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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第一章 ここ、異世界?
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15.試行錯誤

リョウ視点です。

目が覚めると、俺は起き上がって、外していた装備を着け直し、この世界に洗濯とかあるのかなとかしょうもない事を考え、ベッドと自分に合わせて2回魔法を唱える。


(おれ)は求める、ケガレを払う力、クリア!」


淡い光が全身を包み、心地よい感覚に思わず頬を緩ませてしまう俺だったが、あんまりのんびりしてると、キエラさんとリナに迷惑をかけてしまう。


部屋を出ると、キエラさんは既に席に着いていて、リナは朝食を運んでいる所だった。

いつもは、全部準備が終わってる所に目が覚めていたので、せっかくだから手伝おうと思いリナに声をかける。


「おはようリナ、何か手伝える事ある?」


《おはようリョウ、次の料理でおしまいだから座って待っててー!》


笑顔でそう言うリナに、朝から幸せを満喫する俺はこれ以上何か言っても邪魔になるだけだなと思い、わかったとリナに伝え席に着いた。

リナが料理を運び終えると、食前の挨拶をしっかり行い、食べ始める。


今日はサラダ、ジャムのような物が塗られているパン、七色の実と身体に優しいメニューだ。

ジャムパンを食べてみると、ジャムの中身はストリーのようで、程よく食感が残り、パンの自然な甘みを引き立たせる絶妙な量が塗られ、ジャムとパンがお互いの美味しさを際立たせている。


