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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第一章 ここ、異世界?
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14.学園入学への勉強

リョウ視点です。

俺のいた世界とは別の世界アーテラスに来て、3日目、こっちに来てから経験のない事の連続だからか、1日の密度が濃い。

今日はどんな1日になるのかと、楽しみになりながら準備を整え部屋を出る。


すると、丁度俺を呼びに来ようとしたリナと鉢合わせた。

お互いに笑顔で朝の挨拶を済ませて、朝食をとる。

今日は、いつものパンと森の幸たっぷりスープ、それと昨日俺が食べたストリーだった。


パンとスープの絶妙なバランスに舌鼓を打ち、ストリーで口の中をリセットして、新たにパンとスープを楽しむ。

全てをまとめて口にいれると、見事なハーモニーが口一杯に広がり、今日1日の始めを幸せなものにしてくれる。


今日の予定をリナに聞くと、今日は一人で色々試したい事があるそうだ。

まあ、昨日魔力のみを扱えるようになったし、長いスランプを乗り越えたから嬉しくて仕方ないのだろう。


それを聞いた俺は、後回しにしていた学園に入学するための勉強を始めようと思い、書庫に出掛けようと考えた。

エフォルに滞在している間は、キエラさんが話しを通してくれているみたいなので、許可などは特に取る必要はないそうだ。


片付けを終えると、俺は早速家を出て書庫へと向かった。

書庫に入って、まず何から勉強しようかと悩んでいたが、とりあえず学園の勉強用の本が置いてある所へ足を運ぶ。

しかし、ここで問題に気がついた。


「字が読めない。」


リナ達と普通に会話できるから忘れていたが、ここは俺のいた世界とは別の異世界だ。

当然、同じ文字が使われてるはずもないので、一から勉強しなくてはならない。

途方にくれていると、キエラさんが書庫へやって来た。


「リョウさん、おそらく字が読めなくて困っているだろうと思い、文字の一覧と発音を記録した学習用魔具を用意したのでお使いください。」


そういってキエラさんは、1枚の紙と俺の世界で幼児が遊ぶ、あいうえお図鑑のような物を用意してくれた。

非常にありがたいのだが、本来大学生の青年が、あいうえお図鑑を使うのを恥ずかしいと思うのは仕方ないことだろう。

ただ、せっかく用意してもらったので、そんな思いは表情に出さずにお礼を言った。


「キエラさん、ありがとうございます、どうしようかと途方にくれていた所なので助かりました。」


俺の言葉にキエラさんは笑顔で、


「それは良かったです、私も仕事がありますのでこれで失礼します、勉強頑張って下さい。」


と挨拶もそこそこに書庫を出ていった。

ともかく、これでようやく勉強ができると思ったが、俺は書くものが無いことに気付いた。

さっき、キエラさんがいたのだから一緒に頼めば良かったと思ったが、嘆いていても仕方ない。

ダメ元で、書庫にいる職員さんのような方に書くものがあるか聞いてみる。


「すみません、何か書くものと紙をもらえませんか?」


「いいですよ、紙は持ち帰っても良いですが、こちらのペンは返してください。」


そういって、ペンと紙を貰えた。

ようやく、勉強始められる環境が整ったので、書庫にある机で、まずは紙に書いてあった文字の読み方を、あいうえお図鑑で確認して、読み方を反復しながら、貰った紙に文字を書いていく。


やはりと言うべきか、普段から(考察)で頭を使っているし、(考察)の効果で手に入れた知識を使いやすくなってる。

そのため、文字の読み書きはそれほど時間がかからずに覚えることができた。


こうして、再び学園の勉強のための本があるエリアに足を運ぶと、先程とは違い、文字が読めるようになっていた。

こうして、いくつかの本を取り、机に戻り本の内容を理解するため集中力を高めた。


学園に入るために必要な知識は、俺の世界で言う所の国語、数学、社会、理科の4科目と魔法知識というこの世界独自の科目の計5科目だった。


国語は、漢字テストのような物でこれは辞書のような物があったので、それを片っ端から覚えていく事で解決した。

最も、(考察)が無かったらそんな無謀な事はせずに、大人しく漢字ドリルのような物の方をひたすらやっていただろう。


数学は、様々な物の単位と四則演算の計算問題と、四則演算を元にした文章問題だったが、単位は通貨以外は俺の世界と同じだったため、苦労する所はなく、数字の勉強はやる必要がなかった。


