメージは10分の1になる訓練所の効果で、それほどダメージは残らなかったみたいだ。

あの時は何も考えてなかったのだが、これでリナの装備が焼けてしまったりしたら、大問題だったのだが、それも訓練所が防いでくれたようだ。

嬉しいのか、残念なのか、俺は複雑な気分になった。


リナは立ち上がると俺に称賛の声を掛けてくれる。


《リョウ強くなったね、もっと戦えると思ってたのに、全、、、然、、、かな、、わ、な、、、かったよ。》


悔しい気持ちを押し殺しながら、俺を褒めてくれるリナだが、俺はリナにそんな顔をさせるために模擬戦をした訳じゃない。

俺はお互いの成長のために、模擬戦をやったつもりだ。

勝者の俺が何を言っても逆効果かもしれないが、俺はリナの彼氏だ。


俺はそっとリナを抱き締めて優しく語りかける。


「無理して感情を押し殺さなくてもいい、俺は全部受け止めてやる、だから俺の前では我慢するな。」


そうするとリナは、俺の腕の中で泣き出す。

俺はそんなリナの頭を撫でる。

金色の髪の毛は、驚くほど細くサラサラしていて、撫でている俺も心地よくなってくる。


《悔しいよ!、もしかしたら勝てないかもしれないと思ったけど、手も足も出ないなんて!》


俺はそんなリナを撫で続ける事しか出来なかった。

俺が勝者であるため、これ以上何かしてあげることはできない。

少しでも早く立ち直れるように、また上を目指せるように、支えてあげることが俺の役目だ。

だから、今はこうして思いを全てぶちまけさせて、それと一緒に弱い心を吐き出させる。

これでリナも、また前を向いて歩けるだろう。


しばらく抱き合っていると、リナもようやく満足したようで、俺にとびきりの笑顔を向けてきた。


《リョウ、ホントにありがとう!、これでまた明日からも頑張れる!》


そういって、喜ぶリナは改めて俺の大好きで大切な人だと認識させるくらい魅力的だった。

俺も自然と笑顔になり、リナと向かい合っていると、キエラさんから声がかかる。


「仲が良いのはいいことですが、そろそろ夕飯の時間ですので、今日は道具屋(エール)でできあいの物を買っていきましょう。」


俺たちは、キエラさんが居たことをお互い完全に忘れていた。

途端に恥ずかしくなって、二人ともうつむいてしまう。

そんな俺たちを見てニコニコしながら、道具屋(エール)に歩き出すキエラさん。

俺たちも気持ちを切り替えて、道具屋(エール)に向かい、それぞれ欲しいものを買って家に戻る。


それを食べ終えると、キエラさんが改めてさっきの戦いに感想をくれた。


「リナもリョウくんも、随分とたくましく成長したね、特にリョウくんはこの世界に来て間もないのに素晴らしいです、あれだけ出来るなら学園には問題なく入れるでしょう。」


キエラさんのお墨付きまでもらえて、俺の中で自信がついた。

リナも褒められて嬉しそうにしている。

すると、キエラさんは俺に学園都市オーノスまでの行き方を教えてくれた。


「オーノスまでは、こちらへ来ている行商人の護衛として2日で行くか、徒歩で5日かけて行くかのどちらかとなりますが、どちらになさいますか?」


俺は迷った。

身体能力を鍛えながら行くのであれば、徒歩でもいいが、学園に向かうのは俺だけではなく、リナもいる。

俺が徒歩で行こうとすれば、おそらくリナも着いてくるだろう。

俺の無計画なプランにリナを巻き込むわけにはいかない。

俺は考えをまとめて決断した。


「俺は商人の護衛として行きます。」


俺の決断に、満足そうなキエラさんが、俺に知り合いの商人が来ている事を教えてくれて明日紹介してくれるそうだ。

その商人さんの事は、リナも知っているらしく、学園都市オーノスで店を開いているそうだ。

そして、その商人さんは明日オーノスに帰るそうで、護衛を探してキエラさんに相談にきたようだ。


俺は気付かなかったが、キエラさんは俺の訓練所での試行錯誤を見ていたそうで、護衛に関しては宛があると言って別れたそうだ。

そうして、俺の意思も確認出来たので明日顔合わせしてそのままオーノスへ向かうことになるようだ。

もし、俺が断った場合はリナだけを護衛にするつもりだったようで、俺は断らなくて良かったと改めて安堵した。


明日出発ということで、準備を整えるということで、リナが先に自室に戻っていった。

俺とキエラさんの二人になると、キエラさんは俺に感謝と勉強道具と鞘に納まった剣をくれた。


「リョウくん、リナの事改めてお礼を言わせてもらうよ、リナは成長に時間がかかる子で、何とかできないかと思い、学園に入れたのだけど、学園に入ってからも戦闘方面の成長は停滞していた。」


「リナもその期間が続いて絶望を持っていたみたいだったんだが、私はただ褒めてあげたりしてリナの負担を減らしてあげることしかできなかった。」


「そんな時にリョウくんがやってきた、あんなに楽しそうなリナは初めて見たし、落ち込んでしまった時も、そして今回の模擬戦の敗戦で心が折れかけていた時も、私は何も出来なかったがリョウくんは、リナを救ってくれた。」