サラダも何も味付けされていないのに、それぞれ個性の違う野菜達が特徴を出し合っていて、これだけで美味しい。

七色の実も相変わらずの変化する味で、食事をより楽しませる。

サラダと七色の実を合わせると、更に野菜本来の味が引き立つが今度は全く違う料理に変わり、一度にいくつもの料理を食べれているような不思議な感覚を味わえる。


今日も朝食を堪能し、片付けを終えると俺は訓練所で特訓してくる旨を二人に伝える。

それを聞いたリナは少し考え、俺に自分の予定を伝える。


《今日は、村の皆から頼まれた仕事があるからそれが終わったらリョウの所に行くね!》


「わかった、仕事頑張って、じゃあまたあとで!」


俺の言葉にリナは気合いを入れ直し、嬉しそうに俺を送り出す。

これで、今日1日頑張れると思いながら、家を出て訓練所に向かう。


訓練所に着いた所で、まずは昨日覚えた魔法を試してみる。

初級魔法だし、威力が高すぎる事はないだろう。

早速火の魔法から使っていく。

訓練所には、弓や魔法の練習の為の的がある。

それに向けて魔法を放つ。


(おれ)は求める、燃えさかる炎、ファイア!」


MPが6程取られ、手のひらから出た淡い赤色の光が火の玉を形成し、それを的に向かって飛ばす。

的に当たると、ドンっという軽い衝撃と共に的が火に包まれる。

的が燃え尽きると、少し経って的が元に戻る。


初めて無属性以外の魔法を使ってみたが、攻撃呪文だけあって、そこそこ威力があったので扱いには気を付けようと思う。

そして一番衝撃だったのは、的の自動修復だ。

跡形も無く燃え尽きたはずなのに少し経つと元通りになった。

おそらくあれも魔具なのだろうが、あの魔法を武器や防具につけられたら楽だろうなと思った。


とりあえず、火の魔法は使えることがわかったので、次は水の魔法を使ってみる。

水と風の魔法は支援に向いているが、攻撃魔法も無い訳じゃない。

支援系の魔法を使ってもいいが、違いが分からなくなりそうなのでまずは、攻撃魔法にする。


(おれ)は求める、溢れる水の力、ウォーター!」


MPが8程取られ、手のひらで淡い青色の光が水の玉を形成し、それを的へ放つ。

命中するとファイアと同じような衝撃音と共に水が的の周囲へと飛び散る。

支援向けと言われるだけあって、火の魔法程威力は無いようだ。

トイレにも使われているウォーターの魔法だが、あれはだいぶ出力を抑えられているのだろう。

改めて魔具を開発する技術力の高さに感銘を受けた。


水の魔法も使える事がわかった。

この世界では無属性を除いて多くても3つの属性しか使えないという話だったが、俺はどうなのだろう。

今の所、2つの属性の使い勝手は変わらない。

リナの風魔法のように、光が強まる事はなかった。

わからない事が色々とあるが、とりあえず後回しにして、魔法の実験を続ける。


次は土属性の魔法だ。

これも火と同じで攻撃向きの魔法なので、おそらく同等の威力が出るだろう。

そんな事を考えながら、詠唱を開始する。


(おれ)は求める、大地の力の一端、ストーン!」


MPが6取られ、俺の手に淡い黄色の光が出現し、それが形を変え小さな岩の砲弾に変わったのを確認して、的へ向かって放つ。

ドーーーンと、火の魔法よりも大きな衝撃音と共に壁に取り付けてある的が割れ、壁も的の位置から波紋のように衝撃が伝わりへこんでいた。


これを生身でくらったら、わりと洒落にならないダメージがありそうだ。

何かしらの対策を考える必要があるな。

これで、俺の使える魔法は3つ目だ。

だが、未だに特定の属性に使いやすさは感じない。

それに、MPの消費の法則もわかってきたが、全部試すまではわからない。


俺は続けて風魔法の詠唱を始める。


(おれ)は求める、全てを運ぶ風の力、ウインド!」


やはりというか、予想通りMPが8取られ、手の淡い緑色の光が集まり球体になる。

だが、この球体の内側は上下左右に緑の風が渦巻いてある。

これを的に向かって放つ。

的に命中すると、衝撃音はしなかったが、シュパシュパと何かが切れる音が聞こえた。

魔法が消えると、的は切り刻まれ奥の壁にも跡がついている。


これは嫌な魔法だなと思った。

衝撃こそ無いものの、受け止めると切り刻まれる。

どの魔法もそれぞれ特徴があり、生身でくらうと何かしらの重大なダメージを受けそうだ。

さて、これで俺は4種の魔法が使える事が証明された。

残りの2種がどうなるかわからないが、それも使えるのであればこれは大きなアドバンテージだ。

戦術の幅が広がって、戦闘が有利に進めやすくなる。


俺は喜びを感じつつ、光の魔法の詠唱を始めた。


(おれ)は求める、光の奔流、シャイン!」


MPを10程消費し、手のひらに淡い銀色の光が集まる。

それを的に向ける。

集まった光は収束していき、手を向けた方向に放出される。

レーザーのように銀色の光が的へ向かって放出され、的に命中するとドォォォーーーと恐らく継続した衝撃が壁へと伝わり、魔法が消えると焼け焦げた的と光の当たった範囲だけ大きくへこんだ壁があった。


俺は驚愕する。

確かに、光と闇の魔法は他の属性よりも上位の性質を持っているということは知っていた。

だが、明らかに先程使った魔法とは威力が違う。

火の魔法のような熱量と、土の魔法のような衝撃、攻撃向きの魔法の良いところを合わせたような物だ。

ただ、一番MPを使うようで今は気にならないが、この先より上の階級の魔法を使うときには違いが出てくるだろう。


最後は闇の魔法を使ってみるため、詠唱を始める。


(おれ)は求める、闇の暴食、シャドウ」


MPを10消費して俺の手のひらで淡い紫色の光が球体を作る。

他の魔法と変わらないように見えるが、エネルギー量が比べ物にならない。

この球体を的に向かって放つ。

的に当たると少しだけ膨らんで魔法は消える。

そして、的があった場所は球体の少し膨らんだ範囲まで壁も含めて消失していた。


つまり、この魔法はリナの持っていたバッグにかけられているゲートの出すことのできない物のようだ。

これを人に当ててしまったら?

おそらく、くらった範囲は消失してしまうのだろう。

これはかなり危険な魔法だな。

無闇やたらと使うと問題が起きそうだ。

これは、モンスター相手にしか使わないことにしよう。


最後は無属性の魔法だが、使える事は証明できてるし、特殊な魔法が多過ぎて的に使うのには向かない。

使える場面がきたら積極的に使っていこう。


これで、全属性の魔法が使えたわけだが、これはかなりラッキーだ。

魔法にもっと慣れれば、応用力がつく。

あとは、支援系の魔法を試して、思いついたことを試してみよう。


こうして、俺は支援系の魔法を全属性試した。

攻撃の時とは違って、水と風属性のMP消費が少なく、火と土のMP消費が多くなった。

相変わらず一番MP消費が多かったのは光と闇だったけど。


さて、ここからは実験の時間だ。

まずは、使うMPを増やしてみるとどうなるのかやってみた。

結果として、MP消費量が増えれば威力が上がり、範囲が広がることがわかったが、限界はあるらしく元の3倍までしか効果がなかった。

それはどの属性の魔法も同じだった。


次に両手で別々の魔法を使おうとしたが、詠唱を言葉にしなければいけない以上、別々の魔法を放つ事はできなかった。

だが、両手で同じ魔法を放つ事はできた。

ただ、両手で放つためには自分で魔力をコントロールしなければならないので意外と難しかったが、全身から魔力を出せる俺は、だいたいの魔力の流れは覚えていたので、コツを掴んでからは簡単だった。