社会は、この世界の始まりや歴史の問題で、ようやくこの世界について詳しく調べることができた。

文献によれば、


この世界アーテラスは、元々は6人の精霊によって作られた。

6人の精霊は、火の精霊サラン、水の精霊ディーネ、土の精霊リルタン、風の精霊フェル、光の精霊シャライ、闇の精霊ダーシャと呼ばれる。

彼らは自分達の力を使い、この世界の基盤を作っていく。


サランは、己の熱で気候を作り、強すぎる熱は時に猛烈な暑さをもたらしたが、火を作ることで生命の誕生に貢献する。


ディーネは、サランの熱を冷まし環境を整え、冷まし過ぎた所には氷が産まれ猛烈な寒さをもたらしたが、水を作ることで生命の誕生に貢献する。


リルタンは、大地を作り、水を吸いとり豊穣の時を作り土地の強さを気分で変えるようになったが、豊かな森と食物を産み出し生命の誕生に貢献する。


フェルは、風を産み出し、風に乗せて様々な物を運びだし土地を混乱させるが、澄んだ空気を作ることで生命の誕生に貢献する。


シャライは、光を産み出し、全てを明るく照らし闇を跡形も無く消そうとしたが、太陽と月を作ることで生命の誕生に貢献する。


ダーシャは、闇を生み出し、光を吸い取り全てを闇に包もうと企て、夜と死を生み出すことで生命の誕生を妨げた。


ダーシャの暴走を恐れた精霊達は、それぞれ新たな生命を作り出した。


サランは、己の熱とプライドを受け継ぐ竜族を誕生させる。

ディーネは、優しい心と激情を受け継ぐ獣人族を誕生させる。

リルタンは、気分屋で気難しい心を受け継ぐドワーフ族を誕生させる。

フェルは、共存の意志と自由な心を受け継ぐエルフ族を誕生させる。

シャライは、正義感と知恵を受け継ぐ人族を誕生させる。

ダーシャは、強い力と強い魔力を受け継ぐ魔人族を誕生させる。


それぞれの種族を使い、ダーシャを抑えようとする5人の精霊達。

その先頭を切ったシャライ率いる人族は最前線でダーシャ率いる魔人族と戦い、闇の力に蝕まれていく。

そこへ、他の4人の精霊達が加勢し闇の力を分散させ、魔人族に迫る。

ダーシャは、不利を悟り撤退する。

その中でダーシャに着いていく者と、5人の精霊達に流れる者に別れ始めた。


ダーシャに着いていった魔人族は、人族に恨みを持って力を蓄える。

5人の精霊達に流れた魔人族は人族とだけは折り合いが悪かった。

追撃を狙った、シャライだったが、4人の精霊達の説得で追撃をやめた。


こうして、各地に生命が誕生したが、プライドの高いサラン率いる竜族は、他の精霊達との関係を断ち、自らを鍛え上げる。

他の4種族は協力していくが、次第に闇の力を大きく受けたシャライ率いる人族が暴走を始め、3種族は離れていく。

残った3種族は、知恵を絞る事が出来ず、それぞれ別れていく。


これが、アーテラスと種族誕生の歴史のようだ。

これで、リナに聞いた各種族の特徴と関係があらかた読めてきた。

職員さんにこの時代の文献が他にないか聞くと、もっと深い事情が書いてある本は学園に保管されているようだ。

学園に行く楽しみがどんどん増えていった。

しかし、まだ続きがあるため、読み進めていこう。


全ての種族がバラバラに過ごし始めた所で、無の精霊ノトンが現れた。

それぞれの精霊に会いに行ったノトンは、亜人族を産み出し各種族と共存していくようになった。

どの種族の生活にも溶け合うように馴染んでいった亜人族だが、ノトンがダーシャの闇の力に蝕まれてしまうと、暴走を始める。


暴走を始めた亜人族をモンスターと呼び、これは全種族の共通の敵となった。

竜族、魔人族は単種族で撃退できるため、関係の修復を行わなかった。

だが、他の4種族は、互いに協力することでモンスターを撃退していった。


そして、モンスター誕生の原因となったノトンをダーシャを除く5人の精霊で討伐に向かったが、シャライを残した4人の精霊の犠牲と共に、ノトンの討伐に成功した。

ノトンは、死の間際に自分の欠片を撒き散らし、暴走をしていない亜人族に加護を与えた。

しかし、いつ暴走するかわからない亜人族は他の種族と暮らす事は出来ず、他種族との関係を断ってひっそりと生きていく事になる。

モンスター達も世界各地に広がり、独自の生態系を形成していく。


残されたシャライは、混乱をもたらしたダーシャ討伐するため、自分の持つ全ての生命力を犠牲にして、ダーシャの討伐に成功する。

ダーシャは、最後の力でノトンと同じように自分の欠片を撒き散らした。

こうして、ダーシャの加護を受けていた魔人族とシャライの加護を受けていた人族を除く、全ての種族に闇の因子が埋め込まれた。


元々、闇の力を多く取り込んでいた人族の中には、暴走を始める者が出現し、魔人族を除く各種族にも暴走する者が現れた。

しかし、シャライは長い年月をかけて光の因子を全種族へとばらまいていた。

その結果、暴走を始めた者達を抑える英雄と呼ばれる者達が、各種族の中に現れる。

この時の英雄達が暴走した者達を撃退し、のちに国と呼ばれる物の基礎を作っていく。

暴走した各種族の者達は、それぞれの種族の元に身を潜め、今も存在している。


これがアーテラスの現在までの歴史になるようだ。

さっきの職員さんに、各種族が建てた国や、その歴史について聞いたが、それはそれぞれの国に訪問して、文献を見るか、全ての種族の集まる学園都市オーノスに行かないとわからないそうだ。

