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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
140/141

121.シノグvsルイ

リョウ視点です。

知らない内にリナを圧倒できるほど実力をつけていたスートのおかげで、2番手同士の戦いも勝つことができた。

ミラージュの使い方というか、質があれほど上がっていたのは流石に俺も驚いたが、ああやって新しい戦い方を見せてくれれば、これから同じ攻撃をくらわずに済むから、こうして見ていても楽しむ事ができる。

それに、流石リナとスートの戦いだけあって見応えもあって、この予選が始まって初めて楽しいと思える試合だった。

カリバーンの試合は、実力差がありすぎて、勝負にならなかったからな。

スートとリナも見方によってはそう思えるが、あの中には高度な駆け引きに、細かな技術の応酬があったからまるっきり一緒というわけではない。

リナももし次にスートと戦うことになれば、同じ手に引っ掛かる事はないと思う。

そうなると、もう一回戦ったらどうなるのか見るのも楽しみだ。

それはまだ先だろうけど。

さて、スートの勝利により俺達が予選決勝に進むリーチがかかる。

向こうは当然それを阻止するためにルイが出てくる。

まあ、こちらは当初の予定通りシノグを出す。

ルイの成長は楽しみだが、シノグがここ数週間でどんな訓練をしてきたのかも気になる。

そして、シノグの成長速度ならさっきのスートの技を理解したり、応用したりできるかもしれない。

まあ、俺もそれは出来るし、シノグのやり方は参考にするつもりだ。

そして他のクラスの生徒達だが、これだけの人数が揃っているにも関わらず、さっきの試合で何が起きたのか未だにわかっていないらしく、先生に聞きに行ったり、議論したりしていた。