次に離れた魔法を操れるかをやってみたが、操れるのは自分の手が届く範囲のみだった。

ただ、これで新たな戦闘方法を試せる。

こればっかりは、実際に戦闘を行わなければわからないため、後回しにする。


次に魔法を待機状態にできるかだ。

これが出来れば、相手の魔法を相殺する際に見てから唱えるのではなく、使われた魔法に応じた待機魔法をぶつける事ができる。

試してみると、発動前で止めることはできなかった。

下手に止めようとすると、暴発しそうになったため、慌てて発動して何とか難を逃れたからだ。

だが、手に届く範囲は魔法を自在に操れるので一応の成功はした。


次は、魔法を操っている際に新たな魔法を発動出来るかを試してみた。

既に発動した魔法を維持しながら新たな魔法を発動するのはかなり難しく、発動させることも出来たし、これが別の属性でも可能だった。

だが、2つが今の俺の限界だったし、光と闇を同時に出すことは出来なかった。

おそらく、光と闇が共存できないというのはこういうことなのだろう。


支援魔法も同じように試してみた。

魔力を込めればMPを多く消費する代わりに、支援の続く時間が長くなったり、回復力が上がったりした。

これも限界は元の3倍だった。

発動待機はやはり出来なかったが、別の属性を共存させることはできた。

まあ、これも2種類が限界だったけど。


これをやってて気づいたのは、攻撃支援合わせて2つ以上の魔法は続けて唱えられないということだった。

右手で字を書きながら、左手で絵を描くようなものなので当たり前と言えば当たり前なのだけど。


魔法剣も改良を加えてみた。

結果、各属性の魔力を纏わせることに成功したが、魔法の劣化版のようなものなので、各属性の特徴は失われていて、相性の良い魔法なら切れる位の効果しかなかった。

ただ、魔力には魔力を注いだ物の特性を強化する効果があるようで、切れ味は上がったままだった。

魔法剣の弱点をあげるなら、属性を混ぜる事はできず、待機魔法が限界まであると属性を持ったものは出来ないこと、属性を含んだ魔力は戻せない事だろう。


魔力の特性がわかった所で、前は暴発の危険があってやらなかった、身体全身に魔力を流すのに挑戦してみた。

魔力にだいぶ慣れてきたおかげか、スムーズに全身に魔力を流せた。

これを流したまま、魔法のように切り離し血液のように回すことで、常に一定のMPは減ったままだが、身体能力を上げることができた。

戦闘をしてみないと、細かい違いはわからないが、少し動いてみて感覚的に今までの倍くらいの動きができ、MPは全体の2割消費といったところだった。


身体能力上昇と、魔法剣の魔力のみは待機魔法と共存できるみたいなので、積極的に使っていこうと思う。

ただ、少し動いて気づいたのだが、おそらく身体能力の上昇に身体が追いついていないため、疲労度が激しい。

しばらくはこれで無理やり身体を鍛えて慣れさせていくしかないみたいだ。


一通り試し終わったので、俺はリナとストリーを食べたベンチに座ってステータスを見てみる。


ステータス


天神 凌 (てんじん りょう)


HP450/600

MP80/400


装備 (ジャージ上下) (靴) (鉄剣)



スキル (考察) (浄化) (登り降り) (剣技) (拳技) (精神耐性) (異世界言語理解) (魔力操作) (魔法)


HPとMPがかなり上がってる。

驚きなのはHPだ。

おそらく、身体能力上昇の負荷は俺が思っているより重いんだろう。

準備も整ってきたし、本格的に学園に行く準備を始めるか。


そう思って素振りでもしようかと考えていたリョウの元にリナが来た。


《リョウおつかれさまー!、お仕事終わらせてきたんだけど、リョウはもう終わりにするところ?》


「リナもおつかれ!、これから剣の素振りでもしようかと思っていたところだよ。」


さっきまで、そこそこ疲労を感じていたのだが、元気なリナを見たら疲れも吹き飛んだ。

俺の返答に嬉しくなったリナは面白い提案をしてきた。


《そしたら、私と模擬戦しよう?、リョウも学園に入る前に確認しておきたいでしょ?、私にも勝てないようじゃ学園に入るのは無理だよ!》


「わかった、望むところだ!、ちょうど実戦で試してみたいと思ってたんだ!」


そうしてお互いに笑顔を向けて、訓練所の中央に歩いていき、向かい合う。

こうして、俺とリナの模擬戦が始まる。





次回更新は4月25日です。


みなさん、いつも「憧れの異世界で」を読んでくれてありがとうございます!


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