しかし、オーノスにあるそれぞれの国の歴史の文献は、それほど詳しく書いてある訳ではないようで、やはり、それぞれの国を訪問するのが一番のようだ。


これで、社会の勉強は完璧だ。

もっと詳しく知りたかったが、エフォルにある資料では、ここまでが限界で、テストの出題範囲もここまでみたいだったので、とりあえずは納得することにした。


続いて理科だが、これは主に天候や季節の特徴が中心だった。

この辺も、基本的には俺の世界と同じだったが、それぞれの月に呼び方があった。


1月をイーフ

2月をネユノ

3月をフース

4月をエリン

5月をルクリ

6月をサーナ

7月をラッサ

8月をザンマ

9月をリフキ

10月をルキオ

11月をタンル

12月をデノウ


と呼び、季節は4種類あり、精霊の名前をとっている。


(フース)(エリン)(ルクリ)が俺の世界の春で、フェル節と言われている。

(サーナ)(ラッサ)(ザンマ)が俺の世界の夏で、サラン節と言われている。

(リフキ)10(ルキオ)11(タンル)が俺の世界の秋で、リルタン節と言われている。

12(デノウ)(イーフ)(ネユノ)が俺の世界の冬で、ディーネ節と言われている。


最後に魔法知識だが、これは魔法にどんな種類があるのか、どんな違いがあるのか等の基礎的な物だった。

しかし、魔法をほとんど知らない俺から見ればこの科目は最難関だった。

リナに教えてもらい知っている所は飛ばしながら文献を調べると、


まず、魔法にも種類があり、精霊魔法、召還魔法の2種類が存在する。

精霊魔法は、一般的な魔法と呼ばれる物で、火、水、土、風、光、闇、無の7属性に別れており、火と土は攻撃に優れ、水と風は支援に優れる。

光と闇は攻撃、支援共に優れているが共存できない。

無は特殊な魔法が多い。

そして、精霊魔法には階級があり、初級、中級、上級、最上級の順で強くなり、消費魔力も増えていくようだ。


召還魔法は、魔方陣を用いて対価を払い、対価に応じた存在を呼び出すことができる。

何を呼び出せるかは、術者のイメージに左右される。

呼び出した者は契約者と呼ばれ、呼び出した存在は契約者に従うが、不当な扱いをすると裏切られる事もある。

また、送還にはお互いの了承が必要となる。


文献を読み終え、俺はまたしても職員さんに詳しい資料がないか聞いたが、先程と同じように詳しい資料はオーノスにあるようだ。

それでも、基礎的な部分を学べたのは大きい。

特に召還魔法は、興味深かったが魔方陣の書き方を知らないため、試すことはできなかった。


(考察)のおかげで学園に必要な勉強は終わらせる事ができた。

この分なら、わりと早い内に学園に行けるかもしれない。

スキルさまさまだなと思い、せっかく書庫にいることだし、他に何か役立ちそうな本がないか探した。


そして、見つけたのが[魔法一覧と効果]と[スキルとは]という本だった。


[魔法一覧と効果]の本に一通り目を通す。

これは、初級呪文しか載っていないようだが、全属性が載っているため、そこそこの量がある。

生活の補助をする呪文から攻撃呪文まで数多くの魔法と効果が載っている。

俺はまだ、自分の使える属性がわからないため、全ての呪文の効果を覚えた。

イメージも大体出来たのであとは、訓練所などで実際に唱えてみる。


次に[スキルとは]に目を通す。


スキルとは、才能であり生物が先天的に持っている物と後天的に手に入る物の2種類が存在する。

先天的なものは、それぞれの種族の特徴を持った物や産まれた際の環境によるものが多い。

後天的な物には、その人の経験や積み重ねにより手に入る物が多い。