「そのおかげもあってか、あんなに伸び悩んでいたリナが、たった数日で見違える程に成長した、それの感謝とお礼も含めてこれを受け取ってほしい。」


「この剣は、私が昔商人から譲ってもらった物で、持ち主を選び、その人と共に成長する剣だったみたいなんだが、私には剣を抜くことが出来なかった。」


「けれど、リョウくん君なら抜けるんじゃないかと思っている、やってみてくれないか?」


俺は剣を受け取り、剣を抜こうとしてみた。

すると、心の中に声が聞こえてくる。


『俺を呼んだのはお前か?』


どうやって答えればいいんだろうと思ったが、とりあえず意識を集中して心の中で話しかけてみる。


「俺の名前は天神(てんじん) (りょう)、呼んだかはわからないけど、剣を抜こうとしたのは俺だ。」


俺が答えると剣の中の意識が俺を見定めるように質問してきた。


『じゃあ、俺を呼んだのはお前だな、ならお前は俺に何を対価として渡す?』


俺はどう答えたらいいかわからなかった。

だから、思ったままを言葉にした。


「君は何がほしい?、俺の大切な人を守るための力が失われる事以外なら何でも良いよ!」


剣の意識が突然笑い始めた。


『ハハハハ、おもしろいやつだ、俺にビビりもせず、即断で俺に要求を通しつつ歩み寄るか!』


『いいだろう、お前に興味が湧いた!、お前との意識の共有を対価に力を貸してやるよ!、ただしお前がつまらないと思ったら俺がお前を乗っ取るからな!』


サラリととんでもない事を言い出す剣の意識さん、ただ何となく悪い人じゃない気がするんだよな。

そう思い俺は新たなパートナーとして彼を迎えることにした。


「その対価で契約しよう!、因みに名前はなんていうの?」


『そうこなくっちゃな!、俺の名前はカリバーンだ、リョウこれからよろしくな!』


「こちらこそよろしくなカリバーン!」


そうして会話を終えると、剣は何の抵抗もなく抜くことができた。

刀身は光輝く金色に青い線が入ったとてもキレイな剣だった。

だが、キレイなだけじゃなく不思議な力強さと威圧感がある。

ただ、どちらも不快な物ではなく、この剣の存在感を強調させるとても頼もしい物だった。

それと同時に頭に無機質な声が聞こえてくる。


【スキル(意識共有)を手に入れました。】


これはさっきの契約によるものだろう。

無事に契約できた喜びを感じていると、キエラさんは、俺が剣を抜いたのを見てとても喜んでくれた。


「さすがリョウくん、期待にしっかり答えてくれますね!」


キエラさん興奮を抑えきれないようで、子供のようなはしゃぎようだった。

それを聞いたリナも、何事だろうと疑問に思ったらしく、部屋から出てきた。

そして、俺の手にある金色の剣を見て、驚きながらもあまりに綺麗だったため、見惚れていた。