だが、先生のなかにも答えられない連中がいるし、生徒同士の議論などもってのほかで、理解するのすら諦めていた。

唯一俺達金クラスのみが、かろうじて現状を理解できているくらいだ。

そんな俺たちに聞きにくる物好きはいないけどな。


2番手同士の戦いの興奮も冷めやらぬ中、次の試合の準備が進められ、シノグとルイが向かい合う。

ソルンも俺もいるし、負ける事は最早考えられないが、ルイ相手に気を抜くことはできない。

シノグもそれがわかっているようで、伝わる緊張感に余裕や侮りは微塵も感じられない。

こうした互いの緊張感を感じ合う少しの時間が終わると、審判が2人に準備が良いか確認して試合が始まる。


動き出したルイとは対照的に、いきなり力を練り上げるシノグ。

一瞬だけ警戒したルイだが、シノグの練り上げている力には殺傷能力は込められていない。

だが一瞬だけ動きを止めた事で、シノグはその練り上げた力を解放する。

技と違うのは、どちらかといえばこれは技ではなく、技術、所謂補助的な物だということだろう。

そして、今回シノグが使ったのは俺のマスターオブウエポンと似たような物だ。

だが、俺のがいつでも好きな武器を使えるのに対し、シノグのはどうやら相手の使う武器と同じものしか使えないらしい。

それでも俺が作った武器と同じくらいの質を持った武器であり、何より本人に1番合うように作られているようで、違和感が全くない。

シノグとルイの装備が同じ拳甲となり、ぶつかり合う。

しかし、ここは経験の差かルイに軍配が上がる。

吹き飛ばされるシノグだが、それを風属性の魔法でスピードをころし、体勢を整え、加速していく。

追撃に出ようとしていたルイと、加速しているシノグの拳がぶつかり、金属の甲高い音が響き渡る。

だが、その数は1発だけでなく、5発。

そう、お互いにあの短い間隔で5発の拳を叩き込んでいたらしい。

もちろん、俺は全部見えていたが、当然の事ながら他のクラスの生徒達は何が起きたのかわからないらしく、辺りをキョロキョロと見渡していた。

金クラスの面々も、全部見えているのが半数、残り半数は何が起きたのか理解してはいるが、全ては見えなかったらしい。

そんな周りの驚きなど気にもせず、ひたすら拳を合わせていくルイとシノグ。

高速の連打だが、速さでシノグと勝負するのは良い策ではない。

ある程度実力差があり、短時間で勝負を決められるならまだしも、見たところ始めから互角か、ややシノグが劣るくらいだったのだから、明らかに失敗だ。

その証拠に、拳を交える度にルイの体勢が少しずつ悪くなっていき、シノグの動きはどんどん洗練されていく。

そう、拳を速く交えるということは、自信の情報、つまり癖や弱点などを晒していく事にもなる。

普通の相手と戦うならそれでも問題ないのだが、シノグ程の成長速度を持つ相手にそれをやってしまうとどうなるのか?

答えは簡単で今のルイのように、動きを吸収し、弱点を狙われ、劣勢になっていく。

おそらくだが、シノグに本気で勝つつもりなら一撃で倒せるだけの攻撃を繰り出すしかないだろう。

2度目は効かないと思うが、初見でそれだけ強力な攻撃を入れられるのなら、成長速度など気にならないからだ。

だが、残念ながらルイにはそれができなそうで、今もシノグの攻撃にやられ吹き飛ばされた所だった。

今度はシノグが追撃のために距離を詰める。

そして攻撃が当たる瞬間に、ルイから爆発的なエネルギーが発せられた。

その力に吹き飛ばされるシノグ、そして先程とは比べ物にならない速度、それこそ俺たち金クラス代表メンバーでさえ、視認できるか怪しいくらいの速度でシノグを追撃する。

攻撃はこれで終わらず、すぐさま方向転換し、上下左右からひたすら攻撃していく。

今までのような一撃の軽さはなく、一撃一撃が必殺の攻撃並の威力となっている。

なぜ、俺たちに気づかれずこんな動きができたのかは、よくよくルイを観察しているとわかった。

ルイは拳に力を集め威力やスピードを調節していたらしく、それ以外の防御はその間一切捨てて、力を貯める事に専念していたようだ。

それが先程までの劣勢という状況、そして、十分な力が貯まった所でそれを攻撃に組み込んだ。

一撃必殺も確かにシノグに有効な一手だ。

そして、これも連打だが、一撃必殺になるくらいのレベルの攻撃だ、何より俺たちに気付かせずに力を貯め、解放したのが凄い。


流石に負けを覚悟した俺だったが、ここで異変に気がつく。

そう、あれだけの攻撃の連打をくらっているのに、シノグにあまりダメージを受けた様子がない。

それを疑問に思っていたのだが、その理由は単純で、ルイの攻撃の全ては同じように攻撃を一切捨てて防御に力を回したシノグに防がれていた。

何故そんな真似ができたのか。

そう、序盤に力を貯めていた間に、ルイはシノグに自分の情報を晒しすぎてしまった。

その影響で、シノグはルイの攻撃が見えなくても予想できてしまい、それにより防御されていた。

そして、この力の解放はそう長くは続かない。

このまま持久戦でシノグの勝ちは確定的だ。

だが、そんなのでシノグが満足するはずもなく、崩れた体勢のままルイの一撃と同等の一撃を繰り出し、ルイの追撃を遅らせる。

そう、シノグもルイの一撃を防御しながら力を貯めていたらしい。

こうなれば結果がどうなるのかは言うまでもなく、あっという間に形勢は逆転してしまい、両手両足を動かないようにされたルイが降参し、シノグの勝ちが宣言され、俺たち金クラスの決勝進出が確定した。

更新がかなり遅れてしまい、申し訳ありません。

そして楽しみにしてくださっている方々には申し訳ないのですが、毎日更新が難しくなりそうなので、ここから2日に1回の更新にしていきたいと思います。


余裕のある時は1日置きに更新したいと思いますので、これからも「憧れの異世界で」をよろしくお願いします。

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