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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
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100.訓練を終えて

リョウ視点です。

丁度きりも良いかと思って訓練を終えると、クラスメイトやリナ達、アベルやミロール、ロードまでが俺の事を物音1つたてずに見ていた。

こんな状況になるまで気付かなかったのは、この世界に来てからは初めてで、その事実に驚いた。

けれど、あの体感時間から、俺の中では相当時間が経った気もするが、あくまであれは俺が訓練に集中していた結果そう思えただけなのだから、実際にはそれほど時間は経っていないのだろう。

体育館へ入ってきた時にいた者達は誰一人として体育館からでていないのだから。


俺がそんな奇妙な雰囲気を不思議がっていると、リナが俺の方に駆け寄ってくる。

というか、泣きながら走ってきて、俺に抱きつく。

その時点でも大分混乱しているのに、リナは俺が離れないようにとでも言いたいかのような強さで俺を抱き締める。

それは、身俺が体強化を改良していなかったら、折れていたのではないかと思うほどの力だった。



「お、おい、リナ?、どうしたんだよ?」


俺の問いかけにも応じることなく泣き続けるリナ。

何か不安に駆られ、更には怯えているのか、一向に泣き止む気配はない。

そんなリナを優しく抱き締め、頭を撫でながら落ち着かせようとする。


「リナが何に怯えてるのかはわからないけど、例えどんな状況になっても、俺はリナを、いや、リナ達を置いていったりはしないから、安心しなよ。」


リナが何に不安を覚えて、何に怯えているのかはわからない。

でも、リナ達は俺にとって大切な人達だ。

だから、どんな状況になったとしても置き去りになんてしない。

俺のそんな思いを言葉と行動で伝える。

すると、気のせいかもしれないが、さっきまでは怯えて泣いていたリナから、張り詰めた感じが無くなり、安心した雰囲気に変わった。

相変わらず泣き続けたままだけど。


そうしてしばらくリナに抱きつかれたままでいると、ようやく落ち着いたのか、泣き止んで、それでも抱き締める力はそのままだった。


「落ち着いたかリナ?、どうしたんだよ?、俺の訓練終わりに突然抱きついてきたりして。」


《リョウが私達の手が届かないほど強くなって、孤独になってしまうんじゃないかって心配だった、でも今の私にはどうすることもできなくて、気付いたらこうしてた。》


「そっか、確かにこんなに訓練に集中したことは無かったしな、心配かけて悪かった、でも安心してくれ、さっきも言ったけど、俺はリナ達を置いていかない、例え強くなって孤独になったとしてもリナ達が追い付いてくるのを待ってるさ、だから強くなってくれよ。」


《うん、強くなるから、絶対強くなるから、それまで待っててね、それと寂しくなったら1人でいなくならないでね。》


「ああ、少しは信用してくれ、それと心配してくれてありがとな。」


俺の最後の一言でまた少し泣き始めたが、俺は必死にリナを宥めた。


「ははは、若いのはいいのう。」


「良いものを見せてもらったね、ミロール。」


《ええ、いつか私もリョウのようなパートナーを見つけたいですね。》


俺は皆が見ているのをすっかり忘れていた。

どうやら訓練で集中していたのがまだ影響しているみたいだ。

だが、リナを離すわけにもいかず、何となく気まずい雰囲気でいると、ルイ達もやってきた。


《リョウ、いつまでリナとくっついてるのー!?》


《リナ、ずるい、私も混ざる!》


《リョウ様!、さあ私もリナのように優しく抱き締めてください!》


《リョウ殿、私達は平等なのだろう?、リナばかりではなく、私達の相手もするべきではないか?》


《あーあ、後々大変になるわよ?、もちろん私も相手してもらうからね。》


『今日は私の自由日なのだが、、、埋め合わせはしてもらえるんだろうマスター?』


《あたしの事も忘れちゃダメだよー!》


一斉に喋り始めたルイ達はそのまま雪崩かかるように俺に抱き付いてくる。

いやまて!、そんなスペースないだろう!!

そんな俺の心の叫びはあっさりと消される。

サクラの魔法と圧倒的な重さによって。


《スタイルチェンジ、大!》


俺の身体がいつもよりも大きくなり、全員が抱きつけるスペースが作られた。

魔法の才能の無駄遣いしやがって!

おかげで全く動けなくなった!!

というか、こんなに身体強化してるのに動けないなんてどんだけだよ!?

そうしてまたしばらくの間動けなくなった。

なお、周りから向けられる視線が生暖かくなったのは俺の気のせいじゃないだろう、、、


「なんというか、王である儂でも中々ない状況じゃな。」


「僕もああなりたいとは思えないね。」


《あれだけ好かれるのは素晴らしい事でしょうね、真似できるかは別として、、、》


おい聞こえてるぞ、そこの王族達!

俺は動かない身体で顔だけを動かし、アベル達を睨み付けておいた。

そして、きれいに3人から視線を外された。

こうして、俺はまたしばらくの間、それこそ体育館から人がほとんどいなくなるまでリナ達に抱きつかれたままだった。


次回更新は8/5です。


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