我に返ったリナは事情の説明を求めてきた。


《私が部屋で準備している間に何があったの!?》


俺は、キエラさんにお礼として剣をもらった事を伝えた。

カリバーンの事も話そうと思ったが、どうやって説明しようか悩んだ。

俺はカリバーンに質問してみることにした。

ただ、リナにも話している途中である。

どうしようかと考えていると、頭に無機質な声が聞こえてくる。


【スキル(同時進行)を手に入れました、スキル(考察)と(同時進行)を統合し、スキル(並列思考)を手に入れました。】


すると、不思議な事なのだが、リナと会話を続けたまま、簡単にカリバーンとの会話を考える事が出来るようになった。

2つの全然別の考えをそれぞれ同時に考察できる。

スキルに感謝しつつ、カリバーンに声をかける。


「おーいカリバーン、カリバーンの声が聞こえるのは俺だけか?」


「カリバーンが俺の魔力を身体にして外に出ることは出来るか?」


カリバーンはおもしろい事を聞いたというような喜んだ声で俺の質問に答えた。


『この状態では俺の声が聞こえてるのはリョウだけだ、リョウの魔力で俺の肉体が作れるかはやってみないとわからねえが、試してみる価値はあると思うぜ?』


「もし、カリバーンが外に出たら剣はどうなる?」


『リョウの意識が俺と繋がっているように、剣と俺も繋がってるから、俺が外に出たからといって剣に影響はないぜ!』


俺はそれを聞いて安心した。

そして、とりあえず試してみようと思い、剣に今回せる魔力をありったけ流す。

突然魔力を流し始めた俺に、不思議そうな目を向けるリナとキエラさん。

それを見ながら俺は苦笑しつつ、魔力を流す。

鉄剣の時は流せる量に限界があったので、あまり魔力を流せなかったが、剣カリバーンには今の俺の全力の魔力など限界には程遠いようだった。


そうして魔力を流し終えると、俺の制御下から切り離されたのを感じた。

一気に魔力が減って、精神的疲れが襲ってきて、意識が飛びそうになるが、何とか耐えると、剣カリバーンに流れた魔力が剣から離れ、様々な色に変わりながら身体を形作っていく。

突然の出来事に、リナとキエラさんは固まったままだが、そんな二人の事などお構い無しといった感じで人の形に安定する。


そして、意識だけの状態から現実の肉体を手に入れたカリバーンの身体は魔力とは思えない物だった。

サラサラで艶のある青い髪の毛が短めに整えられていて、目はキリッとした碧眼に、高い鼻、程よい大きさの口、それらが全て完璧なバランスで配置されていて、身体は筋骨隆々で身長も俺と同じくらい高い。


うん、よーするに完璧イケメンの人族。

おい!?、何で俺よりも遥かにスペックたけーんだよ!?

これ元は俺の魔力だよね!?

何で俺よりも魔力の方が容姿で優れてんだよ!?