また、いくつかのスキルが合わさり、新たなスキルが誕生する場合もあり、この時に手に入れたスキルは、合わさる前のスキルの特性と、新しく生まれたスキルの特性の両方を持つ強力なものとなる。


読み終えると、対面でこちらをニコニコして見ているリナがいた。

本に集中していたため、リナが来たことに気付かなかった俺は、ものすごく驚いたがリナの顔が見れて幸せな気持ちになれたので嬉しかった。

そうして俺はリナに笑顔を向けて話しかけた。


「リナおかえり、こっちに来たなら声をかけてくれても良かったのに。」


《すごい集中してたから邪魔しちゃ悪いかなと思ったし、そんなリョウが格好良かったから声をかけずに見守ってた!》


サラッと俺を褒めてくるリナに、俺は照れくさくなったが、満面の笑顔のリナが可愛かったので、思わず笑顔になる。

そして、リナの目的はご飯が出来たのを伝えに来る事だったそうなので、俺も本を片付けて、借りていたペンを返し二人で家へ向かう。

短い距離だが手を繋ぐ事も忘れない。

少しの距離だが、幸せな気持ちになれるので、これからも出来る時は手を繋ごうと決めた。


家へ帰るとそんな俺らをニヤニヤと見てくるキエラさんがいた。

そんな視線を向けられると、途端に恥ずかしくなり、二人とも手を離し、席に着く。

キエラさんに借りていた文字の一覧表とあいうえお図鑑を返した。


ご飯を食べながら、キエラさんに今日の成果を聞かれた。


「勉強は順調ですか?」


「もう、試験に必要な所は完璧です。」


俺の返答を聞くと、キエラさんだけじゃなくリナも驚いていた。


《えー!、リョウもう試験の勉強完璧なの!?》


「いや、想像以上ですね、異世界の方は皆こうなのですか?」


キエラさんの質問に俺はどう答えようか迷った。

スキルの事を話そうかだ。

まあ、スキルがこの世界にあることはわかったし、キエラさんは信頼できる人だ。

そう思って、話すことにした。

もちろん詳細までは話さないけど。


「結構、俺の世界で学んだ知識と似た所もあったので、その分楽でした、他の異世界人の方の事はわかりませんが、俺の場合はスキルに恵まれていたからだと思います。」


リナとキエラさんは、俺の返答に納得したようだったが、それだけでなく、俺の頑張りを褒めてくれた。

それが凄く嬉しかった。

いくらスキルがあったとしても、実際に勉強したのは俺だ。

それをスキルが優秀なんだろ?と言われるのは、俺の努力を全否定されたみたいで嫌だ。

俺も誰かに教えるようになったときは、そこら辺を気を付けようと決めた。


夕飯を食べ終わり、片付けを終えて、俺達3人は寝る前の挨拶を済ませて、自分の部屋へと戻った。


部屋へ戻ると1日中勉強していたせいか、頭がボーっとする。

俺は装備をジャージを除いて外し、ベッドに倒れ込む。

勉強をあんなに真面目にやったのは生まれて初めてだった気がする。

元の世界に戻ったらもう1回きちんと勉強し直そうと考えた所で、リナの事を考える。


リナとカップルになったが、もし元の世界に戻って自由に行き来できなかったら、リナは俺に着いてくるのだろうか。

この世界で生まれ育ったリナを俺の世界へ連れていってしまっていいのか。


そんな事を考えていたが、考えるのをやめた。

何の手がかりもない内に悩んでも仕方ない。

オーノスに行って、情報を集めて出来ることは全てやって、それでも方法がなかった時にまた考えよう。


考えを纏めたところで、目蓋が重くなりそのまま目を閉じると意識が遠のいて行く。

こうして、今日も濃い1日が終わった。



次の更新は4月24日です。


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