もう泣きたくなってきた。


突然のイケメンの登場にリナとキエラさんは口をパクパクさせて固まってる。

うん、リナがかわいいから少し落ち着いてきた。

すると、カリバーンが自己紹介を始めた。


『俺はリョウが持ってる剣のカリバーンだ、リョウから魔力をもらって肉体を持つことができた、これからよろしく頼む!』


自己紹介を受けてもポカンとしているリナとキエラさん。

だが、ようやく理解が追いついたらしく驚きながらも自己紹介を始めた。


「私はキエラ=エルフィンです、リョウくんに渡る前の剣の所有者です、抜くことはできませんでしたけどね、こちらこそよろしくお願いします。」


《私はリナ=エルフィンで、リョウの彼女です、リョウの側にこれからもいるつもりだから、長い付き合いになりそうだね、こちらこそよろしくねカリバーン!》


リナの自己紹介に、恥ずかしさと嬉しさを感じた俺は幸せな気持ちになりながらカリバーンに話しかける。


「上手くいってよかったよ、俺より遥かにスペック高いのはムカつくけど、肉体を持った感想はどう?」


『最高の気分だぜ!!、細けぇ事は気にすんなよ!、リナの嬢ちゃんに愛想尽かされちまうぞ!』


笑いながらそんな事を言うカリバーンに、俺は不安になり、リナの方を見る。

すると、リナは俺と目が合うとクスクス笑いながら俺に笑顔を向けてくる。


《リョウ、私が側にいるって決めたのはリョウだけだから心配しなくていいよ!》


俺はその言葉に感動して、思わずリナに抱きついてしまった。

リナも嬉しそうに抱きついてきて、俺の頭を撫でてくれた。

好きな人の撫でってこんなに心地良いんだなと思っていると、カリバーンから冷やかされた。


『おいおい、俺らがいること忘れてんじゃねーだろうな、ったく熱々なことで!』


そして、またしても二人して照れて俯く事になった。

とりあえず落ち着いてきたので、明日オーノスに向けて出発なのを思いだし、リナとキエラさんに挨拶して、カリバーンを連れて自室に戻った。


自室に戻ったところで、カリバーンをどこで寝かせようか考えた。


「なあカリバーン、お前剣に戻れたりとか自由にできるの?」


『いや、どうやらリョウの魔力から作ったこの身体に生命(いのち)という感じで俺の意識が入ったらしい、だからこの身体を捨てるというのは、俺という存在を消すって事になる。』


「じゃあ、カリバーンのステータスとかはどうなってんの?」


カリバーンが完全に生命として存在できるようになったことに驚いたが、これで本物のパートナーになれた気がして嬉しかった。


『こんな感じだ。』


そういって、カリバーンはステータスを見せてくれた。


ステータス


カリバーン


HP640/640

MP480/480


装備 (魔力衣装)


スキル (並列思考) (浄化) (登り降り) (意識共有) (剣技) (拳技) (精神耐性) (魔力操作) (魔法) (異世界言語理解)


スキル(並列思考):同時にいくつもの考察を行う事ができ、思考の高速化、情報を扱いやすくなる。

スキル(念話):目が届く範囲の相手と心の中で会話することができる。

スキル(意識共有):このスキルを持つ契約者の経験、思考、視界を共有できるが、お互いの了承が必要。


今思えば、魔力衣装をカリバーンが作ってなかったら全裸だったんだよな。

俺のいたらなさをカリバーンがフォローしてくれたみたいで嬉しかった。

スキルに関しては俺の魔力から作られたことと、先程の契約のおかげで、俺の全てのスキルを持っていた。

HPとMPに関しては俺の魔力を8割渡したため、その数値がそのまま反映されたのだろう。


ということは、俺のHPとMPも模擬戦でものすごく伸びたようだ。

ついでに確認してみる。


ステータス


天神 凌 (てんじん りょう)


HP800/800

MP120/600


装備 (ジャージ上下) (靴) (カリバーン)


スキル (並列思考) (浄化) (登り降り) (剣技) (拳技) (精神耐性) (異世界言語理解) (魔力操作) (魔法) (意識共有)


やはり、かなりHPやMPが伸びていた。

戦闘するとやはり伸び幅がかなり大きい。

カリバーンもいることだし、訓練所のような場所があれば、積極的に模擬戦をしよう。

審判がいなくても(意識共有)があれば引き際はわかるだろう。


とりあえず、カリバーンは戦力として優秀すぎる。

しかも、お互いの経験を共有できるから単純に倍の速度で成長できる。

思考を共有できるのは大きい。

(並列思考)のおかげで、戦闘中でも作戦を立てながら戦えるし、思考を共有することで、作戦を議論することもできる。

まあ、(並列思考)を持ってないと出来ないけどな。



とりあえず、カリバーンの現状も理解できた事だし、寝る場所はジャンケンで決めよう。

そして、これにはカリバーンも納得したようで、ジャンケンをした結果。

負けたのは俺だった。

泣く泣く床で寝ることにした俺は、季節がデイーネ節(冬)じゃないことに感謝した。





次回更新は4月25日です。


これからも「憧れの異世界で」をよろしくお願いします!


引き続き、評価、レビュー、感想、ブックマークお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